格闘ゲームの祭典“EVO Japan 2023”の『KOF XV』部門で見事に優勝したシャオハイ選手にインタビューを敢行。圧倒的な強さで一度もルーザーズに落ちることなく優勝したシャオハイの喜びの声と強さの秘密に迫る。

※『KOF15』優勝はシャオハイ選手。"勝利の鍵は京とクロ―ネン"！ 激動の2日間を写真とともに振り返(シャオハイインタビューあり)

シャオハイ選手

――優勝したいまのお気持ちをお聞かせいただけますか？

シャオハイ　優勝できてとてもうれしいです。表彰式のときに話した通りなんですけど、古いゲームだけではなく最新作でも勝てるということを証明できてよかったです。

――他の最新格闘ゲームでも活躍していましたし、僕はシャオハイさんが古いゲームしかできないと思ったことは一度もないです。

シャオハイ　最新のゲームで勝って自分は実力があるということを証明するために、『ストリートファイター』にも挑戦しました。ももち選手やときど選手といった本当に強いプレイヤーが集まる大会で優勝してこそ、僕の実力が認められると自分に課して挑んだのですが、いつもいいところで彼らに負けてしまい、強さを証明することができませんでした。

――目標がめちゃくちゃ高いですね。今回優勝して実力を証明できたということは、EVO Japanにはそういった強い選手が参戦していた中で勝てたということでしょうか？

シャオハイ　M´選手、ラギア選手、ET選手、Leshar選手の4人はとくに強いので、そういったプレイヤーが集まる大会で勝てたのはうれしいです。

　2022年8月にアメリカで開催された本家EVOでZJZ選手が優勝したんですけど、ふだん彼とは対戦していましたし、もし自分が出場していたら勝てると思っていました。事情があって海外大会に出られなかったので「シャオハイはオンラインでしかやれないのか、外には出ないのか」と言われたりしましたが、今回こういった国際大会でしっかり結果を残せてよかったです。

――シャオハイさんは、トッププレイヤー相手にランダムセレクトでも勝ってしまうほど強いから、そんなに喜ぶのは意外でした。

シャオハイ　リスナーのリクエストに応えてランダムセレクトでプレイしなきゃいけないときがあるのですが、本当はメインの3キャラをやり込んで高めていきたかったんですよね（笑）。でも今回日本に来て強豪プレイヤーたちと練習できました。

――よくある質問かと思いますが、これだけ圧倒的に強いシャオハイさんは1日どのくらい『KOF』をプレイするのでしょうか？

シャオハイ　練習時間という時間はほとんどありません。配信内で3～4時間プレイしているのがすべてです。ただ、バランスアップデートがあったタイミングだけは午後3時くらいから夜中1時、2時までプレイするときもありましたけど。

――3、4時間の配信内だけというのは驚きですね。

シャオハイ　さきほども話しましたが、リスナーのリクエストに応えてランダムセレクトだったり、メインではないキャラを使わなければならないときがあるため満足な練習はできなかったので、配信内の実戦で練習していました。

――実戦でしか練習できないのに、なぜそんなに強くなれるのでしょうか？

シャオハイ　自分でもなぜこんなに強いのかはわからないです（笑）。

――『KOF』シリーズを長くプレイしてきた経験が大きいのでしょうか？

シャオハイ　『KOF XV』でもっとも重要なポイントをつかむのが早かったのかもしれません。どうすれば勝ちやすいのか、どういう行動をしたら勝てるのかというのを把握できたから、そこに要点を絞って対戦することで勝てるようになったんだと思います。

　『KOF XV』は基礎になる部分が『KOF'98』に近いので、ぼくは基礎がすでに出来上がっていて、その状態からどういう行動にポイントを絞るかになるので今回はそこがかみ合ったんだと思います。

――これまでの話を聞くと、シャオハイさんはオフの対戦はほとんどやっていないのでしょうか？

シャオハイ　そうですね。ほとんどやっていません。そもそもオフ対戦は大会で遠征に行くときくらいしか機会がないので、『KOF XV』の本格的なオフ対戦は今回が初めてでした。

