注目の『龍が如く7』がプレイアブル出展!

 2019年9月12日(木)~9月15日(日)の期間(一般公開日は9月14日・15日)で開催される東京ゲームショウ2019。このイベントのセガゲームスのブースには、2020年1月16日発売のPS4ソフト『龍が如く7 光と闇の行方』がプレイアブル出展されている。主人公や物語の舞台が一新され、さらにバトルシステムが大きく変わったことで話題の同作は、多くのゲームファンが注目するタイトルだ。以下ではその試遊内容を紹介していく。

・ファミ通.com”TGS 2019情報まとめ“特設サイト
『龍が如く7』のコマンドバトルをTGSで初体験! 激変したバトルシステムはどうなっている?【TGS2019】_01
『龍が如く7』のコマンドバトルをTGSで初体験! 激変したバトルシステムはどうなっている?【TGS2019】_02

『龍が如く7』TGS体験版はこんな内容

 今回のTGS体験版では、大きく分けて“ストーリー体験モード”と“新プレイスポット体験モード”が楽しめる。“ストーリー体験モード”は、その名の通り、『龍が如く7』のメインストーリーのうちの一部を楽しめるというもの。のちほど詳細を記しているが、本作のバトルを楽しみたい! という方もこのモードを選択しよう。

 TGS体験版の“ストーリー体験モード”で主人公の春日一番と行動をともにするのは、元刑事の足立宏一(声:大塚明夫)と、ホームレスのナンバ(声:安田顕)。職にあぶれた3人が横浜・伊勢佐木異人町のハローワークを訪れ、そこで紹介された“乙姫らんど”という風俗店を訪れるという流れになる。それほど大きなイベントが発生するわけではないが、物語を進める中で交わされる3人の掛け合いがおもしろく、ついつい試遊の制限時間を忘れて見入ってしまうほどだ。

 注目すべきは、春日が路上に突き刺さった野球のバットを引き抜くシーン。ファンタジーもののRPGには、どんな力自慢でも引き抜けなかった剣が、伝説の勇者にだけ引き抜ける、というような描写がよく出てくるが、まさにその現代劇版。力自慢の足立でも引き抜けなかったバットを引き抜いたことで、春日の職業が“勇者”へと変わるというわけだ。

『龍が如く7』TGS2019会場でライブコマンドRPGバトルを体感!【TGS2019】

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 もうひとつの“新プレイスポット体験モード”では、“ドラゴンカート”、“サバイバル缶拾い”という完全新規のプレイスポットのほか、本作に収録される実在のパチスロ台『アナザーゴッドハーデス-奪われたZEUSver.-』と『パチスロ蒼天の拳 朋友』を試すことができる。“ドラゴンカート”は、横浜の市街地をコースにして、改造カートで爆走できるレースゲーム。ミサイルランチャーなど、アイテムを使って敵を攻撃できるのが特徴だ。“サバイバル缶拾い”は、制限時間内になるべく多くの空き缶を拾い集める遊び。フィールドには同じく缶拾いをするライバルがおり、彼らやゴミ収集車との衝突を避けながら、より多くの缶を集めることになる。いずれもオマケ的な要素ではあるが、時間が許す限り、こちらも触ってみるといいだろう。

『龍が如く7』新たなプレイスポットを体験プレイ!!【TGS2019】

本作最大の注目ポイント! コマンドバトルのプレイフィールを徹底的に語る!!

(Text by 齋藤モゲ)

 “コマンドバトル化”の発表で、賛否両論巻き起こった『龍が如く7』。週刊ファミ通の記事作成にあたり、インタビューなどでいろいろな話を聞いていたものの……「実際に触れてみないとわからない」というのが正直なところだった。それは、おそらく読者の皆さんも同じだろう。だが今回、東京ゲームショウ2019の試遊台で、その新たなバトルの片鱗に触れることができた。そこでバトルの手触りを中心に、気づいたことをなるべく詳細にお伝えしていこうと思う。なお、途中には筆者の考察を含めた内容もあるが、限られた時間でのプレイだったので、もしも正確でなかった場合はご容赦いただきたい。

 さて、まずはバトルに入るまでの流れから。街歩きの感覚はこれまでの『龍が如く』とほぼ変わらない。少し変わったところがあるとすれば、街を歩いているときにときおり表示される緑色の文字。これが表示されているタイミングでボタンを押すと、仲間たちとの会話が始まった。どうやら、(特定のメンバーがいる状態で?)特定の場所に来ると、こういった会話が楽しめるようだ。雰囲気から言って、コンプリート要素のひとつになっているのかもしれない。

