2023年3月31日（金）～4月2日（日）の期間、東京ビッグサイトにて開催された、国内最大規模の格闘ゲーム大会“EVO Japan 2023”（以下、EVOJ2023）。

　SNKブースでは2日間に渡って、4タイトルの大会が開催された。本記事では1日目の後半におこなわれた、『サムライスピリッツ』部門のリポートをお届けしよう。

SAMURAI SPIRITS｜SNK Official Tournament in EVO Japan

不遇な状況だった『サムライスピリッツ』†

　『サムライスピリッツ』は2019年6月に発売されたタイトルで、『サムライスピリッツ』シリーズとしては11年ぶりの新作となったタイトル。これまでのシリーズ作品の特徴は残しつつも、現代らしい要素や美麗なグラフィックなどで、従来のファンのみならず新規ファンも喜ばせた。

　発売から間もなく、7月にはSNK公式大会も実施するなど、競技シーンでも盛り上がりを魅せる。同年には本家“EVO 2019”の公式種目にも採用された。が、その後『サムライスピリッツ』は残念ながらオフライン大会に恵まれなかった。発売した2019年の終わりごろより、新型コロナウイルスの問題が世界的に浮上。皆さんもご存じのように、世界的に外出自粛が叫ばれたり感染症対策が実施されるなど、オフライン大会も自粛ムードになったからだ。

　本家“EVO 2020”のタイトルに選ばれたりもしたが、残念ながら大会は中止に。かつて開催予定だったSNKタイトルの大型大会“SNK World Championship”も新型コロナウイルス感染拡大を受けて、こちらも中止となった。この数年、ダウンロードコンテンツの配信とともにファンはおもにオンライン対戦や、ファンコミュニティでの大会で盛り上がるしかなかった。

　そんな不運に見舞われた『サムライスピリッツ』が、今回満を持して、オフライン公式大会を開催。ファンにとっては「待ってました！」の大会なのだ。

予選†

　大会には総勢64名が参加。ルールは、トーナメント中に2敗すると敗退となってしまう、ダブルエリミネーションでのトーナメント戦。試合は2ゲーム先取した選手が勝利となる。キャラクターは試合ごとに変更が可能。試合中に1度敗北した側のみキャラクターを変えられるルール。

最初に実況解説を務めたのは、プレイヤーでもある寺選手と、yuu選手。寺選手が基本的に実況を務め、解説は試合進行とともに、選手たち交代して務めていた。

　会場ではメインステージ（配信台）のほか、横の対戦台でトーナメントが進行。満を持しての『サムライスピリッツ』の大会ということもあり、海外プレイヤーなども参戦。全体的には日本のプレイヤーが勝ち進んでいき、キャラクター分布は比較的バラバラだった印象。

　『サムライスピリッツ』は逆転性の高い“怒り爆発”システムや、そして1発で大ダメージも狙えるゲーム性のため、本当に最後まで試合の行方がわからないバトルの連続。まさにサムライらしい、手に汗握る攻防に観客たちも大きな歓声をあげていた。

　そしてトップ8に勝ち上がったのは、以下の8選手。

■ウィナーズ
・WATANABE PRESIDENT選手（梅喧）
・Michelangelo選手（首切り破沙羅）
・いわよう選手（色）
・おっくん選手（ミナ、緋雨閑丸）


■ルーザーズ
・453選手（牙神幻十郎）
・yuu選手（鞍馬夜叉丸）
・ドロワーズ選手（リムルル）
・まさとん選手（風間火月）

優勝候補のWATANABE PRESIDENT選手（渡辺社長選手）。Michelangelo選手相手に危ない場面もあったが、みごと勝利。

いわよう選手VSおっくん選手。おっくん選手は初戦にミナを使い敗北し、2戦目に緋雨閑丸を出すも、いわよう選手の勝利となった。

WATANABE PRESIDENT選手VSいわよう選手

ストレートでWATANABE PRESIDENT選手が敗北。

Michelangelo選手VSまさとん選手。配信台の裏で、まさとん選手が勝利した。

yuu選手VSまさとん選手

yuu選手が、最後はみごとに秘奥義“暴風 韋駄天”を決めて勝利。

WATANABE PRESIDENT選手VSyuu選手。優勝候補どうしの争いに。

フルセットの接戦となったが、WATANABE PRESIDENT選手が辛くも勝利した。

決勝†

　決勝に勝ち進んだのは、色の強みを生かしてチクチクと相手の体力を削りながら戦ってきたいわよう選手。そして、『ギルティギア』シリーズのコラボキャラクターである梅喧を駆使し、多くの優勝候補を倒してきたWATANABE PRESIDENT選手。しかしWATANABE PRESIDENT選手は、1度いわよう選手に敗北して、ルーザーズに落ちている。

