アクアプラスを代表する人気作『うたわれるもの』シリーズのコンシューマ版最新タイトルとなる『うたわれるもの斬2』が、2021年7月22日にプレイステーション5、プレイステーション4用ソフトとして発売される。

 前作『うたわれるもの斬』は、シリーズ三部作の2作目『偽りの仮面』が舞台の3Dアクションゲームだったが、本作『うたわれるもの斬2』は、シリーズ三部作の結末を描いた『二人の白皇』をベースに、ジャンルをアクションRPGに変更。ストーリーや育成要素の大幅な強化に加え、戦闘システム、アクションも劇的に進化し、前作のファンや『二人の白皇』をプレイしたことがある人も、新鮮な気持ちでプレイできる内容になっている。

 本稿では、本作のディレクターを務める鷲見努氏へのメールインタビューを掲載。前作のシステムを踏襲しながらも、大幅な進化を遂げた『うたわれるもの斬2』の、進化の軌跡と内容に迫る。

『うたわれるもの斬2』ディレクター鷲見努氏にインタビュー。前作から大幅に進化したその軌跡と内容に迫る

鷲見努(わしみつとむ)

『うたわれるもの斬2』のディレクター。

ユーザーの要望がついに実現!

――前作は2018年9月に発売されました。3年近く経って『2』が登場しますが、本作の企画や開発はいつごろ動き出したのですか?

鷲見企画自体は前作のリリース後、わりと早めにスタートしていたのですが、企画検討に時間がかかり、今夏の発売となりました。

――プレイステーション5での開発はアクアプラス初とのことですが、開発のしやすさや手応え、プレイステーション5版とプレイステーション4版で違いがあれば教えてください。

鷲見プレイステーション5版は、発売直後に開発を始めたので、こちらでも把握しきれていないところが少なからずありますが、開発自体は比較的スムーズに進行しています。とてもパワフルな性能ですし、今後もぜひプレイステーション5で開発していきたいですね。また、プレイステーション4版との違いは、4K高画質への対応や、読み込み時間の高速化といったところになります。

――『うたわれるもの斬』の続編を作るにあたって、とくに意識した点はどこですか?

鷲見前作はアクションメインのゲームでしたが、本作は“3DアクションRPG”を目指しました。アクションゲームしての敷居を下げつつ、より気軽にアクションを体験できるようになり、“スキルボードの導入”や“ハクスラ要素の導入”など、じっくり腰を据えてキャラクターの育成が楽しめるよう、RPGの要素を強化しています。

 また、前作でユーザーさんからいただいたご意見・ご要望はかなり参考にしていて、本作では大きく反映し、改良・新要素を盛り込みました。たとえば、前作はストーリー部分が『偽りの仮面』をベースにしたもので、それ以上のものがなかったのですが、本作は『二人の白皇』をベースにしたうえで、さらにフルボイスの“新規シナリオ”を多数追加しています。

――ストーリーで改良した点を教えてください。

鷲見アドベンチャーの演出を一新しています。本作では、原作の立ち絵でのアドベンチャー画面を追う形ではなく、すべて3D表現で物語の状況把握や、位置関係などにも気を配り、よりアニメーション的に物語を演出しています。

 また、前作のラストシーンにあった“劇中ムービー”がユーザーの皆さんにかなり好評でしたので、本作では物語の要所要所で、劇中ムービーを楽しんでいただけるようにたくさん用意しています。迫力あるムービーは、映像作品としてもアニメにも引けをとらない感動のシーンをお見せできると自負していますので、ぜひご期待ください!

『うたわれるもの斬2』ディレクター鷲見努氏にインタビュー。前作から大幅に進化したその軌跡と内容に迫る
『うたわれるもの斬2』ディレクター鷲見努氏にインタビュー。前作から大幅に進化したその軌跡と内容に迫る

――新規シナリオの見どころも教えてください。

鷲見メインストーリーの“白皇演武”は、“戦記”と呼ばれる軸で進みます。そこに“武人伝”と呼ばれる新シナリオが追加されていて、別の物語が楽しめます。ちなみに、新シナリオのオシュトル(ハク)を演じていただく方は、改めてオーディションを行いました。弊社はもちろん、ユーザーの皆さんも思い入れのあるキャラクターですので、慎重に慎重を重ね検討した結果、利根健太朗さんに決まりました。今回は藤原啓治さんと利根健太朗さんのおふたりが担当となります。

