運営チームにインタビュー。原作の壮大な世界観を忠実に再現しつつ、ストラテジーとしてのゲーム体験との融合について訊く

ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』の開発者にインタビューを実施。原作の舞台となる“中つ国(ミドルアース)”のさまざまな再現に加え、ゲームとしての進化も著しい本作だが、運営チームに、これらの再現や進化についてさまざまな気になる点を訊いてみた。
文:カイゼルちくわ

公開日時:2022-07-20 17:00:00

 NetEase Gamesから配信中の、スマホ向けタイトル『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』。ファンタジー大作映画として世界的に有名な『ロード・オブ・ザ・リング』の世界を舞台に、全世界のプレイヤーたちとの大規模な知能戦を体験できる壮大なストラテジーゲームだ。

開発チームにインタビュー。『戦いの幕開け』がこだわった原作の再現と、ストラテジーとして目指すゲーム体験との融合について訊く 開発チームにインタビュー。『戦いの幕開け』がこだわった原作の再現と、ストラテジーとして目指すゲーム体験との融合について訊く

 本作はシーズン制となっており、各シーズンごとに一部の継承される要素を除いて世界がリセットされ、数週間にわたる壮大な戦争を何度も初めから体験し直せる。

 週ごとのアップデートに加え、このシーズンごとに大規模なアップデートが入るのも本作の特徴。シーズン3を迎えようとするいまも、ゲームの根幹に関わる追加要素がつぎつぎと用意されている。

 原作の舞台となる“中つ国(ミドルアース)”のさまざまな再現に加え、ゲームとしての進化も著しい本作。今回は同作の運営チームに、これらの再現や進化についてさまざまな気になる点を訊いてみた。

中つ国の多様性を再現する、ストラテジーという選択

――まずは『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』の開発決定までの経緯を教えていただけますか。

運営チーム 私たちはグローバルなスマホゲームを開発することに重点を置いています。今回はとくにプレイヤーの皆さんにおもしろいゲーム体験や、世界観とストーリーへの没入感を目一杯に体験していただきたかったので、世界規模のIPである『ロード・オブ・ザ・リング』を擁するワーナーブラザーズさんに協力を願いました。

――RPGやアドベンチャーではなく、ストラテジーゲームを選んだのはなぜでしょうか。

運営チーム ゲームのタイプに関しては、映画の中の“指輪戦争”がおもしろい題材でしたので、ストラテジーゲームのほうが映画の感動をより再現できると思いました。このたび『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』をプレイヤーの皆さんの前に捧げられたことを、光栄に思っています。

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原作を知っている身からすると、主人公・フロドの冒険に視点が行きがちだった。その冒険と同時進行していた指輪戦争の壮大さを、本作は改めて教えてくれる。

――『ロード・オブ・ザ・リング』原作の大きな魅力とは、どのようなものとお考えでしょうか。また、それをゲームに反映するために尽力した部分についてもお聞かせください。

運営チーム 『ロード・オブ・ザ・リング』は、ミドルアースの壮大な世界観を世界に披露してくれました。その中にはいろいろなファンタジー的な景色や言語、文化の異なる種族が登場します。

 ゲームの中では、作者の小説や映画の中で作り上げたファンの皆さんおなじみの場所や景色を忠実に再現しつつ、プレイヤーをゲームの中の勢力システムで指輪戦争の物語、つまり各種族のあいだで起こる協力や争いの物語へ導いています。

――原作の“中つ国(ミドルアース)”をゲームで再現するにあたり、本作でとくにこだわった部分を教えてください。

運営チーム 映画『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するファンタジー的なミドルアースの世界を再現したくて、地理、種族、キャラクターなどを忠実に再現していきたいと考えています。一方、プレイヤーの皆さんの『ロード・オブ・ザ・リング』に抱いている想像や期待も満たしていきたいとも思っています。今後は小説に登場する設定をもっと公開していく予定です。

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種族やキャラクターの多彩さについては、ユニットの種類の多さでも表現されている。中つ国の多様性の再現が、そのままゲームの多様性につながっている。

――当初は10の勢力が競い合うと聞き、勢力数の多さに驚かされましたが、多数の勢力を準備したのはどういった理由からでしょうか。

運営チーム ミドルアースには言語、文化、歴史の異なる種族がたくさん存在していて、私たちはプレイヤーの皆さんに、ゲームの中でその異なる種族や勢力の魅力を体験していただきたいと考えました。10のあらゆる勢力が争い合う中、プレイヤーは戦争で外交の戦略や能力を見せつける機会がたくさんあり、協力するか戦うかはプレイヤー次第となっています。

