ファミ通.comの編集者&ライターが年末年始のおすすめゲームを語る連載企画。初回で取り扱う作品は、『Ghost of Tsushima (ゴースト・オブ・ツシマ)』です。

【こういう人におすすめ】

  • 年末年始は時代劇を楽しみたい
  • 美しい日本の自然に触れたい
  • 爽快な剣戟バトルを楽しみたい

メタボIKEDAのおすすめゲーム

『ゴースト・オブ・ツシマ』

  • プラットフォーム:PS4
  • 発売日:2020年7月17日
  • 発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
  • 価格:7590円[税込]
  • パッケージ版:あり
  • ダウンロード版:あり
  • 『ゴースト・オブ・ツシマ』公式サイト

『Ghost of Tsushima』時代劇映画風トレーラー

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 「年末年始になると、どういうわけだか時代劇が見たくなる」というのは筆者だけはないはずだ。地上波のテレビでも年末年始には毎年のようにNHK大河ドラマの再編集版放送や『忠臣蔵』ドラマの放送、新春時代劇スペシャルみたいな番組を目にする機会が多いわけで、世間一的にもそういった需要があるのだろう。

 ちなみに筆者は暮れになると、黒澤明監督の『七人の侍』『用心棒』といった作品のDVDボックスを家の書棚から引っ張り出してきては、缶ビール片手に鑑賞したりする。そんな年末年始の時代劇需要(?)ともマッチするのが、2020年7月17日に発売された『ゴースト・オブ・ツシマ』だ。

『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】

 国内外で大ヒット中の作品なのですでにご存じの方が多いと思うが、念のため作品の概要説明を。『ゴースト・オブ・ツシマ』は、『怪盗スライ・クーパー』シリーズ、『inFAMOUS(インファマス)』シリーズなどで知られるサッカーパンチ・プロダクションズが開発を手掛け、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)がPS4向けに発売したアクションアドベンチャーゲームとなる。

 舞台となるのは、十三世紀後半、鎌倉時代の対馬。いわゆる“元寇”と呼ばれる蒙古(モンゴル)の襲来が作品のモチーフだ。主人公は、蒙古軍と地元武士団との合戦(小茂田浜の戦い)で生き延びた若者、境井仁(さかい じん)。対馬の民を救うため、冥府から蘇った“冥人(くろうど)”として蒙古軍に対峙する彼は、闇討ちや暗器(刀以外の隠し武器)の使用など、侍の道に反した戦いかたをすることで圧倒的に不利な状況の打開を図るが、次第に修羅と化していく……というのが物語の大筋だ。

『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】
『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】
『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】

 興味深いのが、戦国時代でも江戸時代でもなく、鎌倉時代という日本においてもこれまであまりゲームの題材にならなかった年代にフォーカスし、オープンワールドで中世日本を描く、という挑戦的なコンテンツだという点だ。しかも、開発を手掛けたのは日本ではなく、海外のゲームスタジオ。エンドロールを見るとわかる通り、SIEの日本スタッフを始め、国内の方々も制作に数多く関わっているにせよ、海外のチームが主軸となって日本人がプレイしてもほぼ違和感を覚えない“時代劇”を圧倒的な面白さで形にしたのは驚嘆すべき事実だと言えるだろう。

『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】

 ゲーム発売後はすっかり作品の大ファンになった筆者も、2017年10月のParis Games Weekで本作の初報が出た際には、正直なところ「鎌倉時代の対馬を取り上げるのは面白いけど、海外スタジオが作る日本が舞台のオープンワールドって、いろいろ大丈夫?」と一抹の不安を抱いたのを覚えている。結果的にはまったくの杞憂で、それどころか事前の予想を大幅に上回る傑作になったわけだが……開発者の皆様、ヘンな心配をしてゴメンナサイ!

