2022年5月17日、かねてからアナウンスされていた“505 Games Showcase Spring 2022”が、YouTubeにて全世界同時公開された。
このイベントは、今春から来年にかけて505 Gamesから発売される新作を発表するというもので、505 Gamesの15年の歴史の中で、初のオンラインショーイベントとなる。ここでは、ショウケースで発表となった4タイトルを紹介しよう。
なお、今回紹介されたタイトルは、すべて日本国内でもリリースされるとのこと!
505 Gamesはミラノを拠点とするイタリアのゲームパブリッシャー。2007年の設立以来着実に実績を重ね、現在ではアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、中国、日本にオフィスを構え、全世界幅広く展開するほどの一大企業だ。あらゆる年齢層やスキルレベルのプレイヤーに幅広いタイトルを提供することに注力しながら、有力なデベロッパーと手を組み展開しているのが特徴。今回の発表に含まれるように、日本の企業とも強力なネットワークを築いている。そんな企業が発表した、新作を見ていこう!
『Among the Trolls』はスタジオジブリの影響を受けた、北欧の民謡が舞台のサバイバルゲーム
まず先陣を切って紹介されたのが『Among the Trolls』。本作は、Forbidden Studios開発による完全新作の一人称視点によるサバイバルアクションアドベンチャー。2019年にベテラン開発者が独立し、起業したゲームスタジオのファーストタイトルとなる。2020年の発表以降、SNSなどでときどき開発風景が語られていたものの、今回、まとまってゲームの概要がわかる、貴重な機会となった。Forbidden StudiosのCEOであるVeli Kokkonen氏みずからがゲームを紹介した。
Forbidden Studiosは、それまで業界で長年活躍したベテラン勢により作られたデベロッパー。『Elder Scrolls V: Skyrim』や『Fallout 4』、『Vampire: The Masquerade』などの開発に携わった。創業者でCEOのVeli Kokkonen(ベリ・コッコネン)氏はUnity初期プログラマーのひとりで、本作ではゲームデザイナー、テクニカルディレクターを務める。
『Among the Trolls』は、30代半ばのフィンランド系アメリカ人の主人公が、両親の死を機に、フィンランドに住む祖父母に会いたい思いを抱き、自身も幼少期で過ごしたフィンランドに戻ってくるところから始まる。ところがその途中、ボードの移動中に巨大な魚に襲われ、気付くと見たこともない森の中の水辺で目を覚まし、否が応でもサバイバル生活を強いられる……というのが、ゲームの始まりとなる。
特徴的なのが、現実世界とは趣が違う点。伝承や民間信仰、精霊といったものが存在する世界となっており、精霊から助言をもらったり、要求されたアイテムを渡したりすることが必要になってくる。また、たとえば森の中に潤沢にある資源をむやみに取るとあっという間に辺りが暗闇に包まれ、恐ろしい生き物に襲われてしまうなど、現実世界とはひと味違う“生きる術”を見出すことが、生き延びるただひとつの手段となるのだ。
イベントでは、本作のコアとなる建築システムも紹介され、材料を集め組み立てることで小屋などを建てることができ、サバイバル生活の拠点を豊かにできることなどが説明された。さらに本作はマルチプレイに対応しており、友だちとともに拠点を作って共同生活を送れることも明らかにされた。
クラフトではナイフや槍、斧といったものから、プレイヤーを助けてくれる“使い魔”を召喚することもできる。使い魔は魔法を操ってプレイヤーを強力にサポートしてくれる模様。そのほかにも魔法要素も作ることができるなど、クラフトにおいても創造・空想上のアイテムがベースとなり、そしてキーとなるようだ。
本作は早期アクセスによる、プレイヤーとの共同制作方式を宣言しており、このクラフトの部分を含めて、「みんなといっしょに作っていきたい」とVeli Kokkonen氏は語る。
早期アクセス開始時期はSteamで2022年後半を予定しているとのこと。プレイヤーがそれぞれ考え、試行錯誤し、生きる道を見つけていくというおもしろさが詰め込まれる作品だ。
ちなみに『Among the Trolls』の世界観やストーリーの発想は、古美術研究所の仲間や周りの人たちとのあいだで数年前に生まれたとのこと。そこから自分たちが住む現実世界を考えるようになり、伝承や信仰があり、民芸品のクラフトが行われているのではないか、たとえば泥や木の棒といった自然に転がっているものを使ってシンプルな何かをクラフトしていくのではないか……と想像が膨らみ、『Among the Trolls』を形作っていくことになったとのこと。
生活していく手段から過去の文化について自分自身で学び、その経験を経て昔フィンランドにあった北欧のシャーマニズム文化にたどり着いたという。そして「スタジオジブリが映画でやっているようなことをゲームでやってみたかった」とのひと言も。
最後に、本作はUnityで3Dゲームの限界に挑みたいという、技術面におけるチャレンジであることも明らかにしてくれた。ほかのクリエイターが本作をUnityで作っていると聞くと驚くとのことで、ロード時間がなく、一切の無駄がない形で描写されるグラフィックもまた、本作の特徴のひとつであるようだ。
