『パワフルプロ野球』シリーズや『eFootball』シリーズなどの定番スポーツゲームを始め、2020年に発売したNintendo Switch用ソフト『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』が累計販売本数350万本を突破(※)、さらに『SILENT HILL』シリーズの大々的なリブートを発表するなど、過去IP(知的財産)の活用も打ち出しているKONAMI。

※数字はメーカー発表。

 国際的スポーツイベントにも積極的に関与し、同様に、eスポーツにも力を入れ続けている。今後、KONAMIはどのような方向へ舵を切るのか、家庭用ゲーム機、モバイル、新規IPの創出、過去資産の活用……長い歴史と多くの作品群を持つ同社だけに、あらゆる未来と言っていいほど、さまざまな可能性が考えられる。

 2023年4月1日より専務執行役員に新たに就任した小林康治氏に、これからのKONAMIの展望を訊いた。

聞き手:三代川 正(ファミ通.com編集長)

小林康治 氏(こばやしこうじ)

コナミデジタルエンタテインメント専務執行役員。野球ゲームやモバイルゲーム作品を中心にさまざまなタイトルに携わる。2023年4月1日付けで、同社の専務執行役員に就任した。(文中は小林)

2022年度のゲーム事業の総括と2023年度の気になる展開は?

――2022年度は『eBASEBALLパワフルプロ野球2022』など定番ソフトの発売がありつつ、過去作品である『SILENT HILL 2』のリメイクや新作『SILENT HILL f』、新作映画となる『Return to SILENT HILL』などの新発表が大きな話題を集めました。改めて2022年度についての総括からお願いします。

小林なかなかひと言で言うのは難しいのですが、柱である“遊戯王カードゲーム”を始め野球ゲーム、サッカーゲームが年間通じて、多くのお客様に喜んでいただけたと思っています。

 まず“遊戯王カードゲーム”ですが、2022年1月に配信を開始しました『遊戯王 マスターデュエル』が配信1周年を迎え、継続的に多くのお客様に遊んでいただいている状況で順調に推移しています。サッカーゲームに関しては、昨年末に開催されたFIFAワールドカップ2022の盛り上がりもあって、『eFootball』で多くのお客様に新規ダウンロードいただき、大会終了後もワールドワイドのお客様に非常に楽しんでいただけたと考えています。

――野球では、KONAMIがグローバルスポンサーを務めていたWBC(2023 World Baseball Classic)が大きな盛り上がりを見せましたね。

小林盛り上がりましたねえ! WBCではテレビCMのほかに球場へ掲出している広告も頻繁に映し出されていましたし、何より日本代表が優勝するほどの活躍を見せてくれたこともあり、決勝戦当日には、サービスインから7年目となる『プロ野球スピリッツA』(以下、『プロスピA』)で1日のアクティブユーザーが過去最高の数を記録しました。

――それはすごい。

小林新規のお客様だけではなく、復帰ユーザーもとても多く、『プロスピA』は長期運営のタイトルになりますが、非常にうまく運営・制作できていると感じています。

――やはりワールドカップやWBCのようなイベントが盛り上がると、関連したタイトルの新規のお客様もとても増えるのですね。

小林そうですね。もちろんスポーツイベントなどに対する広告を出したりスポンサーになったりする効果はもちろんあります。

 ですが、ゲームを開発・運営するうえでいちばん考えなければいけないのは、“お客様が何を求めているか”ということだろうと思います。そこで他企業とのコラボなども含めて、楽しさがお客様に提供できるのであれば、我々としてもそこに費用を投下していくことは、今後も継続的に行うべきと考えています。

――“遊戯王カードゲーム”の話題が出ましたが、2022年度は『遊戯王ラッシュデュエル 最強バトルロイヤル!! いくぞ!ゴーラッシュ!!』もリリースされました。動きが非常に活発ですが、ワールドワイドを含めたユーザーは広がっている印象ですか?

小林はい。“遊戯王カードゲーム”も息の長いIPで、来年25周年を迎えますので、いろいろな企画を予定しています。ただ、25年も経つとプレイヤーの世代交代が課題になってきます。これはゲーム業界全体の課題だと思いますが、“遊戯王カードゲーム”も親子2代で遊んでいただけるような環境を整えていきたいですね。

――2022年度の総括を受けて2023年度をどのように展開していくのか教えてください。

小林先ほどお話した柱となる取り組みは、当然継続的に盛り上げる施策を考えていますし、いろいろなコラボを実施していきたいと考えています。

 また、2020年に発売した『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』が我々の期待以上の成果を残しまして、先日発表したシリーズ最新作『桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~』もすでに大きな反響をいただいています。幅広い世代のお客様に受け入れられる『桃鉄』のようなタイトルは、複数の選択肢をご用意して、ライフスタイルやプレイスタイルにあったものを、お客様に選んでいただくような環境を整えたいなと思っています。

