2023年4月24日に5周年を迎える、アイドル育成&ライブ対戦ゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、『シャニマス』)。それを記念して、緋田美琴役の山根綺さんにインタビューを実施。シーズとして活動をしてきた2年間や、美琴と関わりの深い、斑鳩ルカの283プロ加入についての想いなどを聞いた。

※本インタビューは3月下旬に実施しました。
※本インタビューは4月6日発売の週刊ファミ通(2023年4月20日号 No.1792)に掲載した内容に加筆、修正を行ったものです。

『シャニマス』山根綺さんインタビュー(緋田美琴役)。「5thライブはいままでのライブの中でいちばん悩みました」
『シャニマス』山根綺さんインタビュー(緋田美琴役)。「5thライブはいままでのライブの中でいちばん悩みました」

山根綺(やまねあや)

2月4日生まれ。神奈川県出身。アミューズメントメディア総合学院を卒業後、青二プロダクションに所属。代表作は『ウマ娘 プリティーダービー』(ダイタクヘリオス役)、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(セセリア・ドート役)など。(文中は、山根)

――シーズが283プロに加入してから2年経過しましたが、いまの率直なお気持ちを聞かせてください。

山根「あっという間だったな」という気持ちと、「まだ2年なのか」という両方の気持ちがあります。「まだ2年」の中には私の中でこの2年間がすごく濃い時間だったので、もっと長い時間、美琴といっしょにいたような気がして。私と美琴はリンクする部分がすごくたくさんあって、2年間かけて少しずついっしょに成長してこられたかなと思う部分があるので、感慨深いです。

――とくにここが似ているというところはどこですか?

山根美琴の発した言葉の中ですごく印象的だったのが、シーズのシナリオイベント“モノラル・ダイアローグス”で、レッスン風景を配信するという企画に対して言った「不思議な企画。完成したものを見せるために、練習するのに」です。私もこれだけがんばってとか、これくらいこういうことをしていて、というのを表に出すのがあんまり好きじゃないので、すごく共感しました。やっぱり出したものしかお客さんには伝わらないですし、プロデューサーさんにも出したもので評価していただくというか、感じていただくしかないと思っていて。どんなに努力しても、がんばったと思っていても、そこに結果が伴わなければ、やっていないことと同じことになるというのが、自分の中の価値観として根強くあります。美琴もおそらく同じことを考えているんだろうなというのが、そのひと言でわかって、すごく似ているなと思いましたね。

――この2年間の活動を語るうえで、ユニットメンバーである七草にちか役の紫月杏朱彩さんの存在も欠かせないものかと思いますが、とくに思い出に残っている出来事などはありますか?

山根彼女はすごくにちかちゃんに似ていますね。2月の合同ライブ(※)で『ALIVE』を歌い終わって舞台裏に戻ったときに、あずさちゃんが真っ先に「めちゃくちゃよかったです!」と言ってくれたんです。その光景が美琴とにちかちゃんみたいだなと思いました。いつも「ややさんは本当にすごくて」と褒めてくれて、最初は単純にうれしいという気持ちだったのですが、最近は彼女にももっといいものを見せたいと思えるようになったのも、私たちの時間が進んだ証なのかなと。

※合同ライブ……2023年2月11日、12日に東京ドームで開催された“THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023”。

――いいお話しですね。いま『ALIVE』が話題にあがりましたが、今井麻美さん(如月千早役)、鈴木みのりさん(藤原肇役)、香里有佐さん(桜守歌織役)といっしょに歌ってみていかがでしたか?