――最初のシーズン1では光の勢力どうしが争うなど、原作からやや離れた構図も生まれ、原作ファンが困惑する場面もありました。原作とは異なる“if”展開が生まれることも、意図した構造だったのでしょうか。

運営チーム 指輪の力に惹かれて、どの勢力も指輪を自分のものにする欲望と力を持っています。私たちはプレイヤーの皆さんにミドルアースの指輪戦争を体験していただきながら、ぜひ自分だけの新しい物語も作り上げていただきたいと思っています。

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“一つの指輪”は中つ国の歴史上、いかに偉大な指導者であろうとその力の誘惑によって破滅させてきた。本作でくり返される戦争は、そんな力の忠実な再現の一環とも言える。

シーズン1を振り返り、ゲームデザインについて訊く

――最初のシーズン1で、不安に思っていた点や、その後想定通りとなって安心した点などはありましたか。

運営チーム このゲームを世界中のプレイヤーが協力しあったり、戦ったりできるものとして作りたいと思っていましたので、最初は言語や文化が異なるプレイヤーが、ゲームでスムーズにコミュニケーションをとることが難しくなるのではないかと心配していました。

 しかしリリース後は、チーム編成時の挨拶や参加意思の表明などで徐々に交流が生まれ、『ロード・オブ・ザ・リング』の世界への没入体験をお互いが共有することで、住んでいる地域が違うプレイヤーでもコミュニケーションをとれることがわかり、安心できました。

――周辺を他勢力に囲まれている勢力は、苦戦していたように見受けられました。10の勢力のパワーバランスについては、どういった要素を基準に調整されたのでしょうか。

運営チーム このゲームは善と悪両方の部隊の特性を表現できるだけでなく、同じレベルの勢力のあいだの対決体験も実現できるように制作しています。ストラテジーを重視するゲームとして、地理的な位置もまたゲームの重要な役割を果たしています。

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いかに土地が広く特性も強力な勢力であっても、最終目的地“ドル・グルドゥア”への道が険しかったりと、実際にプレイしてみてこそ分かるパワーバランスも随所に見られた。

――部隊の行軍など、さまざまな移動に5分~10分と時間がかかるシステムについては、なんらかの意図やこだわりがあったのでしょうか。

運営チーム 現実の歴史では、過去の戦争は数日、数週間と続いていました。私たちはプレイヤーの皆さんによりリアル、かつストラテジックな戦争体験を実感していただきたくて、より長い時間とより大きな空間を使ってもっと対戦を楽しんでいただきたいと考えました。囲碁のように、ゲームの“過程”こそストラテジーのおもしろいところだと思っています。

――リアルタイムストラテジーとして、本作でとくに戦闘や部隊編成などのバランスについて気を遣った点があれば教えてください。

運営チーム このゲームの特徴のひとつは、指揮官といろいろな兵種の組み合わせがあるところです。ゲームでは数十種類の兵種があり、基本の兵種、その勢力特有の兵種、中立的な兵種など、プレイヤーは最強の戦力を発揮するために指揮官と兵種や異なる兵種の間の組み合わせを十分考えないといけません。

 指揮官や兵種の設定においては、キャラクターや種族が原作の中ではどのような設定になっているのかに基づいています。たとえば、レゴラスは弓術が得意なので、大量な物理的ダメージを与えることができますが、サルマンは魔法が得意なので、敵にデバフを与えることができます。

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随伴させる兵種だけでなく、スキルをどのように伸ばすかによっても、同じ指揮官でもまったく異なるビルドを目指せるのも本作の特徴だ。原作ファンなら、ぜひ原作準拠のビルドにしたいところ。

――シーズン1に登場した“指揮官”は、膨大な原作の登場人物の一部でした。このメンバーの選別については、どのような基準で決められたのでしょうか。

運営チーム 1回目のシーズンに登場した指揮官は、すべて映画の中でおなじみのキャラクターでした。そのため映画で体感したいろいろな勢力や種族の特徴を思い起こさせることができ、『ロード・オブ・ザ・リング』という世界線をゲームで皆さんに体験していただけたかと思います。

――トロルやエントといった一部のユニットが、シーズン1ではかなり活躍していたかと思います。ユニットの能力についてのバランス調整については、今後実施されていくのでしょうか。

運営チーム 毎週更新して、ゲームのバランスを調整し続けます。さらに、今後のシーズンには新しい兵種を増やして、プレイヤーの皆さんの選択肢も増やしていく予定です。

――シーズン1では支配地域が30以上になるなど、圧倒的な強さを見せた勢力もありました。開発チームとしては、各サーバーのシーズン1での様相は想定の範囲内だったのでしょうか。

運営チーム 各サーバーの成り行きについては、プレイヤーが作り上げたミドルアースの戦争の物語こそがベストだと思っています。プレイヤーの皆さんは、私たちにミドルアースの無限の可能性を見せてくれました。

