『エグゾプライマル』は、5人対5人のチーム戦をPvE主体で進めていくのが特徴。カプコンから2023年7月14日(金)にプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam)で発売予定のオンライン専用チーム対戦型のアクションゲームで、Xbox Game Passにも対応している。

 プレイヤーは、個性豊かな“エグゾスーツ”から好みのひとつを選び戦う。スーツによってロール(チーム内でのおもな役割)や攻撃手段、実行できるアクションは大きく異なり、試合中はいつでもスーツを着替えられることが特徴だ。

 チーム対戦型PvEという新ジャンルに挑んだ意欲作を手掛けた3人のキーマンに、本作の特徴や魅力について存分に語っていただいた。

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平岡拓朗(ひらおかたくろう)

『エグゾプライマル』ディレクター

過去に開発に関わったおもなタイトル:3DS『モンスターハンターダブルクロス』(メインプランナー)、PS4、Xbox One『モンスターハンターワールド:アイスボーン』(メインプランナー)

布施拓郎(ふせたくろう)

『エグゾプライマル』アートディレクター

過去に開発に関わったおもなタイトル:『逆転裁判5』、『逆転裁判6』、『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』

阿部一樹(あべかずき)

『エグゾプライマル』テクニカルディレクター

過去に開発に関わったおもなタイトル:『モンスターハンター フロンティア オンライン』

――いよいよ発売日が迫ってきましたね。いまのお気持ちはいかがですか?

平岡もちろんうれしさはありますが、ものすごく苦労したタイトルだったので「大変だったな……」という気持ちが強いですね(笑)。そこは布施や阿部も同じかもしれません。プロジェクトの立ち上げから紆余曲折あった、すごくチャレンジングなタイトルなので、プレイヤーのみなさんの反応が楽しみです。

阿部このタイトルは、今後のカプコンを見据えたものでもあるんです。クロスプラットフォームに関する技術検証を含め、かなり長期にわたって制作に関わってきました。そのため、発売できることをうれしく思っている反面「成果を出さないと」という緊張もあります。

布施『エグゾプライマル』は、僕がこれまで関わってきたどのタイトルよりも開発期間が長く、ゲームのコンセプトを含め、ビジュアル面からじっくりと作り上げてきました。発売日が近づいてきて感無量と言いますか、しみじみしているところです。

『エグゾプライマル』開発陣インタビュー。1万体の恐竜(誇張抜き)が一度に襲い来る対戦型PvEはひとつの革命。緊張感持続のために導入された対戦要素

――対戦要素のあるPvEのゲームというのは珍しいですが、どのようにしていまの形になっていったのですか?

平岡協力型のPvEは、カプコンでは『モンスターハンター』がありますし、そのジャンルのおもしろさは多くの方が知ってくださっていると思います。ただ、PvEゲームの多くはゲームに慣れたり、自分の強さが一定のラインを超えた時に緊張感が薄れてしまう部分があると感じていました。適度に緊張感を保ちつつプレイしてもらい……と、そこで考えたのが、対戦要素を織り交ぜることでした。このアイデアが実現すればひとつの革命になるので………と思い、現在の形に仕上げていったんです。

――なるほど。本作は完全な新規IPですが、とくに注目してほしいところ、注力したところはどこですか?

平岡一番のアピールポイントは恐竜ですね。ティラノサウルスのような巨大なものはもちろん、とてつもない数のラプトルが押し寄せてくるような、物量でのインパクトも重視しました。とくに物量に関しては、スタッフのみんなががんばってくれたので、ぜひ体感していただきたいです。

阿部最大で1万体以上襲ってくる場面も用意しました。それを倒す気持ちよさというのは、誰も味わったことがないと思うので、そこは自信をもって送り出せる部分ですね。

平岡出現数は、開発を進めていくうちにだんだんと増やしてくれたんです。最初は500体くらいだったんですが、「これで満足なんですか?」ってスタッフに言われて、あれよあれよと増えていきました。

――1万体はすごいですね! ベータテストなどで体験できた、高速道路からラプトルが押し寄せてくる場面のことですか?

阿部いえ、そこでもかなりの数は出てきますが、それを遥かに超えるシーンががあるんです。

布施ただ数が多ければいいというわけでもなく、迫力も大事にしたかったので、どう表現するかを悩んだところでもあります。

――最大のアピールポイントでもあるという恐竜ですが、『バイオハザード』のクリーチャーや『モンスターハンター』のモンスターのようにオリジナルのものにしなかったのはなぜですか?

平岡“たくさんの敵を協力して倒し、気持ちよくなりたい”というのが根底にあるので、敵をどうするかという話になったときに、地球上でいちばん強かったとされる恐竜に決まりました。「恐竜は強い、怖い、カッコいい」という認識が皆さんの頭の中にあると思いますし、その恐竜が超大量に迫ってくる状況に果敢に挑む絵、というのは想像するだけでもわくわくしますよね。恐竜は男の子のロマンでもありますし(笑)。

『エグゾプライマル』開発陣インタビュー。1万体の恐竜(誇張抜き)が一度に襲い来る対戦型PvEはひとつの革命。緊張感持続のために導入された対戦要素

――みんな恐竜大好きですもんね(笑)。恐竜という実在する存在だからこそ苦労したところはありましたか?