　1度はいわよう選手がリーチを掛ける瞬間もあったが、それを跳ねのけてWATANABE PRESIDENT選手がリセットまで持ち込む。そして試合は続きラストはフルセットフルラウンドの最終戦。体力もお互い少ない中、残り9秒でWATANABE PRESIDENT選手が怒り爆発を発動（発動するとタイムカウントが止まる）。

　あと1手で倒されるという中、これまで置いてきた布石を回収するかのように、最後にしゃがみ大斬りを差し込むWATANABE PRESIDENT選手。みごとにヒットし、勝負あり！　勝利したのは、WATANABE PRESIDENT選手となった。

　優勝したWATANABE PRESIDENT選手には賞金10万円と、SNK特製のトロフィーが送られた。WATANABE PRESIDENT選手は『サムライスピリッツ零』より台頭してきた選手で、約20年来の古参プレイヤー。若手もベテランも入り交じる中での勝利に、とても喜んでいる様子だった。

　

　最後に、WATANABE PRESIDENT選手へのインタビューをお届けする。

優勝者インタビュー†

――優勝おめでとうございます！　いまのお気持ちをお聞かせください。

WATANABE PRESIDENT選手　ありがとうございます。僕はやはり『サムライスピリッツ』勢なんだなと（笑）。今回の大会って、オフラインじゃないですか。僕、オンラインの大会って全然勝てないんですよ。

――オフラインのほうが環境的に、自分では勝ちやすいと？

WATANABE PRESIDENT選手　プレイ環境、というよりは、“オフラインという場で優勝すること”を目標して、ずっとプレイしていたことが、結果につながったと思います。

――1度ルーザーズに落ちて、決勝でいわよう選手とのリベンジマッチとなり、優勝となりました。お気持ちはいかがでしたでしょうか。

WATANABE PRESIDENT選手　かなり冷静にプレイすることができました。負けたときも「なるほどね」とかなり納得して負けていたので、追い詰められたときも慌てずにプレイできたと思います。それまで作り上げてきた立ち回りが生きたのかなと。

――最後の最後でのしゃがみ大斬りは、感動しました。カッコよかったです。

WATANABE PRESIDENT選手　ありがとうございます。もしかしたら博打に見えるかもしれませんが、僕には色が一瞬立ってるのが見えたんです。それを見逃さずに差し込めました。『サムライスピリッツ』はとてもやり込んでいたので、やはりやり込みは裏切らないんだなと思いました。

――試合ではキャラクター変更も用意していたようですが、梅喧1本で勝ち上がりましたね。
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WATANABE PRESIDENT選手''　苦手なキャラクターが少ないので、全体的に勝ちやすいので使用していました。トーナメントで当たるかもしれないプレイヤーに向けて3キャラクター用意していましたが、梅喧だけで済みました。

――3年ぶりの公式オフライン大会となりました。参加されてみていかがでしたか？

WATANABE PRESIDENT選手　いやぁ、楽しかったですね！　やっぱり“大会”っていうのはこういうものだと思ってます。本作はコロナ禍のせいで、大会に恵まれなかったタイトルです。だからこそ、こういったオフライン公式大会はうれしいですし、やる気につながりました。

――最後に優勝者としてのコメントをお聞かせください。

WATANABE PRESIDENT選手　『サムライスピリッツ』、最高です！　優勝賞金は投資に回します（笑）。

■結果
1位　WATANABE PRESIDENT選手
2位　いわよう選手
3位　yuu選手

EVO Japan 2023ファミ通取材班：とよまん、イトラ、西川くん、あみだ