セガより2023年8月30日(水)発売予定のNintendo Switch用ソフト『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』。Joy-Conをマラカスに見立てて、流れてくるリズムダマをさばく音楽ゲーム『サンバDEアミーゴ』の最新作だ。

 発売同日にはストーリーモードを入れたApple Arcade用アプリ『サンバDEアミーゴ:パーティー・トゥー・ゴー』も配信開始。今秋にはVRで楽しめるMeta Quest版『サンバDEアミーゴ』など、複数のハードで新作が展開される。

『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』トレーラー ロングVer.

 発売を記念して本シリーズ開発チームへメールインタビューを実施。なぜいま『サンバDEアミーゴ』が復活するのか。そして開発環境が昔と大きく変わり、どんな進化を遂げたのか、話を伺った。

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中村俊

『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』プロデューサー。

川瀬茉利

リードプランナー。メンバー内でのゲーム内容や仕様の検討、リズムゲームの譜面データを作成。

天池嘉成

アートディレクション、キャラクター制作を担当。

巖本肇

プログラムのリードを担当。

幡谷尚史

サウンドのまとめ役。各種BGMやSE一式を担当。

いまの環境だからこそ蘇った『サンバDEアミーゴ』

──久しぶりの登場となる『サンバDEアミーゴ』の新作。開発の経緯を教えてください。

中村昨今、過去のタイトルをいまの時代に再構築するという流れがある中、「『サンバDEアミーゴ』を提案してもよいのでは?」と考え、制作することになりました。過去のシリーズは周辺機器が特徴的でそこにコストがかかってしまい、多くのユーザーに遊んでいただくことがなかなか難しかった。

 ですが、いまはNintendo Switch、VRともに本作向きのコントローラーがあり、ハードを持っていれば誰もが遊べる環境になっているというのも大きな点です。

 とくにこのゲームはコアなゲーマーはもちろん、よりカジュアルな人が楽しむタイプの作品なので、Switchの普及が進んでいるのも開発を決めた理由に含まれています。

──そもそも1999年にアーケードに登場した初代タイトルはどのような経緯で開発が始まったのでしょうか。

中村私が入社2年目の頃だったか、所属していた(ソニックチームの)プロジェクトがあまりうまく進んでおらず、思い切って企画を提案しようということで、当時の上司の机の上に企画を置いて帰ったんです。つぎの日に呼ばれてプレゼンしたところ、「おもしろそうだな? ちょっと考えてみるか」という反応が。最初は実験的にプロジェクトをスタートすることになりました。

 当時、ソニックチームはアーケードゲームの開発経験がなかったのですが、その始まりからあれよあれよという間に作品を評価していただき、ドリームキャスト版まで制作することになりました。私と新人数名という本当に実験的な人数で作っていたので、ここまで成長したのは奇跡的だと思いますね。

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】

──当時の思い出を教えてください。

中村当時のアーケードのマラカスコントローラが本当に重かったです。盗難防止のためだったり、接触不良による判定ミスが起きない設計になっていたり、仕方ないのですが、それをデバッグで朝から深夜まで、なんなら朝の4時まで振っていました。

 ただ、先ほどお話ししたような経緯から、そこから昇り龍のようにたちまち人気が出て……となかなかできない経験をさせていただいたので、すごく楽しかった思い出があります。マラカスのセンシングが悪いからと工場まで行って調整したり、楽曲がマスターアップまで決まらずふたつのマスター候補を作ったりと、日々奮闘していました。

──『サンバDEアミーゴ』の基本コンセプトは初代の段階で完成されているように感じます。いまの時代に合わせるために、気を付けた点を教えてください。

川瀬歯ごたえのある難易度やシビアな成否を求める時代から、楽しくストレスなくゲームを楽しみたいという人が、初代が発売した頃に比べるとずいぶん増えたように思います。今回はバカ楽しいノリを家でも感じてもらいたいため、ミスの表現を柔らかくしたり、当時と比べてゲームオーバーになりにくくするなど、できるだけユーザーがゴキゲンでプレイできるようなバランスを心掛けました。

 また、変えるべき部分とそのままでいいところの線引きや、いろいろなアイデアの採用には、若いスタッフの意見を積極的に取り入れるようにしました。

──世界観やキャラクターなどをデザインする際に心がけたことは?