『うたわれるもの斬2』ディレクター鷲見努氏にインタビュー。前作から大幅に進化したその軌跡と内容に迫る
『うたわれるもの斬2』ディレクター鷲見努氏にインタビュー。前作から大幅に進化したその軌跡と内容に迫る

進化して生まれ変わったアクション

――前作から戦闘システムがどのような進化を遂げたのか、具体的に教えてください。

鷲見戦闘システムは、本当にいろいろ変わっているのですが、たとえば、前作では敵にだけ大きく反映されていた“強靭”のシステムが、本作は味方にも追加されています。これによって、“ルルティエやムネチカは強靭が高く、敵の攻撃をスーパーアーマーで耐えて攻撃をする”など、キャラクターの個性が多様になりました。

 ほかにも、“回復力”というパラメーターも新設されていて、“回復連撃”で最大体力ゲージを超える回復ができるようになり、回復キャラクターの重要度も大きくなっています。また、“連撃”のシステムも前作から変更していて、本作では“連撃を使っても気力ゲージを消費しない”ようになりました。連撃にはそれぞれクールタイムが存在しますが、気力ゲージを気にすることなく気軽に使用することが可能です。

 さらに、細かいところで言うと、“連斬”というシステムも追加されています。これは、一定時間内に連続で敵を倒すと、攻撃力が上がるアイテム“水命丹”がドロップするので、雑魚戦がより重要になってきます。

『うたわれるもの斬2』ディレクター鷲見努氏にインタビュー。前作から大幅に進化したその軌跡と内容に迫る

――拠点システムも詳しくお聞きしたいです。

鷲見拠点は、RPG要素のひとつとして実装しました。エンナカムイにある屋敷が舞台となっており、オシュトル(ハク)として自由に歩き回ることができます。メインキャラクターだけではなく、兵士たちとも会話ができるほか、ストーリーの進行に合わせて情景も変化するといった要素も用意しました。拠点では、キャラクターを強化することや、ゲーム中で入手できる仁徳ポイントを使って、拠点としての機能を拡張することも可能です。

 また、施設も充実していて、持ち帰った食材をルルティエに渡すことで、“戦メシ”と呼ばれる料理を提供してもらえます。出撃する前に戦メシを食べておくと、その効果が得られます。料理の献立をパワーアップしたり、解放したりしていくと、より効果の高い料理を食べられるようになりますよ。そして、前作のエンドコンテンツをはるかにパワーアップさせた“夢幻演武”や、本作で新たに実装したチャレンジダンジョンの“とらのあな”など、やり込み要素もふんだんに準備しています。

『うたわれるもの斬2』ディレクター鷲見努氏にインタビュー。前作から大幅に進化したその軌跡と内容に迫る
『うたわれるもの斬2』ディレクター鷲見努氏にインタビュー。前作から大幅に進化したその軌跡と内容に迫る

――前作に引き続き、オンラインプレイも楽しめますが、本作ならではの見どころは?

鷲見本作では、オフラインでひとりでもオンライン用の任務をプレイすることができます。オンラインにつないでみんなで協力して任務をこなすもよし、ひとりであそぶもよしと、ご自身のプレイスタイルに合わせて遊んでいただければと思います。

『うたわれるもの斬2』ディレクター鷲見努氏にインタビュー。前作から大幅に進化したその軌跡と内容に迫る

――前作のセーブデータがあれば、何か特典が得られるなど、連動要素ありますか?

鷲見前作のダウンロードコンテンツである“DLCスペシャル衣装”をお持ちの方は、本作でもご使用いただけます。同様に“DLC追加スタンプ”もご使用いただくことができるので、オンラインプレイでご利用ください。

――最後に、『うたわれるもの』シリーズのファンや読者にメッセージをお願いします。

鷲見細かいところを含めると、まだまだお話しきれていないほど、本作は大きく進化したゲームとなりました。ゲームの導線や細かい手触りなども変わっていますし、アクションはよりストレスなく、全体としてはじっくりキャラクターを育成して楽しんでいただけるようになっています。

 また、今回発表したオシュトル(ハク)やアンジュ、フミルィル、ムネチカのほかにも、プレイアブルキャラクターは追加されていますので、今後の情報を楽しみにお待ちいただければと思います。ファンや読者の皆様に存分に楽しんでいただけるように、新要素の追加や改良を重ねておりますので、ぜひよろしくお願いします。