【VIPインタビュー】「KONAMI・ハドソンの作品、過去シリーズをいつ誰に向けて出すかは日々議論しています」 コナミデジタルエンタテインメント小林康治専務に訊くこれからの展望
『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』
【VIPインタビュー】「KONAMI・ハドソンの作品、過去シリーズをいつ誰に向けて出すかは日々議論しています」 コナミデジタルエンタテインメント小林康治専務に訊くこれからの展望
『桃太郎電鉄ワールド~地球は希望でまわってる!~』
Switch『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』(Amazon.co.jp)

――『桃鉄』と言えば、学校での使用を前提とした無料の教育版が登場して話題になりました。教育版も、選択肢を増やす一環としてリリースされたのでしょうか?

小林そうですね。『桃太郎電鉄』プレイヤーの中には「日本の地理は『桃太郎電鉄』で覚えた」という方も多いのではないでしょうか。

 教育にも使えるゲームは、親子・家族という環境にも非常に合うと思いますし、教育現場という公的な場所で『桃鉄 教育版』を遊んで覚えて、家に帰ったら家族でふつうの『桃太郎電鉄』を遊ぶといった、ライフスタイルにすんなりと受け入れられるIPに今後さらになっていくのではと期待しています。

 『桃鉄』に関しては今後もいろいろな施策を行って、改めて大きな柱に育てていきたいですね。

変わりつつあるモバイル市場。家庭用ゲームへの取り組みは?

――最近のKONAMIは以前よりも家庭用ゲーム機用ソフト開発に回帰している印象を受けますが、狙いはどういったところに?

小林弊社がモバイルよりも家庭用ゲーム機に注力しているというわけではありません。これは弊社に限った話ではないかもしれませんが、ゲームをリリースするプラットフォームをモバイルだけではなく、コンソール(家庭用ゲーム機)も広く整えたいと考えていて、リリースするタイトルはそのときの時流やライフスタイルに合ったコンテンツを提案したいと考えています。

 ここ10年くらいはモバイルの流れが強かったかもしれませんが、家で腰を据えてしっかりと遊びたいという要望を持つお客様はいますし、『桃鉄』のようにしばらく新作が出ていなかったから、久しぶりに遊びたいというニーズもあるでしょう。

 我々としてはそういったニーズがあればお応えしていかなければいけない立場なので、モバイル・家庭用ハードは関係なく、そのときいちばん合ったハードでタイトルを提案できればと考えています。この考えかたは昔から変わっていません。

――なるほど。KONAMIとしては『プロスピA』が好調な一方、モバイル市場全体を見ると、新作をヒットさせることが難しい状況になっていると思います。いまのモバイル市場をどのように捉えていますか?

小林ご指摘の通り、モバイル市場はレッドオーシャン化が進み、新規のヒット作を作るのは至難の業だと思います。

 売上ランキングを見てもタイトルが固定化されていますよね。こういう状況では、たとえいいゲームができたとしてもそれを広めるのはたいへんですし、新規作品を投入していくとなると相応の覚悟が必要です。そういう背景もあって、昔から培って大切にしているIPをいまの時代に合った異なる形で提案している企業というのが増えているのではないでしょうか。

 すでにIPを持っているというのは歴史のあるメーカー側の強みですので、それらの財産を活かしていくのは非常にいいと思います。我々も昔から大切にしているIPがたくさんありますので、それをどういう形でいつどこのお客様に向けて出すのがいいのかというのは、日々議論したり考えたりしています。

――モバイル市場はひと昔前とはかなり風景が変わってきびしい面もありますね。

小林中国企業の躍進も目立ちますね。大量の物量を投入するなど、おそらく日本とは制作手法が異なると思いますし日本で売上を立てる手法を確立していると言ってもいいと思うので。そこも含めてモバイル市場の競争は激しいなと思いますよね。

――中国メーカーの動向は気になりますか?

小林外国の企業に限らず、他社さんがどうと言うより、我々がおもしろいサービスをどう生み出し、いかにお客様の手に取ってもらうかに注力するだけなので、やることは変わりません。

――きびしいというお話が出ているモバイル市場ですが、KONAMIでは、新作アプリ『シャインポスト Be Your アイドル!』の配信を予定していますよね。ずばり勝算は?

小林シャインポスト』は小説やテレビアニメでスタートし、展開していたストーリーが2023年3月11日に中野サンプラザで開催されたライブでいち段落ついた形になります。

 ゲームの開発は並行して進めており、高水準のクオリティーでリリースできるように鋭意制作中です。ただやはり、お客様の目は年々非常にきびしくなっているので、多くのユーザーにご満足いただけるようにクオリティーはできるだけ高めたいと考えています。

 もう少しお待ちいただきますが、引き続きご期待ください!

