さらなる新曲も収録中! サントラ発売記念・コンポーザー石元丈晴氏、関戸剛氏、河盛慶次氏インタビュー

公開日時:2016-04-27 15:00:00

アーケード版『ディシディア ファイナルファンタジー』(以下、『DFF』)のサウンドが詰まった『DISSIDIA FINAL FANTASY -Arcade- ORIGINAL SOUNDTRACK』が、2016年4月27日に発売(iTunes Store、moraでは2016年4月20日より先行配信中)。これを記念して、楽曲の制作やアレンジに携わった、石元丈晴氏、関戸剛氏、河盛慶次氏にお話をうかがった。

なお、今回はこのサウンドトラックを抽選で3名様に贈呈。プレゼントが欲しい方は、こちらのフォームからご応募ください。なお、締切は2016年5月11日23時59分まで。当選者の発表は、賞品の発送(2016年5月中旬予定)をもって代えさせていただきます。

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▲石元丈晴氏(左・文中は石元)、河盛慶次氏(右・文中は河盛)。

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▲関戸剛氏(文中は関戸)。

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▲価格は2800円+税。iTunes Storeやmoraでの配信価格は、アルバム価格が2400円[税込]、単曲価格が150円[税込]。詳細は公式サイトで。

『DISSIDIA FINAL FANTASY -Arcade- ORIGINAL SOUNDTRACK』公式サイト

3作目だからこそ“新しいことをやりたい”

――『DFF』の楽曲は、プレイステーション・ポータブル(以下、PSP)版からお三方が関わっていましたよね。今回も同じメンバーでやろうというのは、どなたが?

石元 僕が声をかけました。社内のメンバーでやろうというのは、間さん(プロデューサーの間一朗氏)も言っていて、前回参加していた鈴木君(鈴木光人氏)は『メビウス FF』がガッツリあるので、今回は3人で。

――『DFF』がアーケード向けの作品になったことで、楽曲のコンセプトやアレンジの方向性などは変わりましたか? 皆さんで最初に話し合ったりしたのでしょうか。

石元 いや、そんなに……。

河盛 話してないよね(笑)。

石元 ただ、“新しいことをやりたい”っていうのはありましたね。ディレクターも鯨岡さん(鯨岡武生氏)になって、彼もPSP版の引き継ぎではなく、自分のスタイルで新しいものを見せたい、新しいことをやりたいっていう姿勢でしたし。

――新しい方向性となると、余計にまずコンセプトを決めていないと、たいへんなことになりそうですが……。

石元 それがね、付き合いも長いので、どんなものになるかはだいたいわかってるというか(笑)。

河盛 一応、僕と関戸さんはアレンジを石元君に確認してもらって、そこでリテイクが入ったら直してという流れではやっていました。なので、全体の方向性は彼が決めてくれていましたね。

――なるほど。関戸さんは、アレンジしていくうえで心掛けていたことなどはありましたか?

関戸 アーケードはロケーション的にほかの筐体から鳴っている音などがあるので、それらに負けないような音質、アレンジできっちりフォローしていこうっていう意識はありましたね。

――アーケードという場所を考えつつ、音作りをしていったと。

関戸 ええ。家庭用ゲームで使うような、柔らかい音質だと聞こえないんですよ。パキパキと、ハッキリした音のほうが通りがいいです。

河盛 アーケードだと、近くにどんなゲームが置かれるかわからないですからね。リズムゲームとか大きな音が出る筐体が近くにあったら、消されちゃうでしょうし。関戸さん以外は、アーケードのタイトルを担当するのが初めてで、そこも新しく挑戦した部分ではありました。

石元 ただ、筐体にヘッドホン端子を付けてくれていたのはよかった。

河盛 やっぱり『FF』は音楽も非常に大事ですから。音楽をしっかり聴きたいユーザーには、そういった方法を用意しようというのは最初から話していたことでしたね。

――どの曲を誰がアレンジするかという振り分けは、どのように決めたのですか?

