2023年3月22日より全国のアミューズメント施設などで稼働開始となったコナミアミューズメントの新作対戦麻雀ゲーム『麻雀ファイトガール』(まーじゃんファイトガール)。
稼働直前に行われた試遊会でのプレイをもとに、本作のプレイインプレッションをお届けする。
KONAMIならではのガチ麻雀×キャラゲー
コナミアミューズメントのオンライン対戦麻雀ゲームと言えば、2002年の稼働開始以来、現在まで長きにわたって親しまれている『麻雀格闘倶楽部』だろう。
麻雀プロリーグ戦“Mリーグ”で同社が参加するチーム(KONAMI麻雀格闘倶楽部)にも名が冠されており知名度は高く、アミューズメント施設においても定番のゲームとなっている。
本作における麻雀は、『麻雀格闘倶楽部』と同じでイカサマ要素など欠片もないガチンコ勝負である。対人戦(4人打ち、3人打ち)がメインであり(対CPUの2人打ちもある)“なんちゃら立直一発棒”だとか“牌スケスケゴーグル”みたいなイカサマアイテムなども存在しない。
その一方で、対局中やその前後に入る演出(アニメーション)や、プレイヤーのアバターとなる女の子“ファイトガール”たちのカスタム要素、ストーリーモードなど、キャラゲー的な内容もかなりのボリュームで作り込まれている。
麻雀でもキャラゲー(ギャルゲー)でも日本のゲーム史に名を馳せてきたKONAMIならではの、とんでもないハイブリッド作品に仕上がっているのだ。
ガチ勢も納得!? 快適さとキャラゲー的演出を両立した対局パート
それではまず、ゲームの流れを見ていこう。
クレジットを投入し、ゲームを開始するとホーム画面へと移動する。
プレイヤーは女子高生たちの麻雀大会“麻雀ファイト”に挑む“ファイトガール”の指導役となり、彼女たちの雀力向上のサポートをする……という設定。
担当するファイトガール(=プレイヤーのアバター)は、“マイルーム”でいつでも変更可能だ。マイルームではほかにもキャラクターの衣装やリーチ棒、使用する牌、河(捨牌を置く場所)部分のデザインやカットインのイラストを変更したり、リーチをかけた後のBGMを変えたりすることができる(※カスタマイズアイテムについては後述)。
アバターとなるファイトガールを選んだら、さっそく対局へ。モードはオンラインで全国のプレイヤーたちと対戦する4人打ち(東風戦)、3人打ち(東南戦)、そしてCPU相手の2人打ち(東南戦)がある。
対局の成績に応じて“ファイトスター”と呼ばれるポイントが増減し、一定値ごとに段位が上下する仕組みとなっている。オンライン麻雀をプレイしたことがある人にはおなじみのシステムかもしれない。
ポイントの増減値は段位によって変動。2種類のレートタイプから選択でき、最下位時のマイナスが大きくなる代わりに2位以内に入ったときの増加幅が大きくなる“ドキドキ”タイプと、最下位のリスクが減る代わりに1位になってもそれほど増えない“コツコツ”タイプがあるようだ。
まずはもっともメジャーなルールと言える4人打ちをプレイ。
ルールは本作の監修を務めている日本プロ麻雀連盟の“WRCルール(一発、裏ドラ)”に赤牌(マンズ、ピンズ、ソーズの5にそれぞれ1枚ずつ入っていて、ドラ扱いとなる)が入ったものである。
なぜか全員立ったまま対局に挑んでいるが、こちらは開発スタッフでもどうするべきかやや紛糾したテーマらしい。「かつてない麻雀ゲームを作りたい」というテーマを掲げ、見た目的にも楽しい演出が可能となる“立って麻雀”をしてみようということで、このような形になったとのこと。
画面上部のスクリーンには、対局中のファイトガールたちによるさまざまなアクションが投影されるほか、画面右には自分が担当するファイトガールの様子が表示される。卓上に集中しているとなかなか気付きにくいが、とにかくよく動き、よくしゃべる。とくにリーチ後はセット卓(仲間内で行う対局のこと)かと思うくらい、煽りの応酬がくり広げられるのだ。
カットインが入ったりバックにセリフが流れたりと多彩な演出が行われていると、そのたびに対局が止まってリズムが悪くなるかも……と思いきや、カットインは一瞬だし、セリフが流れているあいだも対局は止まらないので対局中のスピード感は非常に良好である。
その代わり、アガリが出た後の演出部分をすこし厚めにしてキャラゲーとしてのバランスを取っているようだ。また、煽りにしてもそれほどイラっとさせられるものはなく(※記者の体感)、かなり快適にプレイできた。
そして対局は進み、あらためて画面内を見わたしてみると、さまざまな対局サポート機能が入っていることがわかる。
画面右上には残りの牌の数のほか、“狙えそうな役”なども表示されている。さまざまな役が複合しているとうっかり見落としてしまったりすることもあるので、こうして表示してくれるのはとてもありがたい。
対局サポート機能にはほかにも、“シャンテン数(あと何枚有効牌を引いてくるとテンパイになるかを示すもの)”、捨てるとシャンテン数が少なくなる、増えるといった表示、メンツ完成ナビ、リーチをされたときの安全牌ナビなどが用意されている。至れり尽くせりだ。