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『SILENT HILL』など、過去シリーズが続々と復活!

――2022年には『月風魔伝』の新作にあたる『GetsuFumaDen: Undying Moon』が発売され、『幻想水滸伝』と『幻想水滸伝II』のHDリマスターや『SILENT HILL』リブートの発表など、過去のKONAMIタイトルを活用しようという流れがあります。この流れはいつごろ始まったのでしょうか?

小林流れ自体はもともとありました。

 冒頭にもお話しましたが、柱である“遊戯王カードゲーム”、野球・サッカーをさまざまなタイトルで展開し、しっかりと裾野を広げることができたからこそ、つぎの段階として過去作品の活用が実現できていると思います。

――もともと過去作品を活用したいという思いがあって、収益の柱が確立できたタイミングでいろいろな準備が整ってきたと。

小林過去作品を活用するためには、さまざまな準備が必要でした。社外の開発会社と協力関係を築くこともそのひとつです。

 長期運営のタイトルが多くなるとそちらにもスタッフは必要ですから、どうしても社内の人手が不足してしまいます。

 そのうえで過去作品を活用するには、そのシリーズについて正しく理解したうえで、「こういうものを作りたい」といっしょに取り組めるパートナーの存在が非常に重要になってきます。近年はそういった企業が増えてきたこともあり、過去作品を活用する機がようやく熟してきたなという印象を持っていますね。

――そういった開発会社の中には、子どものころにKONAMIのタイトルを遊んでクリエイターになった方も多いと思います。

小林『SILENT HILL』の関係者はとくにファンが多いと聞いています。

――『SILENT HILL』はリブートもそうですが、立て続けに複数の新作が発表されたことにも驚きました。

小林『SILENT HILL』の発表は社内の人間も驚いたと思います(笑)。

 複数のタイトルを動かしてはいましたが、発表するタイミングがたまたま重なったというのが実態には近いんです。ただ、せっかくタイミングが合ったので、それぞれの作品のストーリーや背景をちゃんとユーザーに伝えたうえで、『SILENT HILL』の作品群を連続的に楽しんでいただけるような環境にはしたいですね。

――ユーザーの反響はいかがでしたか?

小林『SILENT HILL』はKONAMIタイトルの中でも人気の高い作品ですので、新作を期待する声はこれまでも耳にしていました。それだけに発表への反響は非常に大きかったですね。

 今後は、お客様の期待感をどのように醸成していくかが重要になると思います。どのタイミングで何を発表するのか。そして、いかにお客様とコミュニケーションを取っていくか。期待感を醸成し続けられるように、PRの戦略をしっかりと練っていきたいです。

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『SILLENT HILL 2』
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『SILENT HILL f』

――反響で言うと『幻想水滸伝I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』も反響が大きかったと思います。

小林はい、大きかったですね。

 『幻想水滸伝』は内部と外部でいっしょに開発を進めてきましたが、本作も開発に本シリーズが大好きなクリエイターが携わってくれていますよ。

 しかもかなりのベテランなんです。昔といまとではいろいろ働きかたも含めて作りかたが変わっていますよね。だからベテランのクリエイターが持っている技術を若い人の技術と融合させて、KONAMIの資産として残しておく必要があります。

 プレイヤーだけではなくクリエイターの世代交代もゲーム業界の課題だと思うので、ベテランのクリエイターが参加してくれるのは心強いですね。今後もベテランが輝けて、若手がチャレンジできる職場にしてきたいと考えています。

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『幻想水滸伝I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』

――未発表の作品を含め、今後も古い作品の活用は積極的に行っていくのでしょうか?

小林もちろん積極的に行いたいですが、先ほどお話した通り“どのコンテンツをいつ、誰に届けるのか”という点がもっとも重要ですし、社内のクリエイターがやりたい企画をみずから提案するのがベストだと思います。

 やはりマネジメント側から「こういうIPをやりなさい」と指示するよりは、現場から「こういうタイトルをこういうふうに料理すると、こういうユーザーに喜んでもらえそうだ。こういうビジネスに発展しそうだ」と提案してもらう形が大事だと思うので。

 そういった社内の仕組みや機運を醸成していかなければとは日々考えています。

――先ほど「社外のパートナーとの協力関係を築くことが大事だ」とお訊きしました。『ガリウスの迷宮リメイク』を手掛ける楢村匠氏との関係もそのひとつだと思いますが、インディー展開を行う狙いを教えてください。