平岡どういった攻撃を持たせるかということですね。ティラノサウルスやトリケラトプスは、見た目からどういった攻撃をしそう、というのは決めやすかったのですが、そうではない恐竜をどうするかは頭を悩ませました。ビームを撃たせたりするわけにもいきませんからね(笑)。

――たしかにビームは無理がありますね(笑)。

平岡有名な草食竜でステゴサウルスっているじゃないですか。あの背中の板って何に使われていたかいまも謎なんですよ。ただ、登場させる以上なんらかの役割をもたせなきゃいけないということで頭を悩ませました。

――結局ステゴサウルスはどうすることにしたのでしょう?

平岡草食ということで積極的に攻撃はしてこない、と考えて「威嚇で使用したんじゃないか」という着地点に到達しました。ゲームでは、咆哮しつつ背中の板を揺らして、敵(プレイヤー)を弱体化させる空間を作り出すキャラになりました。

阿部恐竜に関しての話では、プレイヤーが着る“エグゾスーツ”に対しても脅威にならないといけません。そういう点にも留意する必要がありました。開発初期では、エグゾスーツが強く見えすぎたんですよね。ですので、ラプターを大波のように襲ってこさせたりと表現を工夫して、強い恐竜像を作り上げていきました。

布施デザインの面では、恐竜という実在した生き物に関する最近の研究などもしっかりとチェックしつつ、多くのみなさんが想像する、いかにもな恐竜像になるよう心がけましたね。

『エグゾプライマル』開発陣インタビュー。1万体の恐竜(誇張抜き)が一度に襲い来る対戦型PvEはひとつの革命。緊張感持続のために導入された対戦要素

――メディアプレビュー版を実際に遊び、世界観やストーリーに関するデータベースがしっかりと作られていたことが印象に残りました。世界観に関するケアは最初から充実させようと考えていたんですか?

平岡新規IPということで、今後のことも考えるとしっかりと世界観や設定は詰めておかないといけないとは考えていました。メインモードである“ディノサバイバル”をプレイするとストーリーが進んでいくのですが、オンライン専用ゲームでもあるのでテンポよく遊んでいただきたい。

 ということで、重要な部分はカットシーンとして適度なタイミングでディノサバイバル後に流れ、そのほかはデータベースに格納して好きなタイミングで見てもらうようにしました。今日は十分遊んだな、というときに見ていただけると、つぎの戦いの意欲が湧いてくると思います。

『エグゾプライマル』開発陣インタビュー。1万体の恐竜(誇張抜き)が一度に襲い来る対戦型PvEはひとつの革命。緊張感持続のために導入された対戦要素

――ここからはゲームの具体的なシステムなどについておうかがいします。ディノサバイバルには、勝敗で変動するプレイヤーランクのようなものは存在するのですか?

阿部表示されない内部的なマッチングレートのようなものはありますが、システム的なランクはありません。ただ、特殊なミッションで全世界のプレイヤーとスコアを競い合うようなモードも用意しています。

――プレイヤーがエグゾス―ツを着た際、スーツに合わせて性別や口調が変わりますが、その理由は?

布施これは気になっている方も多いかもしれませんね。エグゾス―ツは、近距離戦、遠距離戦、防衛、回復などそれぞれ得意なことがあり、その特化した戦闘スタイルをサポートするAIを搭載しているんです。冷静かつチームプレイを好むデッドアイ、やんちゃで熱い性格のゼファーなど、AIの性格も戦闘スタイルに合ったものになっています。

 単なるスーツではなく、性格や個性を持っていてプレイヤーの方にも愛着を持っていただけるようにしたかったんですよね。

――スーツのAIがしゃべってプレイヤーを鼓舞してくれているわけですね。

布施まさにその通りです。プレイヤーの“エース”は、自分からはしゃべらずあえて無個性にしているんです。これがスーツを着ることでいろいろな性格になる感じです。ちょっと古いですが『仮面ライダー電王』のイマジンといえばわかってくださる方もいるかもしれません(笑)。

『エグゾプライマル』開発陣インタビュー。1万体の恐竜(誇張抜き)が一度に襲い来る対戦型PvEはひとつの革命。緊張感持続のために導入された対戦要素

――なにもかもが新しいゲームなので、どういうロール(※)構成にすればいいか悩まれるプレイヤーも多いと思います。開発陣のおすすめは、どういった構成ですか?

