『ファイナルファンタジーXV』の冒頭を25時間プレイしてわかったこと、感じたこと

公開日時:2016-08-17 00:00:00

 2016年8月17日~21日(現地時間)にかけて、ドイツ・ケルンで開催される欧州最大級のゲーム見本市gamescom 2016。そこに出展予定の『ファイナルファンタジーXV』(以下、『FFXV』)の試遊版をプレイし、判明した事実と率直な感触を、ライター・堤教授がお伝えする。

 今回プレイできたのは、ゲーム冒頭~チャプター3まで。本編に近しい仕様だが、一部システムや遠景などのビジュアル、NPCの挙動等はブラッシュアップされていないバージョンでのインプレッションとなる。それでも25時間以上遊び込めるというところに、本作の奥深さを感じていただければ幸いだ。

 なお、ゲームプレイのダイジェスト動画は別途公開されている。下記[関連記事]の動画とプレイインプレッションを合わせてチェックしてほしい。

[関連記事]『ファイナルファンタジーXV』ゲーム序盤からの最新ゲームプレイ動画(約53分!)が公開!!【gamescom 2016】

FFXV』gamescom版プレイインプレッション

 gamescomでは、本編のチャプター3までがプレイできる特別バージョンの『FFXV』が出展されます。幸いにも、長時間プレイする機会が得られたので、たっぷりと味わい尽くしてわかった本作の魅力をお伝えしようと思います。残念ながら撮影はできなかったため、システムに関しては既報の写真を交えつつご紹介します。

 ゲームをスタートし、プロローグが終わると、チャプター1の冒頭からすぐに自由行動ができるようになります。ストーリーのネタバレは避けたいのでさらっと書きましたが、プロローグからかなり物語に引き込まれる作りになっていて、そのインパクトは今回試遊した中でいちばんと言っていいほど! 物語も先が気になる展開が続き、チャプター3が終了したときには「あ……こんなところで!」と後ろ髪を引かれる思いでした。

 さて、ストーリーの話はこの程度にして、ゲームシステムについて振り返ろうと思います。E3のメディア評価版の記事でも触れた情報が多いですが、おさらいも兼ねてあらゆる要素に触れていきましょう。

 本作は“メインクエスト”を追っていくかたちで物語を進めていきます。街の人から請け負う依頼や突発的に発生するトラブルなどは“サブクエスト”として扱われ、どの順番でいつ攻略するかはすべてプレイヤーの自由となるわけです。広大な世界を好きに歩き回れる開放感は新鮮で、最初から遠くまで出歩いてしまいました。世界は広く、徒歩での移動は時間がかかりますが、宿泊した場所やクルマが停まっている位置に瞬時に戻る機能があるので、帰り道を気にする必要がなく、かなり快適でしたね。

01
02
03

▲クエストは、目的を達成するとすぐに内容が更新されるうえ、おおよその目的地はマップに表示されるので迷うことなく進められる作りになっています。

03a

▲クエスト進行中の会話では選択肢が表示されることもあります。ここでの対応によって、会話の内容や得られる報酬などが多少変化していました。

 マップは、最初は白紙の状態(おおまかな世界地図は表示される)で、歩いて回った場所は表示が明るくなり、発見したショップやアイテムが拾えるポイント、ダンジョンなどが自動で記載されていきます。“マップを埋めていく”という行為をしているだけでも、どんな出会いが待っているのかというワクワク感があり、思わずクエストそっちのけで没頭してしまいました。

 本作の旅で欠かせなかったのが、街や宿泊施設がある場所にあるレストラン(ダイナー)。店主に話しかけ、周辺地域の情報を聞けば、未踏の地の街やパーキング、ショップなどの位置がある程度マップに記録されます。お金を支払えば、長時間ノクトたちがパワーアップする食事を摂ることもできますし、討伐依頼にも挑戦できます。討伐依頼を受けると、そのレストランの周辺にいる危険生物を倒すことになり、達成するとまとまったお金とアイテム、経験値などが手に入ります。貴重な収入源、経験値稼ぎの手段としてかなり重宝しました。レストランで情報収集やお金、経験値稼ぎをして旅の支度をし、クエストを進める、というのが本作の基本的なサイクルになりそうです。

04

▲レストランの店主に話しかけると、ノクトたちがテーブルにつき、周辺の情報を聞いたり、討伐依頼(モブハント)を受けられるように。店主は容姿だけでなく話しかたも個性があるほか、店によってメニューが違います。レストランを巡りも旅の醍醐味のひとつになりそうです。