石元 僕が振り分けました。だいたい、「ちょっとこれ難しいな」と困ったときは、関戸さんに任せるという(笑)。でも関戸さんは、いちばん仕事が早いんですよ。具体的なオーダーはしていなくて、自由に“関戸節”でやってもらいました。それがいちばんいいかなって。おもにギターがメインだったり、シンフォニックな曲をお任せしました。

――河盛さんには、どのような曲をお願いしたのでしょうか?

石元 リストを見て、直感で「合いそうだな」と思った曲を(笑)。みんなの曲を並べたら、すごく暑苦しくていいんじゃないかなと思いますね。アーケード版はほぼほぼバトルで、休む曲がないし。

河盛 イベントシーン用の曲とか、穏やかな曲がほとんどないんだよね。

石元 ゲームの曲はメロディーが立っているので、余計暑苦しくなるというか(笑)。でもそれが、ゲームの曲のよさでもあると思うんですよ。

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アレンジの裏側

――サントラには多数の楽曲が収録されていますが、苦労した曲や、難産だったという曲はありますか?

石元 関戸さんはないんじゃない?

関戸 苦労というと、ないかな(笑)。ドラムを菅沼孝三さんというプロの方にお願いしていたんですけど、菅沼さんが苦労しているのを見てニヤニヤしていました。

石元 『FFXII』の楽曲(『剣の一閃 - arrange -』)ですね。

関戸 リズムが取りづらくなる箇所があって、うっかり入るところを見失いがちなるんですよ。そのあたりを戸惑っていたのでニヤニヤして。でもすぐにバッチリと対応していたので、さすがプロフェッショナルだなと思いましたね。

石元 崎元さん(崎元仁氏)の曲はたいへんですからね~。

――崎元さんの曲をアレンジするのは、ハードルが高い?

関戸 それはもう、崎元さんですからねぇ……。

石元 天才が天才の曲をアレンジしたんだもんね?

関戸 いまのは太字で書いといてください(笑)。崎元さんの曲はいろいろとトリッキーで、「らしい曲だな」と思いながらアレンジしましたね。

――同じく崎元さんの作曲された『FFタクティクス』のアレンジも今回収録されていますよね。こちらは、石元さんがアレンジされています。

石元 はい、弦楽四重奏とピアノで。これはロンドンのアビー・ロード・スタジオで収録してきました。レコーディングできる曲の長さに制約があって、その中で急いで曲を録ろうとしたのが苦労したところかな(笑)。

――そんな制約が!

石元 何分でいくら、と料金が決まっているんです。今回11曲を録ってきて、5曲はすでにゲームに入っているけど、6曲はまだゲームに乗っていなくて。

――では、まだロンドンで録って未公開の楽曲がまだ6曲もあるんですね。

石元 はい。あります。

――どこで使われるのか楽しみです。河盛さんは、苦労した曲はありましたか?

河盛 今回は全般的に楽しかったんですよ。でも『妖星乱舞 - arrange -』は、終わったいまでも何拍子かよくわかっていない部分があるかも(笑)。どうにか終わりましたけど、最初はどうやろうか、悩んだ部分はありました。最初にギターのリフで入れば、最後までそれっぽくなるかなと、原曲でテンポが落ちるところも気にせずに突き通してバトルっぽくしてみて。やり始めたら、すぐにおもしろくなりましたね。

――『妖星乱舞』の原曲は第一楽章~第四楽章に分かれていて、静かに始まってから盛り上がっていきますが、今回のアレンジは最初からバトル曲っぽく盛り上がるようになっていますね。

河盛 第四楽章からというのは最初から決まっていたんですよね。

石元 盛り上がるところから始めてほしい、というのはお願いしていました。

河盛 第三楽章からやって、と指示されていたら「どうしたらええんや!」となっていたかもしれません(笑)。

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――石元さんは、アレンジについてのご苦労などは?

石元 アレンジの際は、オリジナルの曲を聴いてイメージが浮かべばすぐに進むんですけど、たまに聴いても聴いてもなんにも浮かばない曲があるんですよ。そんなときは関戸さん(笑)。関戸さんも悩んだと思うんですけど、出てくるのがとにかく早いから。

――関戸さんはそんなに早いんですね。その秘訣は何でしょう?

