E7M4: 初代『Quake』は何がスゴかったのか――SKINやロケジャンのこと

公開日時:2014-02-17 00:00:00

 ドモー、BRZRKです。とりあえず今回でQUAKE1についての話題は終了しようかな。「あと何をやんの?」ってトコなんだけど、QUAKE1の凄かった部分を色々と書いていこうかなと思う。


○キャラクターのSKINを作成できた!

 通常、プレイヤーキャラクターの見た目はアーマーとズボンのカラーリングを変化させることで他のプレイヤーと差別化をしていた。
 だが、これじゃ物足りないと誰かが思ったのか不明だが、ユーザー側がスキンファイル(テクスチャー)を書き換えることで、他者とは違う見た目に変化させることが可能だった。具体的に言うと、base.pcxというデフォルトのテクスチャーファイルをPainterやPhotoshopを使用して書き換えることで、他者とは異なる見た目のキャラクターで遊ぶことが出来た。

 ただ、自分が作成したSKINファイルを他者と共有しなければ、相手からの見た目が変化せずにデフォルトのキャラクターにしか見えない。そこで、自分がよく遊ぶサーバーにSKINファイル登録してもらわなければならない。
 SKINファイルの登録をサーバー側が完了した後は、SKINファイルを使用した状態でサーバーで遊んでいれば、後から接続したプレイヤーには差分ファイルとしてSKINファイルがダウンロードされ、適用された状態で見られるようになる。

 もう、世界中のQUAKERが様々なSKINファイルを作っては公開していたのだけど、日本国内でも活発にSKIN作成が行われていた。そこで、ここではその一部を紹介しようと思う。

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▲これがデフォルトのキャラクター

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▲一部で超有名になったドラ○もんQUAKE

 テクスチャーを書き換えられるということで、某ハンバーガーチェーンのキャラクターであるドナ○ドとか、ガチャピ○、ム○クといった子供にウケのいいキャラクターが銃器を手にサーバーでドンパチをしたりとカオスな世界が当時形成されていたり。ちなみに、ドラ○もんSKINはその後も受け継がれており、QUAKE2と3でもSKINが作成されていた。


○武器のパワーが凄かった

 使用できる武器の数は8つ。中でも凶悪だったのがロケットランチャーで、弾速が早いだけでなく、着弾点から広範囲に爆発の衝撃が生じる。この衝撃でダメージが発生するのだが、相手の足元に上手くヒットさせれば浮かすことができ、打ち上げた敵を更にロケットランチャーで攻撃可能。うまくぶち当てて敵を排除できれば見た目が超カッコイイ。

 そして忘れてならないのが電撃を出すライトニングガン。照準位置に合わせて電撃が放出されるのだが、ダメージが非常に高く使い勝手がいい(放電しながら照準を合わせ続けてダメージを与えていくタイプの武器)。そのため、ロケットランチャーでダメージを与えた敵を仕留める場合に使うことが多かったり。
 で、これは先に述べたように電撃が出る武器なのだけど、水中で使うと感電死する。で、自分一人だと自殺扱いになるためスコアはマイナスになってしまうのだけど、自分以外の敵が多数水に入った状態で感電死させればスコアがプラスになるため超オイシイ。というか、一瞬で水中から肉片が飛び散る様は見ていて爽快だった。

 ちなみにQUAKE1にはスナイパータイプの一撃で高いダメージを与えるような武器が存在しない。なので、相手の移動を予測しつつ偏差射撃をしなければならず、当時は回線速度が今よりも遅かったこともあって、かなり先読みとテクを要求するタイトルだったと言っていいだろう。
 オールドスクールなFPSは火力がマッシブでドッカンドッカンなのが多いのだけど、QUAKE1もかなりそんな感じだったかな。ただ、後に出るQUAKE2は色々アレだったけど。


○ロケランとグレランを使った移動テクがスゲェ

 ロケットランチャーやグレネードランチャーといった武器は、射出された擲弾が爆発する瞬間、ダメージ判定を伴った衝撃波が爆発の中心点から一定範囲内に生じる。この衝撃波とジャンプを組み合わせることで、普通にジャンプした際の数倍高い位置に舞い上がることが可能になっていた。

 記憶違いでなければ、恐らくロケジャンやグレジャンといったテクが誕生したのは、QUAKE1が最初だと思われる。まず、id softwareのタイトルでQUAKEの前身であるDOOMにはジャンプ自体がなかった。また、他社のタイトルにはジャンプこそあれど、衝撃波でキャラクターが浮き上がるといったギミックが無かったように思う。なので、やはりQUAKE1が最初ではないだろうか。

 恐らく最初はロケジャンなんて使用方法を想定してはいなかったと思うのだが、開発時の意図にはなかったテクニックが偶然発見され、それがタイトルの発展に貢献するといった事象は珍しくない。その最たるものは格闘ゲームのコンボだろう。あれも当初は想定していなかった動作だったそうで、今現在の格闘ゲームには無くてはならない要素となっている。こういった偶然の副産物ってホント凄い。

