シーズン1のプレイレビューをお届け。時間差勝負の陣取り合戦と、ふたつの異なる共同体が悩ましくもドラマティック

ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』シーズン1がいよいよ終盤に入った。1シーズン分のプレイレビューをお伝えしよう。
文:カイゼルちくわ

公開日時:2022-05-27 17:00:00

 NetEase Gamesが提供するスマホ向けタイトル『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』。同作は、ファンタジー作品の不朽の名作として世界的に有名な小説『指輪物語』を映像化した三部作映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの世界を忠実に再現した、大規模ストラテジーゲームだ。

『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』シーズン1のプレイレビューをお届け。時間差勝負の陣取り合戦と、ふたつの異なる共同体が悩ましくもドラマティック
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 本作では『指輪物語』の舞台となる“中つ国(ミドルアース)”の地形を再現した広大なマップで、プレイヤーは10もの勢力に分かれて陣地を広げ、冥王サウロンの力の源にして究極の力と破滅をもたらすアイテム“一つの指輪”の争奪戦と、勢力の興亡を同時に進めていく。

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原作にも登場した光の勢力と闇の勢力のそれぞれの国々が、一つの指輪を巡ってさまざまな戦争や外交を通じて競い合う。

 こちらのタイトルはシーズン制となっており、シーズンごとにプレイヤーのデータは一部を除きリセットされ、所属勢力も選び直すことになる。

 2022年4月14日のリリース開始日から始まったシーズン1がいよいよ終盤に入った(2022年5月中旬現在)ところで、今回の記事では本作の1シーズン分のプレイレビューをお伝えしたい。

最初はとまどったが、陣地確保と内政は単純明快

 本作をプレイするにあたって、まずは所属する“勢力”を選ぶ。本作では自分が所属する勢力が、最終的に“一つの指輪”が隠された大拠点“ドル・グルドゥア”を最初に占拠し、ほかの勢力の首都を3つ占拠することが最大の勝利目標となる。

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シーズンはいくつかの段階に分かれており、設定された目標がいずれかの勢力やプレイヤーによって達成されるとつぎの段階に移行する。最終的にはドル・グルドゥアの占拠と、3つの首都が占拠されるという条件が満たされると、シーズンの大目標はすべて終了となる。

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シーズンごとの勝利報酬の獲得条件がこちら。このように本作では、個人での勝利ではなく勢力での勝利を達成しないと報酬は望めない。

 どの勢力を選ぶのか、シーズン1ということで筆者はとくに深く考えずに選んだが、いまとなってはここでの選択がかなり重要だったと思っている。周辺を別勢力に囲まれていたり、領地が両断されていたりといった不利を抱えた勢力もあり、また各勢力ごとの“獲得資源+5%”などの固有ボーナスや、勢力固有の兵種の性能が大きく異なるのだ。

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地勢だけでなく、原作における光の勢力と闇の勢力の違いもじつは重要。闇の勢力のみ、仲間(同じ勢力のプレイヤー間で結成するギルド。詳しくは後述)単位でほかの闇の勢力の傘下につく“服従”という行動が可能になっている。

 また、本作で最終目標となる“ドル・グルドゥア”へ到達しやすいかどうかも、勢力の有利不利に関わるだろう。たとえば筆者が選んだアルノールはこのシーズン1では、ドル・グルドゥアへ至るまでの道となる領地“モリア”を別勢力に封じられ、突破を試みた戦争で敗北し大打撃を受けることになった。

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周囲を囲まれていなかったり、領地が広めだったりといった有利があったとしても、このドル・グルドゥアから遠い位置にいる勢力は勝利条件的には不利だ。ここに至るまでに、膨大な消耗戦を強いられる。

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各エリアにある中心拠点を攻め落とすことで、そのエリアはその最後の一撃を加えたプレイヤーが所属する勢力のものとなり、そのエリアでは他勢力のプレイヤーは占領時の攻撃力が70%減るなど、大きなペナルティーを負う。こうして支配エリアを増やして他勢力を遠ざけつつ、一つの指輪への道を切り開いていくのだ。

