編集者がサクセスへの情熱を語る その1

公開日時:2016-04-26 12:55:00

 “サクセスモード”は20年の歴史のなかで、多くの人間を魅了してきた。それは、ファミ通『パワプロ』班も例外ではない。メンバーは入れ替わり、世代交代しつつも、サクセスへの熱量はずっと変わらない。サクセス20周年ということで、歴代の『パワプロ』班にサクセスへの情熱やハマる理由など、思いの丈を語ってもらった。

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パワプロ10

“そこのお前”との真剣勝負

 『パワプロ』といえば実技試験でしょ! 厳格な監督に「20点以上で合格だ!」とか言われると、もうゾクゾクしちゃう! 

 一部のシリーズでは試験の内容によって特殊能力が取得できたりして、「試験でパワーヒッターとアベレージヒッターと広角打法を取得しないと損」というセオリーがオレの細胞レベルまで流れている。キレッキレのスライダーを投げてくる“そこのお前”や球仙人(とにかく球種がすげえ豊富なピッチングマシン)との対戦は、猪狩君との一打席対決に勝るとも劣らない名勝負だったね。で、試験や試合がすべてうまくハマると、ほかのシナリオではまず生まれないような怪物選手が誕生する。

 これがまた最ッ高に気持ちいいんだよ。ただ、学生時代はサクセスの試験に夢中になりすぎて、勉強の試験は失敗だらけだったけどな。(text by ジャスト野島)

エース不在の日々

 「お前のチームにはエースがいない!」
 
 16年前、いつものようにペナントを回して結果を見ていると、そうアドバイスされた。ふむふむ。『サクセス』はやるが野球の知識がさっぱりなオレは、強い投手がいないってことだろうな、となんとなく思っていた。

 「まずは名前だ」

 えっ? どうやらエースに必要なのは選手能力だけじゃないらしい。選手の名前はみんなテーマに沿ったものを付けていて、オレはというと前田や三好など、身近にいない苗字にしていた。たしかに、みんなコイツはこういう選手、という選手像があるっぽい。よし、うちのエースは一条だ。どすこい酒造でSスライダー取得を狙おう。

 「うむ、エースっぽい」

 ゴーサインが出た。ここからひたすら一条の育成が始まった。当時はスライダー、カーブ、フォーク、シンカー(スクリュー)、シュート以外の変化球は、イベントで取得するもので、なかなかのレア。どの方向の変化球がSスライダーになるかもわからなかったので、スライダーとカーブを持ち球にした一条を育成し続けた。

 しかし、能力の高い選手はおろか、Sスライダーの取得もできず、ただただ凡庸な一条が大量生産された。結局、一条が完成することはなく、以降のシリーズでも一条は大成せずにいた。

 そして2006年、オレ史上最高の投手が完成する。天才として生まれ、パワフル高校でミーティング漬けの日々を送り危なげなく育成を完了。球速、変化量、特殊能力、もうこれ以上の投手はできないだろう! 

 彼の名は黒崎。現在。いまだエース一条は完成していない。(text by 間々田 武)

パワプロ狂しか知らない感情がある

 目指すは最強の選手。シリーズファンなら周知の事実だとは思うが、その道のりは長く険しい……。

 いくつか例を挙げよう。大事なタイミングに限って起こるケガに絶叫する。ランダムイベントの結果に思わずコントローラーを叩きつける。試合でポテンヒットを打たれて怒声を上げる。育成終盤で肩爆弾が爆発してしばらく呆然とする。……など、思い通りにいかないことばかり。ふつうにプレイしていれば楽しいだけだが、最強を目指し始めると苦しいことも少なくない。

 それでもサクセスを止めないのは、思い描いた選手ができたときの感情を知ってしまったから。この感情を味わいたいがために、世のパワプロ狂たちは、今年も終わりなき旅へと歩を進めるに違いない。イベントに激怒し、試合に絶望し、数え切れない落胆の先に、奇跡が訪れる。これがサクセスだ。(text by ヴァニラ近藤)

間口が広く、底なし沼のように深く遊べる、魔法のようなゲーム

 いやいや、『パワプロ』の思い出をマジメに腰据えて書き始めたらヤバいって。本当に終わらない。ほかの仕事に支障が出るレベル。これも仕事だけど(笑)。で、どうすっかなーと考えた結果、箇条書きでつらつらと思いだしていきます。それでは!

