E7M5: FPS史に残るオリジナル版の雰囲気を涙ぐましい努力で維持したN64版『Quake』

公開日時:2014-10-31 00:00:00

 ドモー、恐怖感と嫌悪感とは別であり、“ホラーを謳っておきながら内容は嫌悪感攻め”という作りに対していささか疑問を感じる今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか? BRZRKです。今回は前回予告していたNintendo64版の『QUAKE』(以下、N64版QUAKE)について触れてみようと思う。


 QUAKE1の詳細については本ブログのE7でガッツリと触れているのでそっちを参照(Part1234)してもらうとして、今回はN64版QUAKEとPC版の違いを見ていこう。

 さて、PC版のQUAKEが発売されたのが1996年で、N64版QUAKEは2年後となる1998年にリリース。前回更新時に紹介したN64版QUAKE2はハードウェアスペックやロムカートリッジ容量が起因し、PC版を丸々移植することが叶わず、オリジナリティ溢れる作品となっていたのは解説した通り。
 一方N64版QUAKEはというと、世界観を崩さないようにしつつ、削れるオブジェクトを可能な限り削ることでオリジナル版を移植しようと試みたのがわかる。移植担当の人が、表示可能なポリゴン数の限界や、ロムカートリッジの容量と戦った結果なんだろうなぁ(編注:N64版『Quake』のプログラマーは、N64版『Quake2』と同じくAaron Seeler氏)。

 Quakeのゲーム導入部では、オリジナル版はSTARTと呼ばれるマップがあり、このマップ上で遊ぶ難度をEASY/HARD/NORMAL/NIGHTMAREの中から選び、各エピソードの最初のマップへと通じるテレポートゲートに入るのだが、N64版ではこのSTARTマップも綺麗さっぱり省かれている。このためN64版QUAKEでは、メニュー画面から難度を選択し、エピソード1の冒頭からスタートして順繰りにプレイしなければならない。

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 では、恒例といってはなんだが、PC版QUAKEとN64版QUAKEの比較動画を用意した。解像度の違いとか細かい部分はあるけど、マップの作りとかそういった部分を見て貰えればと思う。

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 一応、オリジナルに可能な限り忠実に移植しようとしたN64版QUAKEだけど、残念なことにいくつかのマップは削除されている。これはまぁ、単純に大きく複雑な構造をしていたマップゆえの決断なのだろう。潔い判断といえる。
 では、ラスボスはどうだろうか? N64版QUAKE2ではPC版のボスとは異なり、道中で出会うボス格の敵が次々と出現するボスラッシュモードに化けていたのだが、QUAKE1はというと、最後の部分だけを動画で撮影したので見て貰えれば有り難い。

 と、こんな感じで割と頑張って移植しているのが伺える。それにしても、N64版の光源の設定がなんつーか毒々しい。これはこれでアリなんだけど、目が痛くなるというか、欧米の体に悪そうなジュースみたいな色でアレですな。
 まぁそんな感じのN64版QUAKEなんだけど、フレームレートが低かったりと無理矢理頑張って移植した感が否めないものの、出来自体はものすごくいい。ただ残念なことに、さすがにPlayStationとSega Saturn版と比べると大幅に見劣りしてしまう。PS版とSS版もチャンスがあれば扱ってみたいと思うのだけど、残念ながらソフトもハードも海外から入手せねばならないという難しいハードルがあり、実現には至っていない。欲しいんだけどなぁ。


著者近況:今年もRed Bull 5G 2014が開催! 超楽しみだぜ! あとR.I.P. Prey 2。

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BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)