2022年9月15日~2022年9月18日に開催される“東京ゲームショウ2022”(TGS2022)。同イベントのカプコンブースでは、注目の新作対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6』がプレイアブル出展されている。本稿では、9月15日バージョンをもとにプレイリポートをお届けする。
2022年9月15日バージョンでは、リュウ、春麗、ルーク、ジェイミー、ガイル、ジュリ、キンバリーの計7キャラクターが試遊可能。今回は国内イベント初出しとなったキンバリー、ジュリ、ガイルの3キャラクターにフォーカスして、プレイインプレッションや主要技の解説をお届けする。なお、リュウ、春麗、ルーク、ジェイミー、9月16日よりプレイ可能になったケンについては下記リンク先の記事を参照して欲しい。
なお、今回のプレイ動画はYouTubeでもチェックできるので、気になる方はぜひ!
キンバリー
キンバリーはジェイミーに続くふたりめの完全新規キャラクター。『ストIV』などに参戦していたガイの押しかけ弟子であり、ガイが『ストV』に参戦していた是空の弟子にあたることから、キンバリーは是空の孫弟子にあたる。
ガイは使いやすい通常技と、歩きの速さを生かした堅実な立ち回りに加え、移動してからの派生技を複数種類持っているなど、静と動を織り交ぜた戦法が得意なキャラクターだった。
キンバリーの見た目は、上半身こそ武神流の系譜を感じさせる胴着を着ているが、やや丈が短かったり、スパッツを履いているなど、より軽快さを重視したコスチュームになっているのが特徴。モーションでは武神流をベースとした技が多い中、陸上選手やチアリーディングのような身体能力の高さを端々に感じさせるところが、キンバリーの個性を感じさせるポイントだ。
実際にプレイしたうえでは、基本的な技の使いかたはガイや若是空と似た感覚。さらに新技を駆使することで、よりトリッキーさや戦略性の高い立ち回りを展開できる印象。機動力の高さを活かして感覚的に攻め立てるか、多数の選択肢で相手を動かしながらじっくり戦うかなど、プレイヤーのスタイルによって戦いかたを変えられる奥深さが感じられた。
キンバリーの最大の特徴はオリジナル技の“彩隠形”と“細工手裏剣”というふたつの必殺技。“彩隠形”はスプレーで作った煙幕に隠れつつ移動する技で、動き出してからのモーションはコンパクト。“疾駆け”と使い分けることで“相手の意表を突きつつ接近戦する”といった行動に適していそうだ。
“細工手裏剣”は地面に火のついたスプレー缶を投げる技で、一定時間後に爆発する。遠距離ではこれを使うことで相手のダッシュを抑制したり、相手のジャンプを誘って迎撃するといった対応型の動きもできる。使用するには“スプレー缶のストックが必要”なため使いどころに注意。
また、もう一つ“流転一文字”という必殺技もいままでにない必殺技だが、こちらはガイや是空が使用していた“崩山斗”にやや近い。動作はコンパクトで使いやすい突進技と言える。通常技がヒットしていた際にキャンセルするのが基本であり、OD版を使えばさらにコンボにつなぐことが可能。
従来の必殺技である“疾駆け”も派生技が増えており、
- 突進モーションを中断する“急停止”
- 宙返りしながら蹴り上げる“胴刎ね”
- 下段のスライディングを放つ“影すくい”
- 中段のかかと落としを決める“首狩り”
- 一定距離まで相手に近づくと自動派生する、打撃技の“孤空”
- “孤空”をガードした相手を崩す投げの“武神イズナ落とし”
- “孤空”がヒットした相手に追撃を決める蹴り技の“武神鉾刃脚”
と多彩な動きが可能。実際にキンバリーを相手にしてみると、“疾駆け”を出されるだけで頭の整理が追いつかず、後手に回ってしまうことも多かったため、最初はこれらを順番にくり出すだけでも十分に戦えるだろう。