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 閑話休題。街を歩いていると敵の一群が見えることがある。一定以上の距離を保っていれば何も起こらないが、一定距離以内に近づくと「おや?」という感じで敵の頭上に「?」が表示される。これが敵の視界に入った合図。すぐにきびすを返して離れればバトルは回避できるが、「?」が表示されている状態でその場に留まったり、近づいたりするとバトルが始まる。今回の試遊バージョンの仕様の可能性もあるが、これまでの『龍が如く』と違って、橫をすり抜けて進む、といったことはできないようだ。

 バトル開始後は、キャラクターの素早さ順に任意の行動を選択する、いわゆるコマンドバトルの流れになる。ただし、そこには時間の概念や敵味方の位置関係が存在するのが大きな特徴だ。技の演出などでも書きたいことはたくさんあるのだが、まずはバトルのキモになるであろう、前述の2項目からしっかりお伝えしていこう。

 最初に説明したいのは、時間の概念だ。本作のバトルでは、バトルフィールドの様子が刻々と変化する。コマンド待機中に敵の位置が微妙に変わったりすることなどもそれに該当するのだが、プレイしていてわかりやすかったのは、ある種のコンボだ。こちらの攻撃がヒットすると敵がダウンすることがあるのだが、ダウン中にほかの仲間キャラクターの攻撃がヒットすると、どうもクリティカルになる様子(確定なのか、高確率なのかは検証できていないので謎)。しばらく攻撃コマンドを選ばなければ、敵が立ち上がってしまうような感じだったので、ムダな時間を経過させず、連続攻撃することに意味がありそうだった。とは言っても、相手の起き上がり時に重なるように攻撃をしてしまうと、ミスになることも。ミス判定だから起き上がったのか、起き上がりに攻撃したからミスになったのかは定かでないが、敵のアクションや周囲の状況を見ながら、タイミングを見計らってコマンドを決定することが重要になるバトルのように感じられた。

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 つぎに語りたいのは位置関係。通常攻撃の場合、打撃で吹き飛んだ敵の近くに仲間がいると、その仲間がオートで吹き飛んだ敵に追撃する。これは完全なるボーナスダメージで、できるなら毎回出したいところ。しかし、戦闘中に自春日や仲間の位置を操作して動かすことはできないので、意図的に敵の吹き飛び先をコントロールするのは簡単ではない(コツを掴めばできるようになる可能性はある)。ただ、少なくとも仲間の近くにいる敵を攻撃することで、追撃の確率は上げられそうだった。この追撃の要素があるからこそ、「近くに仲間はいないが、体力の減った敵」を先に倒すか、「その攻撃だけでは倒せそうにないが、仲間が近くにいて追撃を狙えそうな敵」を狙うか、という選択肢も生まれてくる。これは、従前のコマンドRPGにはない、本作ならではのものと言えるだろう。

 なお、通常攻撃を選択して味方がターゲットに向かって移動する際、途中にカラーコーンなどのオブジェクトが近くにあると、それを拾って攻撃することもある(春日だけができることなのかも?)。当然そういった攻撃でも敵に与えるダメージが増加するため、敵(=ターゲット)と春日とのあいだにオブジェクトがあるものを優先して倒すという戦術も生まれるだろう。逆に、ターゲットに向かう味方の進路を敵が妨害した場合は、ターゲットへの攻撃がミスになってしまうことも。つまり、敵がいる位置によっては「HPの減った敵を狙って各個撃破する」というコマンドRPGのセオリーのような作戦が、必ずしも有効ではないことがあるのは、なかなかおもしろい。

 そして、時間の概念(=バトルフィールドの状況)と位置関係の両方がガッツリ影響してくるのが“極技”だ。極技には突進や回転など、通常攻撃よりも大きな攻撃範囲を持つものがある。敵の立ち位置のよっては多数を巻き込むことができるので、MPを消費するとはいえ、通常攻撃より遥かに有用。ただし、敵は必ずしもひとところに留まっているわけではなく、微妙に移動する。そのため、タイミング次第では自分の思ったほど敵を巻き込めないということも起こり得るのだ。習得している極技と戦場の状況によっては、敵1体を狙いつつ広範囲に攻撃がヒットするものを使うより、確実に敵全体を攻撃するタイプの極技を使ったほうがいい、などの選択肢が生まれるだろう。

