『Thief(シーフ)』は盗みに特化した“泥棒になる”といういままでにない体験が楽しめる作品

公開日時:2013-12-25 00:00:00

1998年に欧米で第1作が発売され、ステルスアクションゲームの礎を築いた作品のひとつとして評価されている、『Thief(シーフ)』シリーズ。そのシリーズのリブート(再起動)作品として、プレイステーション3、プレイステーション4、Xbox 360、Xbox One、およびPCで2014年に発売される。開発は、『デウスエクス』シリーズのリブートを成功させたことでも定評があるアイドス・モントリオール。ちなみに、『シーフ』シリーズはこれまで日本語にローカライズされたことはなく、本作自体もいまだ謎の部分が多い。

そんな『シーフ』のプロデューサーStephane Roy(ステファン・ロイ)が日本メディア向けのプレゼンテーションのために来日。そこで判明した本作の内容をリポートする。

そのまえに、まずはこれまでの情報をおさらいしよう。

■ストーリードリブンなダークファンタジー

主人公は比類なき盗賊“ギャレット”(声:中村悠一)。ギャレットは、孤児として生まれ、生きるために盗みを働いてきた男。生来持ち合わせた盗みの才能を研ぎ澄まし、“神業を持つ盗賊”と呼ばれるまで成長を遂げた。一時期、ある犯罪組織に属していたが、束縛を嫌って脱退。ひとりの盗賊として“宝”のみを追い求める。

ギャレットはある日、通りで盗みを働くひとりの少女エリンと出会う。エリンもまた元孤児であり、地下売春宿“ハウス・オブ・ブロッサム”から逃れ、生きるために盗みを働いていた。組織から離れ、ひとり生きることを心に決めたギャレットだったが、自らの境遇とエリンを重ね、また彼女の盗みに素質を認め、彼女を一流の盗賊とするため、盗賊としての経験や知恵を授けていくことになる。

しかし、ふたりの盗みの流儀は大きく異なっていた。彼女は目的達成のためであれば殺しを厭わなかった。理由なき殺しを避け、静かに目的を達成するのを流儀とするギャレットは、殺しを楽しんでいるようにも見えるエリンを幾度も諭すが、エリンがそれに従うことはなく、程なくしてふたりは道を別にする。

エリンと別れて数年たったある日、ギャレットの数少ない友人バッソから仕事の依頼が舞い込む。現場に到着するとそこには成長したエリンの姿があった。厳重な警備の敷かれた屋敷への侵入という危険な仕事のため、パートナーとしてバッソが呼び出したのだ。

一人前の盗賊として成長したエリンを懐かしく見つめるギャレットだったが、彼女の仕事の流儀は変わっていなかった。新たな仕事道具“鉤爪”を用い、邪魔なガードを始末していくエリン。無用な殺しをするエリンに憤るギャレットは隙を見て彼女から鉤爪を盗んでしまう。ふたりが屋敷に着くと、中では奇妙な儀式が執り行われていた……。その異様な雰囲気に危険を察知したギャレットは、素早く仕事を終えその場から立ち去ろうとするが、瞬間轟音とともに屋敷が崩れ落ち、闇へと飲み込まれて行くのだった。

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目が覚めると街の様子は一変していた。事情を探ろうとバッソのもとに赴いたギャレットは、あの日から1年が経過し、自分が亡き者として扱われていることを知る。ギャレットは再び盗賊として生きるため、バッソからの仕事の依頼をこなしながら、一年前のあの日、自分の身に降りかかった出来事を探ることに……。しかし、失われた一年を取り戻すうち、この街に起きた変化の裏に隠された秘密と陰謀に巻き込まれていく――。

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以上のように、本作の物語は謎に満ちたダークファンタジーとなっており、「ストーリードリブンなシングルプレイ中心の作品」(ステファン)として楽しめるようになっている。

■盗むことを最大限に楽しめるステルスアクション 新世代機ならではのギミックも

シーフ』は、ステルスアクションとしては、“盗む”ことに特化したものになっており、真正面からの戦闘は1対1なら互角、1対2だとヤラれる可能性大、といったシビアなものになっている。武器は弓とブラックジャック(棍棒)が用意されており、もちろん、コンバット時やステルスキルにも使用できる。だが、弓なら矢でギミックを発動させ、敵の注意を引いたり、特殊な矢“ウォーターアロー”でたいまつなどの火を消したり、ブラックジャックなら壁などを叩いて敵をおびき寄せることなどにも使える。“理由なき殺しを避け、静かに目的を達成するのを流儀”とするギャレットに倣って、コンバットを避け、隠れながらお宝を盗んでいく、というプレイスタイルが本作にはふさわしい。