山根合同ライブ全体としてはそこまで緊張しなかったのですが、『ALIVE』だけはこんなプレッシャーでステージに立ったことがあっただろうかというぐらい心臓がバクバクでした(笑)。でも、終わった後に音楽まわりを担当してくださっている中川(浩二)さんに「山根さんの底力であの歌を表現できていたのが、素晴らしかった」と褒めていただけたのがうれしかったです。自分の中ですごく悩んだ楽曲でもあったのですが、おそらく美琴なら物怖じせずステージに立てるだろうなということを感じたので、彼女に背中を押してもらったという感覚もありつつ、やりたいことができてよかったです。

――シーズのふたりは合同ライブが、初めてプロデューサーさんの声援ありのライブだったかと思いますが、いかがでしたか?

山根「ライブってこうだよな」と思いましたね。シンプルに楽しかったですし、ステージ裏にいる私たちの会話が聞こえなくなるくらい、プロデューサーさんの声援が響きわたっていて、「美琴もずっとこれが聞きたかったんだろうな」と感じて、胸が熱くなりました。

――『ALIVE』についてお話しいただきましたが、合同ライブでパフォーマンスされた中でほかに印象的だった楽曲はありますか?

山根やっぱり『バベル』ですね。この曲は藍原さん(一ノ瀬志希役の藍原ことみさん)と青木さん(二宮飛鳥役の青木志貴さん)のおふたりで完成された世界観だったので、そこに私たちが入ってよりよいものにしないといけないというのはプレッシャーでした。

――すごい盛り上がりでしたね。先日、高山さんにインタビューさせていただいた際に、合同ライブの『純白トロイメライ』、『バベル』、『Fly and Fly』の一連の流れが印象に残っていると話されていました。

山根それはうれしいです。『Fly and Fly』も961プロのおふたり(玲音役の茅原実里さんと詩花役の高橋李依さん)と歌うことができました。じつは、私がセットリストを見る前に、高橋李依さんから「ややちゃん、いっしょに歌えるよ」という連絡が届いて、「嘘でしょ!?」と慌てて確認しました(笑)。同じ日に出演することは把握していたのですが、まさか『Fly and Fly』をいっしょに歌ってくださるというのが信じられなれかったです。しかも、私たちにとっては2年間歌い続けてきて、ようやくものになってきたという感じなのに、おふたりは今回が初めてにも関わらず、軽々とやってのけられていて、自力の強さみたいなものを感じました。また、茅原さんと同じパートを歌わせていただいたのですが、本当にガイドボーカルのようで、すごく歌いやすくかつ、よりよい曲として昇華されていて、いっしょに歌えて本当に光栄でした。

――あの一連の流れは圧巻でした。ちなみにご自身の出番ではないところで印象的な楽曲などはありましたか?

山根765プロの皆さんの『Destiny』ですね。『アイマス』を17年間も支えてきた皆さんの重みのようなものを感じて、「これが『アイマス』か……」とリハーサルのときから涙が出ました。きっと私と美琴が目指している人間像みたいなものは、こういうものなのかなと思ったことが印象に残っています。

――すごく『アイマス』らしさを感じましたよね。

山根だからこそ、765プロの皆さんのように私たち283プロのみんなも頼もしい大きな背中を見せられるようになりたいなと思いましたね。

『シャニマス』山根綺さんインタビュー(緋田美琴役)。「5thライブはいままでのライブの中でいちばん悩みました」

――先日の5thライブについても聞かせていただけますか?

山根5thライブはいままでのライブの中でいちばん悩みました。というのも、2日間かけて完成するような演出だったということと、1日目の283プロにとって最後のライブという世界観の中で、それがどうしたらプロデューサーさんに伝わるんだろうということをすごく考えていたんです。スタッフさんから、1日目は“セヴン#ス”のシナリオや、それより前のにちかちゃんと美琴の歩み寄りみたいなものも一切なかった状況でのライブということを伺っていたので、「そんな状態の美琴ならどういう気持ちでステージに立つんだろう?」と美琴に対してすごく向き合いました。

 1日目と2日目で見た目も大きく変えましたが、それ以上に曲中のパフォーマンスでの表情や一挙手一投足なども意識していたのですが、それがプロデューサーさんにも伝わったようでよかったです。プロデューサーの高山さんからも「1日目は美琴としての覇気みたいなものを感じて、2日目はにちかとの絆みたいなものをすごく感じた」と言っていただけて。自分がこうしたいと思っていたものが、そのまま伝わったのが初めてだったので、すごくうれしかったですね。

――少しお話しいただいた部分もありますが、5thライブが1日目と2日目でコンセプトが違うと聞いたときは正直どう感じましたか?

