いよいよ予約販売がスタート!
2012年8月の発売から多くのファンに親しまれてきたテレビ視聴が可能なネットワークレコーダー&メディアストレージ、nasne(ナスネ)。2019年6月に出荷終了となってネット上に嘆きの声が広まったものの、救世主バッファローがこれを継承。新型nasneが発売されることとなり今度はネット上のファンたちを大いに沸かせた、というアンビリバボーな奇跡的な出来事があったのを皆さんご存知だろうか? ツイッターのトレンドで1位になるなど、それはもうファンにとってはお祭り騒ぎの1日だったので、ファン以外の人の耳にも届いていたかもしれない。
そんな奇跡のニュースから半年が経ち、ついにバッファローの新型nasneの発売日である2021年3月末日が目前に迫ってきた。今回、記事制作にあたり幸運にもくだんの新型nasneを借り受けることができたので、発売前ではあるが実機レビューを行っていきたいと思う。使用感はいったいどう変わったのか? SIEから発売されていたnasneとどこが違うのか? 改めてnasneの解説を交えつつ、詳しくお伝えしていきたい。
バッファロー新型“nasne”の購入はこちら (Amazon内バッファロー公式ストア(バッファローダイレクト)) バッファロー外付けHDDの購入はこちら (Amazon内バッファロー公式ストア(バッファローダイレクト))新型nasneは買いなのか?
まず最初に結論を言ってしまおう。これは筆者の独断と偏見なので最終的には自身で判断してもらうほかないが、ふだんからnasneを使っている人は「絶対買い」。理由はシンプルで使用感は従来型モデルとまったく変わらず、それでいて使いやすくパワーアップしている点もあるからだ。
従来のnasne愛用者は「これ前と同じ機材をそのまま流用してない?」と錯覚してしまうくらい、何も心配せずに使っていけるだろう。筆者などは新型nasneを設置したことを忘れるほどで正直、返却したくなかった。ただし、プレイステーション3やプレイステーションVita などには非対応なので、PS3メインで使用しているユーザーはそこだけはくれぐれも注意されたし。
nasneとは?
それでは、より詳細な解説に移っていく。
nasneは、HDD(ハードディスクドライブ)と地上/BS/110度CSデジタルチューナーを搭載したネットワークレコーダーで、NAS(ネットワークストレージ)の役割も果たす機器。メインの使いどころはプレイステーション4、スマートフォン、PCなどを使ってテレビを視聴・録画することと思ってもらって差し支えない。
PS4なら『torne(トルネ)』、スマホなら『torne mobile(トルネ モバイル)』という専用アプリを使うことでこの上なく快適なテレビ視聴が可能。PCでは『PC TV Plus』というアプリを使い、別メディアに書き出しも行える。新型nasneの価格は29800円[税込]。従来型より容量が増えたことなどもあり値段は少し上がった。筆者的にはPS4での視聴を推奨するが、PS4を持っていなくても当然使用可能だ。
nasneのおもな特徴
- 専用アプリ『torne』で快適な視聴を実現
- スマホやタブレットでも高画質視聴ができる
- 家の中だけでなく外出先からでも視聴が可能
- 『PC TV Plus』を使えばBD-Rなどにも書き出しできる
- 内蔵ハードディスクが従来型の1TBから倍の2TBに
- 外付けの容量増設が6TBまで対応(ポータブルHDD/SSD対応)
- 複数のnasneをつなげば同時録画もできる
- WindowsやMacで共有の保存場所として使える
- プレイステーション5にも2021年末に対応予定
パッケージは以下のとおり。従来型のパッケージとほぼ同じデザインだが、当然メーカーロゴはバッファローに変更。右下の容量を示す数字も“2TB”になった。左下にはtorneの公式キャラクターであるオウムの“トルネフ”が配置されているのが印象的だ。
付属品は下記のラインナップになっている。
- 新型nasne本体
- 説明書一式
- miniB-CASカード
- LANケーブル
- 同軸ケーブル
- 電源アダプター
