『ガンダム』シリーズでいちばん好きなモビルスーツ(作中で活躍するロボット兵器たち)は何かと問われたら、あなたはどう答えるだろうか。

 筆者の回答はこうだ。

「ジム(GM)です」

 デザイン的にはジム・コマンド地上用が最高に好きだが、素のジムには原作設定に由来する愛が強い。

 ロボットアニメの“量産機”の代表格といえば、『ガンダム』シリーズのジム系機体とザク系機体であろう。ガンダムを観たことがなくても、ジムやザクの名前を何となく聞いたことがある人は多いはず。

 そんなジムにも乗れる新作ゲームがある。バンダイナムコエンターテインメントとバンダイナムコオンラインの『ガンダムエボリューション』(GUNDAM EVOLUTION)である。

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『ガンダムエボリューション』レビュー。俺はジムで行く! 戦場にいるのは全員アタッカー。ド派手FPSのネットワークテストを駆け抜けた一般兵の軌跡

 『ガンダムエボリューション』は、さまざまなモビルスーツに乗って6対6の対戦を楽しめるFPS(一人称視点シューティング)ゲームだ。参戦機体は作品間の枠を余裕で超えており、夢のドリームマッチを実現。PC、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox Oneでの配信が予定されている。

 正直なところ、原作内ではジムが活躍した時代から約13年後のワンオフ機とか、ジムが存在した文明そのものを滅ぼしたかもしれない遥か未来のガンダムとか、ジムで勝てるとは思えない機体も多数いたりする。

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2022年4月現在、14機体が参戦。
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 こんな戦場でも、ジムが大好きなだけの一般兵士な自分は戦えるのだろうか。2022年4月8日(金)~4月12日(火)に開催されたPC版ネットワークテストに参戦した筆者の結論を、先に述べると……。

 いける。どの機体も優秀なアタッカーで、めちゃくちゃ遊びやすい。

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ジムだってアタッカーになれる。俺が、俺たちが、アタッカーだ!

 本稿では、同ネットワークテストをジムでひたすら戦い抜いた筆者のリポートをお届けする。ジム愛に偏った主観が多めになる点は、どうかご了承願いたい。

さまざまな攻撃が飛び交う戦場を駆け抜けろ

 ジムは『ガンダム』シリーズの初代作品『機動戦士ガンダム』で登場した、連邦軍の量産機だ。つまり『ガンダム』シリーズの主人公側陣営における、歴史ある量産型モビルスーツということになる。

 そういうわけなので、原作ではそれほど高性能には描かれていない。ガンダムという高性能機をベースにしてはいるが、生産性を上げるためにさまざまな機能や装甲をオミットし、武装も統一規格で使い回しやすさを重視した、物量作戦用にチューンされた機体だからだ。

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『ガンダムエボリューション』では本機の代名詞的な武装“ビーム・スプレーガン”のほかに、いろいろな携帯装備を持つ。この「ゲームに合わせてチューニングしました」感も量産機らしくていい。

 だが、ガンダムの実戦データを活用したジムは扱いやすさにおいては突出していた。構造を単純化したため、寒冷地用や長距離狙撃用など、さまざまな派生形への組み換えが容易。さらにパーツを流用しやすいことで、現地での運用性や整備性の高さも強みだったという。

 ジムには格闘用や狙撃用といった派生機があり、それぞれのパーツを修理に流用できたりしたわけだ。敵対するジオン軍のモビルスーツは各機が個性的すぎたため、こうしたパーツ流用が難しい場合が多かったらしい。

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本作にも参戦している狙撃タイプのジム、ジム・スナイパーII。
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ジム・スナイパーIIをベースとした素体から開発されたとされる、ペイルライダー。このように、ジム系機体は派生開発もしやすかった。

 興奮してジムの原作での扱いを語ってしまった。申し訳ない。

 冷静になる前に、とにもかくにもジムに乗り込んでみた。

 ビーム・スプレーガンは近距離用の武器とのことだが、意外と射程が長く威力もしっかりあり、攻防問わず使いやすい。さらにジムはシールドを構えながらビーム・スプレーガンを撃つことができるので、防御と攻撃が同時にできる点が非常に頼もしかった。

