木村唯人氏に一問一答インタビュー

 スマホやPCで遊べる本格RPG『グランブルーファンタジー』(以下、『グラブル』)。同作の10周年を記念して、プロデューサーの木村唯人氏に一問一答形式で質問に答えていただいた。『グラブル』10年の振り返りや今後の展開、バトルシステムについてなど、お見逃しなく! なお、質問は2024年3月9日に配信された生放送番組『10周年直前生放送!グラブルアニバーサリーSP』よりも前に実施したものとなる。

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木村唯人氏(きむらゆいと)

株式会社サイゲームス専務取締役。『グランブルーファンタジー』ではプロデューサーを務める。

――まずは『グラブル』10周年おめでとうございます。振り返ってみて、どんな10年間でしたか。

木村山あり谷ありの10年でしたが、騎空士の皆様の“グラブル愛”によって支えられ助けてもらい続けた10年だと感じています。

 この10年、ゲーム内外問わずいろいろなコンテンツを制作してきましたが、いいものを提供できたと手応えがあるものもあった反面、皆様の期待に応えることができなかったり、不具合を多く出してしまった時期も多々ありました。きびしい言葉をいただくこともありましたが、そんなときも『グラブル』を見放すことなくプレイを続けてくださり、応援してくださった皆様のおかげでいまの『グラブル』がある。そう強く感じています。

 また、“グラブルフェス”などでじかに騎空士の皆様の熱量の高さを感じたり触れ合ったりすることは、運営チームにとってかけがえのないものになっており、運営への大きな力となっています。この10年本当にありがとうございます。

――初期に比べると遊びやすさを追求したアップデートや新規ユーザーが追いつきやすくなるようなアップデート、高難度コンテンツの幅の広がりなどによって、10年でかなり様変わりしたように思います。いちばん変化したと思う部分と、逆にここは変わっていないなという部分はありますか?

木村どこまでを“初期”と指すかというのが少し難しいのですが、イベント“決戦!星の古戦場”と十天衆が実装されて以降、基本的には大きくは変わっていないと思っています。

 変化したと感じているのは高難易度6人制マルチバトルが多く実装され、キャラクターや編成以外にも知識やプレイヤースキルが必要になるバトルが増えたこと。好きなマルチバトルに救援にいけるようになったことでしょうか。

――振り返ってみて、いちばんピンチだったと思う瞬間はどんな瞬間でしたか?

木村基本的に辛かったことを忘れてしまうタイプなのですが、イベント“決戦!星の古戦場”に不具合が起きるとたいへんなことになるので、そのあたりですかね。

――2024年は10周年のタイミング以降もいろいろな企画が実施されるのでしょうか?

木村10周年ということで今年は例年よりもさらに皆様に驚きや楽しさをお届けできればと思っています。地方で行う“グラブルEXTRAフェス”はもとより、今年はオーケストラコンサートも計画中ですのでお楽しみにお待ちください。

――2023年12月には『GBVSR』、 2024年2月には『リリンク』と、原作以外の『グラブル』も続けざまにリリースされましたが、ユーザーの反応や作品の内容に対して、どのように受け止められていますか? また、これらのタイトルだけでなく、今後も『グラブル』の家庭用ゲーム機タイトルは制作されていくのでしょうか?

木村グランブルーファンタジーヴァーサス』シリーズ、『グランブルーファンタジー リリンク』ともにユーザーの皆様には非常に喜んでもらっていると感じています。日本国内だけでなく海外の方にも多く遊んでもらえているので我々としてもうれしく感じています。今後も皆様の応援をいただければ続編などの制作をしたいと考えています。

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――極致の証の実装によって、ジョブの可能性もさらに広がったかと思います。今後、Class.Vジョブも極致の証に対応する予定はありますか?

木村Class.Vジョブは、各ジョブの複合ジョブとしての役割やマナダイバーにおけるマナベリなど、新しい要素をジョブシステムに追加したものになっています。一方で、Class.IVとEXIIに追加した極致の証は、各ジョブをさらに尖らせることでClass.Vとは違った形で最上位ジョブにするものとなっています。そのため現段階では、Class.Vに極致の証を実装してしまうと、単純にClass.IVやEXIIジョブの役割を失わせてしまうだけになるため、まったく違う方法での拡張を想定しています。

――6人制マルチバトルであるレヴァンスシリーズや、特殊なギミックのある“ダーク・ラプチャー(HARD)”など、ギミック理解が必要なマルチバトルも増えてきました。一方で、ギミックを知らないユーザーが参戦することで、バトルそのものが攻略不可能になる場合もあり問題視されています。こういった高難易度マルチバトルについてはどのようにお考えでしょうか。また、難度緩和などの予定はありますか?

木村高難易度マルチバトルはその攻略方法を模索するところや、マルチバトルの参戦者どうしで一定のコミュニケーションを取りながらクリアーすることに楽しさがあると思っていますが、当然それだけが求められているわけではないことは理解しています。

 ただ高難易度バトルは定期的に実装されていくため、そういったバトルが苦手なユーザーの方にとって楽しめないコンテンツがどんどん増えていってしまうこととなるので、一定の期間を空けつつバトル自体の緩和や人数制限の拡張、“天破の祈り”の拡張等をしていければと思っています。

――実装後すぐにSNSなどで“天元たる六色の理”のソロ攻略報告が上がるなど、ユーザーのやり込み具合がどんどん進化している印象があります。コアユーザーのプレイ状況、攻略状況についてはどのように感じていますか?