A

▲世界各地にあるチェーン店のレストラン、クロウズ・ネストには『ジャスティス モンスターズ ファイブ』というピンボールのようなゲームが設置されており、実際に遊ぶことができました。簡単な操作ながら、ついつい続けたくなるような仕掛けが満載。しかも、スコアに応じて報酬がもらえるとあって、旅を忘れてのめり込めるものになっています。なお、『ジャスティス モンスターズ ファイブ』は、iOSやAndroid、PC向けのアプリとして8月中に配信予定となっています。

05

▲本作の世界には危険生物を狩るハンターたちがいて、ノクトもハンターのひとりとなって討伐依頼に挑戦。実績を積み、ランクを上げれば、より強力なモンスターの討伐依頼に挑めるようになります。依頼の数は多く、討伐対象となるモンスターもひと筋縄ではいかないものばかりなので、やり込み甲斐のある要素ですね。

 なお、ゲームの各種設定を行うオプションは、難易度選択、バトルモードの(アクティブ、ウェイト)の切り替え、操作パターンの変更、画面表示の有無など、かゆいところに手が届く機能が満載で、多くのプレイヤーのニーズに応えられる作りになっていました。E3で発表されたばかりのウェイトモードを試してみましたが、多人数が入り乱れる本作のバトルでも状況把握が簡単になり、個人的にはアクティブよりもウェイトのほうが遊びやすかったです。

 装備については、こちらの記事でも詳しく解説している通り、ノクトと仲間ではカスタマイズできる項目に若干の違いがあります。武器は、攻撃力だけでなく防御力、各種耐性など、多くのステータスに影響するものが用意されていたのが印象的で、装備やコマンドによって戦いかたも大きく変化するので、種類が増えるほどにカスタマイズし甲斐が増していきそうでした。

06
07

▲先日公開になった装備変更画面。防具はありませんが、武器やアクセサリーによって防御力や耐性が大きく変動するような作りになっていました。衣装は、ジャケットを脱いだ状態にできるほか、特殊効果がついたカジュアルスタイルという服も。見た目で選ぶもよし、性能で選ぶもよし!

 装備やステータスに影響する重要な要素として、食事が挙げられます。本作では、キャンプしたときやレストランに入ったときに料理を食べると、長時間ステータスがアップするバフ(強化効果)が得られます。このバフの影響はとても大きく、レベルが低く攻撃力30、HPが300しかないような段階でも、攻撃力+50&HP+200の効果を持つような料理が食べられるのです。料理を利用すれば、レベルが大きく離れたモンスターとも対等に戦えたこともありました。食事の効果が切れると、とたんにノクトたちが弱くなった感覚に襲われるほどで、早く休まないと……と、焦る場面もありました。獲得した経験値は宿泊時にレベルに換算されることもあり、定期的に食事と宿泊を行うというメリハリが、“旅をしている感”を強めてくれました。

08

▲好物の料理を食べると“コマンド”の威力がアップするというおまけつき。料理画像のところには、その料理が好きなキャラクターがドット絵化して登場します。

09

▲ビジュアル面でも大いに話題になった本作の料理。見ているこちらのおなかがすいてきていかんですね……。

10
11
12

▲イグニスの料理が食べられるのはキャンプしたときのみ。宿泊施設を利用した際には、改めてキャンプを行うかレストランで食事を摂れば、バフを得られます。

 ちなみに、宿泊せずに行動し続けていると、バトルでダメージを受けたときや、HPがゼロになってピンチ状態になったときに最大HPが減ることがあるのですが、宿泊すると元通りになります。HPを高く維持するという意味でも、宿泊は重要な役割を果たすわけです。

 さらに、『FFXV』の世界では、夜になると“シガイ”と呼ばれる凶暴なモンスターが徘徊するようになるため、宿泊せずにフィールドを探索するリスクはかなり高くなっています。『プラチナデモ FFXV』で戦えた鉄巨人もシガイの一種だったようで、夜間にクルマで移動していると突然道路のど真ん中に現れ、運転を続行できなくなり、肝を冷やす場面もありました。街灯など光源がある場所もそれほど多くはなく、真っ暗な中を胸元のライトのみで進むという恐怖感も手伝って、夜間の探索はかなりスリリングな体験ができます。また、時間の変化だけでなく、雨や砂嵐といった天候の変化も頻繁に見られ、風景の変化やノクトたちのリアクションなどを見ているだけでも楽しめます。

B

▲『プラチナデモ FFXV』の鉄巨人。こちらは特殊なエピソードのため昼間でも活動していますが、実際にはシガイは夜間のみ徘徊し、日の光やキャンプができる標(しるべ)に当たると消える存在のようです。