山根攻めているなと思いました。私自身、最初に説明された段階では、どういう気持ちでステージに立てばいいんだろうというのがつかみきれていなかったんです。レッスンしているときもステージに立つときは美琴として立つということを自分の中ですごく大切にしているので、これからがない最後はどんな気持ちなんだろうと、ゲネプロまですごく不安でした。

――いままで演じたことがない状況ですしね。

山根そうなんです。しかも、おそらくこういう気持ちでステージに立つのは最初で最後になるじゃないですか。だから、「大丈夫なのかな?」という不安があって。でも、ゲネプロのときに演出家さんとバンダイナムコさんが、キャストが納得するまですごくたくさん、このライブにかける想いや、個人的な美琴がどういうスタンスで立てばいいというところもすごく相談に乗ってくださったので、すっきりしました。だから、ゲネプロを終えた後は、「これはいままでにないライブになるぞ!」という気持ちで楽しみになりましたね。あと、プロデューサーさんがSNSで困惑やざわざしていたのが、「そうだよね」となりましたね。私たちもステージから履けた後、映像が終わるまでステージの袖にいたので、「ただいまを持ちまして……」というアナウンスの後の「えーーーー!?」というざわつきが、私たちも「だよね」となっていて。でも、その不安とかモヤモヤした気持ちみたいなものを払拭できる2日目になったんじゃないかなと。奇跡のように天候も味方してくれて。1日目が雨から始まって曇りに変わって、2日目は快晴という、天気を操れる人がいるのかなと思いました(笑)。だから、『シャニマス』はいろいろな意味で持っているコンテンツだなと思いましたね。

――正直、自分たちも1日目が終わった後はすごく困惑しました(笑)。

山根ああいう1日目の演出があったからこそ、2日目のキャストの気合の入りかたもいままでにも増していたなと感じますし、『シャニマス』にしかできない演出ですよね。あの3時間で新しいコミュを作れるというのが、このコンテンツの強みだなと思いました。

――1日目とは対照的に2日目は紫月さんとすごく楽しそうにパフォーマンスされているなという印象でした。

山根やっぱりお芝居だけじゃなくて、大きなくくりとしては歌やダンスの表現も演じるということだと私は思っています。だからこそ、歌やダンスでも演じるということを大切にしたい人間なので、1日目と2日目の明確なコンセプトの違いに乗っ取ったものを出したいという想いがあったのですが、2日目のいままでのコミュなどを経た、これからの未来を見据える美琴を表現できて、悔いなく終われたかなと。

――1日目は『Fashionable』で男性のダンサーさんとのパフォーマンスもありましたね。

山根最初はすごく戸惑いましたね。すごく自分の中で難しくて。いつもはいない方々がいるという事実もそうですし、男性といっしょにステージで立って、肩に腕を乗せるという振り付けもあるということで、そこをどうしたら(プロデューサーさんを)ビックリさせず自然にできるかなというのをすごく研究しましたね。あと、美琴としてダンサーさんたちに負けちゃいけないと思って、ある意味勝負するような感覚だったので、「負けない」というマインドを持つのが難しかったです。

――プロデューサーの皆さんからは好評でしたね。

山根そうですね。プロデューサーさんから「また出てほしい」という声をいただけましたし、ダンサーさんもすごくやさしくて、「よかったら、またよろしくお願いします」と言ってくださったのはうれしかったです。

――シーズのカッコいい曲との相性もよかったですね。

山根コミュの中でもバックダンサーさんが付くという物語があったので、そういう意味でもいろいろな想像を掻き立てられるステージだったんじゃないかなと思います。

――可能性が広がった感じがしましたね。合同ライブや5thライブ以外にも、この2年間でたくさんのステージに立たれましたが、とくに印象に残っているライブはありますか?