木村実装後、すぐには倒されずにしばらくは試行錯誤が続くのではないかという想定のもと実装している高難易度マルチバトルなので、比較的すぐに討伐成功の報告が上がるのを見て毎回驚かされています。コアユーザーの皆様のやり込み具合にはただただ「すごい」のひと言です。

――“刻の流砂”が必要なコンテンツも増えてきたかと思います。イベントでの入手機会は増える予定とのことですが、マルチバトルでのドロップ率そのものが上昇するような調整の可能性は?

木村いまのところ、既存のバトルに対してドロップの上方修正をすることは考えていません。ですが、昨年12月に実装したマルチバトル“ザ・ワールドHL”のように、ほかのバトルよりもアイテムがドロップしやすいバトルを追加していくことは検討しています。

――コンテンツが10周年を迎えたことで、最初期に実装された召喚石はなかなか使われづらい環境になっているかと思います。エレメント化以外の活用用途は追加されないのでしょうか?

木村すでにエレメント化してしまったという方も多いため、特殊な召喚石のシリーズ以外では現状考えていません。

――仲間キャラクターのアビリティや性能のバランス調整に期待しているユーザーは多いかと思います。現在も継続的にバランス調整が入っていますが、バランス調整となる対象の選出基準についても教えてください。また、バランス調整のペースを変更する予定はありますか?

木村対象のキャラクターに関しては、そのときどきのバトル環境やキャラクターの編成状況を鑑みて決めています。バランス調整を入れるペースについては、ほかの施策やイベントとの兼ね合いもあり断言はできませんが、なるべく頻度を落とさないようにしようとは思っています。

――ハーゼリーラなど、コンテンツを進めることで仲間になるキャラクターが注目を集める一方で、現環境では同じ素材を使って上限解放/限界超越をしてもあまり活躍できていない十賢者や十天衆のキャラクターがいるかと思います。こういったキャラクターの調整予定はありますか?

木村そういったキャラクターについても適宜バランス調整の検討は行っております。直近ですと、4月にバランス調整の実施が決定しています。対象キャラクターは、十天衆のウーノ、ソーン、カトル、フュンフ、エッセルと、十賢者のマリア・テレサ、エスタリオラ、フラウです。詳細な調整内容は後日お知らせしますのでお待ちください。

――『グラブル』といえば、年末恒例の“グラブルフェス”や各地で実施される“グラブルEXTRAフェス”など、リアルイベントも魅力だと思います。これまでリアルイベントを実施してきたことの意義や手応えなど、改めて伺えれば。

木村“グラブルフェス”はリアルにおける“最高のグラブル体験”を目指してこれまで企画、運営を行ってきました。回を重ねるごとにオフィシャルキャストの皆さんや協力会社さんといった仲間も増え、いまでは非常に大きなチームとなり、国内の単一ゲームタイトルのイベントとしてはいちばんと自負できるイベントとなりました。

 リアルイベントではこれまで『グラブル』を支えてきてくれたユーザーの皆様への恩返しといったテーマがありますが、それと同時にユーザーの皆様の『グラブル』への想いをじかに感じられ、運営チームとしても大きな力をもらっています。

 つぎは6月から全国4都市をまわる“グラブルEXTRAフェス2024”、そして12月には“グラブルフェス2024”の開催も決定していますので、ぜひご来場をお待ちしております。

“グラブルEXTRAフェス”は全国4都市で開催

 今年の“グラブルEXTRAフェス”は全国4都市で開催。6月の福岡から始まり、7月には仙台と名古屋、8月には神戸でも開催。各会場の展示内容やステージ、オフィシャルキャストの出演情報なども注目だ。

福岡公演

  • 会場:マリンメッセ福岡
  • 日程:6月15日(土)・16日(日)

仙台公演

  • 会場:夢メッセみやぎ
  • 日程:7月6日(土)・7日(日)

名古屋公演

  • 会場:ポートメッセなごや
  • 日程:7月27日(土)・28日(日)

神戸公演

  • 会場:ワールド記念ホール・神戸国際展示場
  • 日程:8月17日(土)・18日(日)

――過去にはオーケストラコンサートなども開催され、いまだに根強く待望論があると思います。こういったリアルイベントの実施などの予定は?

木村2024年9月にオーケストラコンサートを開催します。2017年にもオーケストラコンサートを開催し、じつに7年ぶりになりますが、そのときからさらに楽曲も増えました。『グラブル』は多彩な楽曲も魅力のひとつだと思っているので、ぜひ多くの方に楽しんでいただければ幸いです。続報を楽しみにお待ちください。

――10周年を迎えた『グラブル』ですが、これからチャレンジしていきたいことなどあれば伺いたいです。

木村ゲーム内ではより遊びやすく、プレイすればプレイするだけおもしろいといったアップデートを目指したいと考えています。また新規のイベントの開発にもチャレンジしたいです。

――最後に騎空士の皆さんにひと言メッセージをお願いいたします。

木村皆様のおかげで、2024年3月10日に『グランブルーファンタジー』は10周年を迎えました。10年間続けられたのはこれまで応援してくださった騎空士の皆様のおかげです。『グラブル』の空の旅は11年目を迎えましたが、まだまだ冒険の途中です。これからも皆様といつまでもいっしょに冒険を続けられればと思います。

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