サイゲームスから配信中のスマートフォン、PC(DMM GAMES)用アプリ『ウマ娘 プリティーダービー』。2022年1月27日に配信された公式Web番組『ぱかライブTV Vol.13』にて、新ウマ娘“ナリタトップロード”(声:中村カンナ)が登場することが明かされた。

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 本記事では、モデルとなった競走馬のナリタトップロードについて紹介する。

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ナリタトップロードの血統と生い立ち

 ナリタトップロードは1996年4月4日生まれ。同期には、後にしのぎを削ることになるテイエムオペラオー、アドマイヤベガ、メイショウドトウらがいる。

 父のサッカーボーイはオグリキャップ世代で、『ウマ娘』ファンのあいだでは、『シンデレラグレイ』のディクタストライカのモデルとも言われている。サッカーボーイの父“ディクタス”と、サッカーの“ストライカー”を合わせた命名だろう。

 サッカーボーイは尾花栗毛の美しい馬体と並外れたスピードが特徴で、GIは阪神3歳ステークス(当時)とマイルチャンピオンシップを制覇。また2000メートルの函館記念では、1分57秒8という当時としては破格のレコードタイムを叩き出した。

 種牡馬としては意外にも長距離タイプの馬を輩出しており、代表産駒にはナリタトップロードのほか、スタミナの塊・ヒシミラクル、いぶし銀の長距離ランナー・アイポッパー、秋華賞を10番人気で制したティコティコタックなどがいる。

 ナリタトップロードは父同様に栗毛の馬体が美しく、グッドルッキングホースと言われている。『ウマ娘』でブロンドのような髪色になっているのは、そういうところから来ているのだろう。

「またまたミラクルだ!天皇賞も菊花賞も伊達ではない」《ヒシミラクル》【宝塚記念2003】

 なお、サッカーボーイは父ディクタス譲りの気性の荒さでも有名で、それは3歳下の全妹ゴールデンサッシュも同じだった。種付け時に種牡馬に噛みつこうとしたというエピソードがあるくらいなのだが、そんなゴールデンサッシュとこれまた気性難で知られるサンデーサイレンスとのあいだに生まれたのが、ゴールドシップの父・ステイゴールドである。ゴールドシップが現役時代に見せた数々の奇行の遠因は、もしかするとサッカーボーイ一族の血にあるのかもしれない。

クラシック戦線での激闘と菊花賞の栄冠

 ナリタトップロードは、オペラオー世代の競走馬の中でも屈指の存在だった。1999年の年明け初戦となったGIIIのきさらぎ賞、GIIの弥生賞を連勝し、皐月賞でも2番人気の評価を得ていた。”3強”のオペラオーは皐月賞では5番人気の伏兵的な存在で、1番人気アドマイヤベガと2番人気ナリタトップロードの2頭が強いと見られていたのだ。

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 アドマイヤベガは弥生賞ではトップロードの2着だったが、それでも人気はアドマイヤベガのほうが上だった。アドマイヤベガは、大種牡馬サンデーサイレンスと2冠馬ベガのあいだに生まれた超良血であり、鞍上はトップジョッキーの武豊騎手。一方、オペラオーとトップロードは血統的にはそこまでではなく、ジョッキーもデビューから数年の和田竜二騎手と渡辺薫彦騎手だった。人気にはこのあたりの事情も反映されたのかもしれない。

 アドマイヤベガは直前に体調を崩していたこともあり、皐月賞ではテイエムオペラオーが勝利を収め、ここに”3強”関係が成立する。ナリタトップロードは3着だった。

『ウマ娘』新ウマ娘“ナリタトップロード”が登場。オペラオー&アヤベ&ドトウらとしのぎを削った競走馬の現役時代を紹介

 続くダービーは、この3強の争いとなった。最後の直線に入って3強が横並びの状態になると、まず抜け出したのはオペラオー。だが、早仕掛けがたたったのか、残り200メートル地点でオペラオーの脚色がやや鈍る。そのスキを突くかのようにトップロードがグイッと前に出て、勝負ありかと思われた。
 
 しかし、その外からさらなる伸びを見せたのがアドマイヤベガだった。粘るトップロードに豪快な末脚で迫り、図ったかのようにクビ差抜け出したところでゴール。武騎手はこの勝利で、前年のスペシャルウィークに続く史上初の日本ダービー連覇を達成した。

『ウマ娘』新ウマ娘“ナリタトップロード”が登場。オペラオー&アヤベ&ドトウらとしのぎを削った競走馬の現役時代を紹介

 世代エースと言われながらもクラシック本番では勝ちきれないトップロードだったが、菊花賞ではそんな彼が待望の戴冠を果たす。サッカーボーイ譲りの豊富なスタミナを爆発させて最終直線の半ばで先頭に立つと、ラスカルスズカとテイエムオペラオーの追撃を振り切ってゴール。渡辺騎手に初のGIタイトルをプレゼントした。

