数々の『FF』の世界を創造してきた直良有祐氏と上国料勇氏がゲスト! ライブドローイングに沸いた『ディシディアFF』公式交流会 in 鹿児島

公開日時:2018-10-31 20:00:00

2018年10月20日、鹿児島県の“ラウンドワンスタジアム 鹿児島宇宿(うすき)店”にて『DFF』の公式交流会が開催されました。わたくし河合リヱが現地にお邪魔してきましたので、その模様をリポートしたいと思います。

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▲広くてキレイなラウンドワンスタジアム 鹿児島宇宿店からは桜島がバッチリ見えました。ステキな環境。

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▲会場の最寄駅までは鹿児島中央駅から市電で移動。ざぼんラーメンや黒豚も味わいました。鹿児島らしさを貪欲に堪能していくスタイル。

交流会は、クラスがブロンズ~ミスリルの方推奨の第一部と、ダイヤ~クリスタルの方推奨の第二部があり、それぞれ事前応募のうえ抽選にて選ばれたユーザーが参加。大会モードを使用して、公式プレイヤー1名とユーザー2名がチームを組み、3対3の対戦を行いました。

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▲公式プレイヤーとしては、間P、鯨岡D、ブンブン丸、“かすみん”こと芦澤佳純さんの4名が来場。

11時スタートの第一部は、和気あいあいと進行。くじを利用したチームシャッフル&勝ち抜き戦も行われ、鯨岡Dチームが連勝して全チームに勝ち越すという快挙を達成! チームメイトの方は、鯨岡Dとのマッチング回数を稼げてホクホクだったかも!?

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15時半から始まった第二部では、参加者を間P&かすみんチーム、鯨岡D&ブンブン丸チームに二分。試合の勝敗ではなく獲得ポイントで競う“ヴァリアントストライク”方式で戦い、アツい試合にどよめきや歓声が! ちなみに勝ったのは、間Pがいないほうのチームでした。

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公式プレイヤー陣は、対戦に実況に大活躍。言わば『DFF』仲間であるユーザーとの交流を存分に楽しんでいた様子でしたよ。

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▲ふだんのかわいらしい雰囲気から一変、クールにチームをリードするかすみん。とくに第二部では、メインキャラのスコールで敵のかく乱から拘束、カットまで縦横無尽に暴れ回り、腕前を存分に発揮していました!

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▲おもにガーランドやシャントットを使用していたブンブン丸は、チームメイトに積極的に声を掛けて意思疎通。ピンチの仲間に「テレポある? 大丈夫?」と、“荒くれ者”らしからぬ気遣いも。意外とやさしい。

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▲終始、対戦相手(とくに鯨岡D)からターゲットされがちな、リアルホーリーチェーンの使い手・間P。かすみんいわく、「予想外の動きをする」ことが功を奏し、ヤ・シュトラのホーリーやセシルのシャインブラストが火を吹いていた!

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▲いろいろなキャラを使っている鯨岡Dは、最近ちょっとご無沙汰だったというSHOOTタイプを多めに織り交ぜつつプレイ。味方との連携をきっちりキメていくのはさすが。ブレイブを持ちすぎた間Pをきっちり落とすあたりもさすが。

スペシャルゲストとして直良有祐氏と上国料勇氏が登場

公式プレイヤーとの対戦や、ユーザーどうしの交流に加え、今回の催しにはさらなるお楽しみが。なんと、数々の『FF』作品のアートディレクターを務めてきた直良有祐氏と上国料勇氏がゲストとして来場し、その場でイラストを描く“ライブドローイング”を行うというのです! マジかよ!

これは以前、都内で開催された上国料氏の個展での会話がきっかけ。上国料氏から地元・鹿児島の魅力を聞いた直良氏が「上国料君の案内で行ってみたいね」と言うのを聞いた間Pが、「じゃあ鹿児島で『DFF』の交流会、やっちゃいます!?」と企画を立て、そこにおふたりを招く形で実現したのだとか。この“勢いでやっちゃう”感じ、いいですね(笑)。

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▲参加者は直良氏と上国料氏が絵を描く様子を、すぐ近くから眺められました。直良氏は汚れてもいいようにツナギ姿!

ライブドローイングは、交流会の参加者たちが対戦を行っているすぐ横で並行して進められていました。イーゼルに立てかけられたイラストボードに下絵の線が入っていき、徐々にキャラクターの姿が浮かび上がってくると……直良氏はクラウドとノクティス、上国料氏はライトニングを描いていることが明らかに!

