2020年6月29日にサービス開始3周年を迎えた『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』(以下、『ミリシタ』)。3周年を記念して実施した、天空橋朋花役の小岩井ことりさんのインタビューをお届けします。

※本インタビューは2020年6月上旬に行いました。

小岩井 ことり(こいわい ことり)

2月15日生まれ、京都府出身。DTM(※)や音響機器への造詣が深く、作詞作曲も手掛ける。代表作は『のんのんびより』(宮内れんげ役)、『戦×恋』(早乙女九瑠璃役)など。
※……Desk Top Musicの略で、パソコンを使用して音楽を作成編集すること。

『ミリシタ』小岩井ことりさん(天空橋朋花役)インタビュー。「憧れの765プロの一員になれたことには運命を感じました」_02
『ミリシタ』小岩井ことりさん(天空橋朋花役)インタビュー。「憧れの765プロの一員になれたことには運命を感じました」_01

子豚ちゃんとプロデューサーさん、すべてに注ぐ聖母の慈愛

――オーディションでは、朋花を受けられたのですか?

小岩井確か最初は(二階堂)千鶴で受けたと思います。じつはそのときの記憶が曖昧なんです。『ミリオンライブ!』のお話がある前から『アイドルマスター』のアイドルになりたくて、事務所にも「『アイマス』関連のオーディションがあったら、ぜひ挑戦させてください」と言っていたのですが、待ち望んでいたチャンスがやって来て、とにかく緊張しっぱなしで細かいことを覚えていなくて……。緊張で記憶が吹き飛ぶことってありますよね?(笑)

――あると思います(笑)。

小岩井それで千鶴を演じた後、「ほかにもキャラクターがいるんだけど、やりたい子はいる?」と言われて、私は幼い子を演じることが多かったので(箱崎)星梨花と(望月)杏奈をやってみたいと伝えたところ、スタッフさんから追加で「朋花と(徳川)まつりもやってみて」とリクエストがあって、そのふたりにも挑戦することになりました。朋花については、さらに「保母さんみたいな感じで」というような具体的な指示があったのですが、まつりはイメージが違ったのかあまり言われることもなかったですね。ただ一生を左右するほどの重要な出来事だったのに曖昧にしか覚えていないくらい、決死の思いで挑んだことだけは確かです。

――ご自身での手応えはいかがでしたか?

小岩井まつりに関しては、彼女のいいところを引き出しきれていないなとは感じていました。これは私の長所でもあり短所でもあるのですが、言葉に“甘い毒”のようなものがにじみ出ているんですよ。それが、朋花のイメージには合っていたけど、まつりだとちょっと嫌味に感じられてしまうだろうなと。後で諏訪ちゃん(徳川まつり役の諏訪彩花さん)の演技を耳にして、すごく納得しましたね。千鶴も、私の声では少し堂々とし過ぎているというか、千鶴ならではのバタバタしたかわいい感じが出なかったのかもしれません。そのうえで、私の適性を見抜いて朋花役を提案してくださって、選んでいただけたことには本当に感謝しています。

――この7年間で朋花に対するイメージに変化はありましたか?

小岩井最初にいただいた資料では「ファンを“子豚ちゃん”と呼ぶ」とか、思わず「えっ?」とビックリするようなSっ気の強さが印象に残りました。それで最初は私もSっぽく振る舞おうとしていたのですが、演じていくうちに朋花は本当は愛情溢れるやさしい子なんだと気付いて、ようやく彼女を理解できたと思えるようになりました。

――それはどのくらいのタイミングですか?

小岩井少し時間は掛かりました。私の未熟さゆえでもあるのですが、演じる機会もそれほどない状況の中、手探りで進めていたところもあったので。手応えがあったのは、2ndライブからですね。実際に観客席とコール&レスポンスなどのやり取りをして、朋花の子豚ちゃんたちに対する愛情の深さを知ることができたと思います。

※2ndライブのリポートはこちら

――観客席には朋花のファンである“子豚ちゃん”もいれば、それ以外のプロデューサーさんもいると思うのですが、朋花として彼ら彼女らにどう接するようにしていますか?