1999年 菊花賞(GⅠ) | ナリタトップロード | JRA公式

”世紀末覇王”の時代でもがく

 しかし、ここからトップロードにとっては苦しい戦いが続く。グラスワンダーとスペシャルウィークが戦った有馬記念でひっそりと7着に敗れた後、2000年は2月の京都記念から始動。しかし、オペラオーの2着と敗れる。続く阪神大賞典は、オペラオーとラスカルスズカに次ぐ3着。その着順は天皇賞(春)でも同じで、オペラオーにまったく勝てなくなってしまったのだ。

 この年の夏、アドマイヤベガが故障を理由に引退。そんな彼に取って代わるように出てきたのが、新星のメイショウドトウだった。

 ドトウが2着になった宝塚記念から約1年ほど、中・長距離GIではオペラオーとドトウのワンツーがくり返されることになるのだが、トップロードはその輪の中に加われない。10月の京都大賞典はオペラオーの2着。つぎの天皇賞(秋)ではオペラオーとドトウの争いを見ながら掲示板ギリギリの5着。

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 ならばとオペラオーがいないステイヤーズステークスに出走するが、"長距離の門番”ホットシークレットの4着。年末の有馬記念ではオペラオーとドトウに次ぐ3番人気に推されるものの、結果は7着だった。

 2001年になってもオペラオー&ドトウの2頭が中・長距離戦線をリードする格好に。3月の阪神大賞典ではトップロードが1年以上ぶりに勝利を飾って復調の兆しを見せるが、天皇賞(春)ではオペラオーとドトウに次ぐ3着。彼ら"新・3強”のワンツースリーフィニッシュは、このレースが唯一となった。

 この年の宝塚記念では、ドトウが初めてオペラオーを超え、待望のGIタイトルを手にしていた。ならばとトップロードも続きたいところだが、秋初戦の京都大賞典ではステイゴールドに進路を妨害されたことが原因で渡辺騎手が落馬し、競走中止に(ステイゴールドは失格)。

 その後のジャパンカップはジャングルポケットの3着、有馬記念はマンハッタンカフェの10着と、新世代の前に力及ばず敗れる。オペラオーとドトウの2頭は引退し、ライバルの中で現役を続けているのはトップロードのみとなった。

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ライバルたちの思いを背負って最後のひと踏ん張り

 しかし、ここからトップロードはもう一花咲かせることになる。2002年2月の京都記念で前年の阪神大賞典以来の勝利を飾ると、3月の阪神大賞典ではジャパンカップ覇者のジャングルポケットを抑えて連覇を達成。オペラオー、ドトウ、アドマイヤベガらが去った中で、「99年クラシック世代ここにあり」という姿を見せつけたのである。天皇賞(春)ではマンハッタンカフェとジャングルポケットに続く3着と敗れるが、その走りはさながら全盛期が再びやってきたかのようだった(ちなみに、このレースで天皇賞(春)の3年連続3着を達成)。

 その勢いは秋を超えても続き、10月の京都大賞典では後のGI馬であるツルマルボーイとタップダンスシチーを退けて完勝。菊花賞以来となる2度目のGI戴冠が期待された。

 そして迎えた天皇賞(秋)。トップロードは4歳牝馬テイエムオーシャンに続く2番人気に推される。本番では中団に控え、最後の直線で伸び続けるが、サッカーボーイ産駒特有のジリ脚が災いし、3歳馬シンボリクリスエスを捉えきれず2着となった。

 この後はジャパンカップ、有馬記念と歩を進めるが、ジャパンカップは10着。有馬記念では4着に敗れる。有馬記念で勝ったのは、天皇賞(秋)も制したシンボリクリスエスだった(1番人気はファインモーション)。

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 トップロードはこの有馬記念をもって現役を引退。通算成績は30戦8勝、獲得賞金は9億9011万円と堂々たる成績を残した。引退式は2003年1月19日、菊花賞を制した思い出の地である京都競馬場で実施。菊花賞以来、大舞台ではあと一歩勝ちきれないながらも一生懸命に走る姿が、多くのファンに愛された馬だった。

トップロードは『ウマ娘』でどんな活躍を見せる?

 トップロードの現役生活を振り返ると、『ウマ娘』に登場するいろいろな競走馬たちと戦っていることがわかる。彼が"期待の若手”から"名脇役”にポジションを移しながら、長く一線で活躍したからこそだろう。

 『ウマ娘』では、近日登場予定とのこと。当時リアルタイムで競馬を見ていた者としては、オペラオー、アヤベさん、ドトウらと『ウマ娘』の作品内でどう絡むのか、楽しみでならない。

著者近況:北口徒歩2分

 課金額は2022年1月現在で約10万円、チームランクはS。いよいよ微課金かどうか怪しいラインになってきている。カプリコーン杯はグレードリーグAで2着。うーん。

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