2020年6月29日にサービス開始3周年を迎えた『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』(以下、『ミリシタ』)。3周年を記念して実施した、矢吹可奈役の木戸衣吹さんのインタビューをお届けします。
※本インタビューは2020年6月上旬に行いました
木戸 衣吹(きど いぶき)
11月14日生まれ、青森県出身。14歳でデビュー後さまざまなアニメでヒロイン役を務めるほか、舞台などにも活躍の場を広げる。近年の出演作は『アイカツフレンズ!』(湊みお役)、『ロケッティア』(キット役)など。
出会ったころから似た者どうし!? 超ポジティブなふたり
――可奈と出会うきっかけとなった、オーディションのことを振り返っていただけますか?
木戸最初は木下ひなたちゃんを受けました。私は青森県出身なのですが、ひなたちゃんの田舎の子っぽい雰囲気と、イラストでリンゴのTシャツを着ていたのを見て「これはいけるかもしれない!」って思ったんです。方言も得意分野ですし。
――そのオーディションで「可奈もやってみて」という話になったのでしょうか。
木戸可奈ちゃんのほかにも、元気のいい年少組の(中谷)育ちゃんと(大神)環ちゃんもやってほしいと言われました。当時は中学生だったので「若さを武器にがんばろう!」と思って制服を着ていったりしていたのですが、決まってくれてよかったです(笑)。それまでも明るい子の役をいただけることが多かったので、そういう役が合っていたみたいですね。
――実際、可奈は演じやすかったですか?
木戸収録では「木戸さんは可奈ちゃんそのものだから、役作りせずそのままやってください」と言われていて、ドラマも歌も収録はスムーズでした。内心では「そんなに似ているかなあ?」と思っていましたが……。
――(笑)。この7年で、そんな可奈の印象が変化したりはしましたか?
木戸基本的な部分では変わっていません! でも最初はただ明るくて元気でのほほんとした、脳天気な女の子だと思っていたのですが、たとえば劇場版(※1)などで挫折をしたり悩んだりする場面も出てきて、そこで彼女の新たな一面を発見することはありました。
※1……劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』のこと。
――劇場版では、可奈が挫折を乗り越えることがひとつのテーマになっていましたね。落ち込んでいる演技をするときは、どういう心境で臨んでいるのでしょうか?
木戸落ち込みすぎないようにはしています。私自身もそうなのですが、落ち込むことはあっても基本的には前向きなので、立ち直れなくなるくらいにはならないんです。そう考えると、やっぱり私と可奈ちゃんは似ているのかもしれませんね(笑)。
――劇場版の後、2017年には『ミリシタ』の配信がスタートしましたね。『ミリシタ』が配信されて、環境に変化はありましたか?
木戸グラフィックが3Dでなめらかに動くようになって、すごく力を入れて作ってくださっているのを感じたので、私も「もっと演技をがんばろう!」と思いました。キャラクターがどう動くのかを想像しながらアフレコするのも、けっこう楽しいです。
――可奈はコミュでもいつも歌いながら登場するので、インパクトが強いです(笑)。
木戸じつは、あの歌はいつも収録のときに即興で考えているんです。もちろん、考えるのは楽しいですが、毎回歌っているのでネタ切れになってしまうこともあって。そんなときはスタッフさんたちと「こういう感じはどう?」って意見を出し合いながら作っていますが、やっぱりいまだに難しいですね(苦笑)。
――この7年間でとくに印象に残っている出来事があれば教えてください。
木戸3rdライブツアーです。メンバーが各地で公演を行いながらバトンをつないできて、最後に幕張に集まるという形がすごく思い出に残りました。このツアーを挙げる人は多いんじゃないでしょうか。すごく濃密な時間を過ごしましたね。レッスン量も多かったですし、地方ではご飯もおいしかったし(笑)。
――キャストの皆さんと食べたりも?