 最終的な目標を解説したところで、続いてはそこを目指すためにプレイヤー個人がすべきことを解説していこう。

 プレイヤーがゲームを開始すると、所属勢力の領地のランダムな位置に3×3マスの“拠点”が与えられる。この拠点は兵力の増強や回復、一定時間ごとに得られる税金でのお金の補充など、あらゆることをここで行なう重要な施設だ。

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この拠点を中心に、所有する土地を増やしていく。画面右下の巻物のアイコンから閲覧できる“主要任務”がチュートリアルのような内容になっているので、なにをすればいいのか分からなくなったら確認しよう。

 この拠点以外の土地を自分のものにするには、軍勢を編成して“行軍”しなくてはならない。軍勢は“指揮官”という『ロード・オブ・ザ・リング』に登場した有名キャラクターたちに、3種類までの兵種の“部隊”を配備して作る。

 この指揮官と部隊のセットによる軍勢が、いわゆるシミュレーションゲーム全般におけるユニットひとつ分となる。本作の戦闘はターン制になっており、戦闘時には指揮官と各部隊が、それぞれターン毎に行動していくことになる。

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指揮官は“酒場”でスカウトして増やしていける。各指揮官は“敬意”が一定値になるとスカウトでき、この敬意はアイテムをプレゼントすると上がるほか、指揮官を一定時間派遣する遠征任務“小話”の報酬でも特定の指揮官の敬意が得られることがある。

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指揮官はレベルを上げることで特殊なスキルを多数覚えることができ、戦闘をより有利に進められるようになる。より強力なスキルを覚えるには、スカウト終了後にも敬意を上げていく必要がある。

 部隊は資材を消費することで徴兵できる、いわゆる一般兵だ。徴兵が終わるまでには結構な時間がかかり、当然ながら強力な部隊ほど時間と資材がかかる。さらに戦闘時には部隊中の何名かが負傷、あるいは死亡していき、損耗に比例して戦闘力が落ちていく。

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指揮官は最後まで倒れることなく戦うが、部隊はどんどん人数が減っていき、攻撃能力を失っていく。

 負傷者は拠点の“薬療院”で時間と資材“穀物”をかければ回復し復帰させられるが、死者は戻ってこない。重ねて徴兵して損耗を補い、軍勢を維持、強化していくのが本作の要のひとつだ。

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指揮官のレベルアップや一部施設の強化などにより、指揮官の“指揮”のステータスが上昇すると、軍勢に編成できる部隊の人数上限が上がり、軍勢全体の戦闘力が上がっていく。

 軍勢が行軍できる範囲は、自分が所有する土地に隣接する場所(斜めでも可)のみとなっている。まずは拠点に隣接するいずれかの土地に行軍し、そのマスから隣接したマスへと、つぎつぎと領地を増やしていく。

 領地には“戦力”の値が設定されており、この戦力が高い土地ほど多くの資源を時間経過とともに算出する。材木、石材、鉱物、穀物という4つの資源に加え、プレイヤーが持つ指輪の力となるエネルギーも獲得できるので、とにかく多くの土地を確保したいところ。

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行軍する軍勢を選択すると、そのマスを守るNPC軍勢との戦闘が起きる。戦力が高いマスほど強い軍勢が守っており、その手ごわさは戦闘力の値で確認できる。

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複数の軍勢で格上のマスを攻略することも可能だが、当然そのぶん損耗は大きくなる。戦闘が膠着して“引き分け”状態になっているところには5分以内であれば別軍勢で救援に加わることもできるので、軍勢の運用は計画的に。

 そうしてマスを確保していくと、マスの所有上限数がネックになってくる。この所有上限は主要任務を進めたり、プレイヤーがそれぞれ持つ力ある指輪のレベルを上げ、スキル“支配領”を成長させることで増えていく。

 指輪のスキルにはほかにも強力なものが揃っているので、スキルポイントをどう割り振るかはよく考えたいところ。割り振りのリセットも可能なので、いろいろ試してみるのもアリだ。