そのほかにも空中で軌道を変化させつつ攻撃する“肘落とし”や、立ち弱パンチから連撃を決める“武神獄鎖拳”など、特殊技も数多くそろっており、今回のプレイではキンバリーのポテンシャルを引き出すにはあまりにも時間が足りなさすぎた。つぎにプレイする機会があれば、もっとじっくりとひとつひとつの技の性能や使いどころを詰めて行き、より忍者らしい動きで圧倒するような戦いかたを試してみたい。
ピックアップ技解説
彩隠形
キンバリーがスプレー缶で煙幕を作り、隠れつつ移動する必殺技。弱版はほぼその場に停滞するが、中版や強版では前方に移動する。移動中は飛び道具に対して無敵となっており、リュウの“波動拳”やガイルの“ソニックブーム”に対する有効な対抗手段となる。オーバードライブ版は空中から出現するワープのような技となっており、より幻惑性能が高くなっている。
細工手裏剣・招雷細工
“細工手裏剣”はドライブゲージの横にあるスプレー缶アイコンのストックがひとつ以上ある状態で使える必殺技。火のついたスプレー缶を地面に放ち、一定時間後に爆発させる。弱〜強でスプレーを設置する位置が変えることができ、ストックがふたつ以上ある場合にはOD版を使うことでふたつのスプレー缶を放つ“乱れ細工手裏剣”を使える。
“招雷細工”はスプレー缶のストックがない状態に使う技で、通常版ではスプレー缶をひとつ、オーバードライブ版ではふたつスプレー缶をストックする。
流転一文字
相手に近づいてから手刀を放つ技で、弱は動作がコンパクトで使いやすい。強版やオーバードライブ版は手刀の後に蹴り上げを行い、ジャンプでキャンセルできる。
疾駆け〜各種派生
疾駆けはキンバリーが前方に走り出す必殺技で、追加でボタンを押すか、一定距離まで相手に近づくことでさまざまな派生技に移行できる。派生技の“孤空”は相手を踏み台にしつつ駆け上がり、そこから蹴り跳ねを行う技で、さらに投げ技の“武神イズナ落とし”と“武神鉾刃脚”に派生可能。
武神乱拍子
スーパーアーツゲージを1本消費して放つ技で、“突進〜蹴り倒し〜追撃”を行う技。スプレー缶のストックが1本以上ある場合には、自動的に“武神乱拍子・雷譜”になり、動作の最後を細工手裏剣による爆発で締める動作を行ってダメージがアップする。
武神天翔亢竜
スーパーアーツを2本消費。跳び上がりからの急降下突進で攻撃し、吹き飛んだ相手につぎつぎと追撃を決める技。斜め上からの攻撃となるため、飛び道具に対して有効。また前ジャンプから空中でくり出すことができ、相手の通常対空技に対しても使えそうだ。ちなみに、追撃モーショが『ストIV』でガイが使用していたウルトラコンボ“武神轟雷旋風陣”と似通っており、ガイの弟子であることを強く感じさせる技でもある。
武神顕現神楽
スーパーアーツゲージを3本消費。キンバリーがリズムに乗ったあと、相手を打ち上げてスプレー缶を炸裂させながら攻撃する技。ヒット後は、キンバリーの顔周辺のエフェクトに加え、スーパーアーツゲージの横にアイコンが表示され、歩行速度と攻撃力アップの効果が付与される。
ジュリ
ジュリは『スパIV』で初登場となったキャラクター。蹴り技主体の“テコンドー”をベースとしており、牽制と奇襲を織り交ぜて戦うことを得意とする。
本作のジュリは髪型やコスチュームにアレンジが加えられ、『スト6』の世界観にマッチしたかなりオシャレな印象に。さらにはこれまで以上にしなやかさを感じさせるモーションや、より豊かになったサディスティックな表情など、キャラクターとしての魅力が格段に増しており、筆者としては現在参戦が発表されているキャラクターの中でも、とくに“推し”のキャラクターだ。