 発売から半年近くになる本作は、弊誌ファミ通.conはもちろん、すでに数多くのメディアでレビューや魅力を紹介する記事が上がっており、詳しくはそちらをご覧いただければと思うが、以下、筆者が個人的に好きな点をピックアップする。

美しく再現された風景がクセになる

 本作で描かれる対馬には要所に集落や砦といった施設はあるものの、広大な自然が広がるエリアが圧倒的に多い。美しく描かれた野山や河川、切り立った崖、波が打ち寄せる海辺、ススキが広がる草原など、フィールドのあらゆる場所は馬に乗って疾走するのが心地よく、とくに目的地のない旅であっても移動を楽しめるほどだ。

『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】

 朝・昼・晩といった時間経過はもちろん、天候の変化、エリアによって四季折々の風景も表現されているほか、叢の中に神社や祠(ほこら)がひっそりと佇んでいたり、見晴らしのいい高台などが配置されていたりして、ふと立ち寄った場所の景色の美しさに思わずハッとさせられることは珍しくない。

『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】
『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】
『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】

 映像の面では“黒澤モード”と呼ばれるモノクロフィルム映画のテイストを再現する機能が備わっているのは見逃せない。“黒澤モード”では、モノクロであるがゆえ、前述の美しい自然が広がるフィールドの魅力は半減するし、バトル時の視認性も決して良好とは言えないのだが、この点を差し引いても、あたかも黒澤明監督の時代劇を観ているかのようにゲームを楽しめるのはとても魅力的だし、なにより、そうした機能が用意されているのが粋だ。

『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】

難しすぎず、ちょうどいい塩梅のバトル

 折しも、高難度時代劇アクションの世界的ヒットが続いた昨今だが、『ゴースト・オブ・ツシマ』はいわゆる“死にゲー”ではない。アクションゲームがそれほど得意でないという方でも攻守の基本操作と“型”と呼ばれるバトルスタイルの切り替えをひと通りマスターすれば、(個人差はあるが)そこまで苦労せずにノーマルモードをクリアーできるはずだ。

 もちろん、アクションゲームが得意な方は難易度調整でより難しくすることも可能だし(発売後のアップデートで、“万死”というスリリングなバトルが楽しめるモードが追加)、反対に苦手という方向けには、イージーモードのほかタイミング判定がやさしくなる補助機能が用意(“設定”で“戦闘負荷の軽減”をオンにすると反映される)されている。

 敵の倒しかたにもプレイヤーによって幅があり、侍らしく一騎打ちから戦闘をスタートし、正面から集団を切り伏せることもできれば、死角を移動して背後から闇討ちしたり、飛び道具や、毒&混乱効果をもたらす吹き針を巧みに用いたりする戦いかたも可能に。プレイヤーの好みに合わせてゲーム攻略の工夫ができるのも楽しいところだ。

『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】
『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】

 そんな『ゴースト・オブ・ツシマ』だが、先日開催された“The Game Awards 2020”(ゲームアワード2020)では、Best Art Directionを受賞したほか、Game of The YearやBest Game Direction候補作にノミネート。さらに、ファミ通がゲーム業界のクリエイターやゲーム好き著名人に行ったアンケート企画“超流行ゲー大賞2020”でも、堂々の第一位を獲得するなど、その評価は折り紙つき。

 パッケージ版を購入して手もとに置くのもいいが、2021年1月8日までPlayStation Storeで開催中の“ビッグウインターセール”では、ダウンロード版を40%オフで購入可能。2020年10月の大型アップデートでは、“Legends(冥人奇譚)”と名付けられたオンライン協力型マルチプレイモードや二週目(ニューゲームプラス)が実装され、遊びの幅が広がっており、この年末年始に遊ぶには最適な1本と言えるだろう。

「Legends(冥人奇譚)」モード アナウンストレーラー

 「この年末年始は時代劇でも」と思っている方は、“冥人”境井仁となって、侍の誉(ほまれ)について葛藤しながら対馬の平和を守る日々を送ってみてはいかがだろうか。

『ゴースト・オブ・ツシマ』年の瀬といえば時代劇。この傑作を遊ばない手はない!【年末年始おすすめゲームレビュー】

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