木戸はい! だいたい前日にみんなで「明日がんばろうね!」なんて言いながら、ワイワイ楽しく食べていました。だいたいホリプロ組の田所あずさちゃんかMachicoちゃんがいっしょです。あとは伊藤美来ちゃん。私とタイプが似ていて、根がマジメでパフォーマンスが完璧でないと満足できないので、よく励まし合っています。
――ライブで歌ってきた中で、とくに思い出深い楽曲をひとつ挙げるとしたら?
木戸私は『Thank You!』です。矢吹可奈として初めてレコーディングした曲でもあります。当時はまだアフレコも歌も数えるほどしか経験がなくて、すべて全力で臨んでいたんですが、「全部100%で歌っていたら疲れちゃうから、力を抜けるところは抜けるようになるともっと成長できるかもね」と言われたことをよく覚えています。ゲームに入っている歌声はその当時のままで、いま改めて聴くと当時の元気ハツラツぶりが出ている……というか、可奈の感じがあまりないのでちょっと恥ずかしいですね。
――そこが可奈らしさでもあると思いますよ。今年の5月末からは、これまでの周年ライブの映像も配信されていましたよね。
木戸1stのころの自分を観ると、若いというより“幼い”って思います(笑)。
――そのころの自分と比べて、ライブに臨む姿勢で変化したところはありますか?
木戸『ミリシタ』で新しく『ミリオンライブ!』を知ってくださった方も増えてきたので、そういったプロデューサーの皆さんにも楽しんでいただけるようなライブにしたいと思って、ステージに臨んでいます。
――木戸さんは感極まってしまうキャストさんも多い終盤のMCコーナーでも、いつも笑顔でハキハキとしゃべっているような印象があります。
木戸MCはたいてい1分以内とか時間が決まっていて、そこはオーバーしないようにしよう、というのを心掛けています。新幹線などで遠くから来ているプロデューサーさんもいらっしゃったりするので、簡潔に、でも思いは伝わるように……ですね。
――6thライブツアー追加公演“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!! SPECIAL”Day2での『赤い世界が消える頃』はファンのあいだでもよく話題に挙がっていますが、種田梨沙さん(田中琴葉役)と歌うことが決まったときの心境はいかがでしたか?(※2)
※2……『赤い世界が消える頃』が収録されている『THE IDOLM@STER THE@TER ACTIVITIES 03』の参加メンバーは、2016年にソーシャルゲーム版『ミリオンライブ!』内で行われた“CD&ボイスドラマキャスト投票キャンペーン”の結果により決定。“普通の子役”で最多票を獲得したのは田中琴葉だったが、当時、種田梨沙さんが病気療養中で声優業を休業していたため、得票数次点の矢吹可奈(木戸衣吹さん)が出演することになった。
木戸「やっといっしょに歌うことができる!」と思いました。本番中はすごく幸せでしたね。イヤモニからも種ちゃんの声が聞こえて、いっしょに歌っている実感が湧いてきましたし、イントロが流れた瞬間に客席を見たら、感激で崩れ落ちているプロデューサーさんが何人もいて……。ふだん泣かないって決めているんですけど、あのとき時は私も泣いちゃいました。
※“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!! SPECIAL”Day2のリポートはこちら
――2019年の“バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル”Day2では、『ミリオンライブ!』の出演者としては発表されていませんでしたが、『UNION!!』のときに出演されていましたね。驚いた方も多かったのではないかと思います。
木戸あの日、私は『アイカツ!』シリーズで出演することになっていて、「同じ日に『ミリオンライブ!』も出演する」ということで、サプライズで出演させていただけることになりました。じつは早着替えのために『ミリオンライブ!』の衣装の下に『アイカツ!』の衣装も着ていたので、ステージでは見た目がパッツンパッツンだったかもしれません(笑)。
※“バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル”Day2のリポートはこちら
――東京ドームでのステージはいかがでしたか?
