2023年4月24日に5周年を迎える、アイドル育成&ライブ対戦ゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、『シャニマス』)。それを記念して、『シャニマス』プロデューサー高山祐介氏へのインタビューをお届け。この1年間に実施されたゲーム内のアップデートについて振り返っていただきつつ、283プロに新たに加わる斑鳩ルカや、テレビアニメで描かれる物語の内容についてもお聞きした。

※本インタビューは3月中旬に実施しました。
※本インタビューは4月6日発売の週刊ファミ通(2023年4月20日号 No.1792)に掲載した内容に加筆、修正を行ったものです。

高山祐介(たかやまゆうすけ)

『シャニマス』制作プロデューサー。(文中は高山)

――まずは、この1年間を振り返ってみての率直な感想を聞かせてください。

高山2022年の印象としては、目まぐるしい1年だったのかなと思っています。ゲーム内ではプロデュースシナリオ“S.T.E.P.”や“MATCH LIVE”が登場し、ゲーム外ですと4thライブや対バンライブなども開催されました。そうした、ゲーム内外の出来事を通じてプロデューサーの皆さんに『シャニマス』のさまざまな楽しみをご提供できた1年だったかなと。

――いまお話に挙がりましたが、2022年4月に実装された新プロデュースシナリオ“S.T.E.P.”の手応えやプロデューサーさんからの反響などはいかがでしょうか?

高山“S.T.E.P.”を開発させていただいた意図としましては、より短時間で、手軽に、くり返し遊びたくなるような体験をご提供できないかという想いがありました。加えて、ノウハウという要素も追加することで、プレイするごとに、「今回はこのノウハウを発現できたぞ!」というように、くり返しプレイの中で毎回異なる実感を得ていただきつつ、プロデュースを楽しんでほしいなとの思いで実装しました。

 所感としては、いま申し上げた点はある程度ご提供できたかと思いつつ、“ノウハウ”をほかのプロデュースエリアで集めて“S.T.E.P.”で継承していく点に関しては、数多くのプレイが必要になってしまっており、ハードルが高く感じていらっしゃるのかとも感じています。

 ですので、引き続きアップデートなどを通じてより遊びやすい形にしていきたいと考えています。

『シャニマス』高山祐介制作プロデューサーインタビュー。「6年目は、ゲームやテレビアニメ、企業様との取り組みもより一層広げて、飛躍の年にしていきます!」

――2023年1月には“MATCH LIVE”も実装されましたね。

高山これまでプロデューサーさんに育てていただいたフェスアイドルは“グレードフェス”でご活用いただいていたと思いますが、環境によって「このフェスアイドルを使うと強い」など、強力なフェスアイドルや編成などがどうしても収束してしまう傾向にあるなとも感じていました。

 もちろん、その点において、さまざまなフェスアイドルの編成で“グレードフェス”を戦っていただけるように引き続きアプローチしていくことは前提としたうえで、皆さんに育てていただいた数多くのフェスアイドルが活躍できるように、アイドルたちを組み合わせてステージを進んでいく新しいゲームプレイ体験をご提供できないかと考え、実装させていただきました。

 そういった想いから、アイドルごとに適性を持たせ、ステージによって有利な適性が変わる仕組みになっています。そして、アイドルたちを入れ換えながらステージを進め、攻略に行き詰ったら編成を見直して、「この編成なら勝てた!」という、ある種の戦略性のあるゲームプレイを通じた達成感を得ていただくのが狙いでした。

 現状の手応えとしましては、私たちの狙いである部分は一定以上体感いただけていると感じている一方で、編成を切り換えていく楽しみなどが、プロデューサーさんに伝わり切っていないとも感じています。ですので、負けたらフェス参加権が減らないようにして、くり返し再戦しやすくしたり、機能の改修を通して、編成を入れ換えて挑戦していく楽しみをお伝えしていけたらなと考えています。