 続いては、E3の試遊版のメニュー画面で存在だけが確認されていた“アビリティコール”というシステムについて。これは、ツリー式の成長システムのことで、レベルアップしたときやクエスト報酬などで得られる“AP”を消費して、任意のタイミングでキャラクターを強化していけます。イメージ的には、『FFX』のスフィア盤や『FFXII』のライセンスボードのようなものですね。キャラクターごとにツリーの内容は大きく異なり、成長するほどに個性が引き立つようになっていました。ちなみに、APはキャラクターごとではなくパーティ全体にストックされていくので、ひとりを集中的に育成する、ということも可能になっています。ツリーで取得できるのは、新たな“コマンド”や特定の武器でのリンク攻撃を可能にするもの、ほかの仲間が取得できる能力と相性のいい攻撃手段などどれも魅力的。どんな能力を伸ばしていくか、取得の順番にはかなり悩まされましたね。

13
14

▲最初は攻撃を素手でガードしていたノクトも、“回避”のアビリティを習得すればヒラリと避けられるようになります。

15

▲強化を進めれば、仲間が使えるコマンドの種類も増えていきます。

 また、ノクティスは釣り、グラディオラスはサバイバル、イグニスは料理、プロンプトは写真、といった具合に、各キャラクターは個別のスキルを持っています。スキルにもレベルが設定されており、各スキルに関わる行動をすると経験値を獲得し、こちらも宿泊時にスキルのレベルに換算される仕組み。それぞれが旅の役割を持っており、パーティーに貢献しているわけですね。

 文字では効果がわかりにくいグラディオラスのサバイバルスキルは、戦闘後に回復アイテムを見つけることがある、というお得な内容。ノクティスの釣りは、ミニゲームとして楽しめることはもちろん、釣った魚は食材としても使えたりもしました。残念ながら、プロンプトの写真スキルの詳細は今回遊んだバージョンには反映されていませんでしたが、クエストやベンチに座ったときなどに記念撮影をする姿をたびたび確認でき、旅の思い出作りにひと役買ってくれそうでした。料理スキルは、文字通りキャンプ時の料理に深く関わっているため、重要度はかなり高く感じましたね。それぞれ、スキルレベルの上昇に従って新たな効果を得られるようになります。旅に役立つのはもちろんですが、彼らのパーソナルな部分を感じ取れる要素としても魅力を感じられました。

C

▲新たな食材を得たことでレシピを思いついたイグニスは、どこか楽しそう。こうした要素から、彼らの意外な一面を垣間見られることも。

 クルマでの移動は、本作を象徴する要素のひとつ。自分で運転してもよし、イグニスに運転を任せてもよしで、歴代『FF』のBGMを聞きながらうつり変わる景色を見渡せば、お手軽にドライブが楽しめます。徒歩やダッシュで長距離を移動し続けるのはかなり大変なので、利便性という意味でもクルマの出番は多かったですね。
 
 ただし、クルマは基本的には舗装された道しか進めません。そんなときには、険しい道でもずいずいと進んでくれるチョコボが便利。チョコボは、キャンプのときいっしょに休めるほか、餌をあげることもでき、ノクトの仲間のひとりといっても過言ではないほど活躍の場が多く、頼りになりました。また、チョコボにはレベルが設定されており、移動しているとレベルアップし、特殊能力を習得したり、スタミナがアップするような場面にも遭遇できました。とにかく世界が広いので、いままでの『FF』シリーズ以上に乗り物の存在が大きく感じましたね。ちなみに、徒歩での移動中にダッシュを実行するとスタミナ(残量はゲージで確認可能。オプションで非表示にもできる)が減っていくのですが、スタミナが尽きる直前にダッシュをやめるとスタミナが全快するという小ネタを発見できたので、クルマやチョコボが使えないときには利用したりもしていました。

16
17

▲クルマはガソリンで動いているので、定期的に給油が必要。有料ですが、自分がいる場所にクルマを運んできてもらえるサービスやガソリンスタンドにクルマごと移動するサービスもあり、たびたびお世話になりました。クルマは、カラーリング変更やデコレーション、機能拡張などのカスタマイズもかなり細かくできちゃいます。

18
19

▲チョコボは日数を指定してのレンタル式。借りているあいだは、チョコボの笛を吹くとすぐにチョコボが駆けつけてくれます。


 バトルでは、“パリィ”で攻撃を受けると自動で反撃をしたり、カメラの距離を変更できたりと『プラチナデモ FFXV』よりもさらに手触りがよくなった、というのが率直な感想です。新たに追加された仲間との連携“リンク”や“コマンド”による攻撃も、バトルの選択肢を広げてくれていて、かつお手軽でカッコいい。操作も煩雑になることなく、アクションが苦手な方でも派手なバトルが楽しめます。
 