天池前作からの”とにかく明るく元気の出る世界”をベースに、”かっこいい”を少し加えて現代に合う形にリファインしたり、デザインを起こしています。

 イメージ出しも固定概念にとらわれないように幅広いイメージを持つように心掛けました。ひとつの世界観にとらわれることなく、楽しければ何でもアリという考え方が大事。ディスコや異空間世界や雲の上など、バリエーションが出るように進めました。

 ほかにも、ゲームがうまく進むほど盛り上がりやにぎやかさを高められるように意識した作りにしていて、オブジェクトもBPMに合わせて動くようにしています。視認性とにぎやかさのバランスに気を配りながら、プレイヤーの気持ちが高まるように制作しました。

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Switch、Meta Quest、Apple Arcadeでの展開。“ごまかし”が効かないVR空間での『サンバDEアミーゴ』

──Meta Quest(VR)版はどのようなコンセプトで作られたのでしょうか。『サンバDEアミーゴ』には“みんなで盛り上がるパーティーゲーム”としての一面もあると思いますが、VRだと感じ方が異なるような気がします。

中村みんなで盛り上がるSwitch版の手前に、この作品には“バカ楽しい”というコンセプトがあります。VRを作ろうという話のなかで、このタイトルの特徴である“自分がうまくプレイすると周囲も盛り上がる”という部分をより体感的に味わえるのでは? と思っていたのですが、実際に作ってみて想像以上の没入感とそれによる一体感を提供できたのではないかなと思っています。VR版でも“バカ楽しい”が伝わるようにさまざまな工夫を入れました。

──VRで遊ぶとなると表現の仕方もいろいろ変わってきそうですね。

川瀬マラカスを振る、ポーズで全身を動かすといった点が、初代から非常に楽しいタイトルです。Meta Questはひとりで遊ぶハードとなりますが、コードレスで眼前に広がる世界で自由に体を動かせることで、タイトルの魅力を余すことなく再現できると感じていました。

 一方で、本作で目指したパーティーゲームらしい部分をどう表現するかというのも課題でした。今回はバトルロイヤルがコンセプトの“ワールドパーティー”というモードがあるのですが、いわゆるスコアだけでストイックに競うものではなく、ハプニング的なイベントやアイテムでの攻撃など、偶発的な要素を絡めることでバラエティー感を演出しています。

 Switchで遊べるオフラインの体験とは異なりますが、見回すとほかのプレイヤーのアミーゴが並んでいたり、自分に向かって攻撃アイテムが飛んでくるなど、VR空間ならではのみんなで盛り上がる感覚を体験できます。

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】
Meta Quest版の画面。

川瀬VRの特徴として、カメラが自分の視点になります。開発初期の頃、いままで使用していたキャラクターやリオの街をモチーフにした背景を使おうとしたところ、すべてがミニチュアのように感じてしまうという問題がありました。

 正面を見ていると背の低いアミーゴが目の前にいることに気が付かない……横を見ると建物の2階の高さに自分の視線がある……など、バーチャル空間でありながら、実寸を用いたリアルな世界であるという事を意識させられた1件でした。

天池リアルではないので、キャラクターとしてのサイズ感と自分が入り込んだ世界のサイズ感を合わせることからはじまりましたね。360度の世界のなかで、Switch版では覗けないステージの背後や細かいオブジェクト配置などはごまかしが利かないため、ウソがないように構築しなければなりません。

 また、UIも実際に空間に存在するため、キャラクターと被ってしまうこともあり、整合性を取るのに苦労しました。ほかにも、盛り上げのための賑やかさと処理負荷とのせめぎ合いもありました。

──本作はNintendo Switch、MetaQuest、AppleArcadeというマルチプラットフォームで展開されますが、開発メンバーいちおしのこだわり部分はどこでしょうか。

