2023年8月23日~27日の5日間、ヨーロッパ最大級のゲームイベントgamescom 2023がドイツ・ケルンにて開催。

 会期中にQuantic Dream(クアンティック・ドリーム)がパブリッシングを担当する『Lysfanga: The Time Shift Warrior』の開発者にインタビューする機会があった。

 ご存じの通り、クアンティック・ドリームと言えば、『HEAVY RAIN 心の軋むとき』や『BEYOND: Two Souls』、『デトロイト ビカム ヒューマン』など、良質なタイトルを手掛けることで知られるスタジオ。会社が設立25周年を迎えた2022年に、優秀なデベロッパーのタイトルのパブリッシング業務を手掛けることを目的に、NetEase Games傘下に入っていた。

 12月14日に発売されることが決まった『Under The Waves』(アンダー・ザ・ウェーブス)はまさにそのうちの1本。本作は、石油会社で働くプロのダイバーである主人公が、深海で孤独に生活しながら不思議な体験をしていく海洋アドベンチャーで、開発はインディーゲームデベロッパーのParallel Studioが手掛けている。

 先日ファミ通ドットコムで紹介させていただいたRed Thread Games開発のコミック調のアメリカロードトリップアクションアドベンチャー『Dustborn』もクアンティック・ドリームのパブリッシングタイトルだ。

 『Under The Waves』にしても『Dustborn』にしても、それまでクアンティック・ドリームが開発してきたタイトルのイメージからすると、少し意外な感じもするが、それだけ良質なタイトルを幅広く手掛けていきたいということなのだろう。

 今回ご紹介する『Lysfanga: The Time Shift Warrior』(以下、『Lysfanga』)は、上記2タイトルとはまた違ったテイストの1作だ。お相手をしてくれたのは、開発元であるSand Door Studioのディレクター、マシュー・シュナイダー氏。

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 『Lysfanga』どのようなゲームなのか、改めてマシュー氏に聞いてみると、

 「本作はハック・アンド・スラッシュにストラテジー、タクティカルなツイストを加えたゲームです。ストラトジーとしては、レムナントを導入しています。レムナントは本作のアイコニックな部分を担っており、プレイヤーはアリーナの中でストラトジーを駆使して戦うのです」(マシュー氏)

 少し捕捉しておくと、本作は、サブタイトルに“The Time Shift Warrior”とあることからもおわかりいただける通り、同じステージを、時間を巻き戻しながら複数回プレイして、過去の自分と協力しながら敵を倒すという趣向のタイトル。その過去の自分のことを“レムナント”というのだ。過去の自分と共闘しながら敵を倒すというのは何ともユニークだが、開発の経緯を聞いてみると、

 「当初はアクションゲームを作りたいと思っていましたが、何か新しい新鮮なものを求めていました。そこでアクションゲームにストラトジーとタクティカルなものを加えることしたのです。おもしろいミックスになり、ユニークなアプローチだと思いました。

 そこで、レムナントというアイデアを思いつき、時間を戻して自分がやったことを再現してくれる分身を作ることにしたのです」(マシュー氏)

 とのこと。なぜそのアイデアを思いついたかというと以下の通り。

 「映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』では、トム・クルーズ演じる主人公は死んで何度も再生するのですが、同作からインスパイアされました。それでいろいろと検討しているうちにレムナントのアイデアが出てきたのです」(マシュー氏)

 映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』と言えば、桜坂洋氏によるライトノベル『All You Need Is Kill』が原作となっており、そこはかとなく縁を感じてしまう。

『Lysfanga: The Time Shift Warrior』時間を巻き戻しながら過去の自分と協力して敵を倒す、映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』にインスパイアを受けた戦略性を加味したアクション【gamescom 2023】

 「バトルは、ステージ内の区切られた区画アリーナで行われます。ひとつのアリーナをクリアーすると、つぎのアリーナに移動できるわけです。プレイヤーは、アリーナ内の敵を全部18秒以内に倒さなくてはなりません。Ime(主人公キャラクター)ひとりではそれは不可能ですが、彼女はレムナントと呼ばれる自分のクローンを作り出すことができます。いわば、レムナントはプレイヤーの過去の行動を再生するのです。

 敵を一体倒したあとで、時間を巻き戻して最初のレムナントを呼ぶと、そのレムナントはさっき自分が取った行動をそのまま再現してくれるので、今度はプレイヤーはつぎの敵にフォーカスして戦うことができます。このようにして、部隊のようなものを作っていくわけですが、実際には自分ひとりです」(マシュー氏)

『Lysfanga: The Time Shift Warrior』時間を巻き戻しながら過去の自分と協力して敵を倒す、映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』にインスパイアを受けた戦略性を加味したアクション【gamescom 2023】

 ストーリー冒頭で呼び出せるレムナントは4人まで。つまり、18秒x4回でひとつの区画をクリアーしていくことになる。

 「ただし、自分のプレイを最適化することで、それよりも短時間で倒せます。アリーナにもよりますが、いくつかはふたりのレムナントで終了することもあります。ゲームを先に進めていくと、アリーナはより複雑になり、より多くの新しいバージョンのレムナントが必要なります。

 冒頭では、レムナントは4人までなのですが、ゲームの終盤では11人まで呼び出せるようになります。さらには、ステージ上でさらなるレムナントを見つけることもできるので、最大20人まで増やせます。ストーリー上は11人ですが、プラス9人はどこかで見つけられるのです」(マシュー氏)

 デモではボス戦の模様も見せてもらえた。ボス戦は3つのフェーズに分かれており、18秒x4レムナントで、ひとつのフェーズをクリアーし、それを3回くり返すことでボスを撃破できる。最初のボスを倒すためには、20~25のアリーナをクリアーする必要があるとのことだ。

『Lysfanga: The Time Shift Warrior』時間を巻き戻しながら過去の自分と協力して敵を倒す、映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』にインスパイアを受けた戦略性を加味したアクション【gamescom 2023】
『Lysfanga: The Time Shift Warrior』時間を巻き戻しながら過去の自分と協力して敵を倒す、映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』にインスパイアを受けた戦略性を加味したアクション【gamescom 2023】

 前述の通り、本作の主人公はIme。Imeは15のスペルやふたつのパワフルスペル、10のルーンなどを駆使することができる。スペルは、ストーリーを進めてNPCと話をすることでアンロックできる。また、Imeは外観をカスタマイズできるとのことだ。

『Lysfanga: The Time Shift Warrior』時間を巻き戻しながら過去の自分と協力して敵を倒す、映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』にインスパイアを受けた戦略性を加味したアクション【gamescom 2023】
『Lysfanga: The Time Shift Warrior』時間を巻き戻しながら過去の自分と協力して敵を倒す、映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』にインスパイアを受けた戦略性を加味したアクション【gamescom 2023】
『Lysfanga: The Time Shift Warrior』時間を巻き戻しながら過去の自分と協力して敵を倒す、映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』にインスパイアを受けた戦略性を加味したアクション【gamescom 2023】

 『Lysfanga: The Time Shift Warrior』は、2024年にPC向けにリリース予定。日本語版もリリースされるそうだ。最後にマシュー氏にメッセージをいただいた。

 「本作は、アクションゲームに戦略性を加えた新機軸のタイトルになっています。日本のゲームファンの皆さんにも気に入ってもらえると思いますので、ぜひご期待ください」(マシュー氏)

『Lysfanga: The Time Shift Warrior』時間を巻き戻しながら過去の自分と協力して敵を倒す、映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』にインスパイアを受けた戦略性を加味したアクション【gamescom 2023】
Sand Door Studio ディレクター、マシュー・シュナイダー氏。
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