2022年1月28日~30日の3日間にかけて、さまざまなゲームタイトルの大会、eスポーツにまつわるステージイベント、セミナーなどが行われた“東京eスポーツフェスタ2022”。本記事では開催2日目の1月29日に行われた『グランツーリスモSPORT』の決勝大会の結果と、優勝選手のインタビューをお届けする。

※『グランツーリスモSPORT』決勝大会は0:24:06ころより。

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レースの最終盤まで続いたせめぎ合いを制したのは……

 この日行われた決勝大会には、2021年12月に行われたオンライン1次予選、2次予選を突破した以下の8名が参戦。東京をモチーフにしたコース”東京エクスプレスウェイ 南ルート”を舞台に、グリッド順を決定するタイムトライアル(10分)、同コースを15周走る決勝レースで激突した。

・東京eスポーツフェスタ2022 『グランツーリスモSPORT』決勝大会出場者(※予選を突破した際の順位順、敬称略)

  • EDGE
  • 宮園拓真
  • とかり
  • 瀬川彰斗
  • CRV
  • よしたか
  • 石水優夢
  • ヒットマン
【グランツーリスモSPORT】トッププロから10代レーサーまで国内屈指の8選手が集結し、ファイナルラップまで白熱のバトルを展開【東京eスポーツフェスタ2022】
開催直前に新型コロナウイルスの感染者が急増した影響で、決勝戦もオンライン開催となった本大会。予選を突破した8選手は自宅から参戦。
【グランツーリスモSPORT】トッププロから10代レーサーまで国内屈指の8選手が集結し、ファイナルラップまで白熱のバトルを展開【東京eスポーツフェスタ2022】
現地会場から実況を担当したスポーツキャスターの村田晴郎氏(写真左)と、解説を担当した山中智瑛選手(写真右)。
【グランツーリスモSPORT】トッププロから10代レーサーまで国内屈指の8選手が集結し、ファイナルラップまで白熱のバトルを展開【東京eスポーツフェスタ2022】
決勝大会のレギュレーション。解説の山中選手いわく、使用コースの東京エクスプレスウェイ 南ルートは、長い直線とその後に待ち構えているコーナー、シケインがポイントになるコースとのこと。

 決勝レースのグリッド順を決めるタイムアタックでは、タイヤの減りを気にする必要がない点が有利に働くプジョー VGT GR.3を駆るCRV選手、宮園選手がまずは好タイムを叩き出す展開でスタート。

 しかしすぐに本番での加速力、安定性を買ってGT-R ニスモ GT3 N24 Schulze Motorsporを選んだはずの、とかり選手、EDGE選手がプジョー勢を上回るタイムを出して逆転に成功する。この構図はタイムアタックが終了するまで崩れることはなく、とかり選手がポールポジション、EDGE選手が2位を獲得。その後ろ(3位)に前年優勝者の宮園選手が控えるという結果に落ち着いた。

【グランツーリスモSPORT】トッププロから10代レーサーまで国内屈指の8選手が集結し、ファイナルラップまで白熱のバトルを展開【東京eスポーツフェスタ2022】
【グランツーリスモSPORT】トッププロから10代レーサーまで国内屈指の8選手が集結し、ファイナルラップまで白熱のバトルを展開【東京eスポーツフェスタ2022】
タイムアタックは8台が同時に走る形式で実施。そのためレース本番と同様に、敵車の後ろについてスリップストリームを活用するといった駆け引きが存在した。

 タイムアタック終了からノータイムで始まったレース本戦は、完璧な立ち上がりを見せたとかり選手が、後続にスリップストリームを使われる心配がない距離を取ったうえでトップを確保。単独で先頭を走るとかり選手のGT-Rを、CRV、宮園、EDGEの3選手が互いを牽制しつつ追うという展開で開幕した。

 上位陣で動きがあったのは5周目。EDGE選手がわずかなミスでトップ集団から脱落する。しかしトップ集団で踏ん張るCRV選手、宮園選手のプジョー勢は、7、8周目あたりからコンマ何秒ではあるがとかり選手を上回るラップタイムを出し始め、じょじょにとかり選手との距離を詰めていった。

【グランツーリスモSPORT】トッププロから10代レーサーまで国内屈指の8選手が集結し、ファイナルラップまで白熱のバトルを展開【東京eスポーツフェスタ2022】
タイムアタック、本戦ともにレースを牽引したとかり選手は若干16歳。今大会は決勝に進出した8名中5名が10代という、若手プレイヤーの台頭が目立った戦いでもあった。

 レースの最終盤まで続いた3選手のせめぎ合いは、14周目に入ろうかというポイントでとかり選手がペナルティ(シケインを抜ける際にコースから脱輪。0.5秒の減速を要求される)を受けたことで、大きく動く。とかり選手のペナルティ発生とCRV選手、宮園選手がしかけるタイミングがほぼ一致した結果、14周目の後半で3台が並んで先頭を奪い合うデッドヒートが発生。ここで道中もっともタイヤを温存して走行できていた宮園選手がCRV選手、とかり選手をまとめて抜き去った。

