『龍が如く7』とはどんな作品なのか?

 いよいよ2020年1月16日に発売となる『龍が如く』シリーズ最新作、『龍が如く7 光と闇の行方』(PS4)。2019年8月の記者発表会時には、バトルシステムがコマンドRPGになることに大きな注目が集まった同作だが、その後に開催された東京ゲームショウ2019でのブース出展や、現在も配信中の先行体験版を始め、多くの追加情報が公開される中で、その姿が明らかになってきている。

 とはいえ、従来作からかなり変更点も多い作品だけに、そのプレイフィールについて気になっているというゲームファンも少なくないはずだ。以下では、物語の第六章までをプレイ範囲とした先行レビューをお届け。果たして、新たな『龍が如く』はどうなっている……!?

重厚かつ熱いドラマはシリーズ従来作を踏襲

 すでにセガゲームス公式や各種媒体の生配信等でも公開されているので序盤の展開について触れるが、本作は作り込まれた大衆演劇の場面からドラマの幕が上がる。ここから展開される荒川真澄(出演:中井貴一)の過去と春日との出会いの物語は、圧倒的な見応えとなっている。また、荒川組の若頭(2000年当時)沢城丈(出演:堤真一)や、真澄のひとり息子・荒川真斗(声:鳥海浩輔)の佇まいも素晴らしい。

第一章の実機プレイは36分55秒から

 春日一番という主人公は、これまでの桐生一馬と比べると快活で、やや軽い印象を受けるかもしれない。なので、物語も「少し軽いのかな?」と思いがちなのだが、この豪華俳優キャスト・声優陣がそれぞれに凄みを見せる冒頭の展開は、そうした予想をいきなり打ち崩してくれる。

 また、それに続く春日一番という人物の掘り下げも、彼の印象を少なからず変えるはずだ。「『龍が如く』シリーズはやっぱり桐生さんじゃないと」という声が上がるのも十分に理解できるが、まずは『龍が如く7』の紛うことなき『龍が如く』らしさを味わってみてほしい。

王道RPG×現代劇が生み出すバトルの魅力

 率直に言うと、ゲーム序盤では強敵と呼べる相手と対峙する場面がほぼ無いこともあり、RPG的なバトルの駆け引きの醍醐味を味わう機会は少ないかもしれない。ただそれは、前述のとおりゲーム冒頭で新主人公・春日一番の人物像やドラマの背景を掘り下げることに注力しているためで、序盤の時点で本作のバトルの面白さを評価するのはじつにもったいないことだ。

 RPGとしての面白さは、舞台が横浜・伊勢佐木異人町に移り、ホームレスのナンバ(出演:安田顕)や元刑事の足立宏一(声:大塚明夫)、雇われママの向田紗栄子(声:上坂すみれ)といった仲間たちが集まり、ハローワークでの転職が可能になってからが本番と言える。

『龍が如く7 光と闇の行方』レビュー。RPGになった『龍が如く』って結局どうなの? 気になるプレイフィールをお届け_12
街をうろつく敵の中には“ローションまみれ”のような奇天烈な者も。

 本作の仲間たちにはそれぞれ職業(ジョブ)があり、キャラクターごとに固有のジョブと、一定の条件を満たせば転職できるジョブが存在する。各キャラクターにはステータスの成長度合いに違いがあり、また、ジョブごとにレベルアップの結果習得できる技にも違いがあるので、これらを組み合わせて最強のパーティを目指すことが目的のひとつとなる。

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 このパーティ育成だが、ジョブを一定のクラスまで育てると他のジョブに転職しても持ち越せる技が存在するのが味噌。たとえば、味方のHP回復や戦闘不能状態を回復できる、いわゆる“僧侶タイプ”の技を習得したあとに“戦士タイプ”のジョブに転職することで、回復補助的な立ち回りも可能なアタッカーが生み出せるというわけだ。

 攻撃技にも打撃系や刃物系、魔力攻撃といったバリエーションがあり、敵単体を攻撃するものや敵全体を攻撃できるものなど種類も豊富なので、自分好みのパーティを作り上げる楽しさがある。もちろんこれらはRPGとしてはごく一般的な要素かもしれないが、現代を舞台に、実在する職業でこれを行うのはなかなか珍しい体験と言えるだろう。