実際に触ってみた印象としては、“風破刃”による技のストック方法に変更が入り、より使いやすく洗練されているのが、個人的に好感度大なポイント。『ストV』では、“風破刃”を放つ強度によってストックされる必殺技が区別されていたが、今回は共通の“風破ストック”となっており、最大3つまで溜めた“風破ストック”を使って、強化された必殺技や連係をくり出すことができる。
また、『ストIV』で使えた必殺技“疾空閃”が復活しており、空中からの奇襲能力が大幅に向上。単発で使う以外にも、ジャンプ中パンチからキャンセルできるため、空中の相手に対空として「ジャンプ中パンチ〜“疾空閃”〜“死連閃”」といったコンボで体力をまとめて奪うことも可能だ。
攻めの部分では、ジュリの醍醐味のひとつである“風水エンジン“が、コンボに組み込みやすい仕様になっているのがうれしいポイント。発動時のボタンをホールドすることで相手に突進し、攻撃がヒットしたところからそのまま連係に移行できる。そのため、「通常技ヒット〜キャンセル風水エンジン〜さらにコンボへ」といった流れは、操作のテクニカルさと見た目のスタイリッシュさの両面で楽しいポイントである。
そのほかには、飛び道具技の“歳破衝”や、コンボに役立つ“五黄殺”などは、名前こそ変わっているものの『ストV』で使えた必殺技とほぼ同様の技も持っている。通常技もアレンジが加わっているものの、シンプルで使いやすいため、コンセプトであるテクニカルさはしっかりありつつ、わかりやすさも兼ね備えた、見た目から性能まで全てがオススメのキャラクターだ。
ピックアップ技解説
風破刃
その場で蹴り上げを行う必殺技で、飛び道具を相殺する性能も持つ。動作後は“風破ストック”がひとつ増加する。弱は発生が早く、強は発生が遅いものの相手を吹き飛ばし、その後に弱版“天穿輪”などで追撃することが可能だ。
歳破衝・暗剣殺・五黄殺
『ストV』で風破刃でストック後の“風破連脚”で使うことのできた技。
“歳破衝”は回し蹴りから気弾を放つ、牽制として優れる技。
“暗剣殺”は跳び上がりから踵落としをくり出す技で、コンボの中継技として活用することが多い。
“五黄殺”は踏み込みながらくり出す回し蹴り。通常技ヒットからキャンセルしてのコンボで使いやすい技だ。
これら3つの必殺技は、“風破ストック”がある状態でくり出すと強化された性能となるほか、さらにストックが残っている場合は、「歳破衝〜暗剣殺〜五黄殺」といったようにキャンセルして連続で使用できる。
疾空閃・死連閃
“疾空閃”は空中から飛び蹴りで奇襲する必殺技。飛び道具に合わせて使用するほか、ジャンプ中パンチからキャンセルできる。
“死連閃”は“疾空閃”から派生する必殺技で、コンボでヒットさせた際などにダメージを上乗せするために使う。オーバードライブ版は相手を高く吹き飛ばし、さらに追撃可能。
殺界風波斬
スーパーアーツゲージを1本消費。蹴りで気弾を数発放ったあとに、大きな気弾で相手を吹き飛ばす技。発生がやや早くコンボに使いやすいだろう。
風水エンジン
スーパーアーツゲージを2本消費。目に埋め込まれた風水エンジンの力を解放して、自身を強化する技。「しゃがみ弱キック〜しゃがみ中キック〜しゃがみ強キック」のようにふだんはできないキャンセルが可能になり、強力な連係を組めるようになる。
回旋断界落
スーパーアーツゲージを3本消費。初登場した『スパIV』で使用可能だったウルコンと同名の技で、相手を地上から空中へ、空中から地上へとつぎつぎに吹き飛ばしながら攻撃する技。威力が高いため、ここぞという時のフィニッシュブローとして使うのがいいだろう。
ガイル
ガイルは、『ストリートファイターII』で初登場したシリーズおなじみのキャラクター。『スト6』ではゲーム内の時代設定が以前より進んだせいか、年季を感じさせる髭を生やし、より一層渋みが増している。
ガイルの代名詞とも言える、隙の少ない飛び道具“ソニックブーム”と対空技の“サマーソルトキック”は健在。今回もソニックブームによるけん制で試合を作り、ジャンプする相手をサマーソルトキックや各種通常技で迎撃するという往年のスタイルで戦えそうだ。