 バランスがよく使い勝手がいい片手剣、動きが速い敵を捉えやすい短剣、隙は大きいが攻撃範囲と威力に優れる大剣、突進力があり空中戦が得意な槍、といった具合に武器のカテゴリーごとにアクションは大きく違い、得手不得手がある点も触っていて楽しい部分ですね。状況やモンスターの特性に応じて武器を切り替え、連携を駆使してバトルを切り抜けたときに味わえる達成感や爽快感は、本作ならではと言えるでしょう。

20
21
22

▲左スティックを倒しながら攻撃ボタンを押したり、ボタンを押すタイミングを変えたりするとひとつの武器でもさまざまなアクションが実行できます。

 本作の魔法は、消費アイテムのように投げて使うシステムになっています。そう聞くと貴重なもの、コストがかかるもののように感じますが、魔法は炎、氷、雷のエレメントをマジックボトル(くり返し使用可能)というアイテムに投入するだけでいつでも作成できるうえ、エレメントは簡単に補充できるので心配はご無用。作った魔法の履歴は保存され、ワンタッチで再作成できるので、気軽に利用できました。仲間に装備させることもできるので、自分は武器だけで戦いたい! というプレイヤーは仲間に魔法を任せたりもできます。

23

▲各エレメントは99個までストック可能で、炎エレメントを50個投入するとファイラ、99個投入するとファイガといった具合に威力と効果がアップ。回復アイテムをいっしょに投入すれば、回復効果のある魔法を作れたりもします。

 プレイできたのはチャプター3までと物語的にはまだまだ序盤でしたが、ほぼすべての要素に触れることができ、許されるならこのままずっと『FFXV』の世界を楽しんでいたかったです。ちなみに、この記事を書いている段階でのプレイ時間は25時間程度でしたが、サブクエストや釣り、討伐依頼、未踏地の探索などまだまだ遊びきれていない要素はたくさんありました。また、ノクトたちの会話のバリエーションも豊かで、行く場所や現在のシチュエーションなどに応じて“生きた”会話をしてくれる点も印象的。旅を続けるうちに、どんどん4人に愛着が沸いてきました。今回、発売が延期されたことは残念ですが、これ以上よくなっちゃうの!? と思うとワクワクが止まらない自分もいます。これからどんな進化を遂げるのか、続報に期待ですね!



 チャプター3という物語のごく序盤までを、25時間プレイしてもまだまだ遊びきれない本作。担当編集も同じ試遊バージョンをプレイしたのだが、恐らくメインクエストを直線的に進めるだけならば3~4時間といったところを、ついつい寄り道や探索に費やし、上記インプレッションで解説した通りの濃密な内容に圧倒されることとなった。

 とくに世界の作り込みには感嘆するばかりで、たとえば、少し先へ進んでから戻ると、新たにシドニーからの依頼や、仲間からの提案が自然な形で発生する。ダイナーの店主の願いを叶えると、注文可能な料理メニューが増え、それを食べたイグニスがレシピを思いつく。場所場所によって、あるいは大きな街であればその中でさえ、品揃えがまったく異なり、眺めるだけで楽しめるショップ。そうした有機的で発見に満ちた作りが、“ゲーム的な都合を感じさせない”、生きた世界を構築していると感じた。プレイヤーを導きつつ進行するメインクエストとは別に、ともすれば見逃してしまうサブクエストがあるほか、一見するとただの飾りでしかないダーツを調べると……、なんて、ちょっとした仕込みがあるのも往年の『FF』らしく、うれしい。
 
 一方で、ブラッシュアップ前というところを加味しないで引っ掛かった点は、ストーリーとキャラクターの感情の見せかた。本作では会話のパターンが豊富に用意されているのも魅力のひとつなのだが、たとえば故郷が侵略されるという大事に対して、いくつかのシリアスなイベントシーンをつなぐ通常のプレイ部分において、彼らの言動が通常と変わらない(お気楽感が出ている)ため、そこは“ゲーム的な都合”を感じてしまった。これも裏を返せば、世界の作り込みがすばらしいだけに、そうした細かな部分が気になってしまうだけで、ごく些末な事案かもしれない。実際に声優陣の演技には培われた“仲間の絆”を感じられ、場面によってはグッと来るものがあるし、楽曲を含めた演出面の工夫も感情移入を促してくれる。
 
 既報の通り、発売が約2ヵ月延びたのは残念だが、その内容は間違いなく期待以上のものになっている。この2ヵ月が、誰も経験したことのない遊びを熟成させるための期間になることは想像に難くない。それが証明される日まで、本作に注目し続けようと思う。

この記事の個別URL

『ファイナルファンタジーXV』ファミ通.com 特設サイト

最新動画エントリー