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荒野のはらわた~ガンマンvsゾンビ軍団!! 『レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメア』の腐臭と硝煙にまみれた世界

Text by マスク・ド・UH

公開日時:2018-09-06 17:10:00

 前回は、ロックスター・ゲームスが送り出したビデオゲーム史に残る革命的タイトル『レッド・デッド・リデンプション』(以下、『RDR』)に関して筆者の想いの丈を書き綴ったが、今回は来るべき『レッド・デッド・リデンプション2』に備えての予習復習として、『レッド・デッド・リデンプション:アンデッド・ナイトメア』(2011年発売)について、改めて解説しよう。『RDR』の番外編ともいうべきこのタイトルは、実のところ、ロックスター・ゲームス初の本格的ゾンビゲームである。意外と思われる読者諸兄がいるかも知れないが、ロックスター・ゲームスにはホラー系タイトルが少ない。その数少ない中の1本にはステルスアクションながら「史上最高のホラーゲーム」という称号を与えられた『MANHUNT』(2004年発売 ※日本未発売)もあるので、ホラーゲームというジャンルに対して一家言あるのは間違いない。

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 しかし、『MANHUNT』には、残念ながらゾンビは登場しない。あくまで人間vs人間の恐怖を描いている。ロックスター・ゲームスは恐怖をテーマにしたゲームは作っても、ゾンビゲームは作らなかったのだ。いや、正確には『アンデッド・ナイトメア』以前にも、ゾンビが登場したことは、あるにはあった。それは『グランド・セフト・オートIV』のオンラインモード専用スキンとして登場したゾンビである。あくまで特殊衣装扱いなので、ゾンビゲームになったというわけではないが、試験的に導入されたのだ。多くのロックスター・ゲームスのファンが、オープンワールドでプレイできるゾンビゲームを待ち望んでおり、『GTA』の世界でゾンビと戦いたいというリクエストもあったそうで、作り手側としてもそのチャンスを伺っていたのだろう。そして、それは西部劇+ゾンビという、超意外な形で実現したのである。しかも、まさかの『RDR』で!

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 この展開には、誰もが驚いたことだろう。ゾンビゲームの舞台といえば、およそ近未来から第二次世界大戦まで、やり尽くされた感があったが、西部劇にゾンビが登場するゲームは、これまでに存在しなかった。ついでに言及するなら、映画作品でもほとんど見かけない。一応、南北戦争をテーマにしたゾンビ映画は存在したが、それも現代に蘇る話であり、100年前のゾンビ戦争という話ではない。つまり、『アンドッド・ナイトメア』でロックスター・ゲームスは、またしても前人未踏の境地に辿り着いたことになるのだ!

謎の疫病パンデミックと戦うジョン・マーストン

 『アンデッド・ナイトメア』の世界は、基本的に本編と変わらないアメリカの西部が舞台だが、その内容は大きく異なっている。時間軸としてはゲーム後半、主人公のジョン・マーストンが再会した家族と共に暮らす農場から、この恐怖の物語は始まる。ある朝目覚めると、外の様子が一変していることに気付くマーストン。どうやら謎の疫病が一夜のうちに蔓延し、感染した人々が生ける屍となって手当たり次第に人々を襲っていたのだ! 最愛の家族までもが感染の危機に晒されたマーストンは、治療法を探すべく武器を手に、ひとり荒野に飛び出して行く……。

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 疫病の威力は絶大で、人間のみならず熊やオオカミまでもがゾンビと化してマーストンに襲いかかる。しかし、マーストンも負けてはいない。ゾンビとして復活した愛馬にまたがり、パンデミックの原因と思われる墓地の浄化に向かう勇姿は、これまでのビデオゲームのヒーローとは一線を画すカッチョ良さ! さらに、武器や弾薬も一新されており、本編とはまったく違う戦いが展開するのも、『アンデッド・ナイトメア』の魅力のひとつだ。

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 そもそも、この世界のゾンビは非常にパワフルで、しかも複数種が存在する。いちばん多いのが、感染したばかりの“フレッシュ”。動きは俊敏ではないが、とにかく数が多いので、囲まれたら即死上等。”ポルター”は、いわゆるダッシュ系ゾンビでとにかく足が速いのだが、耐久力が少ないので、慣れれば優先的に倒せる。対峙してもっとも苦戦するのは、巨漢ゾンビの”ブルーザー”と、遠距離から体液を吐きつけてくる”レッチャー”で、フレッシュゾンビ軍団の中にこいつらが混じっていると相当苦戦させられた。このあたりの設定もゲームデザインに緩急を生んでおり、そこにアニマルゾンビまで加わるのだから、おもしろくないはずがない。

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 対するマーストンの武器は、ゾンビが一気に炎上する”聖水”と、ゾンビの餌に爆弾を仕掛けた”起爆餌”、そしてゾンビの骨を集めて作られた”ラッパ銃”だ。ラッパ銃とは冗談みたいな名前だが、実はこいつがいちばん強力で、ラッパ銃なしでのクリアーは考えられないくらいに重宝する。

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 さらに新たなコスチュームも追加されており、これがまたゾンビ映画ファンなら思わずニヤケてしまうようなデザインとなっており、男泣きだった本編のストーリーとは異なる雰囲気でマーストンを操作できるのも魅力的だった。

行方不明者の捜索と呪いの浄化、そして伝説のモンスター

 マーストンの目的は治療法の発見だが、道中では行方不明者の探索も重要な目的となる。仲間との交流が絶望的な状況下において、孤軍奮闘するマーストンは、呪いの疫病の源となる墓地を浄化しつつ、行方不明者も探さなければならないのだから、ある意味では本編よりもずっと忙しい。そして、すべてのミッションを終えたとき、大どんでん返しが待っているのだ。『アンデッド・ナイトメア』は、単なる同一マップを使ったゾンビゲームバージョンではなく、『RDR』の世界観にゾンビを融合させた、野心的なタイトルに仕上がっている。

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 ゾンビ馬のコンプリートコレクションなどのやり込み要素も充実しており、伝説クラスの馬(もう読者諸兄なら知っているとは思うが、ネタバレになるので詳細は秘す)を手に入れるまで、そして手に入れた後もゲームは続けられる。まさに、これは『RDR』と似て非なる並行世界。クリアー後は本編に戻るのも良し、戻らずにゾンビガンマンとして死にながら生きるのも良し。『RDR』と『アンデッド・ナイトメア』の2本をプレイして、初めてこの世界の物語は完結すると言えるだろう。

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 そして、筆者は期待する。『RDR2』の世界でも、また疫病パンデミックが発生することを。発生しないかも知れないが、もはや『アンデッド・ナイトメア』の存在を抜きに『RDR』の世界は語れない。その日が来るまで、鍛えておこう。ゾンビと戦う覚悟のすべてを!

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