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メイン画面の左下にある、青い炎のようなアイコンのところをタップすると、各マスから集めた力が指輪に注がれる。この力をさらに指輪のメニュー画面にある右下のボタンで使用することで、指輪のレベルが上がりスキルポイントが得られる。

 また、所有した土地は手放すことも可能だ。戦力1の土地などからはあまり資源も得られないので、隣接マスを占領するために利用したら、早めに手放してしまうのもいい。

 なお、マスを手放すには選択後、30分という長めの時間がかかる。マスの所有上限に達してしまってから手放すとなるとこの時間が足かせになるので、普段から上限には余裕を持たせておきたい。

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目的のマスまでの道として利用した戦力が低い土地は、適宜手放していこう。マスをタップすると出てくる、赤い“×”マークから破棄できる。

 また、行軍の際に目的のマスへと軍勢が到達するまでには、かなり時間がかかるという点も本作の要だ。部隊編成やスキルの取得状況しだいで軍勢の進軍速度が変わるのだが、場合によっては数マス先に行軍するのに、5分以上かかることもある。

 他プレイヤーの軍勢の動きと、目的地に到達するまでにかかる時間はすべてのプレイヤーが確認でき、ここに本作の戦略要素が集約されている。同じ勢力のプレイヤーの軍勢が行軍しているのを見て支援軍勢を送ったり、敵勢力の軍勢が迫っているマスへ先んじて軍勢を送り込んだりと、戦況に応じた采配が求められるわけだ。

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マスを占領すると、そのあと一定時間はそのマスは“保護”され、いかなる行軍も受け付けなくなる。相手が占領しようとしているマスを先んじて占領し保護状態にすれば、相手の軍勢はその土地に到達してもなにもできずに帰ることになるわけだ。

 この時間差を生かす戦法のために目標地点により近い土地を確保し、そこに軍勢を配置しておくことは、非常に有効な戦略となる。本作ではマスをいかに確保するかが、資源の獲得のみならず戦争においても最重要なのだ。

 また、プレイヤーが占領できるマスは拠点から50マスまでの範囲に限られるが、占領したマスにお金と資源を消費して“堡”を建設すると、そこから新たに50マス範囲を占領できるようになる。将来的に勢力が占拠しに向かうであろう大きな拠点への行軍を視野に入れて、堡を建設して行軍範囲を広げていくことも重要だ。

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建設に時間とリソースはかかるが、堡は軍勢の簡易拠点となり、その土地を耐久力がゼロになるまで堅牢に守ってくれる。その堡に滞在させた軍勢のみが、その堡が持つ50マス範囲の恩恵を得られるという点には要注意。

 こうして得られる資源を確保していったら、拠点内の“建築”メニューで拠点の機能を拡張していくことで、蓄えられる資源の上限や、徴兵できる部隊の種類などが増えていく。よりランクが高い兵種の部隊を徴兵できるようになれば軍勢の戦闘力も格段に上がるので、より戦力が高いマスも容易に占領できるようになっていく。

 軍勢の編成、マスの占領、そして建築による拠点機能の強化。このループをくり返していくことで、プレイヤーは他勢力との戦争に備えていくわけだ。

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建築には膨大な資源と時間がかかり、課金しないデフォルト状態では一度にふたつまでの項目しか進められない。

 これらのループに加え、酒場の“小話”や毎日無料で購入できる項目もあるガチャ要素“マゾム”などで指揮官の敬意を高め、新たな指揮官も迎えていくといい。ただし序盤は2、3人の指揮官を集中的に運用し、レベルアップさせるのがオススメだ。

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酒場の小話は、1日ごとに受けられる数が決まっている。指揮官のレベリングにも活用できるので、毎日忘れずにこなそう。

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占領したマスに軍勢を“模擬戦”に派遣すると、その土地の戦力に応じた多くの経験値を獲得できる。指揮官の体力(詳しくは後述)と、画面上の赤い丸のアイコンのところに表示されている“アビリティポイント”をより多く消費すればさらに多くの経験値が獲得できるので、こちらも忘れずこなしておきたい。