小岩井私はライブで、ひとりひとりに一生忘れられない思い出を作ってもらえるようにしたいと考えています。もちろん、私ができることには限界があるので、全員にはムリかもしれない。でも、できる限りファンサービスをしているつもりです。子豚ちゃんに対しては全力でアイドル・朋花をアピールしますし、子豚ちゃんでないプロデューサーさんには「チラッ」と視線を送るようにしています。だって、朋花はプロデューサーさんを信頼しているから、視線で伝えるんです。「どう、私ステキでしょ? ちゃんと見てる?」って。

――朋花さまにアピールされたら、恥ずかしがる子豚ちゃんもいそうですね。

小岩井そんな子豚ちゃんがいたら、顔を覗き込んじゃいます♪

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――3年前『ミリシタ』がサービス開始され、さまざまなものがリスタートとなりましたが、朋花を演じるうえで変化はありましたか?

小岩井設定が微妙に変わったところがあって、もちろんそういうところは意識しています。これまでになかった部分では、たとえばアイドルたちの“身長差”がわかりやすくなったので、私もそれを意識して演技をしているんです。

――具体的にどういう違いがあるのですか?

小岩井微妙な差ではあるのですが、たとえば(周防)桃子とか(中谷)育ちゃんみたいに小さいな子については、より愛情を増して演技しています。キャラクターが立体になって、より個性と言うか雰囲気みたいなものがわかりやすくなり、それぞれへの対しかたも変化したと思います。

――小岩井さんと言えば765プロオールスターズへの愛情の深さも有名ですが、もともと『アイマス』を好きになったのにはどういったキッカケがあったのでしょうか?

小岩井私のオタク友だちがアーケード版をプレイしていて、(高槻)やよいPだったのですが、そこから熱心なお誘いを受けたのが最初の出会いでした。その時点ではそこまで深くハマらなかったものの、その後テレビアニメ版に感動して、ズブズブと深みへ潜っていきました。私がそれまで観てきた作品の中では革新的で、基本的には明るく、楽しい物語なのですが、心の傷だったり深いところまで描き込まれているのが衝撃でした。

――家庭の事情など、外の部分までしっかり描かれていましたよね。

小岩井私は(如月)千早が好きなのですが、彼女が希望を持ちながらもそれが必ずしも叶うとは限らないと理解したうえで歌い続けるような、儚い姿に胸打たれました。そしていつしか、「私も765プロに入って、彼女たちと切磋琢磨しながらともに歩んでいきたい」と思うようになったんです。プロデューサーでもファンでもなく。そんな憧れの765プロの一員として、先輩たちとも同じステージに立てているなんて、運命を感じましたね。

――765プロのアイドルたちのようにキャストの皆さんも仲がよさそうですね。

小岩井私は2ndライブまで『ミリオンライブ!』に限らず人と接するのが苦手で、どうしたらいいのかわからないまま右往左往していたんです。いま思うとちょっと恥ずかしいのですが、それで“お友だちキャンペーン”というものを私の中で実施しました。無理矢理にでもみんなに話し掛けて仲よくなるぞ、と(笑)。それからさらに時間は掛かったのですが、おかげでメンバーたちとも仲よくなれて、いまではいろいろなことが相談できるようになりました。

――そうなると、いちばん印象深いライブは、やはり2ndということになるでしょうか。

小岩井そうですね。私の中では、最初で最後の舞台のつもりで、決死の思いで臨んだライブでした。それを乗り越えたおかげでいまがあるので、思い出深いですね。

――5月には新たな試みとして、リモートをフル活用した生配信も行われました。

小岩井おもしろかったですね。リモートを使った企画はほかの生放送でもありましたが、メンバーたちがチャットで参加するというのはおもしろい試みだったと思います。会話の流れも関係なく自由に発言できるので、よりはっちゃけたみんなの姿が見られました。それにしてもコメントを打つのが速かった! また機会があれば参加したいです。そして、全員参加のライブもいつか実現してほしいですね。あと『ミリシタ』では実現しましたが、「ライブ中に飛んでみたい」という願いもまだまだ諦めてはいませんよ(笑)。

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――小岩井さんは朋花のソロ曲である『Sister』の作詞作曲をみずから手掛けていますが、あの企画はどうやって実現したのでしょうか?