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“理由なき殺しを避け、静かに目的を達成する”には、敵に気づかれないように影から影へと移動することが重要となる。プレゼン時に実際にプレイステーション4版をプレイさせてもらったところ、影に入っていれば、敵の正面にいたとしても、ある程度、近寄られない限り気づかれることはない。また、影から影へは素早く移動できる。目的地への侵入経路は複数用意されており、どういうルートで侵入するかはプレイヤーの自由だ。

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目的地まではオブジェクトマーカーが表示されるので迷うことはないが、道中(建物の中も含む)には、さまざまなお宝が隠されている。盗賊としては、それを見逃す手はない。お宝はショップで換金することができ、スキルのアップグレードや消耗品の購入に充てることができる。このギャレット自身を強化できる、という要素は、盗むモチベーションにもつながる。また、お宝の中には“コレクタブルアイテム”という特殊なものも用意されている。これは、ギャレットのアジトである時計台の部屋に飾れるアイテムで、そうしたアイテムをコレクションしていく、というのも本作の魅力のひとつとなっている。ちなみに、筆者はプレイさせてもらった際、敵に気づかれないように進むことが精一杯で、何も盗まず目的地まで到達してしまった。操作も度胸もまだまだヒヨッコの泥棒ということか。。。

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また、本作はステルスアクションには珍しく、一人称視点になっていることも特徴的な要素のひとつだ。これにより没入感と臨場感、そして緊張感たっぷりのステルスアクションが体験できるようになっている。「没入感を生み出す画面上の表現の工夫として、ギャレットの視点と同じになるよう、手の表現を大切にしました。プレイ中は、まさに彼になり切って行動しているような感覚を出したかったのです」(ステファン)

新世代機ならではのユニークなポイントとしては、プレイステーション4版においてDUALSHOCK 4のライトバーが影に入っているときは青く、敵に発見される危険がある光の下では白く光るというギミックが挙げられる。「ライトバーの光の変化で状況が認識できるので、部屋を暗くして遊ぶ時などは、よりいっそう没入感や臨場感、緊張感が楽しめます。」(ステファン)。もうひとつ、プレイステーション4らしい操作を付け加えると、(複数ある)弓矢などアイテムの選択にはタッチパッドを操作して、感覚的に選ぶことができた。

■ギャレットの特殊能力“フォーカス”

ギャレットにはあの事件以来、“フォーカス”という特殊能力が備わっており、ステルスにも、コンバットにも役立つものとなっている。具体的には、フォーカスを使 うとインタラクトできるアイテムがハイライトされたり、鍵の解錠が簡単になったり、コンバット時に敵がスローモーションになり、さらに弱点が表示されたり、といった具合。ただし、フォーカスは基本的に自動回復しないため、ゲージがなくなると使うことができなくなるので、使いどころは重要になりそうだ。

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▲“フォーカス”を使うと五感が研ぎ澄まされ、活用できるギミックやお宝、敵の位置などをうかがい知ることができる。

▲ドアの鍵や宝箱の鍵はパズル要素があるが、フォーカスを使うとかなり簡単に解錠することができる。あまり時間をかけられないシチュエーションに使っていこう。

■プレゼン終了後、プロデューサーStephane Roy(ステファン・ロイ)氏に『シーフ』について訊いた

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――キービジュアルのギャレットの片目が碧く光っていますが、これはどういった意味があるのですか?

ステファン:過去作のギャレットの片目はメカニックアイ(義眼)だったので、そのオマージュでもあるのですが、本作では冒頭で起きるある事件が原因で、ギャレットは“フォーカス”という特殊能力が使えるようになり、片目が碧く光るようになります。

――アイドス・モントリオールの作品『デウスエクス』は、ゴールドっぽいカラーが特徴の作品でした。『シーフ』ではダークな雰囲気が全面に押し出されていますね。

ステファン:そうですね。ですが、シティの一区画にある“ストーンマーケット”では青味がかった区画にしていたり、別の区画では緑っぽい感じにしていたり、場所ごとにカラーのバリエーションは出すようにしているんですよ。あとはコントラストを重視しています。それはカラーだけではなく、経済的な格差といったものだったり、時代背景も中世の雰囲気がありつつ、産業革命前夜といった近代的な要素もあったり。そういったコントラストも意識しています。

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――前作から10年ぶり、しかも新世代機に合わせたかのようなタイミングで新たな『シーフ』が登場します。『シーフ』のリブートには新世代機の表現力が必要だったということでしょうか?