■チームの選手の名前が全員「林」事件
 『パワプロ6』にて。サクセス選手だけでオリジナルチームを作り、リーグ戦を回して一喜一憂するというのがファミ通独自の“『パワプロ』遊び”だが、その創世記に勃発した事件。どの「林」が活躍したのかさっぱりわからなくて頭を抱えた。つーか俺がバカだった。

■ニンテンドウ64用コントローラーを捻じり切る事件
 『パワプロ2000』にて。ついカッとなってグィィィィィイイイイイって捻じったらパカってなった。止められなかった。ここには書けない暴言もセットだった。反省。でもしょうがなかった(笑)。

■うっかりリアル彼女の名前でサクセスを始めたら160キロAA総変14の投手が完成
 これも『パワプロ2000』。確か、たんぽぽ製作所で育成(そういえば、たんぽぽのサクセスはめちゃ長かったなー)。まさかこんなエース級の投手ができるとは思わなかった。翌日みんなにイジられる。彼女はその後奥さんに(笑)。

■ヤングチーム対アダルトチーム抗争勃発
 ヤングチーム(フランソワ林、トマト杉原、いーです井手)とアダルトチーム(エディ是枝、風のように永田、マクニール石井)に分かれ、それぞれの選りすぐりの選手をもとにチームを構成。当時の会社の地下スタジオで、おもに金曜日深夜、酒を飲みながら観戦モードによる自動対戦を楽しむ遊び。あのときの盛り上がりは尋常じゃなかった。「ピザーラお届け!」の名言はここで生まれた。

■カミカゼ長田宅にてリアルドラフト遊び
 上記メンバーを中心とした『パワプロ』好き編集者が、カミカゼ長田のマンション内の共有ルームに集まって、ドラフトと同様にくじを引いて、選手を指名して……をくり返してチームを作り、最終的にはそれでリーグ戦を回して順位を決める遊び。投手からいくか、4番からいくか、捕手からいくかなど、それぞれの野球観がドラフトの指名選手に表れておもしろかった! あと、カミカゼ長田が作るキムチ鍋は絶品。

■ずっと会社にいる事件
パワプロ12』の週刊ファミ通誌面と攻略本の編集担当していたんだけれど、その作業時期が見事に丸かぶりして(当たり前)、1ヵ月くらいほぼずっと会社にいた。そしたら心配した奥さんが会社にきて、ドーナツをスタッフに差し入れして帰っていった。ちょっといい話風(笑)。あれはあれで楽しかったけど、二度とごめん(笑)。

■『パワプロ』全国大会を急きょエンターブレインで行った事件(事件じゃない)
 KONAMI主催の『パワプロ』全国大会が、確か水道橋の東京ドーム付近の屋外エリアで開催されていたんだけど、暴風雨でどうにも継続が難しくなり、急きょエンターブレイン内の会議室に場所を移して最後まで実施したことがあった。ふつう、そういうことってあまりないんだけど、あのときは参加者の皆さんも、関係者の皆さんも、もちろん僕らも、全員が一致団結して、誰も文句も不満も言わず、大会を続けたいがために「えいや!」と大移動してセッティングした記憶がある。そんな昔の話ではないけれど、いい時代だった(笑)。

 あれ? こういう感じのネタでいいんだっけ? まーいいか(笑)。とにかく、僕たちは『パワプロ』という秀逸なゲームをもとに、自分たち流の遊びをいっぱい作って、とにかく遊び倒したなーと思っている。あれは、みんな若かったから、みんな野球と『パワプロ』が好きだったから、遊びに貪欲だったから、時間をいっぱい使える余裕があったからとか、いろいろなタイミングが重なったからこその幸せな時間だった。ちょっと寂しいけど、いまはもう、あんなことはできない。でも、スペシャルな思い出として自分の中に刻まれている。ぜひ、皆さんも、自分流の遊びかたで、『パワプロ』を思い思いに楽しんでほしい。『パワプロ』は間口が広く、底なし沼のように深く遊べる、魔法のようなゲームです。みんなー、『パワプロ』しようぜ!(text by フランソワ林)

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実況パワフルプロ野球2016

実況パワフルプロ野球2016

ハード:PS4、PS3、PS Vita
発売日:2016年4月28日発売予定
価格:PS4版:7980円[税抜](8618円[税込])、DL版同価格
PS Vita・PS3版:6980円[税抜](7538円[税込])、DL版同価格

一般社団法人 日本野球機構承認 日本プロ野球名球会公認 (公社)全国野球振興会公認 プロ野球フランチャイズ球場公認 ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2015年プロ野球ペナントシーズン中のデータを基に制作しています。 データ提供: スタッツ・ジャパン ©Konami Digital Entertainment

実況パワフルプロ野球サクセススペシャル

実況パワフルプロ野球 サクセススペシャル

ハード:PS4、PS3、PS Vita
配信日:2016年4月28日配信予定
価格:基本プレイ無料

阪神甲子園球場公認 ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2015年のデータを基に制作しています。 ©Konami Digital Entertainment