2020年9月に、5周年を迎えた『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(以下、『デレステ』)。それを記念して、北条加蓮役の渕上舞さんにインタビューを実施した。加蓮の第一印象やライブでの思い出などを伺ったので、最後までチェックしてほしい。

渕上 舞(ふちがみ まい)

5月28日生まれ。福岡県出身。2012年に『ガールズ&パンツァー』の主人公・西住みほ役に抜擢。その他の代表作は『ドキドキ!プリキュア(四葉ありす/キュアロゼッタ役)、『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』(イオナ役)など。アーティストとしても活動。(文中は渕上)

『デレステ』5周年記念インタビュー渕上舞さん(北条加蓮役)。「加蓮は自然体で演じたり、歌ったりできます」
『デレステ』5周年記念インタビュー渕上舞さん(北条加蓮役)。「加蓮は自然体で演じたり、歌ったりできます」

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  • Q.好きなアイドルは?
    白坂小梅
  • Q.好きな楽曲は?
    アンデッド・ダンスロック
  • Q.好きなユニットは?
    セクシーギルティ

加蓮は渕上さんによく似たハマり役

――『シンデレラガールズ』のオーディションは、もともと加蓮役で受けたのですか?

渕上加蓮も受けたのですが、じつはサイキック少女のユッコ(堀裕子)が第一希望でした。最初にユッコを演じていろいろディレクションを受けた後、加蓮も受けることになりました。

――そうだったんですね。

渕上それで、ほかの方がオーディションを受けているときに、加蓮の資料を読み込んで臨みました。急遽演じることになったこともあり、スタッフの方が「歌は大丈夫ですよ」と言ってくれたのですが、私は何かあったときのためにと、ほかのアイドルのオーディションの指定曲もすべて覚えて臨んでいたので、「歌えるのでやらせてください!」と答えて。いまとなっては、ちょっとした自慢話です。

――備えあれば憂いなし、ですね。加蓮役に見事決まったわけですが、当時、手応えはありましたか?

渕上手応えではないんですけど、オーディションが終わった後、当時のディレクターさんたちと話し込んでしまって。別れ際に「じゃあ、またね」と言われて、「これは決まったってことなのかな?」と思いながら帰りました(笑)。

――確かに、「またね」と言われて決まらなかったらおかしいですよね(笑)。実際に加蓮を演じることになって、どのようなディレクションを受けたか覚えていますか?

渕上初めて加蓮を演じたのは、デビュー曲『薄荷 -ハッカ-』といっしょに収録されていたドラマパートでした。そのときは、はかなさを重視するディレクションが多かったです。

――加蓮は当初、病弱なイメージでしたよね。

渕上そうなんです。そのドラマパートのエピソードでも途中で倒れてしまうのですが、スタッフさんからいまにも消えてしまいそうなはかなさ、切なさを強くリクエストされたのを覚えています。だから最初は、加蓮みたいなアイドルがいてもいいんだと、衝撃的でした。

――衝撃的だったと言いますと?

渕上加蓮は病弱だったせいで、素直じゃないというか、努力を否定するような発言が目立ちました。私は、『アイマス』のことをキラキラした女の子たちを育てるゲームだと思っていたので、後ろ向きな性格の加蓮みたいな子がいることにビックリしちゃって。でも、私は加蓮に共感できるところが多くて、嫌いではなく、むしろ好きなタイプでしたね。

――どんなところに共感しました?

渕上努力をするのが苦手なところ……。私もできないことはやらなくていい、がんばってまでやる必要はないと思うタイプで(苦笑)。

――そうなんですね、意外です! ダンスが苦手とよくおっしゃっていますが、それを克服しようと努力されているじゃないですか。

渕上ダンスはいまも苦手なんですが、ステージやそこから見える景色は大好きなんです。歌っているときの高揚感、やり終えた後の達成感、そしてステージから見えるみんなの笑顔……。これらを得るためにも、苦手なダンスにも前向きに取り組むようにしています。