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本体の耐久力は800と本作の最低ラインだが、シールドの耐久力は1300もある。実質2100の耐久力である。

 とくに、攻防が入れ替わりやすいわりに機体変更に戻る余裕がないデストラクション(後述)では非常に使いやすく感じた。盾で耐えている間に味方が敵を倒してくれる場面も多い。

 筆者はMMORPGでいうところの敵の攻撃を引き付ける“タンク”の役割を重視することにした。

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シールドを構えている間は移動速度が大きく落ち、ダッシュやリロードができないという欠点もあるが、とにかく固い。
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“リペアグレネード”で回復役までこなせる。これはもう、攻撃役より防御・支援役が向いていると考えざるを得ない。

 ……と、ここまではわりと一般兵でも何とかなったのだが。

いったんCMならぬシステム紹介です

 アニメではいいところでCMが入るように、本稿ではシステム紹介を挟んでみたい。

 本作は一人称視点のシューティングということで、マウスで照準と射撃、キーボードのWASDキーで移動と、FPS操作の基本に忠実だ。だが、さらにShiftキーによるダッシュ、スペースキーによるジャンプ&ホバリングというアクションが用意。これによって各機の機動力が格段に高まっている。

 Shiftキーを1回押すと距離が短いステップ移動が、押しつつ移動するとダッシュ移動が行える。ゲージの総量は機体ごとに異なるが、基本的にはガンガン使える。

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ジャンプもダッシュと同じゲージを消費するが、かなりの高度まで跳べる。モビルスーツならではの立体的な戦闘が可能だ。

 モビルスーツはメインウェポンのほか、さまざまな“スキル”を所持。原作の武装はこのスキルとして表現されている。スキルは1回使用すると一定のクールタイムが経過するまで再使用できない。

 また、シールドなど、スキルとは異なる特殊な装備を持っている機体も多い。

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ジムの場合、メインウェポンのビーム・スプレーガンは12発撃つたびにリロードが必要だがクールタイムは存在しない。
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攻撃を1300ダメージまで受け止められるジムのシールドは、時間経過とともに耐久力が回復するうえ、壊されても一定時間後に復活する。

 変形して空を飛んだり、格闘攻撃をしかけたり、味方を回復したりと、スキルは機体ごとに多種多様だ。さらに各機体にひとつ用意された必殺技“Gマニューバ”は輪をかけて個性的となっている。

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画面下のゲージが最大まで溜まるとGマニューバを発動できる。ゲージは対戦の進行とともに、敵を攻撃したり、被弾したりすることで溜まっていく。
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ジムのGマニューバは5つの機雷を設置する“ホーミングマイン”。投げた場所に長時間残り、近付いた敵に吸着してけっこうなダメージを与える。

 各機体ともに、メインウェポンとサブウェポンスキル、Gマニューバを使いこなし、敵機を撃破していくのが本作の基本となる。

 とくにGマニューバは重要だ。戦局を一変させるほど強力なものもあるが、これらが強力な機体ほどゲージが溜まりにくく、多用はできない。

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たとえばサザビーのGマニューバ“ファンネル”は、周辺の敵機を自動で攻撃して一掃するとんでもない攻撃だが、ゲージが非常に溜まりづらい。
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ジムのホーミングマインは、1試合中に2回は余裕で撃てる。わりとお手軽なだけに、試合を単発でひっくり返すような効果はない。

 機体の耐久力を削り切られると行動不能な“中破”状態となり、さらにある程度のダメージを受けるか一定時間が経過すると“大破”。マップの出撃地点から仕切り直すことになる。

 なお、中破状態の機体は味方が近寄って“リカバリー”動作(Vキー)を行うと、その場で復活可能だ。

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リカバリー中の機体は無防備になるため、敵機の射線が通っていない状況で行なうのが大事。