――今後の展開にも期待しています。この1年間でも多数のシナリオイベントが実装されましたが、高山さんが個人的に印象深かったシナリオイベントを教えてください。

高山直近で開催されたものですが、シーズのシナリオイベント“セヴン#ス”は印象深かったですね。理由としまして、シーズは2021年に283プロに加わって以来、2年間シナリオイベントやプロデュースシナリオでの活躍を通して物語を描いてきましたが、その集大成となるようなシナリオになっていると感じたのがひとつです。

 さらに、イベントの中では斑鳩ルカの登場も数多くあり、283プロや天井努のお話も同時に進み、天井努と八雲なみ、斑鳩ルカという、いまのアイドルたちとは異なる時系列のストーリーが複数展開されるということで、印象深かったです。開発としても、集大成的な感覚で制作を進めていたこともあり、想い入れのあるイベントでしたね。

『シャニマス』高山祐介制作プロデューサーインタビュー。「6年目は、ゲームやテレビアニメ、企業様との取り組みもより一層広げて、飛躍の年にしていきます!」

――ありがとうございます。ゲーム外のことについてもお聞きできればと思いますが、楽曲のサブスク解禁について反響はいかがでしょうか?

高山サブスクの解禁に関しましては、たいへんお待たせしてしまったと思う一方で、第1弾を公開した際、「待っていました!」とご好評のお声とともに、数多くのプロデューサーさんにご利用いただけていたようで、うれしかったです。またサブスクがあることで、『シャニマス』をご存じない方にもお聞きいただけるきっかけのひとつになっており、さまざまな方が『シャニマス』の音楽を聴きやすい環境に近づけたのは喜ばしく感じております。

 第2弾の解禁は3月と少し時間が空いてしまいましたが、このタイミングでほぼ全曲が解禁ということで、ほかの方におすすめしやすくなり、音楽を通したプロデューサーさんのコミュニケーションがひとつ増えたような感覚がありまして、そこがいちばんうれしいポイントです。

――ちなみに、サブスクの解禁を通じて、新しくプロデューサーが増えた実感はありますか?

高山サブスクの解禁と同時に、YouTubeやTikTokなどの動画媒体で『シャニマス』の音楽を聴いていただく機会を作りました。具体例としましては、“歌ってみたキャンペーン”などを通じてMVを投稿させていただきましたが、「『シャニマス』は知らないけど、いい曲だよね」といった反応は多くいただけたかなと思っています。とくにTikTokに関しては、僕たちが狙って流れを創出できたわけではなく、幸運なことではありましたが、黛冬優子の『SOS』という楽曲を、ゲームとは異なる領域で音楽を活用していただけて、『シャニマス』の楽曲の需要というのを改めて認識できたところではありますね。

【シャニマス】SOS(歌:黛 冬優子) - オリジナルMV【アイドルマスター】

『アイドルマスター』を見てきたひとりとして感慨深かった合同ライブ

――音楽に関連しまして、『シャニマス』としては、ライブイベントとして、4thライブや対バンライブなどの開催のほか、2023年2月には“M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023”(MOIW2023)で『アイマス』シリーズの合同ライブの初参加となりました。同ライブでのキャストさんたちのパフォーマンスをご覧になられたときの率直な感想を聞かせください。

高山2日間にわたって出演させていただきましたが、各ユニットそれぞれのパフォーマンスはもちろん、他事務所のアイドルの皆さんの楽曲をカバーしたり、共演をさせていただいたりして、『シャニマス』以外の楽曲を『シャニマス』のアイドルたちが歌うというところはすごく新鮮に映りました。僕自身も楽しい2日間でした。

 また、前回の合同ライブ“MOIW2015”では、765プロオールスターズと『シンデレラガールズ』、『ミリオンライブ!』のスリースターズが出演されていましたが、今回は『SideM』の315プロと『シャニマス』の283プロも加わってファイブスターズという形になりました。そうして、一層仲間が増えていく様子が、『アイドルマスター』を見てきた人間として、すごく感慨深かったです。

――高山さんが個人的にこの楽曲のパフォーマンスはすごかったなと感じたところはありますか?