――渕上さんは加蓮に似ているのですね。

渕上本当におこがましいのですが、加蓮は私なんじゃないかと錯覚することがあって。加蓮のセリフや生きかたには共感できることが多くて、自然体で演じたり、歌ったりできるんです。もし、渕上舞をアニメ化、マンガ化するとしたら、加蓮みたいなキャラクターになるんだろうなと勝手に想像しています(笑)。

――自然に演じたり、歌ったりできるということは、あまり意識せずとも加蓮として歌えていると。

渕上そうですね。声色は作っていませんし、テンションを上げたり下げたりすることもないので、渕上舞として歌っているときとそんなに変わらないかな……。ただ、私と加蓮とでは年齢がぜんぜん違うので、自分自身で歌うときよりも、かわいらしく聴こえるように歌いたいとは思っています。

――スタッフの方に、もっとこうして歌ってほしいと、何かディレクションを受けたことはありましたか?

渕上レコーディングのときに、「もっと笑顔の雰囲気を加えてもらえると、さらによくなると思います」と言われたのを覚えています。でも、やりすぎちゃうとクールな加蓮っぽくなくなってしまうので、表面上は落ち着いているんだけど、内面は笑っているというか、楽しさが伝わるように調整しながら歌うようにしています。最近は、明るく元気な楽曲を歌うことも増えてきて、明るさ増し増しでレコーディングに臨むことも多いですね。

――そんな加蓮ですが、長年演じてきて印象が変わってきたところはありますか?

渕上昔と比べて明るくなったと思います。いまや病弱キャラもネタになっていて、たまに冗談めかして倒れることもありますが、元気になったからこそできる冗談だと思うので。明るくなったことで、ほかのアイドルたちと交流する機会も増えました。

――5周年のキービジュアルも笑顔がまぶしいですし、おもしろいメンバーですよね。

渕上(イラストを見ながら)とっても爽やかですよね。舞台が海外のビーチリゾートということで、特別なシチュエーションでもありますが、みんなとこの状況を楽しんでいるなっていうのが伝わってきます。

――そういえば、加蓮はキービジュアルのセンターでしたね。

渕上加蓮は第9回シンデレラガール総選挙の1位ですから! 第7回は3位、第8回は2位で、順位を一段ずつ上げながら1位になれたので、とてもうれしいです。応援してくれたプロデューサーの皆様、ありがとうございました!

『デレステ』5周年記念インタビュー渕上舞さん(北条加蓮役)。「加蓮は自然体で演じたり、歌ったりできます」
『デレステ』5周年記念インタビュー渕上舞さん(北条加蓮役)。「加蓮は自然体で演じたり、歌ったりできます」
『デレステ』5周年記念インタビュー渕上舞さん(北条加蓮役)。「加蓮は自然体で演じたり、歌ったりできます」

会場のプロデューサーたちのためにそのときできる最高のステージを

――加蓮以外で、渕上さんが好きな子は?

渕上ちっちゃくてかわいい(白坂)小梅ちゃんです! 守ってあげたくなりますが、小梅ちゃんに触ると、ヤケドしそう(苦笑)。

――確かに、小梅はミステリアスな雰囲気がありますよね(笑)。では、好きな楽曲は?

渕上最近ハマっているのは、小梅ちゃんと(松永)涼が歌う『アンデッド・ダンスロック』。私は、明るく弾ける楽曲よりもダークな楽曲が好きなので、『アンデッド・ダンスロック』を聴くとテンションが上ります。

――本当に小梅が好きなんですね。

渕上小梅を演じているちょこたん(桜咲千依さん)の雰囲気もかわいくて好きなんです。「舞さん、いっしょに写真を撮らない~?」って、ちょこたんだけに“ちょこちょこ”近づいて来るんですよ。いつかライブで、小梅ちゃんと加蓮で『アンデッド・ダンスロック』を歌ってみたいですね。あとは、セクシーギルティ(片桐早苗・及川雫・堀裕子によるトリオユニット)にも、いつか混ざって『モーレツ★世直しギルティ!』をライブで歌ってみたいです(笑)。