 勝負が決まるファイナルラップ、15周目の前半は、宮園選手、とかり選手、CRV選手の並びで進行。じょじょに宮園選手優勝の気配が漂ってくるものの、中盤に存在する大きく減速する必要があるコーナーに差しかかったポイントで、とかり選手が+0.5秒のペナルティを消化。さらにそのまま宮園選手を抜いて先頭に返り咲くと、ここから最終コーナーまではめまぐるしく1~3位が入れ替わる展開に。そして最終的にこの混戦を制してトップを取ったのは、宮園選手。終始安定した走りを見せ、東京eスポーツフェスタ『グランツーリスモSPORT』部門2連覇を達成した。

【グランツーリスモSPORT】トッププロから10代レーサーまで国内屈指の8選手が集結し、ファイナルラップまで白熱のバトルを展開【東京eスポーツフェスタ2022】
安定した走りとラスト2周での絶妙なしかけで勝利をもぎ取った宮園選手。

東京eスポーツフェスタ2022『グランツーリスモSPORT』部門優勝 宮園拓真選手インタビュー

【グランツーリスモSPORT】トッププロから10代レーサーまで国内屈指の8選手が集結し、ファイナルラップまで白熱のバトルを展開【東京eスポーツフェスタ2022】
宮園拓真選手。

――優勝おめでとうございます。月並みですが、まずは優勝したいまの気持ちからお願いします。

宮園はい。この大会で連覇できる立場なのは去年も出場して優勝している自分だけだったので、練習しているときから連覇というのは意識していました。でも今日は自分のレース中のペースがよくなくて、正直ほかの選手のほうが速かったと思うのですが、経験の差というか、ベテランの……ベテランというほどではないんですが(※宮園選手は22歳。しかし国内外の大会経験は豊富)、年の差が出たのかなとは思います。

――今日のようなハイレベルなプレイヤーどうしが戦うレースゲームの大会は、逆転が起こりづらい印象があります。終盤に入るまでとかり選手、CRV選手の後ろを走る展開でしたが、焦りはありませんでしたか?

宮園序盤にとかり選手が先頭、CRV選手の後ろでぼくが3位というフォーメーションになったと思うのですが、何周か走っているうちに差は詰まっていっているのは感じられていました。だからこのまま走っていれば最後にはなんとか追いつける、優勝するチャンスは訪れるのではないかとは思っていました。

 ただ正直中盤のあたりで、思ったより差が詰まらない時間帯があって、そこで焦る気持ちはありました。でもそこで焦る気持ちを表に出してバトルをしかけてしまうと、お互い(CRV選手と自分との)ペースが遅くなってしまって離されてしまうんですよ。そうするともっと優勝するチャンスが減るので、ここはグッと耐えようとガマンしました。

――外から見た印象だと、7、8周目はかなりいい感じでしたが、9周目のシケインでちょっとまた離されてしまったかなと思いました。

宮園まさにその通りで、あそこは焦ってしまいそうになりましたね。そこで耐えられたのが、最後にしかけられて勝てた要因かなと思っています

――今回の大会は運転する車種をある程度自由に選べたかと思うのですが、プジョー VGT GR.3を選んだ理由は?

宮園グループ3の中からなら自由に選べました。プジョーを選んだ理由はすごい直線が長いコースでのレースだっただからです。グループ3の中で直線の速いクルマの中で、一番速いタイムが出せたのがプジョーだったので。

――決勝に出た選手のチョイスを見ると、今日はプジョーかGT-Rのどちらかに乗って戦うのがベターという感じでしたよね。

宮園そうですね。GT-Rはタイヤが摩耗したときでもいい走りができるので、プジョーより決勝向きのクルマでしたね。予選(タイムアタック)はタイヤの摩耗がない設定だったので、プジョーのほうがちょっと優位だったと思うのですが。予選で前に立っていいポジションを取りたいという人はプジョー、決勝でいいレースがしたい人はGT-Rを選んだのかなと。

――宮園選手はタイヤが摩耗した際のコントロールに自信があったからプジョーを選んだ部分もあった?

宮園そうですね。自分はほかの人と比べてタイヤの扱いが得意な部類ではあるので、そこはなんとかなるのかなとは思っていました。ただ、予選の段階でGT-R2台に前に出られたときはちょっとどうしようかなと思いました(笑)。

――あと今回は直前に大会形式がオフラインからオンラインに変わったりしましたが、戸惑いを感じた部分はありましたか? 宮園選手は競技大会の経験が豊富なので、そのあたりで困ることはないかもしれませんが……。

宮園オフライン大会に出始めた4年前なんかは、家との環境の違いに戸惑ったこともありましたが、いまとなってはオンラインだろうが現地での試合だろうが、自分のベストに近いパフォーマンスを出せるようになりました。今回は直前の変更でしたけど、ほかの選手より場慣れしているという部分で、むしろ有利になったのかなとも思いました。

――本日はありがとうございました。最後に2022年の競技シーンへの意気込みなどありましたらお願いします。

宮園今年はいよいよ3月に『グランツーリスモ7』が発売される予定なのですが、自分は就職するんですよ。だからなんとか仕事をしっかりこなしたうえで、『グランツーリスモ』の世界でもいままで通り大会に参加して、優勝もしていくという状況を作れるように、精一杯がんばっていきたいと思います。

東京eスポーツフェスタ2022リポート記事はこちら

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※画像は配信をキャプチャーしたものです。