高山なかなか悩ましいところですが、本当に素直に思ったのは『SideM』の皆さんのパフォーマンスはめちゃくちゃかっこいいなと。Day1で、『SideM』の皆さんがトロッコに乗って『エージェント夜を往く』を披露されていたのですが、個人的にとても思い入れのある楽曲ということもあり、めちゃくちゃテンションが上がりました。

 『シャニマス』ですと、Day2のアンティーカの『純白トロイメライ』、『シンデレラガールズ』のDimension-3の『バベル』、そこからシーズの『Fly and Fly』などスタイリッシュでかっこいいパフォーマンスが連続したブロックがありましたが、そこでアンティーカやシーズのパワーを見たなという感じがして印象に残っています。

――あそこのブロックは、見ていて震えるものがありました。ちなみに、高山さんからセットリストやこのアイドルと共演したらおもしろいよねというようなご提案をされたりはしたのでしょうか?

高山そういったことは基本なく、今回は合同ライブということで、各ブランドでふだんセットリストなどを決めているメンバーが集まって決めていったと聞いています。僕としては、“MOIW2023”の企画の話が挙がる前に、「いつか(小宮)果穂が『ハイファイ☆デイズ』とか歌ってくれたらかわいいな」と思っていたので、ちょうどその機会がいただけて、個人的にめちゃくちゃうれしいポイントでした。

企業・自治体とのコラボでは、プロデューサーの生活の導線の中に『シャニマス』のアイドルたちがいることを意識

――そういった意味でも、見どころだらけのライブでしたね。ここで少し話が変わり、企業・自治体とのタイアップについても聞かせてください。この1年はタイアップなどがさらに活発になっていたと感じています。企業・自治体とのタイアップを活発に行った狙いなどがあればお聞かせください。

※4周年から5周年までに行われたコラボ
・日本出版販売(日販)の“全国書店員が選んだおすすめ少女コミック2022”公式アンバサダー就任
・鉾田市観光物産協会
・“BLACK COLLECTION by ZOZOTOWN”
・森永製菓チョコレート菓子“DARS”アンバサダー就任
など

高山以前からこういったタイアップ企画や商品化というところで考えていたのは、プロデューサーの皆さんの生活の導線の中に、『シャニマス』のアイドルたちがいるということです。ゲームや音楽はもちろん、たとえばコンビニやスーパーに行ったり、インターネットを見ていたり、プロデューサーの皆さんの生活導線の中に『シャニマス』のコンテンツやアイドルたちを提供していきたいというところは以前から変わっていません。

 とはいえ、より活発になったきっかけのひとつだと思うのは、2022年に実施をさせていただいた、森永製菓さんとのバレンタインキャンペーンでした。こちらのキャンペーンでは、森永製菓さんのご協力もあり、『シャニマス』としてコラボというよりも283プロのアイドルたちに仕事の依頼をいただいたような取り組みを実施できたことで、「こういった形式の企画もありなんだ」という前例ができたかなと感じています。これを機に、各自治体さんや企業さんとご相談させていただく中で、先方の皆さまにも『シャニマス』や283プロのアイドルたちと取り組みを行った際のイメージをつかんでいただきやすくなり、いろいろな取り組みが実現しつつあるのかなと思います。 

――確かに、日販の企画だと杜野凛世と園田智代子が選ばれていて、『シャニマス』というよりもアイドルとのコラボという印象を強く受けます。

高山もちろん、『シャニマス』のコンテンツに属するアイドルたちではありますが、こういった取り組みの際に大事だと思うのは、「なんでこのアイドル?」という「?」が付かないようにすることです。もし「?」が付いてしまうと、どうしても、283プロのアイドルにお願いをしているというような見えかた自体に疑問符がついてしまうようなイメージがあります。ですので、日販さんの“全国書店員が選んだおすすめ少女コミック2022”であれば、少女マンガに造詣の深いふたりを企業としても選ぶだろうなという一種のロールプレイを大事にしていますね。