小岩井当時のサウンドプロデューサーの方に、直接私から「朋花のソロ曲のデモテープを作ってみました。私が作ったということは関係なく、コンペの中の1曲という感覚で聴いてもらえませんか?」とお願いしたのがきっかけです。

――制作期間はどのくらいだったんですか?

小岩井デモテープの段階では仕事しながらだったので3、4日くらいですね。ただ、ずっと朋花の曲を作りたいと思っていたので構想自体はずっと温めていました。

――またチャンスがあればやりたいですか?

小岩井可能性があるかどうかはわかりませんが、すごくやりたいです。叶うならマイペースユニット(まつり、(宮尾)美也、朋花)の曲を書いてみたいですね。学園祭で歌っているようなイラストがすでに出ている(※1)ので、そんなイメージの曲にしたいと思っています。

※1……ソーシャルゲーム版『ミリオンライブ!』で登場した“文化祭ロックフィーバー! 宮尾美也”のこと。

――マイペースユニットのお話も出ましたが、今後朋花としてユニットを組んでみたいアイドルはいますか?

小岩井15歳組のメンバーで組んでみたいですね。39プロジェクトだとロコ、(永吉)昴、(七尾)百合子、朋花の4人ですが、765プロオールスターズでは(星井)美希と(水瀬)伊織もおなじ年齢なんです。15歳って多感な時期だし、ストーリーもおもしろくなるのではと思っています。

――それとは別に、お気に入りのアイドルをひとり挙げるとしたら?

小岩井先ほどのアニメのときにもお話しましたが、やっぱり人生を変えるきっかけをたくさんもらった千早ですね。千早を演じている今井麻美さんの番組にもゲストとして呼んでいただいたりして、お世話になっています。

※小岩井さんが出演した“今井麻美のニコニコSSG第90回”はこちら。『アイドルマスター』への想いなども語られているので、こちらも要チェック!

――同じく、お気に入りのユニットは?

小岩井Cleaskyは尊いですよね……。『MTG』シリーズ(※2)ではCleaskyを始め、『ミリシタ』でのユニットによるドラマ(劇中劇)がメインに描かれていて、その後の6thライブではユニットごとにコーナーを担当したりもしていました。私の場合、夜想令嬢(※3)がそれにあたりますが、ライブを通じてユニットメンバーとの絆もより深まりましたし、そこでユニットが好きになったというキャストさんも多いのではないでしょうか。

※2……『THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION』シリーズのこと。

※3……夜想令嬢……『ミリシタ』に登場するユニット“夜想令嬢 -GRAC&E NOCTURNE-”のこと。メンバーは二階堂千鶴、天空橋朋花、百瀬莉緒、所 恵美の4人。

※6thライブのリポートはこちら

――6thライブは、『昏き星、遠い月』をミュージカルのように歌う演出もあって、かなりたいへんだったと思いますが……。

小岩井通常の舞台であればある程度自分のタイミングでセリフをしゃべったり、アドリブを入れたりするのですが、『昏き星、遠い月』ではセリフも曲に合わせて入れなければならなかったので、たいへんでした。しかも全部合わせて20分くらいになるので、全員集まって通しで練習する、ということがほとんどできなくてプレッシャーも大きかったですね。

――もうひとつ、お気に入りの楽曲も教えてください。

小岩井自分REST@RT』です。やっていて楽しいですし、アニメの影響も大きいですね。1stライブのカバー曲コーナーで歌われたとき(※4)は感動しました。

※4……2014年6月7日、8日に中野サンプラザで行われた“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 1stLIVE HAPPY☆PERFORM@NCE!!”の1日目に歌われた。このときの担当はMachicoさん、大関英里さん、木戸衣吹さん。1stライブのリポートはこちら。

――それでは最後に、プロデューサーさんたちへのメッセージをお願いします。

小岩井『ミリオンライブ!』はほかの作品にはないくらい、応援してくれるプロデューサーの皆さんも私たちキャストも仲よしというか、みんなでひとつになっている貴重なコンテンツだと思います。これからも、みんなで心を合わせて5周年6周年と、人生とともに在る作品になれるよう、私たちもがんばっていきますので、応援よろしくお願いします。

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