 参考としてロケジャンとグレジャンを組み合わせた場合の動画も作成したので、どんな感じか見て欲しい。

 で、これらのテクニックを使うことで想定外の場所に行けてしまうという点で問題になったのが、定位置で敵を待ち続ける行為である”キャンパー”だ。
 こちらも参考に動画を用意したのだが、「普通にプレイしている限り気付かねぇよ!」ってな場所にまで行けてしまう。2014年に需要ゼロではあるが、エピソード1のM1~M7で”こんな場所に行けてしまうよ”といった動画を作成したので、ご覧あれ。

 はい。今の御時世、まったく需要がない動画だけど、製作者が想定していない場所に登れてしまっている。場所によっては、シングルプレイ時にモンスターがプレイヤーの出現を待機している場所とかに登れてしまうなど、今見直してみるとかなりメチャクチャである。それにしても誰が得するんだろうか。


○悪魔のSUICIDERと大迷惑なPAUSE行為

 QUAKE1で印象に残っているのがSUICIDERとPAUSEだ。SUICIDERは自殺野郎という意味で、自殺コマンドのショートカットをひたすら連打する行為をこう呼んでいた。QUAKE1は自殺時にペナルティがゼロで、即リスポーンすることが可能で、スコアはマイナス方向に加算されていくのだが、そんなのおかまいなしに連打連打連打連打連打といった具合。

 んで、QUAKEにはテレフラグという要素がある。これはどういったことかというと、Aというプレイヤーの立ち位置にBというプレイヤーがスポーンするとAが死亡してBが生き残る現象だ。

 つまりSUICIDERの目的はこうだ。まず、自殺コマンドを連打することで1秒間に4,5回ほどマップ上にある複数のリスポーンポイントに出現しては死亡を繰り返す。ここで運悪くリスポーンポイントを通過したり、リスポーンタイミング重なったプレイヤーは、テレフラグにより肉片を飛び散らせて死亡してしまう。
 そして、このプレイヤーがリスポーンした際に運が悪ければ再度SUICIDERの餌食となる可能性が非常に高く、連続で死に続けてしまうのだ。出ては死ぬといったデルシヌ状態が繰り返され、サーバーは阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまう。

 PAUSEはNetQuakeでたまに見かけた迷惑行為だ。どういった現象かというと、キーボード上にあるPAUSEボタンをゲーム中に誰かが押すと、参加者全員の画面上にデカデカとPAUSEと表示され進行中の対戦が完全にストップ。しかも、誰が押しても発生する。
 で、誰かがPAUSEボタンを押せばPAUSE状態を解除できるのだが、その瞬間、最初にPAUSEを押した下手人が再度ゲームにPAUSEをかけるといった酷い循環がしばらく続く不毛なバトルが発生。最終的にサーバーから人が消えて、下手人大勝利という展開がほとんどだった。

 基本的なシステムが煮詰まっていなかった時代だったというのもあるが、酷い仕様であったのは否定出来ない。だが、改めて思い返してみると笑えてくる。


○3倍QUAKEが凄かった

 さて、QUAKE1のオンラインを快適に遊ぶことを目的として作成されたQuakeWorldだが、ひとつ面白い現象があった。それが3倍QUAKEと呼ばれる現象だ。
 これはどういう事かというと、特定の環境でQUAKE WORLDを遊んでいると、何故かプレイヤーの移動速度が爆速になり、あまりにも早すぎるために自分で撃ち出したロケットランチャーを追い越し、先回りして直撃することが可能になる現象だ。
 筆者が3倍QUAKEを始めて見た時は、何が起こっているのかすら理解できず「これが世に言うチートなのか?」と疑ってしまったくらい、異様な動きをしていたのを覚えている。

 この現象が発生する原因は諸説あるのだが、当時のゲームが基本的にDOS上でプログラムを走らせていたがゆえの珍現象で、NEC製のPC98で使用されていたDOSがMS-DOS(or IBM DOS)と異なる動作をするため生じる現象だという説が有力。つまり、ほぼ日本国内限定で起きていた現象と言ってもいいだろう。
 これは再現する環境がないので動画は用意できなかったのが残念でならない。


 以上、個人的に面白かった点をツラツラと書き連ねてみた。本当はもっともっと書きたいことがあるのだが、それはまたの機会にしようと思う。現在QUAKE1のサーバーは国内に無いらしく、もし遊びたい場合は自分でサーバーを建てるかBOTを相手にするしかない。なんとも寂しい限りなのだが、冷静に立ち返ってみると当時の盛況ぶりも、他に競合タイトルが存在しなかったため、必然とQUAKEに人が集まる時代だったように思える。

さて、QUAKE1については今回で終了だが、次回の更新でQUAKE2を扱うかどうか迷っている。というのも、そろそろBLOODやDUKE NUKEM 3Dを紹介したいところなのだが、QUAKE熱が微妙に上がってしまったのでどうしたもんだろうか。うーん。


著者近況: ArmA3でリリースされているDayZクローンのBreaking PointというMODが結構面白い。バグがまだ多いけど、ArmA3を持っている人は試してはどうだろうか?

D-thing says Quake 4 ever.

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BRZRK
週刊ファミ通やファミ通Xboxに“スオミ松崎”名義で執筆していたFPS歴15年のフリーライター。現在は他媒体でも使用しているBRZRK(バーサーク)名義に変更し、執筆活動のほかにゲーム大会の実況・解説やインターネット番組に出演したりしなかったり。まぁ、そんな感じでイロイロやってます!

BRZRKの「うるせー洋ゲーこれをやれ」(仮)