 行軍や建築など、やたらと時間がかかる項目が多い本作だが、その合間に酒場にある“赤表紙本”から、原作を再現した各種ステージをプレイしていくのもオススメだ。かなり絶妙な難易度になっており、どの軍勢をどう動かすか、文字通り手腕を問われる。

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赤表紙本のステージはかなりやりごたえがあり、やり直せる回数が日ごとに決まっている。原作ファンには嬉しい名シーンも再現されているので、時間ができたらぜひ挑戦してみてほしい。

軍勢と仲間、ふたつの立場がドラマを生む

 占領できるマスは自分が占領しているマスに隣接しているもののみ、と先述したが、ここには例外がある。自分と同じ勢力のプレイヤーが占領しているマスに隣接しているマスも、50マス範囲の制限距離内にあるなら、占領することができるのだ。

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同じ勢力のプレイヤーが占領している、紫色のマスを足掛かりにする。これを活用すれば、一気に離れた場所のマスを占領できる。

 また、同じ勢力内のプレイヤーどうしで結成する“仲間”に所属していると、高戦力のマスが持っている“資源ボーナス”を仲間の所属者全員が共有することができるほか、仲間全員が軍勢を滞在させられる巨大な堡である“要塞”を利用できるなど、独自の特典が得られる。

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仲間メニューからメンバーの建築時間を短縮する“支援”がワンタッチででき、ポイントが得られる。このポイントで“ストア”のアイテムを購入できるので、模擬戦の獲得経験値を増やすアイテムなどを購入していこう。

 このように本作では勢力と仲間というふたつのコミュニティーが同時に存在し、勢力専用のチャットルームや、仲間専用のチャットルームも用意されている。筆者としてはこの二重構造が、本作のもっともおもしろしくも悩ましいポイントだと感じた。

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ちなみに仲間に所属していると、同じ勢力内であっても他のプレイヤーが所有するマスを行軍で占領できる。ただしその場合、勢力チャットに“裏切り”として名前が出されるので、あまりオススメできない。

 最近はSNSなどが発達し、ゲーマーのあいだでもコミュニケーションが活発になっている。本作でも筆者が見ていた勢力チャットでは、積極的に「ほかの勢力のプレイヤーと話してみた」と、いわゆる“外交”を買って出てくれるプレイヤーが多かった。

 また、本作はグローバルサービスを展開していると同時に、チャットに自動翻訳機能があるため、海外プレイヤーの発言はその隣にあるボタンをタップするだけで、即座に翻訳して理解できる。このため勢力内での話し合いや意思伝達も、国境を越えて問題なく行える。

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海外プレイヤーの発言が意味不明のまま終わらないのはありがたい。個人チャットでの連絡なども、気兼ねなくできる。(※画像のセリフはイベント開催時の定型文挨拶)

 もし本作のコミュニティーが勢力だけだったら、シーズンの最終目的の兼ね合いもあり、かなり機械的にドル・グルドゥアを目指す戦略や外交が展開していたかと思う。本作ではよりミクロな仲間という、気が合うメンバーが集まって盛り上がるコミュニティーがあることで、全体で統一された意思や戦略とは異なる動きが生まれていた。

 たとえば、勢力チャットではとある勢力の代表者と話をつけ、相互不可侵の取り決めを結んだ、という布告があったとする。だがそこで、その相手勢力にさんざん痛い目を見せたプレイヤーがいるというプレイヤーが仲間の共感を得て、協定を無視し進軍。このようなケースも、シーズン1では珍しいことではなかった。

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勢力全体の取り決めがあったとしても、個人の感情は抑えきれないし、自分が動きたいように動いてこそゲームであるとも言える。とはいえ全体勝利の邪魔になりかねないことも事実で、どちらが大事と断言できるかと言えば悩ましい。

 全体意思が統一されているほうが最終目標は達成しやすいが、個人の思惑や動きがそこになければ、ドラマティックな展開は生まれないだろう。原作『ロード・オブ・ザ・リング』においても、光の勢力の内部ではこうした決裂や軋轢が数多くあり、そこにドラマがあった。