戦闘ルールは3種類。ジムの汎用性は通用するのか

 ジムといえば、原作では装備換装により戦場を選ばない点も強みだった。本作ではさまざまなマップで対戦が行われる。今回のネットワークテストでは、3つの対戦ルールのいずれかが毎回ランダムで選出。ジムならばどれにも対応できるはずだ。

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ちなみに、使用機体は出撃地点に戻ればいつでも変更できる。状況に合わせて乗り換えるのが基本だが、ジムならどんな戦況にも耐えうるはず。信じているぞ。

ポイントキャプチャー

 攻撃側と防衛側に分かれ、攻撃側は指定されたエリアに留まることでポイントを稼ぎ、防衛側はこれを撃退していくというルール。攻撃側と防衛側は順番に入れ替わる。

 このルールでは攻めるか守るかがはっきりしているため、機体選択がかなり重要になる。だが、攻撃側にもエリアで生き残るための耐久力や回避力が重要になるため、シールドがあるジムは攻防どちらでも活躍できた。たぶん。

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攻防が入れ替わる際に機体選択できるので、それぞれに適した機体を使いこなせると心強い。
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エリアに防衛側の機体が居座っているとポイントが増加しない。攻撃側にはこれらを排除する攻撃力と、その後にエリアで長時間耐え抜く能力が求められる。

ドミネーション

 上記のポイントキャプチャーから攻防の陣営の概念を除いたルール。つまり両陣営が攻撃側で、指定されたエリアを占拠できるかを競う。

 一定時間ごとに指定されるエリアが変わるため、そのエリアに直行したり、敵陣営のエリアへの進軍を邪魔したりと、さまざまな行動が考えられるのもおもしろいところだ。

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指定されたエリアに敵味方の全機体が集まって攻撃し合う。まさに激戦。
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どうしても全プレイヤーともに最短距離でつぎのエリアに向かうことを優先しがちなので、そこへの奇襲も決まりやすい。

デストラクション

 攻防に分かれ、攻撃側は爆破ポイントへの爆弾を設置を、防衛側は設置阻止か設置後の解除を目指すルール。ふたつのエリアが用意されるため、どちらを攻めるか駆け引きも重要となる。

 攻撃側は爆弾を設置した後、それを守らなければならない。防衛側はそのガードを突破して爆弾を解除しないといけないが、解除中は無防備に。そうすると、また攻撃側から強襲を受けることになる。このように、攻防がめまぐるしく入れ替わるのがデストラクションのおもしろいところだ。

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爆破ポイントを中心に小競り合いが発生。爆破ポイントにおびき寄せて一気に叩くなど、予測と駆け引きがアツい。
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ジムはシールドを構えて味方の盾になれるので、爆弾解除の護衛がしやすかった。

ジム乗り一般兵の前に立ちはだかったのは、でかい武器を持つあいつ

 調子よく遊んでいた筆者の前に、大きな壁が立ちはだかった。

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急にでっかい鈍器で殴られ、盾を構えていたのにスタンして動けなくなった。
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盾を構えていたが、横や後ろから出現した敵機に撃たれて撃破された。

 困った。対戦を重ねていくうちに、盾を構えていてもさくっと倒される場面がどうにも増えていったのだ。

 また、手動で爆破できる爆薬を設置するスキル“起動型爆弾”の爆破までのタイムラグが大きかったり、“リペアグレネード”で味方を回復しようとしても回復量が被弾ダメージに追いつかず助けられなかったりと、装備面についてもやもやする部分も出てきた。

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盾で突撃する“シールドバッシュ”に至っては、突進して相手を押し下げることができるとはいえ、攻撃手段としては微妙に思えてきた。