関戸 企業秘密です(笑)。

石元 ファミコンのころの音源は曲も短いし、メロディーとバックがあるくらいじゃないですか。それを3分に膨らまして、となるとすごく考えますね。かと言って、崎元さんみたいに完璧すぎる音楽だと、それはそれで困るんですけど(苦笑)。僕がいちばんやりやすいのは、スーパーファミコンからプレイステーション2くらいまでかな。

――確かに、石元さんは『FFIV』、『VII』、『VIII』、『X』と、その世代の楽曲アレンジを中心に担当されていますね。ファミコンだった『II』や『III』は関戸さんにお願いしているわけですね。

石元 『FFII』の『反乱軍のテーマ』や『FFIII』の『悠久の風』は、関戸さんで本当によかったと思います。

河盛 あれいいですよね。ドラムも。

関戸 マジですか! 亀の甲より年の功ですか(照)。

――『悠久の風』は、PSP版のときもアレンジされていますよね。以前にアレンジされたものをさらにアレンジするのは難しそうですが。

関戸 前のはあんまり覚えてないなぁ(笑)。今回の『悠久の風』は、『FFIII』がリメイクされたときか何かの……。

河盛 PSP版ですね。その時に、“みんなで奏でようFFIII+ 演奏してみたコンテスト!”というキャンペーンをやったんです。最後は植松さん(植松伸夫氏)に審査してもらうということで、すごくたくさん応募がきて。そのときに関戸さんが、『悠久の風』をアレンジしたらこんな感じになります、みたいなサンプル演奏をギターでカッコよくやっていたんですよ。それがもとになっているんですよね、関戸さん。

【FF3】演奏してみたコンテスト サンプル演奏Vol.1

関戸 そうそう(笑)。原型はそのときのもので、それを手直ししたんですね。ギターは半分以上録り直しました。というのも、ギターを新しくしたからです。

――あ、そういう理由で(笑)。

関戸 最新こそ最良なり、みたいなね? これ、ポルシェの社長が言ってたやつです。

石元 『反乱軍のテーマ』と『悠久の風』は、寝ても覚めてもあのメロディーが鳴る時期があって、いまでもパッと浮かぶときがありますよ。歩いているときも、自分で歌っちゃったり(笑)。ファンの方も、こんな感じなのかなと思ったりしますね。

――ああ、わかります。それと河盛さんが担当されている『勝利のファンファーレ』と『敗北ファンファーレ』も、プレイのたびにどちらかを必ず聴くので印象深いです。『「勝利のファンファーレ - arrange -」 from FINAL FANTASY VI』は、『FFVI』のファンファーレのアレンジなんですね。

河盛 そうですね。『敗北ファンファーレ』は、『FF』、『FFII』あたりのゲームオーバー時の3音を使ってるんですけど、ほぼほぼ新規で作りました。

――そんなネタが! ほかに、『FFV』、『VI』、『IX』、『X』などを担当されていますが、ご自分の中でアレンジの際に工夫したことなどはありますか?

河盛 これまで『FFV』の『バトル2』などはギターでやっていたんですけど、ギターの曲が増えてきたので、打ち込みにして変化をつけました。『ノーマルバトル』や『シーモアバトル』は、当時、僕と石元君は『FFX』の開発に参加していたので、懐かしい気持ちになりましたね。

石元 当時はマニピュレーター(おもに音声データの打ち込みなどを担当)として参加していたんだよね。あの曲は変えるのがすごく難しい。ほかの曲もそうですけど、アレンジにあたってぜんぜん違う曲のようにするのは無理があるし、一方でそこまで変えていないものもあるんだけど、その線引きは難しいところがあります。

――大胆にアレンジする曲と、オリジナルに比較的忠実に仕上げる曲と。

河盛 変えすぎて「これなんだっけ?」と思われてもいけないですからね。

石元 社内のコンポーザーでやろう、というのはそこも関係していて。外の人にお願いすると、ゲームを知らない場合、変えすぎちゃう場合があるんですよね。やっぱり大先輩がやってきた音楽だから、そこは大切にしたいなと思って。

――なるほど。『FFXIII』、『XIV』の楽曲は関戸さんがご担当ですね。『動乱のエデン』などはとくに難しい曲ですが、それゆえに関戸さんにお願いしたのでしょうか。