さらに、鳴きや自動和了(アガリ)、サポート演出のオンオフも切り替え可能。とくに鳴きのオンオフは、鳴くか鳴かないかを選択する際に生じてしまう“ラグ”発生時に、たとえ鳴かなくてもラグがあれば「あ、この牌の関連牌を持っているな」というオンライン対局ならではの“ラグ読み”ができてしまうため、あるとうれしい機能である。
さらに“手出し・ツモ切り”が捨て牌の明暗表示でわかるようになっているなど、麻雀上級者にもうれしい要素も。とにかく麻雀部分はしっかりと作られているのだ。
対局が終了すると成績に応じてファイトスターが加算(減算)されるほか、使用したファイトガールの好感度が増える。好感度が溜まっていくとさまざまな要素が解放されていくので、まずは特定のキャラクターを使い込んでいくといいだろう。
なお、対局そのものは東風戦だと4局+αでだいたい10分程度。それにマイルームやガチャ、シナリオモードのプレイなどを加えても1クレジットで15分前後は優に遊べるようになっているとのことである。対局中に追加クレジットを請求されることがないのは、お財布事情にとっても気分的にもありがたい。
3人打ちも基本的な流れは同じだが、いわゆる“抜きドラ(北や花牌など)”はなく、インフレ要素は比較的少なめとなっている。こちらは4人打ちと違って東南戦となっていて、トビ(0点を割って試合終了となるルールのこと)がなければ6局以上打てる。マンズの2~8がない、チーができないなど、4人打ちとは異なるルールもあるので、初めての人はくれぐれもルールをよく確認してから臨みたいところ。
また、初心者向けの2人打ちモードも試してみた。こちらは西、北、マンズの44枚を抜いて、ピンズ+ソーズ+東、南、白、發、中の92枚で対局を行うというもの。種類が少ないぶんテンパイを組みやすくなっているうえ、持ち時間が長い。さらに勝っても負けてもファイトスターの増減が生じず(好感度は上がる)、リスクがないので麻雀勉強中という人にやさしいモードである。
豪華声優陣や注目の若手女性雀士が参加した魅力的なキャラクター
本作には対局とは別に、ファイトガールたちの物語を会話形式で描く“ストーリーモード”が用意されている。こちらは1プレイに1回、1話だけ閲覧可能で、各話ともそこそこボリュームもある。
シナリオは、期間限定イベントで展開する“イベントシナリオ”と、ファイトガールごとに用意された“ガールズシナリオ”の2種類があり、ガールズシナリオはキャラクターの好感度を一定以上にすることで解放されていく仕組みだ。
初期に実装されているファイトガールは全部で8人。それぞれ麻雀の役をモチーフにした名前がつけられており、たとえばヤワラギ・ヒヨリだったらピンフ(平和)、タテナオリ・センならリーチ(立直)が元ネタである。また、女子高生である彼女たちが通っている学校の名前にも役の飜数が反映されていたり、よくポイントが押さえられている。
キャラクターデザインは同社のアーケード作品『ボンバーガール』とも通じるテイストとなっており、いろんな意味で破壊力の大きなコたちが揃っている。ボイスは和氣あず未さんを始めとした豪華声優陣が担当。
さらに、“麻雀アクター”としてMリーガーとして活躍中の高宮まり選手、東城りお選手、岡田紗佳選手、伊達朱里紗選手など日本プロ麻雀連盟所属の女流プロ雀士を起用しており、彼女たちがゲーム内外のイベントにも参加を予定しているとのこと。
デビューしたての若手雀士も参戦しており、それぞれ選りすぐられた魅力的な選手でもあるので、ファイトガールとともに“推し”を捜すのもいいだろう。
なお、伊達選手は現役バリバリの声優さんでもあるが、彼女が担当するクニノカミ・ムサシは若山詩音さんが演じている。あくまで本作にはプロの選手として参加しているようだ。
ちなみに、初期実装の8人のボイス、麻雀アクターは以下の通り。
(キャラクター名:声優/麻雀アクター)
- ヤワラギ・ヒヨリ:和氣あず未/高宮まり
- タテナオリ・セン:石見舞菜香/東城りお
- ナナツノ・ツミレ:茅野愛衣/岡田紗佳
- アマト・テンシ:井澤詩織/川上レイ
- ゼツバミ・ヤオ:富田美憂/木下 遥
- アンコク・ミツバ:日笠陽子/赤木クロ
- トイトイ:楠木ともり/武田雛歩
- クニノカミ・ムサシ:若山詩音/伊達朱里紗
特別な演出(カットインのイラストやアニメーション)が手に入る“ガチャ”も用意されている。そのお値段はガチャ1回につき1クレジットと良心的。
一部の演出は同社のカードプリント機“カードコネクト”でプリントアウトすることが可能だ。
しっかりと練り込まれたシステムや、日本プロ麻雀連盟とガッチリ連携した展開など、本作はかなり長期的な展望をもって作られていることがうかがえる。
また、1クレジットあたりのプレイ時間の長さやガチャの価格設定なども良心的で、ブルーオーシャンで天下を取りたいという野心的なガチ勢だけでなく、キャラゲー要素メインで楽しみたい人にもオススメだ。