 今回のレビューではごく限られた仲間&ジョブのみの組み合わせだったが、それでも十分にパーティ編成の楽しみを味わえた。作品のどこかではハン・ジュンギ(声:中村悠一)や趙天佑(声:岡本信彦)といった人物が仲間に加わることが明らかになっているので、パーティ編成のおもしろさがさらに高まることは予想に難くない。

常軌を逸したボリュームが用意された遊びの玉手箱

 とかくバトルシステムに注目が集まりがちな『龍が如く7』だが、実際に製品版相当のバージョンを触ってみて実感するのは、その圧倒的な“遊び”の幅広さだ。『龍が如く』シリーズといえば、もともと膨大な数のプレイスポットや奇想天外なドラマが展開されるサブストーリーといった本編とは異なる遊びがふんだんに盛り込まれてきたが、本作ではさらに物凄いことになっている。

 第六章までの範囲で個人的にドハマりしたのは会社経営。物語の中で春日は一番製菓という傾きかけた和菓子会社の令嬢・えりに出会うのだが、これをきっかけに社長として会社経営を任されることになる。会社経営的な要素は『龍が如く0 誓いの場所』などにも登場したが、本作ではさらに本格的なものに。

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会社経営の要となる株主総会。優秀な社員を揃えて質疑応答を乗り切れ!

 雇い入れた従業員を育成し、買収した物件に配置。日々の営業で利益を出しながら、株主総会で質疑応答バトルに挑む遊びは、多額の役員報酬がもらえることもあってメインストーリーの進行を止めてしまうほどの中毒性。怪しい投資話に乗って大損をしたり、有望な新入社員の登場に歓喜したりと、忙しい毎日を過ごすことができる。経営シミュレーションが好きな人はこれだけでもどっぷり遊べてしまう内容だ。

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忙しい会社経営の合い間には、仲間たちと交流を深めたりも。無一文で異人町に放り出された当初はおにぎり1個買うのも躊躇するほどだが、うまく会社を経営して所持金が増えると、タクシー移動で遊興施設を回る余裕もできてくる。メインストーリーそっちのけで、充実した異人町ライフを楽しむことも!

 2020年1月9日配信のファミ通LIVEでは、会社経営について龍が如くスタジオの横山昌義氏、堀井亮佑氏が実機プレイを交えて詳細を解説してくれているので、気になる人はチェックしてほしい(映像の後半には、かなりキャラが育った状態のバトル実機プレイもアリ)。

会社経営の実機プレイは34分30秒から

すべての遊びが成長につながる!

 そのほかにもパチスロやキャバクラ遊び、ゴルフ、バッティングセンター、名画座での映画鑑賞などから市街地を爆走するドラゴンカートまでじつに多種多彩な遊びがあるのだが、本作の優れた点はそうした寄り道のほぼすべてに春日一番やパーティの仲間を強くするメリットが用意されていることだ。

 メリットの種類は、貴重なアイテムや武器・防具をゲットできたり、春日の人間力と呼ばれるパラメーターを上昇させたり、仲間たちとの絆を深めたり、といったところ。

 人間力や絆のパラメーターは、転職できるジョブの解放やバトル中の仲間の行動にも深く関わる。つまり、各所で遊びまわって遠回りに思えることが、じつは戦力アップの近道だった、ということも出てくるというわけだ。街遊びの進化は『龍が如く』シリーズを通じてユーザーが楽しみにしてきたポイントだと思うが、『龍が如く7』ではまた新たな次元に足を突っ込んでいるように感じられた。

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仲間たちをともなっての街遊びが、絆や人間力のアップにつながる!

大注目作の発売は2020年1月16日!

 というわけで、本作の序盤~中盤をプレイして感じたことを書き連ねたが、まったく新しい要素を盛り込みつつも、想像以上に『龍が如く』としての佇まいは変わらない内容であることを改めて強調しておきたい。

 また、強敵に挑む際のパーティ構成やキャラクターの育成方針、金策方法など、プレイヤーによって遊びかたに幅が出る作品になると思われるので、発売後にはそれぞれのプレイ体験について語り合うと、本作の魅力をより深く理解できるはずだ。

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