外観のカラーやサイズ感は従来型とあまり変わらない印象。容量の増加に伴ってミリ単位で厚みが違うらしいが、パッと見では正直わからなかった。
いままでになかった静音ファンが搭載されて側面には通気口が付いた。近づいて耳をすませばファンの音はかすかに聴こえるが、当然ながら視聴などに影響を与えるようなものではない。また、インジケーターランプにも新たなものがひとつ追加されていた。B-CASカードがフルサイズのものからminiに変更。従来同様に横から挿し込むようになっている。
『torne』のサクサク操作は現在でも魅力
nasneでテレビ番組を視聴・録画するには『torne』または『torne mobile』が必要になる。これはnasneとPS4、スマホ、タブレットをつなぐ専用のテレビアプリ。2021年末にはPS5での対応が発表されており、現在はアップデート待ちの状態となっている。なお、PC用の『torne』は存在せず、代わりに『PC TV Plus』を使うので覚えておこう。
『torne』最大の魅力は、サクサクととにかく動作が軽快な点。番組表の拡大縮小やキーワード検索も瞬時に可能で、ビジュアルシーンサーチなんかも即時表示と初登場となった2010年の時点ではほかのどんなHDDレコーダーよりも爆速だった。さすがに2021年の現代ともなると一般家電の性能も上がってきていて以前ほどの優位性はなくなってきたが、それでも操作の気持ちよさは唯一無二の存在だ。筆者の中では依然として揺るぎない第1位。“my番組表”のカスタマイズや特定のジャンルだけを抜き出して表示したりするなど、細かな便利機能もけっこうある。
新しいnasneで番組録画や再生を行ったが、以前と変わらないアクセススピードを実現していて当然ながらノンストレス。むしろ若干速いようにも感じたが、まあそれは気のせいかもしれない。ソート機能なども相変わらず一瞬で、従来型モデルと並べて使っても違和感ひとつないので安心だ。
しかし何より、内蔵HDDが従来モデルの2倍の2TBとなり最大約386時間(※)の録画ができるのは本当にありがたい。録画する数に対して視聴が追い付かず、容量の確保に四苦八苦しているユーザーは多いと思うので大助かりだ。
※3倍モードの場合。実際の数値は放送形式などでも異なる。
さらに言うとnasneは外付けHDDを接続して容量を増やせるのだが、これが従来の2TBから何と6TBまで対応できるようになり、内蔵HDDの2TBと合わせて合計8TBの大容量を実現してくれたのが本当にうれしい。しかも、以前は非対応だったポータブルHDDとSSDにも対応してくれている神仕様。ポータブルHDD/SSDならACアダプターが不要なので、気軽に追加できる点にはありがとうと言いたい。
ちなみに、複数のnasneを繋げばその分だけチューナーも増え、増えた分だけ同時録画もできるようになる。『torne』では最大で4台まで、『PC TV Plus』なら8台までコントロールが可能だ。まあ、全録などをしたいならほかの機器を使うほうが賢明だとは思うが、今回の記事で筆者は3台つなぎを体験したがなかなか魅力的だった。
場所を問わずに視聴できて便利
同じホームネットワークであれば、どのデバイスからでも簡単にnasneにアクセスが可能。たとえば、PS4の『torne』を使って見ていた番組の続きを、別の部屋に移動してスマホからアクセスして見るなんてことも簡単だ。nasne1台につき2台のデバイスで同時に録画番組を再生できるのも助かる。
もちろん、外出先からのアクセスだってできる。ただし、『torne mobile』は一度だけ有料プラグインの購入が必要になってしまうのが玉に瑕。また、書き出し機能の有料プラグインもあり、こちらはnasneに保存された動画をモバイル端末へ書き出して再生できるようになる。安定した回線が確保できないような場所では、非常に役立つので使ってみるのもアリだろう。
じつは以前のnasneでは、iPhone/iPadの『torne mobile』ではSD画質になってしまっていたのだが、バッファローの新しいnasneではHD画質(720p)を実現。Androidなどと同じ解像度で視聴できるようになった。これはiOSユーザーにとってはかなりの朗報と言えるのではないだろうか。