中村“過去作からの進化”ですね。ゲームとして、楽曲の進化はもちろん、アミーゴも20年くらい経って世界的にメジャーな設定にしています。

 今回はあまり触れていないのですが、Apple Arcade版ではストーリーモードが楽しめます。『サンバDEアミーゴ』の世界では初の本格ストーリー。音楽とお話を楽しみながら遊べますし、タッチ操作でもおもしろいんですよ。それそれのハードでバカ楽しく遊べるように作っています。全部遊んでいただけるとうれしいです。

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】
AppleArcade版の画面。

川瀬とにかくリズムダマや音楽に対して気楽に楽しんでもらいたくて、ハプニングルーレットをはじめ、いろいろなところにリズムゲームらしからぬものを仕込んでいます。「なんだコレは!?」という驚き含めて楽しんでほしいです。

天池UI、エフェクト、背景、キャラクター、モーションすべてが楽しさを盛り立てるように構築しました。デザインはステージを盛り上げるように観客やダンサーもバリエーションに富んでいるので、ぜひ世界に飛び込んで楽しんでください。

 ほかにも、バリエーションに富んだキャラクターカスタマイズが可能になっていますので、ぜひともコンプリートしてお気に入りのコーデでプレイしてほしいです。

巖本Switch版のJoy-Con操作は、とくに時間をかけて作っています。さまざまな人の動きをテストして、何度も何度もパラメータを追加、調整、テスト……とくり返し、最後の最後までブラッシュアップしました。気軽に遊べるいい形になったと思いますので、そこを見ていただきたいです。

幡谷ワールドワイドで知られている魅力的な楽曲をプレイするにあたって、ライブ感を高めるために、プレイしだいで盛り上がっていく独自の歓声を楽曲ごとに仕込んでいます。何度もプレイして楽しんでいただければ幸いです。

──マルチ展開のほかに苦労された部分はどんなところでしょうか。

巖本本作はマルチプラットフォーム対応に加えて、文字は英語、フランス語、日本語、韓国語など、いろいろな言語に対応しています。多岐にわたるバージョン違いをひとつのプロジェクトでこなしていくのは、プログラム処理以外のチェックや翻訳管理なども含めて非常に苦労しました。当然、それぞれ個別のハードとしての機能や特徴があり、その部分の魅力を出さないといけないので、プログラマー全員で協力して制作しましたね。

【ほかにも、各開発メンバーからのこだわりメッセージが到着】

  • バリエーション豊富なアミーゴのコスチューム、新パフォーマーのとぼけたデザイン(キャラ班:土井氏)
  • まねしろの動き(モーション班:佐藤氏)
  • ステージのデザインに偏りがでないようにさまざまなバリエーションを用意しました!(背景班:永島氏)
  • 色鮮やかな各ステージで、個性豊かなキャラクターがダンスします。にぎやかなノリにマッチしつつ、どんな譜面でもプレイヤーがシェイクしやすいようにゲーム中のUIの視認性、操作性などはとくにこだわりました。(UI班:師岡氏)
  • A、Sランク背景の演出、ハプニング開始演出のバリエーション、スロット演出などです(エフェクト:伊勢島氏)
『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】

ノリノリで楽しくプレイ! 音ゲーのご法度要素も追加

──プレイ中に突如挟まれる“ハプニングルーレット”の導入の狙いを教えてください。リズムゲームでランダム要素は珍しいと思うのですが。

中村そうなんです。音楽ゲームでランダムなものはご法度だと思います。しかし、本作はいわゆるその方程式とはちょっとずれているんです。

 たとえばライブに行ったときにアーティストが通常とは違うパフォーマンスを入れてきたり、そういった“ライブ感”をどう表現するか考えて作りました。当然と言いますか、ご想像の通り、チーム内でもかなり喧々諤々ありましたが……。