つぎつぎと登場する新要素、それらが目指すものは

――続くシーズン2では“RP(ロールプレイ)サーバー”と“非RPサーバー”のふたつからサーバーを選択できるようになりました。このふたつのサーバーは、どういった経緯や意図により設置されたのでしょうか。

運営チーム 新しいシーズンに入っても、プレイヤーは前シーズンの指揮官の育成段階の一部や装備アイテムなどを引き継げます。しかし、本作ではプレイヤーによってゲームの楽しみかたもいろいろあります。

 新しいシーズンで違う勢力を体験したいプレイヤーもいて、たとえば正義の勢力から悪の勢力へ鞍替えしたい方も多いのではないかと考えました。もちろん一貫したゲーム体験がいいから前と同じ勢力を選ぶという人もいるかと思います。そうしたいろいろなプレイヤーのゲームに対するニーズを考えて、ふたつの異なる体験ができるサーバーを導入しました。

――シーズン2ではいくつもの新機能やシステムの変更点などが加わりましたが、とくに戦争に大きな影響を与えるだろうと開発チームが予想していた新要素はどれでしょうか。

運営チーム シーズン2においていちばん大きなものと考えていた変更点は、非RPサーバーの導入です。非RPサーバーに選んだプレイヤーは、正義と邪悪両方の指揮官と兵種を使えます。それによってもっと豊かなストラテジーの組み合わせや、戦いの体験が生み出されます。

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より原作に忠実な戦争が体験できるサーバーと、そうした縛りがなく、より自由なストラテジーが楽しめるサーバー。プレイヤーが本作に求めるものを、明確に選べるようになっている。

――同じくシーズン2の新要素として登場した“大使館”と“野外兵舎”についても、非RPサーバーと同じ意図での追加だったわけでしょうか。

運営チーム 正義と邪悪両方の指揮官と兵種を同時に使うことができるようになったところで、自分の勢力にいない兵種を得るための要素として準備しました。

――シーズン2以降も新たな“指揮官”が登場していますが、開発チームとしてぜひ注目してほしい指揮官などはいますか。

運営チーム 私たちはどんな指揮官でも、探索や期待の価値を等しく持っているものとして実装しています。キャラクターについては、プレイヤーの皆さんからもっと多く意見を伺いたいと思っています。

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シーズン3には“建築物発展”など、さらなる新要素が登場する。原作の再現だけに留まらず、本作のストラテジーとしての進化もまだまだ続く。

――意見というお話が出たところで、今後の運営に向けての展望も教えていただけますか。

運営チーム 多くのプレイヤーが『ロード・オブ・ザ・リング』のIPに惹かれて、このゲームをプレイしてくださっているのだと感じております。ゲームの中の『ロード・オブ・ザ・リング』のIPの表現を改善していくことで、より多くのプレイヤーにミドルアースの魅力を体験していただき、世界中のプレイヤーたちの協力と対戦の戦争に参加していただきたいです。

――各種イベントなど『ロード・オブ・ザ・リング』世界の再現を目指すコンテンツについて、公開できる今後の一例や、目標などがあればお聞きしたいです。

運営チーム ミドルアースにはたくさんのキャラクターが登場しますが、いままでゲームに登場しているのはその一部分だけです。私たちは今後もIPファンたちが好きなキャラクターをゲームに追加し続けるつもりです。

 さらに、新しいストラテジックな操作を通じて、「一つの指輪ですべてを支配する」という概念をプレイヤーに伝えます。

開発チームにインタビュー。『戦いの幕開け』がこだわった原作の再現と、ストラテジーとして目指すゲーム体験との融合について訊く
開発チームにインタビュー。『戦いの幕開け』がこだわった原作の再現と、ストラテジーとして目指すゲーム体験との融合について訊く

原作ファンとしては平和的なイベントの追加も気になるところだが、指輪のさらなる力がもたらすであろう未来のほうも、恐ろしくも楽しみではある。

――最後に、プレイヤーの皆さんにメッセージをお願いします。

運営チーム 『ロード・オブ・ザ・リング』のIPと『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』を応援してくださる皆さん、誠にありがとうございます。私たちは今後もゲーム体験の向上のために努めて参りますので、よろしくお願いいたします。

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『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』特設サイト

タイトル
ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け
メーカー
NetEase Games
プラットフォーム
iOS、Android
価格
基本プレイ無料(アイテム課金制)
ジャンル
シミュレーションRPG

© New Line Films. ™ & © The Saul Zaentz Company license to WB Games Inc. ™ & © Warner Bros. Entertainment Inc. ©NetEase (s22)

『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』公式サイト