『シャニマス』山根綺さんインタビュー(緋田美琴役)。「5thライブはいままでのライブの中でいちばん悩みました」

山根全部印象的なのですが、いまは7月のことしか考えられなくて。

――7月22日、23日に武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで開催予定の“283PRODUCTION SOLO PERFORMANCE LIVE「我儘なまま」”ですね。

山根そうです。私は過去をあまり振り返らないタイプで、そこも美琴と似ている気がしますね。基本的に終わったら燃え尽きて、「あのとき楽しかったな」と浸ったり思い出したりすることがほんとうになくて、つぎがあることを大切にしたいというか、もっとできるなといつも思っているので。だから、5thライブも終わってから高山さんや中川さんから「すごく歌やダンスがうまくなったね」と褒めていただいたのですが、「いや、もっとできるので期待していてください」と言って会場を後にしました。そう言ったからにはその期待に応えないといけないと思っているので、いまは未来のことしか考えていないかもしれないです。

――未来をさらによくするために、すでにつぎのことを考えられていると。お話を聞いていると美琴と通ずる部分が多いんだなという印象です。

山根私が美琴に寄ってきたのかもしれないですけどね。美琴がこう考えているから、私もこう考えるべきだとどこかで思っているんだと思います。だから、すごく似てきました。

――改めて、そんな美琴の魅力はどういう部分だと思いますか?

山根最初のほうは何を考えているのかわからないことが多かったのですが、途中から思ったことは全部言っているんだと気付いて、誰よりも素直だなと思いました。そこが美琴の魅力ですかね。

――なるほど。5thライブでは美琴と関係性が深い、斑鳩ルカの283プロへの加入が発表されましたが、どのようなお気持ちでしょうか?

山根私としてはルカのオーディションも受けていたので、すごく思い出深いですし、やっぱり2年間もずっと温めて温めての加入ということで、すごくうれしいです。ただ、これから283プロのみんなとどう関わっていって、ルカが美琴に対しての気持ちをどうしていくのかすごく楽しみな反面、「にちかちゃんとの関係は大丈夫なのかな?」、「プロデューサーさんとコミュニケーションが取れるのかな?」と心配なところもあります。私もこれからどうなっていくのかはまったく知りませんが、個人的な願いとしては、これまでがいろいろとたいへんだった分、思いっ切り羽ばたいて、幸せになってほしいですね。

――ルカの今後が楽しみですね。では、最後にプロデューサーの皆さんにメッセージをお願いします。

山根ここまでお読みいただいてありがとうございました。ここでたくさん語らせていただいた通り、『シャニマス』はキャストひとりひとりもそうですし、スタッフの皆様、そしてプロデューサーの皆さんも愛に溢れていて……本当に素敵なコンテンツだなと思います。2月に行われた合同ライブで東京ドームに立ったときに、私はいつか『シャニマス』だけで、ここに立ちたいと思いました。5thライブの2日目を経て、もっともっと大きな舞台に行けるように、そして『シャニマス』も大きくできたらいいなと思います。歌やダンス、お芝居など、すべてのパフォーマンスにおいて、もっともっとたくさんの人に美琴を知って愛していただけるよう、がんばりたいなと思いますので、これからもずっとずっと先まで応援していただけたらうれしいです。またいっしょに東京ドームに行きましょう!

『シャニマス』山根綺さんインタビュー(緋田美琴役)。「5thライブはいままでのライブの中でいちばん悩みました」
『シャニマス』山根綺さんインタビュー(緋田美琴役)。「5thライブはいままでのライブの中でいちばん悩みました」