※ロールは3種類。攻撃役のアサルト、防衛役のタンク、補助役のサポート。

平岡チーム構成を固定化しなくても遊べるようにチューニングしているので、開発チーム内でもよく激論になるところです。大前提として、自分が好きなスーツで活躍していただくのが楽しいと思います。

 僕の好みを挙げるとするならば、アサルト2、サポート1、タンク1、残りひとりは状況を見て決める、という構成ですね。例えばサポートがウィッチドクターで回復力が十分なら、残りのひとりをムラサメにして突っ込ませる、といった具合に。

阿部安定感があるのはアサルト2、タンク2、サポート1の構成でしょうか。といっても万能の構成というものはないので、スーツの着替えを存分に活用していただきたいです。状況によっては、あえてアサルト5、タンク5にしたほうがよかったりもするので、いろいろと試してみてください。

平岡タンク4、サポート1の崩しにくさはものすごいですよ。相手に出された場合はアサルトを増やして崩すしかなくなったりもします。

布施この話の流れがあったからではないですが、僕のお気に入りはアサルト5です。出現する恐竜にもよりますが、ミッションをあっという間にクリアーできるので。再三になりますが、ミッションごとの最適解を見つけるべくみなさんにいろいろなスーツで戦っていただきたいですね。

平岡ちなみに、ゲーム序盤は比較的戦いやすい恐竜が多いので、アサルトが多いほうがいい場面が多くなるかと思います。しかし、だんだんとひと筋縄ではいかない相手も増えてくるので、そういった場面でどのスーツを選択するかが腕の見せどころです。

阿部あとは、ドミネーター(※)がカギになる場面もあるかなと思います。ドミネーターで敵チームを邪魔すれば、ファイナルミッションでの逆転も狙えますよ。

※プレイヤーが恐竜となって相手チームに襲い掛かれるシステム。

――ドミネーターで召喚できる恐竜はランダムで決まるのですか?

阿部チームの状況によってどの恐竜によって決まるので、チームが劣勢なほど強い恐竜が召喚できるドミネーターが出やすくなります。

――リヴァイアサン(※)は接戦が好きなようですね。

※ゲーム内に登場するAI。リヴァイアサンによって対戦(ウォーゲーム)の内容が決められている。

平岡そうですね(笑)。ティラノサウルスが召喚できると、一気に形勢逆転につながるかもしれません。

――なるほど。スタートダッシュキットにはエグゾスーツの解放チケットが封入されていますよね。これがない場合、ヴィジラント、ムラサメ、ニンバスはいつごろ使用可能になりますか?

平岡プレイヤーレベルが上がると順次開放されていくのですが、それほど長い時間はかかりません。スタートダッシュキットがなくても最初から7種類のスーツが選べるので、まずはそれらでゲームに慣れていただればと思います。ヴィジラント、ムラサメ、ニンバスの3体は少々クセが強めになっていますが、開放されるころには使いかたもわかるのではないでしょうか。

 すぐにすべてのスーツを試したい方は、スタートダッシュキット付きの商品の購入をご検討ください。

『エグゾプライマル』開発陣インタビュー。1万体の恐竜(誇張抜き)が一度に襲い来る対戦型PvEはひとつの革命。緊張感持続のために導入された対戦要素
エグゾスーツ・ヴィジラント設定画
『エグゾプライマル』開発陣インタビュー。1万体の恐竜(誇張抜き)が一度に襲い来る対戦型PvEはひとつの革命。緊張感持続のために導入された対戦要素
エグゾスーツ・ムラサメ設定画
『エグゾプライマル』開発陣インタビュー。1万体の恐竜(誇張抜き)が一度に襲い来る対戦型PvEはひとつの革命。緊張感持続のために導入された対戦要素
エグゾスーツ・ニンバス設定画

――お話しいただけたらでいいのですが、ディノサバイバル以外のモードの追加予定はありますか?

平岡先程お話しした、タイムアタックで競うモードはゲームを進めていくと遊べるようになります。発売後は、ディノサバイバルのマップやミッションの追加を基本に、よりフレッシュな体験ができるようなアップデートを実施していく予定です。

――エグゾスーツの追加も予定はありますか?

平岡はい。ぜひお楽しみに。

――製品版でのゲームに早く参加したいです。最後に、発売を楽しみにされているファンや読者に向けてメッセージをお願いします。

阿部現在は、ベータテストに参加していただいたみなさまの声やデータを参考に最後の調整をおこなっています。製品版では、対戦はもちろん、壮大な物語が楽しめますし、育成やカスタマイズ要素など、ボリュームのある体験が待っています。ぜひ襲ってくる恐竜1万体を迎え撃つ気持ちよさを味わってください。

布施エグゾスーツは、デザインや動き、操作の気持ちよさなど、すべてにこだわりました。簡単な操作で爽快なアクションが楽しめるので、スーツに興味を持っていただいた方、恐竜好きの方など、多くの方に遊んでいただけるとうれしいです。

平岡新規IPということで、手に取ろうか悩んでいる方もいらっしゃると思います。出している情報から「ロール」だったり「対戦要素がある」などで難しそうに見えてしまうかもしれませんが、一度触ってもらえれば、ゲームはシンプルかつ簡単操作で爽快なアクションを楽しめると思います。さらに対人戦が苦手な方も楽しめるような機能も用意しております。『エグゾプライマル』でしか味わえない唯一無二の体験があり、スタッフ一同、誇りを持って制作に取り組んだ自信作なので、ぜひともよろしくお願いします。また、発売後は私を含め、開発メンバーもプレイするので、戦場で会えることを楽しみにしています。

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