 ここまでの説明でもしかすると何となく察した方もいるかもしれないが、本作のバトルは、“どの敵をターゲットにするかを決める瞬時の判断力が重要なコマンドバトル”という印象。アクションゲームなら無意識にしている人も多いであろう判断を、コマンド入力前にじっくり考えられる、というイメージだ。もちろん直感的にコマンドを選択し、勢いに任せて遊ぶことも可能だが、あれこれと状況を考えながら行動するシミュレーション的なエッセンスも含まれていると筆者は感じている。確かに、これまでの『龍が如く』シリーズのアクションバトルとは異なる快感ではあるが、「これはこれでアリ」という方も決して少なくないバトルシステムではないかと思う。とくに、「アクションは苦手だけれど『龍が如く』の物語が好き」という理由でシリーズをプレイしてきた方には、好意的に受け止められるのではないだろうか。

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 もう1点、『龍が如く』シリーズのバトルを語るうえで欠かせないのがヒートアクションだ。端的に言えば“ド派手な必殺技”のことだが、本作でヒートアクションに代わるド派手さを担っているのが前述の極技と“デリバリーヘルプ”だ。デリバリーヘルプとは、MPを消費する極技と異なり、お金を消費してヘルプキャラクターを“召喚”するというシステム。これが……本当にバカバカしくて最高なのだ。もちろん、極技の中にもユニークなものもある。たとえば、ハトの大強襲という技は、ホームレスのナンバが敵に豆を投げつけ、そこにハトが襲いかかるというもの。これだって大概なのだが、ヘルプキャラクターのそれは度を超していた。

 試遊バージョンで選べたヘルプキャラクターは、敵全体に毒を伴う攻撃をくり出すザリガニのナンシーちゃん、仲間全員のMPを回復する白川清恵、敵全体にダメージを与えるゲイリー・バスター・ホームズの3人(!?)。とくに衝撃的なのがナンシーちゃんで、体長20センチはあろうかというザリガニが何匹か空から降ってきて(どれがナンシーちゃんなのかは不明)、敵の鼻をそのハサミでガッツリ切り裂くのだ(出川哲朗さんでおなじみとなったアレのスゴい版)。……なんてくだらない!(賞賛)。ある意味、これぞ『龍が如く』といった感じである。

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 ちなみに、ヘルプキャラクターはサブストーリーのクリアーで増やすことができるようだ。今回の試遊版では、シリーズファンなら知っているであろう権田原組長のサブストーリーが楽しめ、彼をデリバリーヘルプで呼べるようになった。残念ながら制限時間が来てバトルで呼ぶことはかなわなかったが、きっと最高にくだらない(賛辞)攻撃をしてくれるに違いない。

 バトル関連でもうひとつお伝えしておきたいのは、今回の試遊版でもハローワークでの転職が可能だったということ。そもそもの職業は、春日が勇者、仲間のナンバがホームレス、同じく足立が刑事だったのだが、ハローワークで全員が用心棒、ホスト、ダンサーの3つの職業にできた。用心棒は刀の扱いに長けた職業、ホストは相手の大事なモノを盗むこともできる職業、ダンサーは、ダンストリックで敵を翻弄する職業だ。なお、転職するとバトル時のみ各キャラクターが職業に応じた姿にチェンジする。たとえばホストならキラキラ光るスーツを着ているといった具合だ。また、パラメータはもちろん、極技も個人に依存するもの以外は職業に応じたものに変化していたことを追記しておく。

 と、バトルシステムから笑える要素までをひと通り見て、本作のバトルシステムの概要はおぼろげながら掴めたものの、気になった点がなくもない。今回はシステムを把握しようとじっくり遊んでいるのでまるで気にならなかったが、何度となくバトルをくり返したときのテンポ感がどうなるのか、というところだ。こればかりは短時間のプレイでは判断するのが困難なので、何とも言えず。もちろん、すべてのバトルで前述のように戦術を考える必要はなく、攻撃コマンド連打で乗り切ったり、オートで済ませたり、逃げることだって可能だ。ゆえに、そこまでテンポが損なわれることはないと思うのだが……。まあ、これまでの『龍が如く』でもザコと戦っている時間というのはそれなりにあったわけで、実際に遊び続けるとそれと同じくらい変わらない感覚になる可能性もある。

 本作においても、かつてのアクションバトルの『龍が如く』を期待していた人がいることは重々承知。だが、くり返しになるが「コレはコレ」としてけっこう楽しめそうなバトルにはなっているのだ。ジャンル変更のショックで拒絶反応を示したい気持ちはわからなくもないが、東京ゲームショウ2019で本作のバトル触れて、冷静に判断を下してほしいと切に願う。