関戸 いやいや、僕もそんなに器用じゃないですよ?(笑)。『FFXIII』の曲は、『動乱のエデン』も『閃光』も、もとからキー違い含めたたくさんのバージョンがあったんです。それにビックリしつつ、石元君が振ってきた意図を汲みつつといった感じでしたね。『FFXIV』は祖堅君(祖堅正慶氏)の曲で、すごく彼らしい曲でニヤニヤしてました(笑)。とくにバトル曲では、サビのコード進行にあるパターンが見られるんですよ。ただそのコード進行が目立たないようにする仕掛けが随所に散りばめられていて、どうやってバリエーションを持たせるか、工夫しているなって。

――そんな風に分析しているんですね。そうやって分解して見ていることが、アレンジの早さにつながっているのでは?

関戸 分析するのは嫌いじゃないですねぇ。手品を裏から見ているような楽しさがあるというか。早いのは、多分ワンパターンなだけだと思いますよ(笑)。自分のやりかたにはめ込んじゃうというか。器用にいろいろなことはできないんです。マスタリングの際に、初めて全アレンジ曲を大きなスピーカーで聴くんですけど、僕にはここまでバリエーションを出せないなって衝動を受けます。

――お三方がいてこそのバリエーションの多彩さなんでしょうね。メドレーの『「Battle Medley」 from DISSIDIA FINAL FANTASY -Arcade-』は、皆さんのアレンジ曲をつなげた編成になっていて非常におもしろいです。でもこの曲、ゲーム中で流れましたっけ?

石元 これはチュートリアルで流れているんです。そこでしか聴く機会がないので、あまり気づかれないかも(笑)。これは昨年の東京ゲームショウで配布したサンプラーCDに入れたもの(『スクウェア・エニックス ミュージック サンプラーCD Vol.10』収録の『DISSIDIA FINAL FANTASY MEGA MIX TGS2015』)がベースです。鯨岡さんに、「これチュートリアルで流すのにいいんじゃない」って言って。

――石元さん発案での採用だったと。

石元 チュートリアルってけっこう長いですし、同じ曲がループしているのも退屈かなって。だからメドレーで曲調が変わっていくといいかなと思ったんです。ただ、サンプラーCDでは全曲つないでいたわけではなかったんですよね。今回使うにあたって、鯨岡さんに「入れるなら全部入れて下さい」って言われて、だから10分弱と、あんなに長くなったんですよ(笑)。

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アビー・ロード・スタジオでの収録

――アーケード版のメインテーマとして石元さんが作曲した『「Explosion」 from DISSIDIA FINAL FANTASY -Arcade-』は、どのように制作された曲なのでしょうか。

石元 アーケード版の制作が始まるときに、鯨岡さんが「一新したい」と言っていたんですよね。今回はシリーズとしては3作目で、1、2作目はオーケストラでやっていた。インパクトを与えるんだったら、過去作の曲とは違う方向で、ガツンとボーカルを乗せたほうがいいという話をさせてもらいました。

――PSP版のときの方向性などは、まったく考慮しなかった?

石元 もうぜんぜん。むしろ3回目も同じような流れにすると、僕も「またか」ってなってしまうので。自分たちの得意なものにして、やりたいことをやるのがベストだと思いました。じゃあ、つぎはどうするんだって話ですけど(笑)。

――ボーカルは伊藤クリスさんが、『FF零式 HD』の『UTAKATA ~泡沫~』から続投しています。女性ボーカルというところにはこだわりが?

石元 こういう曲を歌える人として、彼女がベストかなと。とくに女性じゃないとダメ、とは思っていなくて、男性でもいいですよ(笑)。

――男性ボーカルもあり得るんですね。石元さんの曲はコーラスはさておき、ボーカルはほぼ女性というイメージなのでちょっと意外です。

石元 男性でイメージ通りにかっこよくできる、ピンと来る人がなかなかいないだけというか。クリスは自分が知っている限りベストなボーカルだと思っていますし、意外とゲーム好きで、モデル業もしていて自分の見せかたを知っているところも強みです。Twitterとかメールだとハートマークが多すぎて、1回ツッコみましたけど(笑)。

――かわいらしい部分もあると(笑)、そもそも、収録をロンドンのアビー・ロード・スタジオで実施したのには理由があったのでしょうか。

石元 『FF』というタイトル自体が世界に愛されているものなので、収録も世界で知られているところでやろうと思っていました。ロンドン交響楽団、アビー・ロード・スタジオ、そして『FF』。世界中の人が、どれかひとつは知っている3つのブランドをいっしょにしようと。

――実際に録ってみて、いかがでしたか?