――久しぶりのオフ対戦はいかがでしたか？

シャオハイ　やっぱりオンラインとは少し違いますね。ジェニーの対空がオフのほうが出しやすかったですし、細かいところを上げるとたくさんあります。でも、ジェニーは強いキャラだし、もともとやり込んでいるからオフ対戦にも順応できました。

――シャオハイさんはオンラインでも反応が早く見えるのに、オフ対戦になったらもっとすごいですよね（笑）。

シャオハイ　もちろん。オフ対戦だともっと強くなりますよ(笑)。オフのほうがぜんぜん反応が早いと思います。

――決勝のZJZ戦3試合目の京対ナコルルで、京の投げに対してナコルルが上りジャンプCを当てた場面があったじゃないですか。あそこでナコルルが着地するまえにEX鬼焼きで反撃した反応速度は『KOF』勢の中でも話題になっていましたよね。

シャオハイ　京でスカし投げを狙ったのですが、あのシーンは“早出しジャンプ攻撃で避けられたらEX鬼焼きを出す”というところまで想定していました。予測していたのでナコルルが浮いたのを見てすぐにコマンド入力した形です。ですので、反応というよりは予測ですね。

――なるほど。素の反応が早いというのはあるものの、ものすごく反応が早く見えるのは相手の対応が予測できているからなんですね。そう考えると攻略レベルが一段違いますね（笑）。ちなみに、今回ふだんオンラインで対戦している人以外と対戦した印象はいかがでしたか？

シャオハイ　オフでみんなで対戦する機会がなかったから、昔のゲームセンターの感覚を思い出しました。

　それに日本のプレイヤーはみんなすごいですよ。大会は誰が勝つかわからないから惜しい選手がたくさんいたと思います。もちろんいま通訳してくれているBONさんもすごいプレイヤーですよ。日本最後の牙刀だね(笑)。

――これだけ強いシャオハイさんに勝つにはどうすればいいのでしょうか？

シャオハイ　僕といっしょに対戦すれば強くなれると思います。でも、僕も強くなるので勝つのは難しいかな（笑）。僕が教えることもできるんですけど、僕もドンドン強くなるから（笑）。

――シャオハイさんから見て、日本の『KOF』勢に足りないと思ったものはありますか？

シャオハイ　日本のプレイヤーはみんなすごくて、攻略レベルは僕とあまり変わらないと思います。たとえば、使用人口の少ないレアキャラを自分よりもぜんぜんうまく使いこなしている人もいますからね。実力的な部分ではそこまで大きな差はありません。ただ、大会などの本番では、駆け引きの部分で少し差があるのかもしれないです。

――駆け引きの差はやはり経験の差でしょうか？

シャオハイ　うまく言葉にできないけど、そこについては僕でも負けるときは負けるので一概には言えないと思います。

――試合の合間に水筒に入れた飲み物を飲んでいましたが、あれは何を飲んでいたのでしょうか？

シャオハイ　あれはへんなものじゃないです。ただの水ですよ（笑）。高校生のころに“テスト中に水を飲むことで冷静になれる”ということを当時の先生に教えてもらったんです。それで集中したいときはいまでもその教えを守っています。集中するときには水を飲むのがいいとね。

――大会のときはいつも水を持ち歩いているのでしょうか？

シャオハイ　いつも持ち歩くようにしています。問題がなくても試合の合間に水を飲むことによって自分を落ち着かせるようにしています。落ち着くことで直前の試合に落ち度がなかったのかを整理できます。しっかり落ち着いた時間を作ることが大事なんです。

――では最後に、僕はシャオハイさんが表彰式で話した「今日戦ったみんなはライバルであり友だ」という言葉に感動しました。

シャオハイ　ありがとう（笑）。ラギアやM´、ETを始めとしたみんなはよくいっしょに練習するし、ゲームだけの関係ではないですからね。

大会翌日にはラギア選手らとDLCキャラのキム・カッファンを試遊。お互いに教え合いながら楽しんでいた。

EVO Japan 2023ファミ通取材班：とよまん、イトラ、西川くん、あみだ
通訳：BON