今回大きく目を引いたのは、『ストV』でVスキル1だった“ソニックブレイド”が必殺技に、Vトリガー1の“ソリッドパンチャー”がスーパーアーツとして実装されている点だ。
ソニックブレイドは前方へ縦回転の真空波を放ち、停滞させる技。追加入力でソニッククロスという2ヒットする飛び道具を放てる。ソリッドパンチャーはゲージを2本消費するスーパーアーツとなっており、発動後はソニックブレイクを最大4回まで連続派生可能。基本的にはどちらも『ストV』と同じように使っていけるが、ソリッドパンチャーはスーパーアーツゲージが必要なため、運用方法が若干変わってきそうだ。
つぎに特殊技を見ていくと、中段攻撃のフルブレットマグナム(レバー前+中パンチ)、バーンストレート(レバー後ろ+強パンチ)、スピニングバックナックル(レバー前+強パンチ)、ニーバズーカ(レバー後ろ+弱キック)、ローリングソバット(レバー前or後ろ入れ+中キック)、リバーススピンキック(レバー前+強キック)、ガイルハイキック(レバー前斜め下+強キック)など、『ストV』でおなじみのものがそろっている。性能は『スト6』仕様に微調整されているが、『ストV』と同じような感覚で使っていける。
また、ダブルバレット(しゃがみ中パンチ×2)、ファントムカッター(しゃがみ強キック⇒ガイルハイキック)など、新たなターゲットコンボが追加。ファントムカッターはしゃがんだ相手に2段目が当たらないなど、相手の状態によって使いわける必要がありそうだが、どれもコンボのつなぎや連係技として効果を発揮しそうだ。
ピックアップ技解説
ソニックブーム
ガイルの主力となる隙の少ない飛び道具。本作では、レバー前とパンチボタンを同時押しすることで性能が変化する仕様が追加。試遊で細かい性能をチェックできなかったが、“ジャスト入力”するとダメージが上昇するようだ。
サマーソルトキック
ジャンプ攻撃に対して無敵がある対空必殺技。コマンドのレバー上+キック部分を同時押しすることで性能が変化するというソニックブームと同じ仕様もある。こちらもダメージの上昇は確認できたが、その他の性能差については未検証。
ソニックブレイド・ソニッククロス
『スト5』のVスキル1と同じ技。ソニッククロスはソニックブームと同じく、レバー前+パンチの同時押しで性能が変化する。
バーンストレート
技の出が早い突き攻撃。本作では必殺技キャンセルが可能になっている。
スピニングバックナックル
前進しながら裏拳をくり出す。リーチが長く、ガードされても相手より先に動ける。しかし、しゃがんだ相手には当たらないので、相手が歩いて移動したくなるところに合わせて出したい。
ダブルバレット
しゃがみ中パンチ×2のターゲットコンボ。キャンセル可能なのでコンボや固めに重宝しそうだ。
ファントムカッター
しゃがみ強キックからガイルハイキックに連係するターゲットコンボ。立ち状態の相手に有効なので、昇龍拳などの大技をガードした際の反撃に有効。ヒット後はサマーソルトキックなどで追撃可能。
ソニックハリケーン
前方に真空波を放つ技。切り返しやコンボ、飛び道具対策など、さまざまな状況で使いやすい。本作では発動時の入力によって真空波を斜め上方向へ打ち出すことも可能に。
ソリッドパンチャー
『スト5』のVトリガー1にあたるスーパーアーツ。発動後はソニックブレイクが使用可能になる。基本的には『スト5』と同じように使えるので、主力技になることは間違いなさそうだ。しかし、スーパーアーツゲージやコマンド入力が必要になったため、運用方法や使い勝手に変化があるだろう。
クロスファイアサマーソルト
相手を上空に打ち上げ、渾身のサマーソフトキックへつなぐ技。出始めに無敵時間があるため、対空や切り返しに使える。
スト6取材班:とよまん、ベックス、よし