斑鳩ルカ加入の経緯やアニメで描かれる物語も明らかに

――ここからは、今後の『シャニマス』に関してもお聞きできればと思います。まずは、6年目を迎えるにあたってテーマやキーワードがありましたら教えてください。

高山昨年度のインタビューでは、“過去から現在、そして未来”というテーマであるとお伝えしました。そのテーマをもとに、たとえば“S.T.E.P.”のシナリオではアイドルたちの過去に触れていたり、4thライブではアイドルになったばかりの自分たちに手紙を書くような演出を行って、過去に向けたメッセージを発信していたり、アイドルたちの過去の描写を行ってまいりました。

 それを踏まえて、5周年以降のテーマは“未来を選んでいくこと”です。たとえば、5thライブではアイドルたちの異なる未来を描いています。それと、カードのシナリオなどでもくり返し描いていることですが、アイドルたちにはさまざまな未来が用意されていることを描写しています。たとえば、幽谷霧子であれば、学業にも力を入れ、実績を出しています。霧子の未来には、アイドルをがんばる道もあれば、医大を目指す道もあり、そのほかの道も用意されていて、アイドルたちには、さまざまな可能性が存在しています。

 そんな可能性に満ちたアイドルたちが、いまはアイドルを選んで活動していく、輝きを届けようとしていくというところに尊い価値、かけがえのない価値があると考えていまして。そこを描いていく1年にできればと思い、未来を選択することというテーマに決めました。

――いま5thライブについてお話しいただきましたが、インタビューが掲載されているころには終了していますし、コンセプトなど、もう少し詳しく聞かせていただけますか? 公式Twitterに投稿されていた予告映像には、プロデューサーたちから「不穏だ」というような反応もありますが。

高山まずは、Day1とDay2で明確にストーリーラインを変えています。先ほど、軽くお話ししましたが、例えば霧子が医学部に進む道があったり、(市川)雛菜がふだんよく口にしている「ずっとは続かないでしょ」という部分など、当然、アイドルたちも活動の中でいろいろなことを考えているわけですが、アイドルがずっと続くわけではないと考えている子もきっといると思います。ですので、Day1に関しては、そこにフォーカスしたストーリーになっています。アイドルがずっと続くわけではない、もしかしたら、アイドルを続けないという選択をする未来もあるかもしれない。そうだとしても、いまこの瞬間に彼女たちが届けようとするパフォーマンスというのはきっと輝かしく、だからこそ尊いのではないかと着想しているのがDay1です。

 一方で、アイドルであることを選択するというのは、ほかのことは選択できないかもしれないということです。(桑山)千雪で言えば、雑貨屋ではなくアイドルを選択しています。しかし、何かを選ばないという選択をしながらも、アイドルを選び、パフォーマンスを通して輝きを届けようとするアイドルたちの姿も同時に輝かしいと思っています。Day2では、そういったものを描く舞台となっています。

 それぞれ状況やストーリーラインは異なりますが、それでもアイドルたちが何かを選んでいまパフォーマンスをしているという感慨を、2日間を通して見ていただきたいというところがいちばん大きなコンセプトとなっています。

――いまお話しいただいたコンセプトや、5周年のライブということもあり、ひとつの集大成的なライブという印象を持っているのですが、そういった意味は込められていますか?