『Stray Blade』は探索、成長する楽しさを味わえる、さまざまな武器やスキルを駆使して戦うアクションRPG
続いて紹介されたのが3人称視点のアクションゲーム『Stray Blade』。開発は、ベルリンを拠点とするPoint Blank Games。2020年に5人からスタートし、現在は30人にまで拡大しているデベロッパーだ。CEOでゲームディレクターとなるLeonard Kausch(レオナルド・カウス)氏がその魅力を語ってくれた。
人類学者である主人公のファーレンが、失われた地で最古の文化が残した遺跡“アクレア”を目指して旅することになる本作。冒険の舞台となる“アクレア”は、さまざまな伝説が受け継がれ、多くの冒険者がその地を探すものの、誰ひとりとしてたどり着くことができない秘境。ファーレンは、その場所に訪れた最初の冒険者となるものの、その際に長年の神隠しの魔法を解いてしまったことで爆発を引き起こし、一度命を落としてしまう。しかし、高等動物で強力なスペルを使うボージによって蘇生され、数々の神秘のベールに包まれたアクレアの地を巡る冒険が始まることになる。
ゲームは3D世界のアクレアを駆け回って敵と倒しながらナゾを解いていく形式で進んでいく。主人公が神隠しの魔法を解いたことで多くの人々がアクレアを訪れ、そこに眠る謎を巡って戦争が巻き起こったことで、その彼らと戦いながらアクレアのナゾと試練に立ち向かっていく。
説明はなかったものの、主人公が姿や防具を変えて戦闘スタイルを変えられるが映像で流された。力任せに棍棒や斧のような武器で敵を叩きつけたり、特殊効果を付与するような攻撃を加えている片手剣を使っていたり、はたまた盾で敵の攻撃をタイミングよくいなし攻撃していたり、忍者のクナイのような武器で敵の攻撃を避けて連弾を加えていたり、プレイヤーの好みに合わせた戦いが楽しめるようだった。
さらにおとものボージは戦闘シーンでも重要な役割を担ってくれるとのことで、回復をしてくれるばかりか、敵への攻撃やサポート魔法もくり出す様子が映像で確認できた。ボージはAIによる自動アクションで行動し、スキルツリーによりプレイヤー好みの能力に成長させることも可能とのことだ。
さらに『Stray Blade』では探索を楽しめるように力を入れているとのことで、そのひとつとして紹介されたのが武器の熟練度。本作ではキャラクターを育てながらさまざまな武器を扱いつつ、武器ごとの熟練度を上げることで新しいスキルツリーが解除され、いつでもその戦闘スタイルを変更できるようだ。
また、アビリティーも探索を楽しめるようになる要素のひとつ。アビリティーは、ボスを倒すことで身につけることができ、より強力なアクションが行えるとのことだが、さらに敵の攻撃だけでなくマップの新しい道を切り拓くといった能力を有するものもあるとのこと。そのため、一度訪れた場所でも、新たなアビリティーを使うことで別の新しい道ができ、そこでレアアイテムや武器を入手できるとのことだ。
『Stray Blade』の発売は2023年。PCに加え、プレイステーション5、Xbox Series X|Sで発売される。また、PC版のベータプレイも開始されており、ディスコードによるコミュニティーも開設されている。
『百英雄伝 Rising』人々の依頼をこなし街の復興を目指すアクションRPG
3本目に紹介されたのが、5月11日にリリースされたばかりの『百英雄伝 Rising』。本作は、『幻想水滸伝』シリーズを開発したキーメンバーが集って開発中の新作RPG『百英雄伝』の前日譚となる横スクロールアクションRPG。505 GamesのコミュニティーマネージャーであるStephen Takowsky(スティーブン・タコウスキー)氏プレゼンのもと、ゲームの概要が紹介された。
イベントでは、『百英雄伝』を開発するRabbit & Bear代表の村山吉隆氏とグラフィックデザイナー河野純子からもコメントが到着。おふたりによると、『百英雄伝 Rising』をプレイすることで『百英雄伝』本編でニヤリとできる要素が散りばめられているとのこと。操作できる3人はもとより、そのほかのキャラクターについても本編とのリンクが楽しめると語ってくれた。
『Miasma Chronicles』『Mutant Year Zero』開発チームが贈る、完全新作タイトルが世界初公開
最後に、世界初公開となる『Miasma Chronicles』のトレーラーが公開された。本作を開発しているのは、『Mutant Year Zero』を世に送り出したスウェーデンのThe Bearded Ladies。残念ながら開発者を含めコメントはなかったものの、約1分のトレーラーから、同作の世界観の一部が垣間見えた。
登場人物は、主人公と思われる青年エルヴィスと、相棒と思われるロボット、ディグズ。そして、ふたりの前で不気味にうごめく巨大な結晶のような物質。何かのため、その結晶に特殊なグローブを装着した右手をかざし、攻撃のようなアクションを起こすエルヴィス。「向こうが見える……あと少し」と発するものの、グローブから炎が上がり、その行動は失敗に終わってしまう……。
と、トレーラーはここで終了。本作は2023年発売予定で、対応プラットフォームはプレイステーション5、Xbox Series X|S、PCとなる。謎多き本作の続報に期待したい。