独自のネットワーク機能がおもしろい
『torne』には、ネットワークを介して全国のユーザーの録画予約の状況や視聴数がリアルタイムでわかる“トルミル機能”がある。ランキング形式でも見られるため、ふだん自分が見ないような番組でもユーザーの注目度の高い番組が丸わかり。ちょっとアニメ系に偏りがあったりはするが、眺めてみると意外な発見・出会いがあったりするからおもしろい。
マスコットキャラのトルネフが注目している番組をピックアップしてくれていたり、コメントを付けてくれたりしているので、それらをチェックするのも楽しい。また、定期的にアンケート集計なども行っていて結果を見るワクワクもある。このあたりの機能は、新型nasneの導入はあまり関係なく変更などはない。
『PC TV Plus』を使ってメディアに保存
nasneと連携してPCをテレビ代わりにするには『PC TV Plus』というアプリが必要となる。こちらはnasneだけでなく、多種多様なテレビ本体やBlu-rayレコーダーなどにも対応している製品だ。体験版は14日間無料だが、製品版は3300円[税込]からと少々高価な設定になっている。2021年3月24日から新型nasneに対応したバージョンが配信される予定だ。
『torne』との大きな違いは、nasneで録画した番組をBD-Rなどのメディアに書き出せること。『torne』で録画した番組は見たらすぐ消してしまうのが定番スタイルで、後腐れなくていいのだが、長年利用しているとどうしても残しておきたい番組がひとつやふたつできたりするものだ。筆者などはけっこうnasneに残しているが、HDDを圧迫してしまうので賢い使い方とは言えない。そんなときは『PC TV Plus』を使うのがベストなのだろう。別途料金が掛かるが『PC TV Plus Advanced Pack』を利用すれば、CMカット編集ができるほか、外出先からのnasneアクセスも可能になって便利だ。
日程的に対応バージョンはまだのはずだったが、試してみたところ『PC TV Plus』から新型nasneへのアクセスはできた。使い勝手は従来のnasneにアクセスした際と変わらず、遅延のようなものもなく極めて良好だった。ただ、最強のレスポンスを誇る『torne』の快適さを味わった後だとユーザーによっては動作的に少々不満が出るかもしれないが、こちらにはこちらの唯一無二があって素晴らしい。これからは筆者も賢く『PC TV Plus』を併用していきたい。
PCの共有保存場所としても使える
nasneはメディアストレージとしても利用可能なので単純にデータ類を保存しておける。ホームネットワーク上のいずれのPCからでもアクセスできるため、家族間などでデータの受け渡しに使うというのもアリだろう。保存したデータが写真や動画、音楽などなら各種メディアプレイヤーで再生することもできる。従来モデルのファイル共有方式はSMB1.0だったが、新型nasneではSMB 2.0に変更。Windows 10搭載PCのデフォルト設定で利用可能だ。
試しに従来型nasneと新型nasneでいくつかのファイルを保存してアクセスしてみたが、どちらも同様に快適に動作してくれた。毎回同じ感想を言っていて恐縮だが違いはわからず。言い換えれば、従来どおり安心して利用できるということだ。
既存ユーザーなら文句なしの出来栄え
従来モデルのnasneをふだん使いしていてもう1台欲しいと思ったら、このバッファロー版の新型nasneは「絶対買い」で問題ない。筆者的にも従来のnasneと違ったらどうしようという思いが少しあったが、使い始めてすぐにそんな思いは忘れてしまった。そのくらい違和感なく使用できてしまって驚いた。
やはりHDDの容量は何ものにも代え難い存在で、内蔵HDDが2倍になっただけでも最高過ぎるパワーアップというのを実感。容量の“%表示”が減りにくいことが、ただただ感動だった。ポータブルHDD/SSDにも対応してくれて筆者は「絶対外付けの6TBといっしょに買う!」「もういますぐ欲しい」と気持ちがたかぶった。ぜひ発売早々に手に入れて、4月期の新番組ラッシュを乗り切りたいと思っている次第だ。