編集者がサクセスへの情熱を語る その2

 “サクセスモード”は20年の歴史のなかで、多くの人間を魅了してきた。それは、ファミ通『パワプロ』班も例外ではない。メンバーは入れ替わり、世代交代しつつも、サクセスへの熱量はずっと変わらない。サクセス20周年ということで、歴代の『パワプロ』班にサクセスへの情熱やハマる理由など、思いの丈を語ってもらった。
※その1はこちら

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パワプロ12

まだまだあるけど今回はこの3つ!

 思い出は歳とともに美化されたり、良いことも恥ずかしいことも大事なものになっていくものだが、パワプロのサクセスの思い出に関してはそのルールは適応されないようだ。本稿の依頼を受け脳内を遡ってみたが、いま思い出しても血管がブチ切(以下自粛)。やはり、100の屍の上にひとりの誌面を飾るような選手が生まれるサクセスモードでは、自粛せざるをえないエピソードは枚挙にいとまがない。とはいえ、そんな話をしだすとキリがないので、ここでは比較的穏やかな事例を挙げていきましょう。となると、思い出すのは“栄冠ナイン”“ミーティング理論”“水道管工事”の3つだろうか。

 まず栄冠ナイン。『パワプロ14』で初登場したこのモードは、一瞬でパワプロ班のメンバーを虜にした。そもそも野球好きが多いうえに、毎年攻略本の制作作業が夏の甲子園大会と同時期に行われていたこともあり、いつもは試合を見ながらサクセスしていたのだが、これが栄冠ナインになった。そういえばこの作業のせいで俺たちの夏休みって……いややめておこう。話を戻します。栄冠ナインの内容については最新作で確認していただくとして、異様な中毒性とやめどきのなさから、夜を徹してパワプロ班メンバーの野球部は甲子園、そして名門校になることを目指した。そう……サクセスがまったく手につかないレベルで! 大問題である。攻略本の中で多くの紙幅を割くのはやはりサクセスの攻略やデータ関連。栄冠ナインは言ってしまえば副菜だ。つまり攻略本の制作が1ミリも進まない状況。

 栄冠ナイン禁止令が出た。発令したのは現ファミ通編集長で当時チームをまとめていたフランソワ林。当然すぎる禁止令に、異を唱える者はいなかったと思う。むしろ、さっさと作業を終わらせて栄冠ナインに戻るという邪なモチベーションが生まれ、例年以上に作業がはかどった記憶がある。

 つぎに“ミーティング理論”。『パワプロ13』において、ひたすらミーティング練習をくり返すことで強力な選手を育成できるこの方法論。じつは、ファミ通の中でのこの理論の最初の提唱者が俺だったんですよ。ただそれを自慢したいだけの思い出話です。そういえば、スレイブ間々田を筆頭に試合操作(おもに打撃)が苦手で、あまりいい選手を育成できずにいたポンコツ軍団が、続々とスーパー選手を送り出して周囲を驚かせたのもこのときだったと記憶している。

 最後は“水道管工事”。これは、『パワプロ12』で俺が担当していたシナリオ“奇跡を起こせ!プロテスト編”でできるアルバイトだ。このシナリオではアルバイトや人員捜索といった特殊な行動が攻略のキモで、効率を突き詰めた結果、育成開始最初の一手で水道管工事のアルバイトをするのが俺理論だった。ところがこの水道管工事、確率で水道管が破裂するという事故が起こり、やる気ダウン、バイト代の減額などさまざまなマイナスが発生する。当然育成は終了だ。決着が早いという点ではさしてダメージはないのだが、初期能力の厳選なども行っていたため、連続で水道管が破裂するとただひたすら選手の初期設定をしているだけになるという惨状に。加えてこのことが強く思い出として残っている理由として、シナリオのスペック的に育成できる選手能力の上限が低く、ほかのシナリオが主流だったというのがある。やはり誌面や攻略本に自分の育成した選手が掲載されるのが目標なわけだが、このとき俺はほとんど選手を送り出していなかったと思う。のちに発売された決定版では大幅な上方調整が行われ、最強クラスのシナリオになったのだが、これも俺にとっては忘れたころに水道管工事を思い出すという追い打ちとなった。河川敷ミラクルズ万歳!

 というわけで長々と語ってきたが、多くの思い出があるということはそれだけの時間を『パワプロ』に費やしてきたということ。なぜそんなに時間を割けるのかといえば、そりゃおもしろいからだ。『パワプロ』が発売されたら遊ぶ。俺にとってはそれが当たり前で最初に出会ってからいままで、ずっと変わらないこと。もしかしたら、これらの体験はまだ思い出というものになっていないのかもしれない。美化されてもいなければおぼろげな記憶でもなく、鮮明に覚えているからね。
(text by 佐治キクオ)

パワプロ狂しか知らない感情がある

 目指すは最強の選手。シリーズファンなら周知の事実だとは思うが、その道のりは長く険しい……。

 いくつか例を挙げよう。大事なタイミングに限って起こるケガに絶叫する。ランダムイベントの結果に思わずコントローラーを叩きつける。試合でポテンヒットを打たれて怒声を上げる。育成終盤で肩爆弾が爆発してしばらく呆然とする。……など、思い通りにいかないことばかり。ふつうにプレイしていれば楽しいだけだが、最強を目指し始めると苦しいことも少なくない。

 それでもサクセスを止めないのは、思い描いた選手ができたときの感情を知ってしまったから。この感情を味わいたいがために、世のパワプロ狂たちは、今年も終わりなき旅へと歩を進めるに違いない。イベントに激怒し、試合に絶望し、数え切れない落胆の先に、奇跡が訪れる。これがサクセスだ。(text by ヴァニラ近藤)

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実況パワフルプロ野球2016

実況パワフルプロ野球2016

ハード:PS4、PS3、PS Vita
発売日:2016年4月28日発売予定
価格:PS4版:7980円[税抜](8618円[税込])、DL版同価格
PS Vita・PS3版:6980円[税抜](7538円[税込])、DL版同価格

一般社団法人 日本野球機構承認 日本プロ野球名球会公認 (公社)全国野球振興会公認 プロ野球フランチャイズ球場公認 ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2015年プロ野球ペナントシーズン中のデータを基に制作しています。 データ提供: スタッツ・ジャパン ©Konami Digital Entertainment

実況パワフルプロ野球サクセススペシャル

実況パワフルプロ野球 サクセススペシャル

ハード:PS4、PS3、PS Vita
配信日:2016年4月28日配信予定
価格:基本プレイ無料

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