アレクシオス
カサンドラ

ペロポネソス戦争でアテナイとスパルタの激戦を彩った軍船……それが三段櫂船(トライレーム)!

公開日時:2018-10-08 12:00:00

海戦の主役となった高機能の三段櫂船

 『オデッセイ』で描かれるペロポネソス戦争。ペルシア戦争においてギリシア軍の勝利を確定させたサラミス海戦でその実力を見せたアテナイ海軍は、デロス同盟におけるアテナイの発言力を高めるには十分な権勢を誇っていました。エーゲ海を支配するほどの勢いを見せるアテナイに対し、危機感を持ったスパルタを中心とするペロポネソス同盟。この強大な都市国家の対立が、ギリシア全土を巻き込む一大戦争へと発展したのがペロポネソス戦争です。

開戦してからのペロポネソス同盟軍は、強力な重装歩兵を中心とした陸軍を伴ってアテナイへ迫ります。それに対抗するアテナイ軍の中枢となったのが海軍でした。入り組んだ地形と大小さまざまの島々からなるエーゲ海を舞台にした海戦の主役となったのが戦闘に特化したガレー船、三段櫂船(トライレーム)です。

ACOD_screen_SailingBeautyShot_180821_930am_CEST_1534778747

 三段櫂船はその動力を風力に頼るのではなく、人力でオールを漕ぐことで進んでいた軍船。風が弱く、風向きも安定しない海での行動に向いていました。急な加速や減速、回頭に長けており、水深が浅い海や海岸が入り組んだ場所、島と島のあいだのような狭い海域で活躍できるように設計された、当時は最先端の技術を持つ船でした。

 人力のもとになる漕ぎ手ですが、アテナイの三段櫂船は、市民権は持っていても自分で武器を調達できない無産市民や、市民権を持たない自由人である在留外人(メトイコイ)が漕ぎ手を担ったそう。対するスパルタ側は徹底した軍事国家であり、少数の市民が多数の奴隷を使役する体制だったため、その漕ぎ手は奴隷が多かったようです。

ACOD_screen_EpicNavalBattle_180821_930am_CEST_1534778714

 三段櫂船による海戦は、まず接近して船の前部にある突起部の衝角を敵の船体にブチ当てるというもの。これで船体を破壊し、浸水させるのです(そのために衝角は船底に付いています)。弓矢や火矢、石矢などが届く距離に入ったら牽制攻撃を仕掛けます。敵船に乗り移れる距離になったら、白兵戦に突入します。荒れる海上で敵味方が入り乱れる海戦では、やはり接近戦が強くないといけません。ということで、小回りが利き、いざと言うときの突進力と回避力に優れる三段櫂船は戦力の中心となりました。

Assassins_Creed_Odyssey_screen_Cleaving
ACOD_screen_AthenianHeavyTrireme_180918_10am_CEST_1537433389

アテナイ海軍が誇る軍船はかなり強力。その船体を金属で覆い、無類の機動力を発揮します。青を基調とした色彩が美しい!

ACOD_ca_Adrestia_Sketch_180918_10am_CEST_1537439234
ACOD_ca_Adrestia_Progression_180918_10am_CEST_1537433478

主人公の船となるアドレスティア号のコンセプトアート。細かい部分までデザインされているのがわかります。下はアップグレードされていく様子を描いたもの。

ACOD_screen_NavalUpgradeComparison_Base_180918_10am_CEST_1537433387
ACOD_screen_NavalUpgradeComparison_Upgraded_180918_10am_CEST_1537433386

アップグレードすれば、衝角も船体もどんどん強力になっていきます。ちなみにアドレスティアとは、ギリシャ神話に出てくる反乱と均衡の女神の名前。逃げることのできない者を意味する言葉でもあったという説も。

 『オデッセイ』でも、海戦は非常に重要な位置を占めています。なので、プレスツアーでは1987年に復元された三段櫂船のオリンピアス号に乗船するという貴重な体験を楽しませていただきまして。ちなみに、2016年にはギリシャ海軍によって試験航海が行われたこともあるのですが、今回は港に固定された状態での体験でした。そりゃ、素人で海に出るわけにはいかないですよね。人力だし。試験航海の模様は以下の動画をご覧ください。勇ましく進む姿は、まさに『オデッセイ』の海戦を想起させますので。

IMG_2716
20181006005736
20181006005719

上空から見たオリンピアス号。全長は約37メートル、最大で170名の船員が乗れる大きさです。そのフォルムを紀元前に実現していたことに驚かされます。

 オリンピアス号は三段櫂船ですが、今回の体験では二段に人が座って、漕ぎ手を担うことに。が、これが大変で。まず、オールが当たらないように息を合わせる必要があります。どこかがテンポを間違えると、あちこちでオールがぶつかってしまうのです。船頭役の号令に合わせて、ずれることなく一斉に同じ行動を取ることが求められます。また、加速と減速で漕ぎ方が異なるので、急な号令でも指示に合わせて同じタイミングで漕ぎ方を変える必要があります。水の流れに合わせて動くオールを、瞬時に方向転換するとなると、これまたかなりの力が……。

20181006005647
20181006005705

船内の中央に通路があり、左右に漕ぎ手が座るのですが、かなり狭い。甲板も広くないので、そこに立って弓を射るなど至難の業だったのでは? それができるからこそ、アテナイの海軍は強かったのかも。

IMG_2717

座るとこんな感じで、背もたれがないので、漕ぐときは足で踏ん張って腕と腰の力でオールを漕ぐ。これが疲れました……。

20181006005800

後部の甲板にある椅子に船長もしくは指揮官が座って、号令をかけていたとか。

 止まっている船で少し疑似体験をしただけで疲れたのに、大海原に出て、波や潮の流れの激しい中で巨大な船を操らねばならない当時の漕ぎ手の苦労は、想像に難くありません。ゲームでも、船員たちを大事にしないといけないなと思いました!

ACOD_ca_Convoy_180918_10am_CEST_1537433476

この記事の個別URL

『アサシン クリード オデッセイ』特設サイト-THE WAY OF NEW ODYSSEY-

UBI SOFT 公式サイト

『アサシン クリード オリジンズ』公式サイト

●GAME SPEC

タイトル:アサシン クリード オデッセイ
メーカー:ユービーアイソフト
対応機種:Nintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One、PC
発売日:2018年10月5日発売予定
価格:各8400円[税抜](各9072円[税込])
※Nintendo Switch版『アサシン クリード オデッセイ クラウドバージョン』は730日間プレイ券が8400円[税別]となります。
CERO:18歳以上のみ対象

©2018 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Assassin's Creed, Ubisoft and the Ubisoft logo are registered or unregistered trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.