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】

川瀬リズムゲームと言えば減点式のものが多く、完璧なプレイを求めがちです。ただ本作はとにかく楽しくノリノリで遊んでもらいたいので、そういったまじめな姿勢を“いい意味でどうやって崩していくか?”がひとつのテーマでした。ハプニングはまさにその役割を担っています。

 また、みんなで遊んだときに、画面の向こう側で会話が生まれるような要素を入れようと心掛けました。何が起きるかわからないランダムな要素であり、しかも叩いても叩かなくてもよいタマ……ということで、その場の空気を読みながら叩くか叩かないのか、といったやり取りも起きるといいなと思っています。

──開発メンバーのなかで、お気に入りのハプニングはなんでしょうか?

中村ハンドダンスです。最後の締めのギリギリで入れてほしいとお願いしました。「ありえない」と言われながら入れてもらったのですが、ギリギリまで粘ってもらってよかったです。

川瀬それぞれのハードでしか楽しめない、フィッティングフェイスとハンドダンスです。Quest版に入っているフィッティングフェイスはまさにアミーゴの福笑いです。顔を絵に合わせに行くというダイナミックな動きが楽しめます。Switch版に入っているハンドダンスはリズミカルな手遊びで、かわいいキャッチーなポーズを笛の音に合わせてテンポよく決めていきます。どちらも見どころはアミーゴの変顔です!

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】

巖本自分はポーズラッシュですね。ポーズを取るという『サンバDEアミーゴ』ならではの遊びと、それがラッシュでやってくるという忙しさが“バカ楽しい”というコンセプトにマッチしていて楽しいです。

天池エクササイズです! コスプレしたポーズ君が最高ですね!

幡谷かっとばしタイムですね!

※なお、開発チームのメンバーはハイタッチ、ハンドダンス、かっとばせ、ポーズラッシュと票が分かれたそうです。

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】
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『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】

──本作の新要素についてお聞きします。プレイヤーがバトルロイヤル形式で競う“ワールドパーティー”や、とにかく踊りまくる難易度“CRAZY”など、これらはどのような経緯で作られたのでしょうか。

中村ワールドパーティーは「音楽ゲームとバトロワを合わせたらおもしろいのでは?」と企画当初から考えていたものです。“1回の挑戦でほかの人よりうまくプレイする”ことがポイント。音ゲーがうまい人でも、ほかのプレイヤーがいると緊張して手に汗握るかなと思って制作しました。遊びとしての新しい体験を優先して、音楽ゲームでは反則ですがアイテムも入れています。

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】

中村難易度”CRAZY”は、ただ難しいだけのモードとは異なります。まずEASYモードがありまして、これって音楽ゲームがうまくできない人のための導入だと思うんです。

 仮にNORMALで失敗してクリアーできなかったとしても、アーケードゲームではないのでお金がかかるわけじゃないですし、言うほどすごい難しいわけでもなく、何度かやればクリアーできる難度かなと思っていたんです。であれば、その制作の手をもっと違うところにいれたい。

 じゃあ語呂もいいし、EASYではなく“CRAZY”、そしてこのゲームの特徴であるバカ楽しいの最高潮を目指そうということにしました。ちなみに、このCRAZYは『クレイジータクシー』のイメージから来ています。

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】
リズムダマをさばくのではなくポーズやダンス指定が中心となる、いつもとひと味違うモード。

──久々の新作ということで、『サンバDEアミーゴ』に初めて触れる人も多いかと思われます。うまく踊るコツはありますか?

川瀬これは本当の話なのですが、足を使うことです! 例としてJoy-Conを使った“ふってプレイ”での話となりますが、ポーズやダンスといったアクションが出てきたら、足を動かして体全体でやりきること。これでバッチリ〇がもらえます。もしもPERFECTを取れないことがあれば、ぜひ試してみてください。

──プレイヤー同士の相性をチェックする“ラブチェッカー”はどなたの発案でしょうか? また、開発メンバーみなさんの相性はいかがですか?