 また、本作では同じ光の勢力どうしであっても、最終目的が“他勢力の首都を3つ占拠する”というものである以上、戦いや裏切りが当然のように発生する。ドル・グルドゥアの“一つの指輪”を争うことになるとこんな大乱戦になるのだと考えると、原作でフロドが指輪をあずかり、滅びの火山に捨てる旅に出たことが、どれだけ光の勢力の統一に影響していたのかがよくわかる。

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光の勢力のみで固まっている地域であっても、油断は禁物。広い世界とはいえマスが有限である以上、隣り合った勢力との占領をかけた小競り合いはどうしても避けられない。

 また、各指揮官がマスの占領や戦闘を行なうには一定の“体力”が必要で、こちらは時間をかけないと回復しない。この仕様がアクティブなプレイヤーの数による、大きな差を生み出していたように感じた。

 どんなに高レベルの指揮官を有する強いプレイヤーであっても、指揮官の体力には課金での回復などを含めたとしても限界がある。その点、複数のアクティブなプレイヤーが同じ場所で協力すれば、軍勢の総数と総体力は人数に応じて増えていく。手数の多さは、本作では圧倒的なアドバンテージになる。

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先述のとおり、軍勢の行軍に時間がかかる本作では、相手の軍勢の動きに即座に対応できる軍勢の数が多いほうの陣営が当然のように有利となる。

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敵勢力に占領されていたとしても、軍勢が配置されていないマスに行軍した場合、そこで迎撃に出てくるのは普段の行軍と同じく弱めのNPC軍勢のみだ。どんなに強い指揮官を有するプレイヤーが相手でも、空になっている土地を奪うことは簡単なので、ますます動ける人数が多いほうが有利なのだ。

 個人的には数では勝ると思われる勢力よりも、より積極的に動き、アクティブプレイヤーが数多く所属する仲間の動きのほうが、ある意味勢力全体で動かれるよりも恐ろしく、またおもしろかった。

 たとえば勢力間に相互不干渉の協定があっても突っ込んでくる相手勢力の一部の仲間を止めるには、勢力全体で動くわけにもいかず、なにより数の差の問題で、相手以上の数のアクティブな有志が集まらないといけない。こうして有志で人が集まるところには、理由としてほぼ必ず“感情”が存在する。それだけでドラマティックな展開になることは、もはや言うまでもないだろう。

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苦汁をなめさせられる展開から、「あの勢力は許すがあの仲間は許さない」という個人的な感情が生まれることもある。それが後々、勢力全体に影響する事件に発展す可能性もあるわけだ。

 全体の勝利のために尽くすか、あくまで個人や仲間でプライドやスタンスを貫くか。両立できるのが理想だが、さきに触れたとおり指揮官の体力などから来る手数の問題があるので、労力的にはあまり現実的ではない。

 徴兵と軍勢の編成、行軍、そして拠点の強化や模擬戦と、ルーチン自体はかなりわかりやすく、単純明快にできている本作。あまり勢力や仲間の動きに関わらないでプレイしていれば、本当にやるべきことは少なく気軽にプレイできるし、赤表紙本やさまざまなシーズナルイベントなど、原作要素をかいつまんで遊ぶだけでも原作ファンが十分に楽しめるタイトルだ。

 だが筆者としては、これらの動きに少しでも加わったり、感情移入をしてみることで、ドラマティックな世界を体験してみることをオススメしたい。

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シーズンが終わると、各指揮官の敬意や所有する指揮官用の装備などを除き、ほとんどのデータはリセットされる。どうせリセットされるのなら、勢力か仲間か、どちらかのためにド派手に華を咲かせて楽しみたいものだ。

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『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』特設サイト

タイトル
ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け
メーカー
NetEase Games
プラットフォーム
iOS、Android
価格
基本プレイ無料(アイテム課金制)
ジャンル
シミュレーションRPG

© New Line Films. ™ & © The Saul Zaentz Company license to WB Games Inc. ™ & © Warner Bros. Entertainment Inc. ©NetEase (s22)

『ロード・オブ・ザ・リング:戦いの幕開け』公式サイト