――なるほど。ライブの話題が出ましたが、とくに印象に残ったライブを教えてください。

渕上周年ライブは、どれもそれぞれ印象的な出来事があって記憶に残っています。私は、ライブでハプニングが起きやすくて、どの周年ライブでも大きなハプニングがあるんですよ。

――ちなみに、お話ししても大丈夫なハプニングは……。

渕上そうですね……。2ndライブ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 2ndLIVE PARTY M@GIC!!)は大丈夫かな。このライブは、『アイマス』で初めて参加した大きな周年ライブで、会場が代々木体育館だったんですね。『薄荷 -ハッカ-』を歌うときに、センターステージだったので、ステージの下をトロッコで移動するのですが、準備が終わってスタンバイしていたときに、イヤーモニターがないことに気づいたんです。

――えぇ! それは一大事ですね。

渕上外れて衣装の中に落ちたと思ったんですが、舞台と楽屋が離れていて、楽屋に戻って探す時間がなくて。マネージャーに、「もう間に合わないからここでやって!」とお願いして、衣装の背中を開けて探してもらいました。イヤーモニターは見つかったんですが、すぐに衣装を直して、トロッコに押し込められて、ステージに立って……。

――その流れで、よく『薄荷 -ハッカ-』を歌う気持ちが作れましたね(苦笑)。

渕上なんとか気持ちを整えましたが、初めての周年ライブなのに最悪でした(苦笑)。でも、ステージに穴を開けることがなくてホッとしましたし、たくさんのプロデューサーに囲まれて歌えたので、忘れられない思い出になりました!

――最近行われたライブで、とくに印象に残っている出来事はありますか?

渕上直近だと、2月の7thライブ大阪公演です。『薄荷 -ハッカ-』をアコースティックバージョンで歌わせていただきました。京セラドームのような大規模な会場のライブでは、楽曲の音が聞こえにくいため、イヤーモニターの中にテンポを刻むクリック音が流れているのですが、『薄荷 -ハッカ-』を歌ったときだけは、自分の声にバンドのオケを合わせてほしくて、クリック音を切ってくださいとお願いしました。『シンデレラガールズ』のライブでは初めての生バンドで楽しかったですし、わざわざ会場に足を運んでくれたプロデューサーの方たちに、7thライブでしか聴けないものをお届けできたのがうれしかったので、今後も挑戦したいです。

――ライブでパフォーマンスを行うときに、とくに意識していることはありますか?

渕上特別心がけていることはありませんが、歌はもちろん、MCやあいさつなども加蓮っぽく振る舞おうとはしています。見た目は渕上舞だけど、中身は加蓮で、プロデューサーの方たちは、加蓮を応援しに来てくれているので。とはいえ、先ほどお話しした通り、加蓮は自然体で歌ったり、踊ったりできる子なので、渕上舞と加蓮のあいまみたいなところで振る舞っていることが多いですね。

『デレステ』5周年記念インタビュー渕上舞さん(北条加蓮役)。「加蓮は自然体で演じたり、歌ったりできます」

――ライブでもあくまで自然体なんですね。それでは最後に、プロデューサーに向けてメッセージをお願いします!

渕上『デレステ』5周年、おめでとうございます! 『シンデレラガールズ』では新参者の気持ちが抜けませんが、「もう5年も経つんだ」と月日の流れにビックリしています。親しいスタッフさんには「もう古株だよ」と言われますが、今後も新鮮な気持ちを忘れずに。そして、シンデレラガール総選挙でトップに輝くことはできましたが、この結果に甘んじることなく、これからも加蓮の魅力を引き出していきたいと思います。プロデューサーの皆様、今後も応援をよろしくお願いします!

『デレステ』5周年記念インタビュー渕上舞さん(北条加蓮役)。「加蓮は自然体で演じたり、歌ったりできます」
『デレステ』5周年記念インタビュー渕上舞さん(北条加蓮役)。「加蓮は自然体で演じたり、歌ったりできます」
『デレステ』5周年記念インタビュー渕上舞さん(北条加蓮役)。「加蓮は自然体で演じたり、歌ったりできます」