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▲ちなみに下絵段階では、直良氏はイヤホンで曲を聴きながら、上国料氏はキャラクターのCGを参照しながら作業を進めていました。たまに、お互いの進行状況を確認するそぶりも(笑)。

作業を見ていると、直良氏は下絵でキャラクターの主線を描いた後、肌や髪のベースになる薄い色から乗せていき、立体感をもたらす濃い色や影の処理、そして瞳など徐々に細かな部分へと筆を進めていました。ときに筆代わりに指を使い、絵具を伸ばしたり、色の境界を滑らかにしたりと細やかな作業をする一方、背景はハケを使って大胆に塗り、作品にメリハリをつけていきます。

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▲直良氏がおもに使用していた画材はアクリルガッシュ。上国料氏から筆ペンを借りる場面もありました。

上国料氏は、絵具を重ねて繊細な陰影を表現する様子が見て取れました。たとえば、初期の状態でキャラクターの顔に濃い影を作っておき、後から薄い色を重ねることで、パレットで混ぜた色とは異なる質感、陰影を出すといった具合。京都の大徳寺真珠庵にて襖絵を描いている経験から、ライブドローイングでも日本画で使う絵具を使っており、それが独自のタッチを生み出しているようでした。

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▲上国料氏が使っていたのは水干絵具。顔料を溶かして使う、かなり扱いの難しい画材だそう。

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▲じつは交流会の会場近くに、少年時代を過ごした実家があったという上国料氏。交流会には、なんと同級生の男性が参加していました! 曰く、上国料氏の絵の腕は当時から抜きん出ていて、小学生のときにトレース台まで持っていたことに驚いたとか。

第一部、第二部を通して行われたライブドローイングは、帰りの飛行機の都合で早めに会場を後にしなければならなかった上国料氏が先にフィニッシュ。第二部の最後には、直良氏もイラストを一旦仕上げて無事終了となりました。そして完成版がコチラ。直良氏のイラストは、後日加筆したバージョンです。

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▲直良氏のクラウド&ノクティス。背景には各タイトルの象徴的な建物のシルエットが。普段はデジタルで作業をしているので、アナログで描くのは苦労されたそうです。

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▲上国料氏のライトニング。普段、和紙に描くときと水干絵具の乗り方が違い、手元で何が起こるかわからなかったので、パニックを起こさないように平常心で描いたとのこと。

イラストについて、「できれば前日に下絵を用意しようと思っていたんですが、飲みすぎてしまってできなかった(笑)」という上国料氏と、「絵具を使い慣れている上国料君の絵と並べるのは危険だと思っていたので、飲ませました(笑)」という直良氏。おふたりが苦心しながらも楽しんで描いた作品は、2018年11月10日開催の『DFF』3周年イベントにて展示予定です!

直良氏と上国料氏が回答! 参加者からの質問コーナー

交流会では、ライブドローイングだけでなく、直良氏と上国料氏への質問コーナーも設けられていました。ここでは第一部、第二部それぞれの質問と回答の中から、いくつかピックアップしてご紹介します。

●スクウェア・エニックス時代 一番しんどかった仕事は? 絵を描くのに苦戦したキャラクターはいますか??
直良氏が回答したタイトルは『FFVII』。CGの導入などで急に規模が大きくなり、そのチームの要として「アートディレクターをやれといきなり言われて「正気か」と(笑)」。前例のないことが多く、手探りの毎日だったものの、若さ(とお酒)で乗り越えてきたとのこと(笑)。

また、苦戦したキャラクターには『FFXV』のルナフレーナを挙げられていました。「リアルなヘアスタイルを考案するために、まずヘアメイクアップアーティストにかつらで髪型を作ってもらったんです」という徹底ぶり。それをもとに試行錯誤し、決定した髪型を3Dキャプチャー。その後、髪の毛も1本1本CGで生やしていくという、かなりの手間をかけていたそう。

上国料氏は、スクウェア・エニックス入社以前、油絵画家として世捨て人のような生活をしていたため、『FFXII』チームに入ってから生活リズムやプレッシャーに耐えかねて逃げ出したくなったというエピソードを披露。また、松野泰己氏や皆葉英夫氏、皆川裕史氏、吉田明彦氏といった“神クラス”のスタッフが集結していた『FFXII』で途中からアートディレクターを務めた後、「『FFXIII』では新人育成をしながらひとりでアートディレクターをやり、“『FFXII』を超えないといけない”という重圧がすごくて」と、当時の重責を思い返していました。

そんな上国料氏が苦戦したキャラクターは、『FFXIII』のライトニング。宣伝や広告などで使うビジュアルを制作する際、「ライトニングはあまり表情を変えず、代わりに体が動くので、いかに彼女らしい躍動感のあるポージングを考えるか」に苦心したとのことでした。

●ゲームのアートディレクターとしてこれは楽しい! やりがいを感じる! と思うことは何ですか?
「ユーザーに新しい世界、新しい驚きを届けたい」という思いが、やり甲斐につながっているという直良氏。また、制作過程において「この世界の理は自分が作っているんだという、支配者になったような気持ちになる瞬間があるんです」と、特別な一瞬について告白。それは話しながら「思い出して鳥肌が立つ」ほどの体験なのだとか。

