『オーバーウォッチ』モイラは回復と攻撃を兼ね備えた、かなり強い(?)サポートヒーロー。リーパーのと関係も!?【BlizzCon2017】

公開日時:2017-11-04 09:47:00

 現地時間2017年11月3日、アメリカ・カリフォルニア州アナハイムにてBlizzard Entertainmentのファンイベント“BlizzCon 2017”が開幕。同イベントのオープニングセレモニーにて、『オーバーウォッチ』の新ハイブリットマップ“Blizzard World”と新ヒーローMoira、ラインハルトの短編アニメーションも公開された。本稿では、それぞれの新発表について、同作のプリンシパル・デザイナーのスコット・マーサー氏に詳細をうかがった(合同インタビュー)。

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スコット・マーサー氏(左)と通訳をしていただいたスクウェア・エニックス ローカライズディレクターの西尾勇輝氏

――新ハイブリットマップ“Blizzard World”の特徴を簡単に教えてください。

スコット 従来のハイブリットマップと同様、まずはペイロードを確保するアサルトから始まり、エストートへという流れになります。“Blizzard World”はテーマパークのような構造になっていて、ゲートをくぐると、まず『ウォークラフト』のエリアがあり、つぎに『スタークラフト』、最終的なチェックポイントは『ディアブロ』のエリアになっています。各エリアはそれぞれのゲームの特徴を反映していて、『ディアブロ』のエリアは不気味な演出をしています。また、テーマパークっぽくショップがあったり、ローラーコースターが走っていたり、風船を撃つとその風船が空に飛んでいったりといった演出も加えています。制作していて楽しいマップでしたね。

――Blizzardの世界観をマップに盛り込むというアイディアは、当初からあったのですか?

スコット アイデアレベルでは、かなり前からありました。『オーバーウォッチ』は以前、“タイタン”という別プロジェクトで開発されていて、それは日の目を見ることはありませんでしたが、そのころからBlizzardの世界観をひとつのマップに反映させるアイディアはありました。『オーバーウォッチ』での実装は2018年ですが、このタイミングになったのは、まずは『オーバーウォッチ』の世界観を印象付けたかったからからで、発売から1年半経ちますし、タイミング的にはそろそろいいだろう、という判断になりました。

――新ヒーローのモイラは、いままでのヒーローとどういう違いがあって、どういうプレイスタイルのヒーローになると思われますか?

スコット モイラは回復と攻撃、両方の能力を兼ね備えるサポートヒーローです。短距離用のバイオティック・グラスプは敵に対してはライフを吸い取り、回復はひとりだけではなく、付近にいる複数の仲間も回復することができます。Moiraの大きな特徴は、敵のライフを吸い取って、自分のライフの回復とともに、バイオティック・エネルギーを補充し、そのバイオティック・エネルギーを消費して前方の味方を回復するということ。つまり、自身や仲間を回復するためには、敵を攻撃する必要がある、攻撃いに参加しなければならない、というユニークなヒーローです。サポートヒーローを使っている人は、仲間を回復するだけではなく、攻撃にも参加できるゼニヤッタが好きな人が多いのですが、モイラもそんなプレイヤーの好みに応えられるサポートヒーローだと思います。
 バイオティック・オーブは、壁や天井に当たると跳ね返る、特殊なオーブを放つアビリティで、味方を回復、あるいは敵にダメージを与える2種類のオーブから選択することができます。
 フェードは短距離を一瞬でテレポートでき、いまのサポート役には不足している機動力もあります。
 アルティメットアビリティのコアレッセンスは、触れた仲間を回復し、敵にはダメージを与える長射程のビームです。ビームはバリアを貫通し、射線上にいる敵にはダメージを、仲間には回復を同時にもたらします。

――ゼニヤッタの立ち回りと比べて、どんな違いが?

スコット 攻撃力、攻撃範囲など、敵にダメージを与えるという視点ではゼニヤッタのほうが上です。加えて、敵が受けるダメージを増加させる不和のオーブは、仲間全員に恩恵がありますし、チームが与えるダメージ量もゼニヤッタのほうが有利でしょう。モイラの攻撃は攻撃範囲も狭いですし、敵をトラッキングして撃ち続けないと大きなダメージを与えられないので、ゼニヤッタよりシンメトラと似ているかもしれません。

