祝! 発売記念シナリオ/ゼネラルディレクター日野晃博氏が語る制作秘話「ファンのために」

本作の発売を記念して、レベルファイブ代表取締役社長/CEOであり、本作の生みの親でもある日野晃博氏への、特別インタビューをお届けします。第一弾となる今回は、制作の動機と想いについてです。

公開日時:2018-03-24 00:10:00

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ユーザーの声から生まれた


――『二ノ国II』は、シリーズとして続編の構想はいつごろから考えられていたのでしょうか。

日野 そうですね……イメージし始めたのは、もう5年くらい前からだったように記憶しています。でも、『二ノ国』シリーズに関しては、続編を作るつもりはなかったんですよ。

――そうだったのですか!?

日野 もともと『二ノ国』シリーズは、レベルファイブ設立10周年記念作品として、「採算度外視で作りたい作品を作ろう!」という気持ちで立ち上げたプロジェクトでした。なので、『二ノ国 漆黒の魔導士』と『二ノ国 白き聖灰の女王』を完成させたあとで、自分の中では一段落した気持ちだったんです。それに、レベルファイブはエンターテインメントの会社なので、一度描いた作品をもう一度作る、というのはやりたくなかったんです。ですが、ふたつの作品を世に送り出した後で、海外を中心に大きな反響があったんです。

――北米と欧州で『二ノ国』シリーズは、多くの賞を受賞しましたよね。

日野 そうなんです。そこで、ありがたいことに続編を望む声が、海外でとても多いことがわかって。そこまで臨まれているのならば、と。なので、ユーザーの声に押されて制作が開始したというのはレベルファイブの作品作りとして、かなりめずらしいパターンですね。ふだんはユーザーの先を行くものを見せられるように、と考えてきたので。でも、これだけ多くの続編を望む声を無視してしまうのも、またエンターテイナーとしては違うだろうと。……それが5年くらい前ですね。しかし完成までは長かったですね。10周年記念作品として立ち上がったシリーズですが、『二ノ国II』が発売される2018年は、奇しくも弊社の20周年に(笑)。

――たしかに、不思議な縁で節目に発売されてきたことになりますね。

日野 じゃあ、『二ノ国III』は10年後のレベルファイブ設立30周年記念作品ですかね(笑)。





■国作りのリアリティー レベルファイブ20周年の節目に


――国作りというスケールの大きな物語を描く『二ノ国II』の制作はいかがでしたか。

日野 制作はたいへんでした。ディレクターとも激しく意見交換をし続けて、開発終盤は弊社の専務取締役の赤坂にもテクニカルディレクターとして入ってもらって、細部まで調整し続けたほどです。まさに社を挙げて制作に取り組んだ形ですね。だからこそ、最終的に完成した仕上がりとしておもしろくなった、という実感があってホッとしています。スタッフが頑張ってくれた成果が実ったと感じています。

――新たな王国を作り上げるという大きなことを成し遂げていく物語が描かれるだけに、ゲーム中でも国作りや他国とのリアルタイムストラテジー風のアクションバトルができたりと、要素も多いのですが、それらが“国作り”というひとつの物語体験として、一体になったプレイ感があるのが驚きました。リアリティーがあるように感じられたというか。あの物語には、社長としての日野さんの体験がベースになっているのだろうかと思ってしまったほどです。

日野 もちろん国を作ったことはないのですが(笑)、『二ノ国II』の主人公は、まったく何もない、すべてを奪われた状態から国を立ち上げて、最終的には巨大な王国を作り上げるという体験をします。これは、ある意味で究極のサクセスストーリーだと思っていて。その体験にリアリズムを感じさせるものにするためにどうしようと思ったときに、自分が昔体験した会社作りの経験を入れていこうと考えてプロットを作りました。

――ゲームでの国作りは何もない平原に、テントを建てて国を作るところから始まり、そこに少しずつ資材や人が集まってくることになりますが、レベルファイブも初めは貸し会議室から始まったのですよね。

日野 そうですね。それ以外にも、参謀的な役割の人が大切だという感覚は、そのままエバンとロウランの関係に見立てられています。現代の世界でも、実際に会社を経営する際に大切なのは人だということは言えると思います。もちろん、自分が会社作りで体験したこと以外にも、そういった人を活かして最終的に大きなことを成す、という作品テーマには、現代にも通じることだと思うんですよね。

――まるで現代に似た一ノ国と二ノ国の関係のようですね。前作では一ノ国と二ノ国を行き来する物語が描かれましたが、『二ノ国II』では、主要な舞台は二ノ国になりますよね。

日野 今回は、子どもと大人、ふたつの視点を通じて異世界を体験できるものを目指したんです。子どもは真っ直ぐなエバンの心境に共感して物語を進んでいくかもしれませんが、大人が遊んだときには、もしかしたら大人としてのロウランの視点に共感するかもしれない。『二ノ国II』を最後まで遊んでもらったときに、エバンに感情移入していたか、それともロウランに感情移入していたのかで、物語は違って感じられるものになっていると思います。ふたりは数多くの国を巡って出会いを経験します。その中で、登場人物たちの変化する様子をたくさん目にするはずです。でも、そうした旅の中でも、最後までふたりの視点……軸は重ならずに、それぞれの見た物語が描かれるはずです。なので、プレイヤーごとに異なる視点で、それぞれの国作りのドラマの結末にグッときてもらえたらと思っています。

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