高山そうですね。やはり5周年というところは本当になんとなくではありますが、ひとつの節目な気がしていました。同時に、283プロの2018年の冬ぐらいから描いてきた大きな物語の流れというところも一段落するタイミングだとも思っています。そういった意味でも、集大成であり、これからも続いていくためのひとつの節目として、スタッフ一同、より気合を入れて、「ひとつの大事なポイントだよね」という意識で作っています。

――そんな5thライブでは、ライバルアイドルの斑鳩ルカが283プロに合流することが発表されました。彼女が283プロに加わることとなった経緯を教えてください。

【シャニマス】斑鳩ルカ283プロダクション加入PV【アイドルマスター】

高山斑鳩ルカに関しては、283プロの事務所の裏に流れるバックボーンのストーリーと、シーズの物語を通じて彼女の姿を描いてきました。これらのお話を通じて、紆余曲折あった彼女が、今回283プロに加わることになります。具体的には、斑鳩ルカの母親であったり、283プロの天井努との関係性であったり、シーズの七草にちかや緋田美琴との出会いの中で、斑鳩ルカが精神的に追い込まれてしまいます。そうして、アイドルとしてうまくいかず、失意の淵に沈んだときに、283プロのプロデューサーが声をかけることで加入する、というのが大枠の流れになっています。

 ただ、そこでルカがありがたい、救いであるといったシンプルな感情を抱いているかというと、そうではありません。ルカの中でも煮え切らない想い、整理しきれていない想いがある中で、まずは選んでみた未来のひとつが283プロへの入所となります。ですので、ルカとしても、何か問題が解決したわけではありません。シーズに関しても、“セヴン#ス”というシナリオで一歩進んだことは確実ですが、これからもきっと、いろいろな困難や選択が待ち構えていると思います。ルカとしても、283プロに合流しつつ、そこはまったくゴールではないという認識ですね。

――そうしたルカについて、“W.I.N.G.”編のシナリオなどを通じて深堀りされていくのですね。

高山そうですね。プロデュースエリアのシナリオや、プロデュースアイドルのシナリオなど、さまざまな方向からルカとの交流を通じて、少しずつにはなると思いますが、ルカの糸をほぐして、ルカが何を考えていて、何を望むのか、というところを解き明かして、プロデューサーの皆さんにお届けしていく形になるのかなと思っています。

――そんなルカは川口莉奈さんが演じていらっしゃいますが、改めて起用の経緯をなども聞かせてください。

高山キャストの起用に際しては、声質やお芝居、歌唱の巧みさなどを考慮して決めていますが、私の中でいちばん印象的だったのは、お芝居や歌を歌われたときの声のかすれかたです。ルカの煮凝った思いを絞り出すようなニュアンスをお芝居や歌唱で表現いただけて、説得力があるなと感じ、川口さんにルカ役をお願いしました。

――ルカの悲痛な想いがお芝居などを通じて感じられたのが決め手だったと。ルカの加入については、彼女が登場したときから決まっていたのでしょうか。

高山ルカについては、イラストだけではなく、ほかのアイドルたちと同様に動く2Dアニメーションも作成していますので、重要な役割を担ってもらうことは考えていました。ただ、その中で283プロに加わるとしても、彼女が抱えている状況や、シーズの状況を踏まえて、乱暴に283プロに加えることはできないなと思っていました。

 結果的には、2年間のシナリオを通してその状況が進んできたことを踏まえて、入所という流れになりました。ですので、最初から283プロに加わることを確実に決めていたわけではない、というのが正直なところです。ルカが加わる前に、まずはシーズの関係値が進むことが前提条件にあったので、いまならそのピースがはまるだろうなと思って制作していたのが“セヴン#ス”であり、“セヴン#ス”を届け終えたこのタイミングであれば、ルカの状況も進めることができるだろうと判断し、今回の283プロ加入という流れになりました。

――ちなみに、このタイミングで『神様は死んだ、って』のコンセプトもお聞きできればと思います。

高山大前提として、283プロのライバルとして歌っているのが『神様は死んだ、って』ですので、283プロの楽曲とは異なる方向性で、『シャニマス』世界の中でもファンを獲得しているんだろうなと想像し、制作しました。