 汎用型機体は言い換えれば器用貧乏。そう言われればそうかもしれない。このジムという機体はいったいどう運用すべきなのか。

 というか、さっきからやたらスタンさせてから確実にこちらを大破させてくる、あの鈍器を持ってる機体は何なのだ。

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ガンダム・バルバトスでした。

 このままではジムでは活躍できない。一般兵の筆者は悩みに悩み、一時ジム愛を封印してほかの機体にも乗ってみることにした。

 敵機体のことを知るには、自分でも乗ってみるのがいちばんだと思ったのだ。そうしてほかの機体を試してみると、予想外の展開が待っていた。

全員アタッカー。そう気付いてからの覚醒

 まずはバルバトスに乗ってみる。どうやら今回のテストでは、このバルバトスがやたら大暴れしているらしい。

 実際に乗ってみると……。

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ジャンプに加えてスキル“ブーストジャンプ”で、とんでもない立体機動力を発揮。移動するだけでめっちゃ気持ちいい。
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“メイス(叩きつけ)”は相手をスタンさせるので、高機動力で近付いてこれを当て、また逃げれば安全なヒット&アウェイが可能。

 こりゃ強い。盾を構えて立ち止まっている量産機なんて、上空から見ればカモである。

 とはいえ、単純に「最強!」ということではない。射撃武器が一切ないため、逃げる相手を追いかけるのが厳しい。とくにジャンプで立体的に逃げられると、地上に向かって振り下ろす攻撃が多いバルバトスだと対応しづらい。

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上空から急降下して突き刺す“太刀”などは、ジャンプで逃げ回る相手に決めるには着地点を先読みするしかない。うまい人は実際にそうしてくるわけだが。

 バルバトスを相手にするには、まずは盾など構えずジャンプで逃げればよかったのだ。このように他機体を使うことで、ジムでのさまざまな対応策も見えてきた。

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変形からの飛行が可能な高機動機体を使ってみると、各マップの意外なショートカットや別ルートが見えてくる。
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相手にすると非常に強く感じたサザビーも、自分で使ってみるとビーム・ショット・ライフルの有効射程が思ったより短いことなどがよくわかった。

 全機体をとりあえず使ってみて、とある気付きに至った。

 このゲーム、全員がアタッカーだ。そんなタクティカル(戦術)シューターは初めてかもしれない。

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全員がアタッカーとなって果敢に攻める。これがジムを使ううえでも答えとなった。

 ゲームバランスが攻撃寄りなのは、これがネットワークテストの段階だからかもしれない。まだ戦術が確立しておらず、機体性能も調整段階にある。だからこその状況と言うか。

 それを加味しても、本作の機体はいずれもブーストゲージが多めで移動速度についても優秀だ。さらにマップがそこまで広くないため、再出撃後もすぐに戦線に戻れる。

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見た目が鈍重なガンタンクですらも、ダッシュで軽快に移動できる。

 この機動力に加え、どの機体もしっかり当てれば十分に敵機を撃破できる武装を持っている。

 なお、回復役などの支援についてはそこまで重要性を感じなかった(※)。非戦闘状態になると、機体の耐久力がすごい勢いで回復するためだ。

※編注:支援性能の高いメタスなどの機体も存在。相手が気付かないうちに自然に回復行動に出る人もいるので、自チームの人が軒並みうまかった可能性もあります。

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各所にある黄色い“ハロ”に触れることでも、耐久力は一気に回復できる。一定時間経つと再利用可能という優れものだ。

 また、これも個人的な感覚なのだが、中破した味方のリカバリーはあまり重要ではなく思えた。そもそも中破した味方がいる場所は、敵からの射線が通っている危険地帯ということになるため、近づいて無防備をさらすのは危険すぎるのだ。

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周辺の敵を一掃できた場合は、当然ながら味方には復活してもらったほうがいい。状況判断力が問われる。

 機動力を活かして留まらずに動き回りつつ、FPSの基本である“味方との連携”のために孤立は避ける。そして全員アタッカーの精神でつねに攻撃を意識する。

 当初は狙撃機であるジム・スナイパーIIがかなり強く感じたので、「狙撃が強いFPSは敵を待ち受ける“待ち”戦法が強い」という、古参FPSゲーマー独自の先入観もあった。だが、本作では待ちに徹する戦法では、せっかくの機動力と攻撃力がもったいない。

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ジム・スナイパーIIの狙撃はかなりの高威力だが、入り組んだ地形が多い本作のマップ上では定点で待ち受けることが難しかった。