ステファン:いくつか理由はあるのですが、『シーフ』のファンがずっといてくれたことがまずひとつ。また、スクウェア・エニックスとアイドス・モントリオールがいっしょになって5年くらい経つのですが、アイドスが持っていたIPを新しい世代に届けよう、という計画のもと、第1弾が『デウスエクス』、その次が『シーフ』という流れもあって、このタイミングになりました。

――過去のシリーズ作品と今回の『シーフ』との関連は?

ステファン:過去作から共通するキャラクターは主人公のギャレットだけです。続編や前日譚などではないので、過去作と物語のつながりはありません。ただ、シリーズを知っているとクスリとできるオマージュや小ネタなどは少し入っています。

――新世代機での開発はいかがですか?

ステファン:PS2からPS3へと移行したときと比べると、PS3からPS4への移行はさほど大きな変化はありませんでした。ただ、PS4はメモリの制約がなくなり、グラッフィッカーなどは生き生きとして作業していますよ(笑)。10年前は光と影がクッキリと分かれていていましたが、新世代機では現実世界と同じような光と影、そのはざまの部分が現実と同じようにリアルに表現できるようになりました。ただ、リアルになった分、影の色の濃さの調整はたいへんでした。「これくらい暗かったら発見されづらいはずだ」といった具体に、説得力のある“影の闇”の表現を場所ごとに決めていきました。また、Shareボタンによる共有体験やセカンドスクリーンを使ったゲーム体験など、“新しい体験”を組み合わせてゲームをデザインする必要があるでしょうし、そこにやり甲斐も感じますね。

――ほかのステルスアクションと『シーフ』が大きく違うところ、ウリはどこだとお考えですか?

ステファン:『シーフ』がユニークなところは、“盗むこと”にフォーカスしている点です。“泥棒になる”という、これまでにないファンタジーを体験できるところに魅力があると思います。しかも、ギャレットは“マスター・シーフ”という泥棒の中でもピカ一の能力を持っていますので、プレイヤーは、大泥棒体験ができるわけです。

――最後に初めて日本語ローカライズされる本作のアピールをお願いします。

ステファン:『シーフ』の醍醐味は泥棒になれるところです。泥棒だからこそ味わえるスリル、盗みを成功させたときのカタルシスなどを体験してください。また、本作はステージリザルトとして、スコアのほかに敵を殺した数が多いプレイヤーは“プレデター”、敵に発見されず盗みをくり返した人は“ゴースト”といったように、プレイヤーのタイプが示されます。ある意味、そのタイプから自分の性格がわかると思いますので、大げさですが“自分を知る”体験もできると思います。好奇心旺盛な方にはぜひ手に取ってほしい作品ですね。

※『シーフ』公式サイトはこちら
Thief (C) Square Enix Ltd., 2013. All Rights Reserved. Published by Square Enix Co., Ltd. Square Enix and the Square Enix logo are trademarks or registered trademarks of Square Enix Holdings Co., Ltd. Thief, the Thief logo, Eidos-Montreal and the Eidos-Montreal logo are trademarks or registered trademarks of Square Enix Ltd. All other trademarks are the property of their respective owners.

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Thief - ファミ通エクストリームエッジ

タイトル:THIEF(シーフ)
対応機種:プレイステーション4、プレイステーション3、Xbox One、Xbox 360、PC
発売日:2014年6月12日(木)発売
※Xbox One版の発売日は2014年9月4日(木)
価格:7800円+税
ジャンル:アクション
プレイ人数:1人
Thief (C) 2014 Square Enix Ltd. All rights reserved. Developed by Eidos-Montreal. THIEF, the THIEF logo, EIDOS-MONTREAL and the EIDOS logo are trademarks of Square Enix Ltd. SQUARE ENIX and the SQUARE ENIX logo are trademarks or registered trademarks of Square Enix Holdings Co., Ltd. All other trademarks are the property of their respective owners.