小林ゲームの作りかたが変化している中で、楢村さんのようなインディーゲームのクリエイターとの関係は非常に重要であると思います。

 彼らと組むことで、我々老舗メーカーだと考えも及ばないような企画が出てくることも期待していますね。インディーゲームのクリエイターとの出会いは今後も大切にしていきたいと考えていて、4月30日に弊社主催のインディーゲームイベント“Indie Games Connect 2023”を開催しました。

――2022年度では、海外拠点のシューティング『CYGNI: All Guns Blazing』の発表などこれまでとは異なるチャレンジングな展開もありました。こういったタイトルを展開した狙いや、今後の展望を教えてください。

小林CYGNI』はパートナー開拓の一環です。海外デベロッパーのKeelWorksと提携し、弊社が販売を担当することになりました。

――『グラディウス』などへのオマージュも感じるシューティングに仕上がっていますね。

小林PVをご覧いただくと一目瞭然なのですがハイクオリティーな作品に仕上がりつつあるので私も期待しています。

 弊社には、企画やアイデアをプールしているスタッフがけっこういるんですよ。「今度話を聞いてくれませんか」と、売り込んでくることもある。それらすべての企画でチャレンジすることはできませんが、おもしろそうなものや社内の評価が高いものから、今後も年何回か、チャレンジしていきたいと考えています。

CYGNI: All Guns Blazing / アナウンストレーラー

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『スーパーボンバーマンR 2』

PC市場、eスポーツへは今後も積極的に参画

――日本でもPCゲーム市場が大きくなってきていますが、KONAMIとしてはPCゲーム市場をどのように捉えているでしょうか?

小林eスポーツのようにほかのユーザーと競い合う文化のさらなる成長には不可欠だと思います。

 お客様どうしのコミュニティー形成の面から考えても、対応ハードにPCがあるほうがハードルは低くなりますし、お客様の選択肢も増えるのではないでしょうか。PCゲーム市場はさらなる成長が期待できますし、お客様がゲームを遊ぶ垣根を低くする方法のひとつだと思うので、今後も積極的に取り組んでいきたいですね。

――KONAMIは『eBASEBALL』などのタイトルでeスポーツにも積極的に参画していますよね。今後も継続していくでしょうか?

小林eスポーツは弊社も力を入れていますし、コンテンツを盛り上げる重要な施策だと認識しているので、IOC(国際オリンピック委員会)やWBSC(世界野球ソフトボール連盟)、Jリーグや海外サッカーチームなどと協力して今後もいろいろな大会を開催していきたいですね。新しいスポーツの形として、多くの方に魅力をアピールしていきたいです。

――小林さん自身、eスポーツの盛り上がりは以前と比べてどのように感じていますか?

小林動画の視聴者数や再生数も増えていますし、注目してくれている方は非常に多いです。視聴時間も伸びており、少しずつではありますが、浸透してきているなと手応えを感じています。

 また、いまeスポーツの展開をやめてしまうと、これまでの蓄積がすべてなくなってしまいます。eスポーツはお客様とのコミュニケーションのひとつの手段でもあるので積極的に展開していきたいですね。

――とはいえ、タイトルの運営に加えてeスポーツの大会を運営するのはたいへんでは?

小林そうなんですよ(苦笑)。

 涼しい顔をしながら運営しているように見えるかもしれませんが、タイトルの運営と並行してeスポーツの大会を開催するのは本当にパワーが必要なんです。弊社だけではなく、ほかの会社さんも苦労されていると思います。

――やはり苦労も多いのですね。最後に、2023年度の販売戦略についてお訊きします。グローバル展開の中での日本市場のウェイト、注力の方法などはどのようにお考えですか?

小林日本だけに注力するというよりは“遊戯王カードゲーム”やサッカーゲームのように、基本的にはワールドワイドでの展開を考えています。

 もちろん、タイトルの特性がありますので、たとえば野球ゲームのように日本が最重要地域となるタイトルもあります。ですが、みずから地域を制限する必要はありません。

 言語などのカルチャライズは必要になりますが、基本的にはどの地域でも遊べるようなタイトルをリリースしたいと思います。

――日本市場に目を向けると、開発費の高騰もあって国内だけではリクープ(コストの回収)しきれない現状もあると思いますが、日本市場をどのように見ていますか?

小林日本市場が頭打ちかと言うとそういった印象はまったく持っていないですね。

 日本のお客様も新しいコンテンツに飢えていると思いますし、ちゃんとした内容をお客様に提供できれば遊んでくれると思うので。他社さんも、日本が重要な地域であることは間違いありません。

 我々としては、ワールドカップやWBCなどのムーブメントが来たときに、お客様の受け皿となるようなタイトルを準備しておくことが大切だと思います。

【VIPインタビュー】「KONAMI・ハドソンの作品、過去シリーズをいつ誰に向けて出すかは日々議論しています」 コナミデジタルエンタテインメント小林康治専務に訊くこれからの展望