 何より、さまざまな機体を使って縦横無尽に駆け回り、武器を撃ちまくるのが単純に楽しい。

 『ガンダム』シリーズファンとしては、憧れの機体に乗って動かせるというだけでも楽しい。そのうえで、ここまで機体を軽快に動かすことができ、敵もガンガン倒せるとなると、楽しさにさらに拍車がかかる。

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ガンダムエクシアでGマニューバを使い、自分でも「トランザム!」と叫ぶことの、何と楽しいことか。

 そういえば、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の人気キャラ・オルガ団長の有名すぎるセリフにもあったではないか。

 「止まるんじゃねぇぞ……」

 ほかにも『機動戦士ガンダムF91』の主人公・シーブックが「逃げ回りゃ、死にはしない」と言っていた。動き回り続けることが本作の楽しみかたであり、定石でもあったのだ。

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ジムも1ヵ所で守りを固めず、さまざまな通路に味方といっしょに顔を出してシールドでの守りをお届けしていく。
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リペアグレネードは、物陰に隠れたときや移動中などに自分の足元に投げ、自然回復の足しにする。戦闘中にとっさに使うよりも確実な効果が得られた。

 動き回ることを覚えると、次第に相手のやりたいことや移動ルートも理解できるように。すると、あれほど使いにくいと思った起動型爆弾でもキルを決めやすくなっていく。

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起動型爆弾やホーミングマインの爆破で敵を仕留めたときの、してやったり感がたまらない。

 微妙と思ったシールドバッシュも、むしろ攻撃ではなくショートダッシュ代わりの移動補助に使ってみると、なかなかに使いやすい。

 全員高機動アタッカーということを意識するだけでも、同じ機体でここまで使い勝手が変わるというのか。

結論:ジムでも勝てる。愛機で戦うのが楽しすぎる

 こうして筆者はネットワークテストの後半を、ほとんどジムに乗って戦い抜くことになった。そんな一般兵の立場を貫いた筆者から、総括としてお伝えしたい。

 やはり、ジムはすばらしい。というより、『ガンダムエボリューション』では好きという理由で乗った機体が、どれもすばらしい愛機になり得る。

 こうなると『ガンダム』ファンとしては自分が好きな機体が本作に登場してくれるのが楽しみになってくる。筆者は本作でのジム・コマンド地上用の実装を心待ちにしたい。

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機動力や攻撃力が十分あり、装備の数もそこまで多くはない機体ばかりなので、初心者でも好みで選んで問題なさそうだ。
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すでに味方が乗っている機体は重複して選択できないが、試合中にも機体をつぎつぎと乗り換えられるのも好印象。いろいろな機体に触れやすい。

 また、筆者のような、『ガンダム』ファンではあるがFPSは最近あまりプレイしていないので対人戦に自信がない……なんていうプレイヤーにも、『ガンダム』要素を楽しむ方法もしっかり用意されているのがうれしい。

 練習がしっかりできるうえ、Gマニューバのド派手な演出をじっくり眺められる“プラクティスモード”は楽しいし、シーズンパスやチケットガチャで手に入れたアイテムで機体のカラーを変更できるのもいい。

『ガンダムエボリューション』レビュー。俺はジムで行く! 戦場にいるのは全員アタッカー。ド派手FPSのネットワークテストを駆け抜けた一般兵の軌跡
ガンダムをジムっぽいカラーにして、この機体はジムだと言い張ることも考えた。
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つぎにプレイする機会があればジムを中心に、メタスやバルバトスも積極的に使うつもり。愛機をとことん使うのも、いろいろな機体を使うのも、両方楽しいタイトルだ。

 役割分担をそこまで意識せずとも、ハイスピードな6対6対戦を気持ちよく楽しめる本作。FPSということでしり込みしてしまう『ガンダム』ファン同志には、筆者のように機体への愛があればぜんぜん気にせず楽しめるタイトルであると、実証とともにお伝えしたい。

 そして本作の魅力をしっかりとわからせてくれたジムはやはり最高の量産機だった。そんな実感を胸に、本稿を結びたいと思う。

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【2022/04/23 12時27分】一部表現を修正しました。