中村もともと原作にラブラブモードというのがありまして、開発者の責任もあるので私自身の結婚式の2次会でも使ってたんです。今回、新しいものを作るからそれをもっと進化させたいんだという話をして、じゃあ何ができるのかと考えたときに、「枠が合体して分担したら?」、「合体ポーズをしたら?」とか、いろいろアイデアが出ました。

 これはいけると制作を進めていき、開発の若手が主導して非常にいいものができたと思います。ちなみに、開発メンバーどうしは(ゲーム上では)相性がいいんですけど、仕事の相性はまた別なようです。会社のなかでは社長や副社長向けのプレゼンで使用して笑いを勝ち取ることができました。皆さんもこのように場を盛り上げるツールとしても使ってほしいですね。相性の詳細は秘密です!

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】
飛んでくるリズムダマを協力して突破する“ラブチェッカー”。はたして相性はいかに!?

譜面制作はセガ音ゲースタッフ勢が集結

──収録楽曲についてお聞きします。5月に行われたメディア向け先行体験会では「曲名まで知らないけどフレーズだけならどこかで聴いたことがあるな……」というような曲が多かったように感じました。収録曲のこだわりについてお聞きしたいです。

中村過去の『サンバDEアミーゴ』では、おっしゃる通りどこかで聞いたことがある、そしてノれる楽曲、ほかにもラテン風などが中心。実験的に誕生したプロジェクトだけあって海外に出すとは考えもせず、シリーズが始まった当初は日本人の感覚で選んでいました。本作では、海外を含めて多くの人に楽しんでもらえるように、海外のスタッフやアドバイザー、開発内で楽曲を選定しています。

 おもに海外の人には、その曲が世界の中でどう受け入れられるかを考えていただきましたし、我々開発スタッフはノリを大事にしてきました。そのあたりは川瀬から詳細を。

川瀬曲の選定ポイントは、“曲を知っているかどうかに関わらず、聴いたときにノれるか?”、“譜面にしたときに楽しそうか?”。この2点で評価をつけて候補を選曲しました。

 選定メンバーの年齢層が幅広かったため、楽曲のリリースした年代によっては評価が偏ることもありましたが、そのなかでも選ばれた作品はやはり曲自体の力が強かったです。結果的にノリがよく、かつバリエーションに富んだラインアップになったと思います。

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】
Carly Rae Jepsenの『I Really Like You』やJ Geils Bandの『Centerfold』など、洋楽に詳しくない筆者でも「これは聴いたことあるぞ!」と反応できる楽曲がズラリ。

──BGMを幡谷尚史さんが手がけられているということで、個人的には『スペースチャンネル5』や『きみのためなら死ねる』関連楽曲の追加にも期待したいのですが……。

幡谷セガミュージックパックでは、『スペースチャンネル5 パート2』から『Go Go Cheer Girl!』が収録されています。曲に合ったスライド入力が気持ちよくプレイできる1曲となっていますのでぜひお買い求めください!

──プレイ曲の譜面を作る際はどういった点を意識しているのでしょうか。

川瀬Switch版ではふってプレイ、ボタンプレイのふたつのスタイルで遊ぶことができますが、ふってプレイについては『サンバDEアミーゴ』ならではということでとくに力を入れています。リズムダマを叩くときにも、上下の動き、体をひねるといった大きな動きを音楽に合わせて入れるようにしました。

 また、今回は旧作にあったポーズに加えてダンスやスライドが増え、動きの幅がさらに広がりました。それらのギミックがふんだんに楽しめるCRAZYは、譜面を作っていくなかで見つけたアイデアがふんだんに詰め込まれていますので、NORMALやHARDでゲームに慣れてきたらぜひチャレンジしてみてください!

中村このゲームを作るタイミングで、我々の事業部の組織的な統合が行われて、アーケードの音楽ゲームスタッフのチームと合体しました。『maimai』、『チュウニズム』などを担当したスタッフに参加してもらったり、アドバイスをもらったり、譜面制作ツールを使わせてもらいました。

 音楽ゲームという意味では、『スペースチャンネル5』、『初音ミク Project DIVA』、『リズム怪盗R』と、さまざまな音ゲー経験者が参加しています。いま考えるとすごいですね。

気になる配信ガイドラインや今後の展開はどうなる?