石元 ビートルズなどが収録を行った、少し小さめの“スタジオ2”ではなく、体育館みたいに広い“スタジオ1”で録ったんですけど、最初の数時間は空気に飲まれたというか、みんなといっしょに浮かれてしまって、「仕事に来たんだから」と自分を抑えるのがたいへんでした(苦笑)。演奏はすごくよかったし、優れた人たちと仕事ができたという実感がありましたね。これでダメなものができるはずがない。もしダメなものができたら、それは作曲家の罪。もちろん、そうした環境で録った曲の中でも、ある程度のクオリティーは超えないといけないわけですが、自分としては達成できたかな。

――『Explosion』からの派生で、サントラ限定曲として『「Massive Explosion -Novoiski Remix-」 from DISSIDIA FINALFANTASY -Arcade-』も収録されていますよね。これはどういった経緯で収録することになったんですか?

石元 今回は配信もあるし、CD自体が前ほど売れなくなっている時代なので、CDを買ってくれる人のために1曲でも多いほうがいいだろうと。そこで、『SQ』シリーズ(スクウェア・エニックスのゲームのアレンジ楽曲を収録しているアルバム)でカッコいいアレンジをしてくれているNovoiskiさんに頼みました。

――『Explosion』のほかに、モードセレクト時の曲なども新規に作曲されています。それらについて開発側からオーダーなどはあったのでしょうか?

石元 バトルが始まる前の曲になるので、そのイメージで静かな曲がいいという話でした。静かというか、暗くなっちゃったんですけど(笑)。今回のサントラにはそういう曲が入っているからいいんですけど、これからキャラの追加などがあって曲も増えていき、つぎのサントラが出るとしたら……おそらく全部バトル曲で、休む間がないな(笑)。

――余計に暑苦しいアルバムになりそうですね(笑)。

石元 四畳半でストーブ10台くらい炊いてるみたいな(笑)。

河盛 火事になりそう(笑)。

――先ほども収録済みで未公開の曲があるというお話がありましたが、今後もキャラクターが追加されるたびに、その作品にまつわるアレンジ曲も用意されていくということですよね?

石元 そうですね。新曲もこの前、2曲録ったし。

――気になりますね。早く聴きたいところです。ちなみに今後、『DFF』の楽曲でコンサートなど、そういった活動はされないのでしょうか。

石元 コンサートやライブ含め、うちの音楽関連の事業を担当している部署も、大人数がいるわけでもないのでいまは難しいかな。ただ、いつになるかわからないけど、大きな盛り上がりがありそうなときに、チャンスがあればやってみたいです。いまはもう、アーケードのタイトルで、2枚組というボリュームのサントラを出せたってことがうれしいですね。

推し曲の話のはずが、推しコンポーザーの話に!?

――それでは、皆さんそれぞれが思う、アルバムの聴きどころを教えていただければと思います。

関戸 サントラの公式ページのコメントでも書いているんですけど、もう攻め攻めのアグレッシブなアレンジになっているとことですかね。暑苦しいアルバムだけに熱中症には気をつけて、冷たい飲み物でも用意してじっくり聴いていただけたら……ゆでダコ状態にならないように(笑)。

河盛 バトル曲なのでテンションが高いっていうのもあるんですけど、このサントラの収録曲自体がアーケードというシチュエーションを意識して作っている部分があって、コンシューマータイトルのサントラとはまた違った味があるので、CDでじっくり聴いてほしいです。また、CDを聴いたら、ぜひアーケ―ドで『DFF』をプレイしてください。アーケードで曲がどのように聴こえるか、そちらもぜひ確かめてほしいですね。