上国料氏が強く意識しているのは、「ゼロからイチを生み出す責任を負っている」ということ。『FF』には、“いままで見たことのない世界”を届ける使命があり、「制作していてそういう世界が見えてきたり、実際に社外の人にいい反応をもらえたときはうれしいですね」と語ってくれました。

ちなみに、ここで突如鯨岡Dから“やり甲斐”について聞かれた間Pは、「プロデューサーとして業界的な通例を超えたところでいろいろな方とお話をして、それがいままでにない仕事につながったりするところ」とガチ回答。「思ってたのと違う」と言う鯨岡Dに「(何を期待しているのか)先に言っといて?」と間Pが返すと、いつものノリに会場から大きな笑いが起こっていました。

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●実際の作業はどういう風に進行していたのでしょうか?
「いきなり描き出すことはなくて、考える時間が長いんです」と直良氏。インスピレーションを得るために、国内でも海外でもいろいろなところに行って、それをスタッフで共有しながら少しつづ形作っていくのだそう。「『FFVII』では神羅ビル……悪のビルとはどんなものなのかと、自分たちが働いているビルの外観を確認しに行ったり(笑)」というほっこりブラックエピソードも(笑)。

上国料氏によると、ディレクターからの指示がどれくらい具体的かにもよるものの、「『FF』はアート先行でイメージを作っていくスタイルでやってきたこともあって、いろいろなセクションの人がお互いコラボしながら作っています」とのこと。たとえばシナリオ側のアイデアにアート側が影響を受けたり、その逆があったりと、現場で日々やり取りし、触発されながら徐々に作り上げていくのだそうです。「そういう“ノリと勢い”みたいなところを大事にする部分はありますね」。

●お仕事はPCで行うことも多いかと思うのですが何のソフトを使用することが多いでしょうか?
上国料氏も直良氏も、メインツールはPhotoshop。「iPad Proで簡易的なツールを使うことはありますが下書き程度。パースも手描きで取っています」と上国料氏。直良氏は、「故郷の出雲と東京を行ったり来たりしているので、iPad Proでの作業が多いですね。iPad Proとアッポーペン(Apple Pencil)でまかなっています」。

●SQEXで一番印象に残っているご自身で手掛けた作品はどちらになりますか?
直良氏が挙げたのは、それまでドット絵だったビジュアルから、CGというリッチな表現を得た『FFVII』。「派生作がたくさん制作されたので、期間的にも長く関わっていましたしね。ファンの方が大切に思ってくれている気持ちも強く感じます」とのこと。

上国料氏は、キャラクターデザインを心待ちにしていて、実際に見たときの衝撃が大きかったという、ライトニングが主役を務める『FFXIII』。そのデザインを見たときに、「これでいいゲームが作れるという確信があった」と言います。『FFXIII』はひとりでアートディレクターを務め、『FFXIII-2』と『ライトニング リターンズ FFXIII』の三部作だったことも要因となったようです。

●絵をかくときの構図などは最初から完全に決めてから描きますか?
制作の際は、ビジュアルの縦横の比率など制約が設けられていることもあり、画期的な構図を作るのはなかなか難しいそう。その中でも上国料氏は、「ルールは無視して、一見すると変なことでも試していくこと。自分の中にルールを作らず、なんでもやってやる、という気持ちを20代から大事にしてきて、いま50前です(笑)」とチャレンジ精神の大切さを教えてくれました。

「今日のライブドローイングは行き当たりばったりですが(笑)、普段は先に構図を決めます」という直良氏は、すぐにいい構図を思いつくこともあるし、納得するまで何度も再考することもあるといいます。『クライシス コア -FFVII-』のメインビジュアル(下の画像)は、「打ち合わせをして5秒でひらめいた」のだとか! ビジュアルはCGで作る都合で後から変更するのが難しいため、構図などを先に確定させたいという事情もあるそうです。

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最後に、「短いあいだでしたが、皆さんといろいろな話もできていい経験になりました。鹿児島に凱旋できたようでうれしいです」(上国料氏)、「皆さんの前で、しかもアナログで絵を描くという、貴重な経験ができました。とても楽しかったです」(直良氏)と締めのご挨拶。盛りだくさんだった『DFF』公式交流会 in 鹿児島は各回、終了後にも多くの参加者が残り、直良氏や上国料氏、公式プレイヤーと話したり、いっしょに写真を撮ったりしていました。

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イベントが開催されるのは関東圏が主なので、鹿児島での実施は『DFF』史上、大きなトピックとなったはず。個人的にもちょいちょいマッチングするプレイヤーさん(女性シューターで上手い!)や、誌面・サイトを見てくれている方とお会いできたり、おいしいグルメを堪能したりと大満足でした(笑)。間P、各地での交流会、ぜひ今後も勢いでやっちゃってください!

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▲ちなみに公式プレイヤー陣は、イベント前日もイベント終了後もゲーセンに行っておりました。『DFF』大好きっ子ばかりですな(笑)。


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