木戸ドームの舞台に立つというのは夢だったので、感動もひとしおでした。いつか『ミリオンライブ!』でも立ちたいですね。
――5月には新たな試みとしてリモートをフル活用した生配信(※3)も行われました。
※3……2020年5月23日~24日配信の“MILLIONSTARS特別生配信~手作りのThank You!~”のこと。
木戸じつはリモート収録はあのときが初めてだったので、ちゃんとできるかどうかが不安でした。家で録っているのでリラックスできてよかったですし、チャットもすごいスピードでおもしろかったです。「やっぱり『ミリオンライブ!』はいい意味で“ヤバい”子しかいないな」とあらためて感じましたが、それもまた『ミリオンライブ!』の魅力ですよね。早くみんなに会いたいです。
――今後ライブもできるような環境になったら、やってみたいことはありますか?
木戸ライブステージが動くとか、おもしろそうですね! いまのところトロッコくらいしかやっていないので、よく韓流アイドルがやっているような回転する舞台とか体験してみたいです。あれ絶対にカッコイイので!
――『ミリオンライブ!』でお気に入りのアイドルを挙げていただけないでしょうか?
木戸木下ひなたちゃんです。田村奈央ちゃんの独特な声とおっとりとしたしゃべりが好きで、ずっと私の“推し”なんですよ。あとはジュリアちゃんも好きですね。いつも可奈ちゃんをホメてくれるので(笑)。やさしくされたら、好きになっちゃいますよね!
――(笑)。木戸さんもひなたでオーディションを受けられたとおっしゃっていましたが、田村さんの演技を聴いてどう感じられましたか?
木戸まさにピッタリですよね。ひなたちゃん推しの私にとっては、むしろ「ありがとう!」という感じでした。田村奈央ちゃんはひなたちゃんを演じるために生まれてきてくれたんじゃないだろうか、と本気で思っています(笑)。“39プロジェクト”は名前の通り39人もいるのですが、ひなたちゃんと奈央ちゃんの組み合わせはその中でも際立った個性があって、演者としてもうらやましいです。
――お気に入りのユニットや楽曲も教えてもらえないでしょうか?
木戸ユニットはD/Zealが好きです。ドラマも歌も本当にアツくて感動させてくれる、“エモい”ユニットが好みなんですよ。楽曲は『ハーモニクス』のほかにも『アイル』がお気に入りで……って、いま気付いたのですが全部ジュリアがいます! ジュリアはいるだけでエモくしてくれるから好きです(笑)。
――そんな流れの中、今後可奈とユニットを組んでみたいアイドルは……という質問があるのですが……。
木戸もちろん、ジュリアです(笑)。『ミリシタ』ではよくジュリア×可奈の掛け合いがあって「いつかバンドを組もう」みたいな話も出てきているので、それを実現させてほしいなぁ、なんて思っています。でもふたりだとプレッシャーがすごいので、誰かもうひとり入ってほしいですね。
――そのひとりを木戸プロデューサーが選ぶなら?
木戸私が歌声に惚れ込んでいる、北上麗花ちゃんを選びます。リハーサルなどでも、ぴらみさん(北上麗花役の平山笑美さんの愛称)が歌い出すと思わず振り向いちゃうくらいなんですよ。だから、可奈ちゃんとジュリアちゃんと麗花ちゃん、その3人でユニットを組みたいです!
――では、つぎにソロ曲を作ってもらうとしたら、どんな曲を歌ってみたいですか?
木戸この前の曲(『あめにうたおう♪』)がゆったり系の曲だったので、『おまじない』みたいにアップテンポな曲を歌いたいです!
――最後に、プロデューサーの皆さんにメッセージをお願いします。
木戸『ミリシタ』が4年目を迎えることができたのも、プロデューサーさんの応援のおかげです。これからもいろんな世界をいっしょに見られるように、プロデュース&応援をお願いします。私も可奈ちゃんと突っ走ります!