E17M1: あのキャラとは関係ありません。粘液どっぷりの洋レトロゲー『スライムワールド』

公開日時:2014-07-04 00:00:00

 ドモー、今年の抱負をひとつも達成しないまま半年が過ぎてしまった感じのBRZRKダヨー! 来年から本気出すヨ~!! はい、そんな感じなんだけど、今回扱うのはメガドライブ、LYNX、PCエンジンCD-ROM2に移植され、日本でも発売された『Todd’s Adventures in Slime World』(以下、スライムワールド)。

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 名前からして洋ゲー臭がプンプンするわけなんだけど、なんつーか本当に古き良き洋ゲーといった作品。発売したパブリッシャーはAtariで、開発はEpyxが行った。
 ゲームのオリジナルデザインは『スライムワールド』が最後の作品となったPeter Engelbrite氏が担当。それを後に『クラッシュ・バンディクー2』の制作にも携わり、Naughty Dogとの縁も深いGreg Omi氏がLYNXやメガドライブといった各ハードに移植をした。

 Epyxという会社名は日本ではほとんど知られていないが、Atariと行動を共にし、LYNXへのタイトル供給を精力的に行ったりした結果業績が悪化。1989年に倒産、その後もしぶとくゲームを供給していたが、4年度の1993年に消滅した会社だ。
 この会社が関わったタイトルには隠れた名作が多く、中でもエクストリーム・スポーツを扱ったタイトルの走りである『California Games』は特に人気があり、コンソールマシンだけでなくコモドール64やApple IIといったコンピューターでも発売された大ヒット作だ。ちなみに、『California Games』に関しては、今後このBlogで紹介する予定だったりもする。

 今回取り扱う『スライムワールド』はメガドライブ版。チャンスがあればPCエンジンCD-ROM2版も紹介したいと思うが、DUO-Rの本体がどこに行ったか不明で、どうにもならない状態。うーん。ともかく、『スライムワールド』の物語はこんな感じだ。(説明書から引用)


私は冒険家トッド。現在、自慢の宇宙船でアンドロメダ星雲への探検旅行に向かっているところだ。突然、船のコンピューター「MORTY」の電子音声が「漂流中の宇宙船を発見しました」と告げた。
私はある種の予感が働くのを感じ、何らかの冒険に巻き込まれるだろうと思わずにいられなかった。
無人の漂流船のコンピューターには航海日誌が残っている。私は「MORTY」にデータの呼び出しを命じ、報告を待った。
「お待たせしましたキャプテン。データを見ますか」
「メインスクリーンに出してくれ」そう答えて私は驚愕した。
スクリーンに浮かび上がった日誌の内容はスライムだらけの惑星での探検記だったのだ。私はこの冒険に挑戦することに決め、航路をスライム惑星に向けるよう指示した……。


 いやー、ザックリ。ちなみに主人公のトッドはこんな感じの人。

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 なんというか、ベア・グリルス(※)も真っ青の真性マゾヒスティック冒険野郎という感じのトッド。しっかし、このあたりの年代のゲームの主人公ってDuke Nukemしかり、若かりし頃のジャン・クロード・バンダムみたいなショートカットで太いフレームのサングラスを着用ってのが流行だったのかなぁ。(編注:「Man vs Wild」の人。喩えとしてわかりにくいよ!)


 『スライムワールド』はどういったゲームかというと、横スクロールのアクションゲームで、主人公はスライムがはびこるダンジョンへと入り、脱出口を目指すのが目的となっている。マップは欧米の体に悪そうなジュースというかお菓子みたいな色で構成されていて、いかにも洋ゲーといった雰囲気。

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 トッドの武器は水鉄砲。この水鉄砲から放物線を描いて飛んで行く水をスライムに当てると、どういう訳かスライムを撃破することが可能。もしかすると、宇宙にいるスライムは真水に弱いのかもしれない。それにしても、水鉄砲って。

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 敵を撃破すると、スライムは周囲に体液を飛び散らせ、この体液がトッドに付着すると、少しずつ服が汚れて汚染されてしまう。この汚染が進むと、どういう訳かトッドが今度は弾け飛んで死んでしまうのだ。なので、除染するためにマップ上にある真水の湧いている場所でゴシゴシと洗い流さなければならない。

▲汚れて最後にハジケ飛ぶトッドと除染するトッド。

 マップ上には何故か水鉄砲を強化するアイテムや、ジェットパックなどが配置済み(誰が置いたんだろうか?)。様々なアイテムを駆使しながら少しずつマップを探索して進み、脱出口を目指すことになる。

▲色んなアイテムを使ってスライムワールドを突き進む。

 出現するスライムは全部で14種類。飛行タイプの物をメインに、巨大なウジ虫(しかも飛び跳ねる)などなどバラエティ豊かだ。しかし、中でもプレイヤーを本気で怒り狂わせるのが”Hidden Snapper”と呼ばれるスライムで、こいつは地中に隠れてトッドを待ち、真上を歩いた瞬間にバクリと食虫植物のようにトッドを食い殺してしまう。選べるミッションの中には、この”Hidden Snapper”をメインに構成されているステージもあり、これが本当にコントローラーをネジ切って消し飛ばしたくなるレベルでストレスをプレイヤーに与えてくる。あまりにもムカツクので、実際にどんな感じなのか動画で見て欲しい。

▲「げーっ孔明!」と言わんばかりのトラップ。

 こんな感じのゲームなんだけど、隠し通路が多数用意されていたり、こまめに配置されているチェックポイントで復活可能など、当時の洋ゲーとしては珍しい気配りがされている。復活不可となっているステージ6以外は、根気さえ続けば普通にクリア可能。根気さえ続けばね。

 僕はというと、このゲームとLYNXの発売後に出会って以来、なぜだか妙に魅入られている。いわゆる洋ゲー臭が濃いのだが、上にも書いた妙な配慮がいい塩梅で、こうすりゃ進めるんじゃないか? と、トライ・アンド・エラーをくり返して少しずつ進んでいくのが楽しかったのを覚えている。あーでもない、こーでもないといった感じで、僕の兄貴と遊んでいたなぁ。
 なお、本作はふたりプレイに対応しており、メガドライブ版は画面分割(上下)、LYNXは通信ケーブルを使うことで協力プレイで遊ぶことができた。残念なことに、PCエンジンCD-ROM2版はひとり用となっているが、その代わりグラフィックやBGM,SEが強化されていたり、アドベンチャーゲームのように会話パートがあったりと、完全版と言えなくもない仕様となっていた(制作会社も日本だったりと色々違っていて面白い)。

 そんな感じの『スライムワールド』、もしプレイするチャンスと巡り会えたなら、是非ともトッドと共に探索を楽しんでみて欲しい。

▲最後にステージ1のプレイ動画をUP。


著者近況:梅雨前線はようきえちくり~

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BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)