 それと、ルカの状況としては、例えば10~20代とかの若めの人に支持をされているというアイドルでしたので、彼らがルカを支持するにあたり、もちろん音楽もその要因のひとつとなっているはずなので、『シャニマス』世界の10~20代の若い人に受けている楽曲は何だろうということを起点にして考えていました。

――YouTubeでMVが公開されていますが、こちらの意図もお聞きできればと思います。

【シャニマス】神様は死んだ、って(歌:斑鳩 ルカ) - オリジナルMV【アイドルマスター】

高山『神様は死んだ、って』のMVは1月末に公開しました。このタイミングでは、シナリオをずっと追っていただいている人にとっては、ルカがおなじみの存在になっていました。ただ、楽曲をメインに楽しまれている人や、シーズ以外のアイドルを担当されているプロデューサーさんにとっては、ルカはまだそういう存在ではなかったと思っています。そうした状況の中で、すでに“セヴン#ス”の内容や実施時期が決まっていたので、改めて斑鳩ルカがどんな存在なのか、楽曲が持っている悲痛さとったところも含めてプロデューサーの皆さんにお伝えする機会を作りたいというのが狙いでした。

――なるほど。5thライブでのもうひとつの大きなトピックとして、テレビアニメ化も発表されましたね。

アニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」ティザーPV

高山お待たせいたしましたが、2024年春にテレビアニメを放送させていただくことになりました。2023年10月には、全国の劇場で先行上映という形でプロデューサーの皆さんにいち早くご覧いただける機会もご提供できることになりました。ですので、いち早くチェックしたいという方は、劇場の大画面でご覧いただければ幸いです。アニメの内容としましては、283プロの初期4ユニット16人にフォーカスを当てた物語となっています。ここは制作陣でも悩んだところですが、初期のアイドルに焦点を当てることを選んだ理由としましては、アニメを通じて『シャニマス』を知っていただく方もいらっしゃるだろうなというのが大きな理由のひとつです。

 すでにアニメの中で時が進んでアイドルたちと旧知の仲となっていると、アニメで初めて『シャニマス』に触れる方が没入してご覧になれないかなと。既存のプロデューサーさんはもちろん、新規で『シャニマス』を知っていただく方にも、同じスタートラインでアイドルたちとともに時間を歩んでほしいなという想いがあったので、アイドルたちと出会って、16人のアイドルたちをプロデュースしていく物語を丁寧に描こうと決めました。

――アニメ化プロジェクトは、どういった経緯で動き出されたのでしょうか?

高山じつは、『シャニマス』の企画初期からいつかアニメ化をしたいということは考えていました。ただ、ひとくちにアニメを作るといってもたいへんな労力と時間が掛かってしまうのが現実です。

 今回アニメ制作を務めていただくポリゴン・ピクチュアズさんに相談に伺った際、実現に向けて前向きにとらえていただいたことをきっかけに、プロジェクトがどんどん具体化していきました。そこから詰めていく中で、監督のまんきゅうさん、脚本の加藤陽一さんなど、いろいろなスタッフの方々とお話をしながら、どのような内容を描くべきなのかという話を始め、ついに発表に辿り着いたという流れになっています。

 アニメチームの皆さんとはかなり長い付き合いになっているだけに、感慨深いですね。

――企画初期からの目標がついに実現したのですね。それでは最後にプロデューサーの皆さんへのメッセージをお願いします。

高山『シャニマス』は、5周年という大きな節目を迎えようというとしています。5周年という数字はプロデューサーの皆さんに支えていただかなければ実現できないような長い時間です。ただ、節目だからといって、ここがゴールというつもりはまったくなく、2023年4月からは『シャニマス』のブランドロゴも変え、一層新鮮な気持ちでさまざまなコンテンツや取り組みを進めていきたいと思っております。ゲームはもちろん、テレビアニメ、ライブやタイアップなどの取り組みもより一層広げて、飛躍の年にしていきたいと思っていますので、引き続きプロデュースをお願いします。