──『ソニック』楽曲やセガキャラクターの着せ替え、ピーナッツくんとのコラボなど、本作とのさまざまなコラボ企画が用意されていますが、発売後も何かコラボ展開があるのでしょうか。

中村すでにDLCのロードマップの一部を公開させていただいていますが、ジャパンカルチャーでは、あの『マツケンサンバII』やバーチャルシンガーの『KING』など、日本ではおなじみでついついノってしまう楽曲コラボを用意しています。

 現時点でも、すでに8つの楽曲パックをさまざまなベクトルに向けて制作していますので、ぜひ本作の広がりに期待してほしいです。そして、もっともっと多くのタイトルとコラボしたいと考えておりますので、ゲーム業界の皆さん、アーティストの皆さんも『サンバDEアミーゴ』にぜひお声がけ下さい!

『サンバDEアミーゴ』Switch版は『maimai』『チュウニズム』スタッフも参加するセガ音ゲーのアベンジャーズ。社長プレゼンで笑いを勝ち取る、バカ楽しさ追及の極意【開発者インタビュー】

──ゲーム画面だけでなく、実際に踊っている様子も見られるとおもしろいゲームだと思います。YouTuberや配信者ウケもよさそうですが、配信ガイドラインはどのような方向性になるのでしょうか。

中村多くの楽曲をお借りしているのもありまして、配信に関してはセガの楽曲を除いて難しくなっています。ですので、楽しいプレイの様子はセガ楽曲でぜひお願いできればと思います。『VAMOS A CARNAVL』や『Chosen Mask』、そして『Escape from the city』(『ソニックアドベンチャー2』)など、いい曲ばかりですよ!

──eスポーツ展開の予定はありませんか? スコアのほかに芸術点も評価したら楽しいと思います。

川瀬いまのところありませんでしたが、芸術点というのはいいですね! アドリブの量や消費カロリーを競うなどちょっとクセのある大会を開いてみたいです。

──最後に、発売を楽しみにしているユーザーにメッセージをお願いします。

中村とにかくバカ楽しく遊んでいただきたい。そしてこのゲームを通じて、コミュニケーションをして、みんなで笑ってほしいなと思います。まじめにやるゲームは数あれど、みんなでふざけることができるゲームって意外と少ないんですね。『サンバDEアミーゴ』は、そういったゲーム以外の部分でも楽しんでいただけるように制作しています。ひとりで、みんなで、ぜひShakeしてください。

川瀬Switch版は仲のいい人とテレビの前で、Meta Quest版は気分を上げたいときにぜひ遊んでください。洋楽がメインのためどんなものかわからないなと思っている人もいるかもしれませんが、どの曲もすぐにノれる自信のセレクトです。難しいことは考えずに思うまま体を動かして、ゴキゲンになってください!

天池プレイするだけで、とにかく楽しく笑顔になること間違いなしの作品になったと思います。ふたりプレイも楽しくて、私自身も家族とプレイするのを楽しみにしています! また、マラカスモブなるマラカスのキャラクターがステージに仕込まれています。「こんなところにもいたのか!!」と探してもらえたらうれしいです。

巖本Meta QuestのVR空間、Switchなどに帰ってきた『サンバDEアミーゴ』で、マラカスをシェイクする感覚を楽しんでいただきたいです。過去作のアーケード版やWii版をご存知の人は、そこからの進化と変わらない部分を感じつつ、いまの楽曲でのマラカスシェイクの楽しさをふたたび味わっていただければと思います。

幡谷セガ製書き下ろしプレイ楽曲も複数用意してあります。若手からベテランまで腕利きのコンポーザーが参加し、それぞれのモードのプレイを盛り上げますのでぜひそちらもご期待ください! 初代『サンバDEアミーゴ』でお馴染みの『VAMOS A CARNAVAL!』もリニューアルして収録しています。

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