E23M1: 戦火の市民にとっての戦争の現実。『This War of Mine』でかつての生活を壊し、奪いながら生きる(前編)

公開日時:2014-11-21 00:00:00

 ドモー、BRZRKです。12月21日に開催されるRed Bull 5Gが今から楽しみで仕方がないといった感じで日々を過ごしている。関係ないけど、ようやく『Destiny』のメインキャラがレベル30になりましたわ。レイド防具のガントレットが出れば30になったのに4週連続で足装備が出るとか、ちょっと気がおかしくなりそうでしたよ。


 さて、今回取り扱うのは11bit studiosが制作し、先日リリースされたばかりの『THIS WAR OF MINE』というタイトル(公式サイト)。この作品は「戦争」をテーマにしているものの、いわゆるウォーシムやFPSのようにライフルを片手に戦場を暴れまわるような英雄譚ではない。

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 この作品では戦争や紛争で一番の被害者とも言える一般市民が必死に知恵を振り絞って生き抜くためのライフシムアクションといった感じのタイトルである。
 実際にどういったゲームかを紹介する前に本作の実写トレイラーを見てもらいたい。本トレイラーに登場するEmir Cerimovic氏は1992年、サラエボ市内に住む9歳の少年だった。しかし、同年に勃発したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争により、大変な幼少期を過ごしたという。そのときの様子をローンチトレイラーで話しているので、見てもらいたい。

少年だった頃、私は兵士を家のバルコニーから見ていた。
目を覚ませば、全てを失っている。
食料も、電力も、水道水すらない。
あるのは迫撃砲弾の破片と、街路に降り注ぐ爆弾だけだった。
家や店の周りには暴漢が徘徊し、盗みや殺しをしていた。
1年後、私のは家族は市外へと逃げ出した。
それからずっと私が見てきたものはなんだったのかを考えている。
私に分かるのはひとつだけだ。
それは、誰にでも起こる可能性があるということだ。
戦争は常に誰かの目の前で起こる。


 Cerimovic氏は動画の中でこう語っており、のっけからかなり重い。ちなみに、氏は実在する人物であり、本作のメインメニューから選択できるスタッフロールに、スペシャルサンクスとして記載されている。つまり、本作のPRに向けた演出ではなく、トレイラー中の発言はガチなのだろう。

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 本作では、紛争下にあるマンションを根城に、3人の一般市民を操作しながら生き抜くことを目指す。ゲーム開始時に使用可能な3人のキャラクターは、複数用意されているキャラクターのうちからランダムで選ばれる。これらのキャラクターは隠密行動が得意だったり戦闘に長けていたり、交渉が得意だったりとそれぞれ性能が異なるので、長所をうまく活用する必要がある。

 プレイヤーが最初に行わなければならないのは環境整備だ。根城とするマンションは砲弾の影響なのか不明だが、屋内に多数の瓦礫が散らばっている。また、マンションに残っている様々な資材をかき集め、人が住める最低限の状況を作らなければならない。とりあえず、ベッドとか色々と必要な物を揃えていく。

 そうこうしているうちに夜に突入。夜時間は代表者ひとりを物資確保のためにスカベンジへと回し、残りのキャラクターは根城で寝るか警備を行う。
 スカベンジをするキャラクターは、街にあるさまざまな場所に侵入して資材を集めるのだが、同じような境遇の人は多数存在する。中には普通に生活している人もいれば、暴漢と化した人も。揉め事は命の危険にさらされるので、極力見つからないようスニーキングしながら行動しなければならない。ただし、相手が抵抗する手段を持っていない場合は堂々と盗みを働くことも可能だ。

 手持ちの荷物がいっぱいになったら拠点へと戻り、入手した資材や食料をもとに必要な設備や料理を行う……といった流れだ。つまり、昼時間は環境整備に費やし、夜時間は生活必需品の確保といったローテーションを繰り返し、可能な限り生き抜くのが目的だ。

 これだけ聞くと非常に簡単なゲームに思えるかもしれないが、それは大きな間違いだ。夜時間にスカベンジを行っている間、根城には物資を求めた暴漢がレイドを仕掛けることがあり、運が悪いと物資を盗まれるだけでなく、住人に危害が及ぶ場合もある。戦時下における治安の悪化具合を痛感する瞬間だ。

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 また、キャラクターのステータスも重要だ。空腹、怪我、病気といったものだけでなく、プレイヤーが行った行動によっては、精神状態が悪化したりもする。つまり、一挙手一投足が生存の可否に大きく関わっていると言っていいだろう。

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 こんな感じで、かなり重めの内容ではあるが、しっかりとゲームとして成立させている『THIS WAR OF MINE』。ちょっと1回の更新で全てを伝えるのは難しいので、次回更新で実際のゲームプレイ映像を交えていきたいと思う。というか、すげぇよく出来たゲームなんでオススメしますわ。


著者近況:ブランドン・サンダースン氏の著書が好きで、ミストボーンシリーズの大ファンである僕。2012年にゲーム化の発表があったけど、音沙汰なくなっちゃって激ショック!

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BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)