石元 聴きどころはやっぱり、ロンドンで録った5曲(『「DISSIDIA - opening -」 from DISSIDIA FINAL FANTASY -Arcade-』、『「Customization」 from DISSIDIA FINAL FANTASY -Arcade-』、『「Trisection - arrange -」 from FINAL FANTASY TACTICS』、『「Antipyretic - arrange -」 from FINAL FANTASY TACTICS』、『「Explosion」 from DISSIDIA FINAL FANTASY -Arcade-』)かな。とくに推すなら『Explosion』。今回はボーカル入りでバンドサウンドにしてるっていうのも聴いてほしいところです。まぁ、いやというほどアレンジとかバージョン違いでメロディーがいろいろなところで使われているので(笑)、それが印象に残ってくれればいいなと。

――おふたりは、とくに推す1曲をあげるとしたら?

河盛 僕は自分のアレンジじゃないですけど、『FFタクティクス』の『「Trisection - arrange -」 from FINAL FANTASY TACTICS』ですかね。なかなかアレンジされる機会もないですし。

関戸 じゃあ僕も崎元さん推しで。最近連絡も取れていなくて、「崎元さん元気してるかな?」って、アレンジしながら思っていたし(笑)。

石元 それわかる。僕も今回のアレンジがきっかけで崎元さんに連絡したんですよ(笑)。で、関戸さんは曲としてはどれ推しなんですか?

関戸 そうですね。皆さん甲乙つけがたいくらい悩ませてくれたり、楽しませてくれたりしましたけど。トリッキーな仕掛けもあったりして、印象深いのは『「剣の一閃 - arrange -」 from FINAL FANTASY XII』ですかね。

――崎元さん、大人気ですね(笑)。

石元 本人がいないのに、崎元さんの話で盛りあがりますからね。崎元さんは本人も曲もすごく個性的で、天才なんです。そのくせ人間味もすごくあって。昔はたくさんケンカもしましたが、大好きです。そこでしか食べられない料理がある、小料理屋っぽい人というか(笑)。『FFXII』や『FFタクティクス』の曲を聴いたら急に会いたくなって、思わず電話しちゃいました。そうしたら、そのときは出なかったんですけど折り返しでかかってきて、「いまからそっち行くから」って。こっちの予定も聞かず(笑)。

河盛 昔、うちの社員だったとき、自分のブースにダスキン呼んでましたからね。個人で契約してたんですよ。ブースにダスキンの人が来て、何かのフィルターを交換していくんだけど、崎元さんがいないと隣りのブースにいる僕がお金を払うっていう(笑)。

――崎元さん伝説が止まらない!(笑)

石元 でも今回、アレンジしてみて、崎元さんだけでなく植松さんのすごさも改めて感じました。ポップミュージックといえばビートルズ、というように、ゲーム界の楽曲といえば植松さん、そういうものなんです。『FF』の土俵では到底勝負できないし、たとえ僕がナンバリング『FF』の曲を担当することになっても、きっと植松さんは超えられない、そもそも張り合ってはいけないのだと思います。『FF』は来年が30周年。最初から植松さんが『FF』を担当したという巡り合わせは奇跡的で、これ以上の組み合わせは今後のゲームでは到底ないんじゃないかな。そして世界中でコンサートをやっていて、どこも大きな反響があるというのは、本当にすごいことです。

――同じ作曲家だからこそ感じる偉大さというものがあると。その植松さんの曲を多数アレンジした『DFF』のサントラが発売されて、ユーザーのもとへ届くのが楽しみですね。

石元 ぜひ、いろいろな感想をいただければと思います。何を言われても、僕は気分を悪くしないほうなので遠慮なく。お金を出して買ってもらってるんだから、買った人はきびしくていいと思う。その意見でスタイルを変えることはないし、僕は僕のスタイルでやっていきますけどね(笑)。今回は、3人とも自分たちが納得いく形でしっかり作れていますし、自信を持って勧められます。思わず口ずさんでしまうようなものになっていればうれしいです。

石元氏Twitter関戸氏Twitter河盛氏Twitter

石元丈晴オフィシャルサイト

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▲関戸さんはこんな感じで参加していました(笑)。

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