――フェードによる機動力の高さは、ダイブメタ(飛び込むための移動スキルをもったキャラクターたちで編成し、飛び込んでかき回す戦法)に有利なような気がしますが。

スコット モイラ開発中からダイブメタのことは認識していました。ただ、サポートの機動力のなさ、というのも意見としてありましたので、その回答のひとつとして、フェードのアビリティを用意しています。ただ、クールダウンの時間はけっこう長いので、頻発はできないようにしていますし、フェード発動中はほかのアビリティは使えませんので、モイラがダイブメタにハマるかどうかは、注視していきたいと思います。また、リーパーのシャドウ・ステップ同様、発動したときと再出現したときは効果音とボイスが再生されるので、見えなくてもだいたいどの位置にいるかは慣れるとわかるようになると思います。

――バイオティック・エネルギーの管理など、難度は高めなヒーローのような印象を受けますが。

スコット ほかのサポート比べると難度は高めかもしれません(難易度の★はふたつ)。

――BlizzCon 2017のオープニングセレモニーで発表された際、ジェフ・カプラン氏が「強すぎる」と紹介して観客が湧いていましたが、実際はいかがでしょう?

スコット 彼はジョークのつもりで言ったと思います(笑)。BlizzCon終了後にPTR(PC版のテストサーバー)で公開されるので、そこからのフィードバックを受けて本実装までに調整しますが、たしかに現実点では強いです。ただ、強すぎるというほどではないと思います(笑)。

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――モイラのバックボーンについても教えてください。

スコット モイラのフェードとリーパーのシャドウ・ステップはすごく似ているんですが、ふたりには何らかの関係はあるのですが、詳細は今後展開していきたいと思います。モイラは、結果がすべてという主義で、彼女の目的は生命の神秘を解き明かすこと。そのためには、非人道的なこともためらわず行う人物です。

――これまで新ヒーローの発表の際には、ドゥームフィストやソンブラなどもそうでしたが、事前にヒントのようなものがありましたが、今回はなかったので、BlizzCon 2017では新ヒーローは発表されないと思っていました(笑)。

スコット PRの担当ではないので詳しいことはわかりませんが(笑)、BlizzConは大きなイベントですし、伏線を張らなくても注目していただけるとの判断だったのでは

――ショートムービー“Honor of Glory”についても少し解説をいただけますか?

スコット ラインハルトは開発チームのあいだでも人気があり、個性的なヒーローです。ラインハルトは、バルデリッヒ将軍が率いたクルセイダーズのひとりで、Eichenwaldeのマップの玉座には、バルデリッヒの鎧が朽ちて横たわっているのが確認できると思うのですが、その過去を紐解く内容になっています。じつは、解体前のオーバーウォッチに招集されたのはラインハルトではなく、バルデリッヒだったんです。ただ、バルデリッヒは招集前に戦死してしまうので、その使命はラインハルトに託されました。ほかの短編アニメでもそうなのですが、一度は解体されたオーバーウォッチが、ウィンストンの呼び掛けをどう受け止め、オーバーウォッチに戻ってきたのか、というところを描いていますが、ラインハルトの場合は、バルデリッヒから引き継いだ使命が決断を下す大きな要因となっており、その思いがコインに隠されています。

――オーバーウォッチ ワールドカップで気になっているチーム、優勝予想は?

スコット 昨年のオーバーウォッチ ワールドカップは初開催ということもあり、各国の代表チームはお祭り的な気持ちもあったと思うのですが、今年は各国の代表チームが練習にも力を入れ、競技性も高くなっていると思います。優勝候補の筆頭は昨年も優勝した韓国代表だと思いますが、イギリス、スウェーデンの代表もとてもいいチームなので、チャンスはあると思います。個人的にはアメリカ代表にもがんばってもらいたい(笑)。中国チームはビザの関係で一部選手が交代することになったようなので、それについては残念ですね。日本代表は、惜しくもBlizzCon 2017には進出できませんでしたが、予選の大活躍は爽快でした。彼らの活躍は、日本のeスポーツにとっていい刺激になったのではないでしょうか。

――スコットさんは日本のアニメがお好きということで、日本メディアのインタビューでは、最近のお気に入りのアニメをうかがうのがもはや恒例となった感があるのですが、今回もうかがっていいですか?(笑)

スコット OK(笑)。『ネト充のススメ』と『魔法使いの嫁』ですね。私は『ウォークラフト』の開発にも携わっていたので、『ネト充のススメ』はとくに親近感が沸きますね(笑)。

――ありがとうございました!

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オーバーウォッチ - ファミ通エクストリームエッジ

タイトル:オーバーウォッチ
対応機種:プレイステーション4
発売日:2016年5月24日
価格:7800円[税抜](8424円[税込])

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