海外で2023年4月21日に発売が予定されている、一人称視点ゾンビサバイバルホラーアクション『Dead Island 2』。海外メディア向けに提供されたプレビュー版デモをプレイする機会を得たので、その内容をご紹介しよう。

デモはすでに日本語対応。日本発売についての協議も進行中の模様

 ところで本題に入る前に、後述するようにかなりの残虐表現が出てくる本作。日本向けの具体的な展開が正式に発表されていない中で、どうなってしまうのか気になっている人も多いだろう。

 今回のプレイはアメリカのPRを通したものであり「日本版のリリースが決定しているから試遊の話が来た」というわけではないのだが、記者が実際に遊んだEpic Gamesストア経由のPC版はすでに日本語テキストでしっかりローカライズされていたことをご報告しておこう。

 また駄目モトでパブリッシャーのPLAIONに日本向けの展開の計画はないのか聞いてみたところ、「日本での『Dead Island 2』のリリースについては協議を進めています」という回答を得た。

 これが『デッドスペース』リメイク版のようなPC版オンリーの配信になるのか、それとも自社・他社のパブリッシングで家庭用ゲーム機版も展開できるのか、それとも『Callisto Protocol』のように輸入版を入手しなければいけなくなるのかは不明だが、できるだけいい方向に着地するのを期待したい。

オープンワールドではなくなった分、高密度に描かれる“ヘルA”

 さて本作は、一人称視点ゾンビサバイバルゲーム『Dead Island』シリーズの久しぶりの新作。プレイヤーは生存者のひとりとしてゾンビ地獄と化したLA、通称“ヘルA”からの脱出を目指して駆け巡ることになる。ソロプレイおよび最大3人の協力プレイに対応する。

 旧作と今作の一番の違いと言えば、オープンワールドゲームではなくなったことだろう。ヘルAはひと繋がりではなく、おもにメインミッションの目的地ごとにマップが分割されている。

 たとえば今回のデモでは生存者たちの本拠地がある高級住宅街ベルエアを中心に、ビバリーヒルズ、ホテルエリア、撮影所エリアといった場所を探索していったのだが、それぞれの場所にはマップ端のゲートを介してファストトラベルするという形。

 時間帯の移行などもミッションの進行と連動した形になっていて、ベルエアの昼バージョンからホテルエリアに行き、ミッションを完了して帰ってくるとベルエアの夜バージョンになっている……といった感じだ。

Dead Island 2 プレビュー
どこまでも行けるわけではなく、ビーチはビーチエリアとして区切られている形。このクオリティでオープンワールドだったら相当スゴかったと思うんだけど、仕上がる方優先でいいです、ハイ。

 ただ完全に一本道のゲームになっているわけではなくて、それぞれのマップはそれなりにサイズがあり、サイドミッションやアイテム探索のためのスペースを持ったオープンフィールドとして構成されていることもある。多少本筋を離れてお宝ボックスを開けるための鍵を求めて名前付きのゾンビを倒しに行くのも、逆にマップを見ながら強力なゾンビが出現する多発地帯を避けるためのルート取りを模索するのも自由だ。

 それに「オープンワールドではないこと」で多少ガッカリする人もいるかもしれないが(協力プレイでオープンワールドを縦断するのは楽しいしね)、悪いことばかりでもない。オープンワールドじゃなくなった分、ちゃんとそれぞれのエリアが密度高く作り込まれているのだ。

 何気ないところにもちょっとしたパズルが仕掛けてあったり、残されているモノからゾンビパニック発生初期の様子がうかがえたり(有名配信者らしい死体の前に炎上の謝罪動画のための原稿が書かれていたのはひどすぎて爆笑した)、小ネタを発見するたびにニヤリとできる。

Dead Island 2 プレビュー
夜バージョンの撮影所エリアに強ゾンビが登場。

LA特有の強い日差しなどの自然描写もスゴい

 グラフィック面はPS3/Xbox 360世代のゲームだった旧作から圧倒的に進化した部分で、現代のゲームとしてもかなりハイエンド。特にライティングなどの表現に驚かされた。

 中でもLA特有の強い日差しの再現が非常によく、建物の陰になっている側だと日向からの反射光で微妙に青みがかって明るく見えるし、建物に出入りする際などは目の明順応・暗順応で一瞬目がくらむような感覚を味わえる。これはカリフォルニア在住の記者として「そうそう、晴れた日のLAってこんな感じだよな」と太鼓判を押せる。

 残虐表現も当然のようにグレードアップしていて、手足を切断されたり焼かれたりしてズタボロになってでも迫りくるゾンビたちの描写はもちろん、オープニングの飛行機事故現場や道中で遭遇する意味深に血と肉片が散乱している場所などは、この手のゲームを専門的にやり続けている記者でもたまに「うっ」となるレベルだ。

Dead Island 2 プレビュー
コントラストがパキッとしてて西日の照り返しがキツいのとかもリアル。

アクション本位に整理された一人称視点の戦闘

 戦闘は近接格闘の比重が高めの一人称視点アクションで、旧作のテイストを引き継ぎつつ、アクション性を中心に整理されたという印象だ。(※ちなみにデモでは一回も発見できなかったのだが銃も出てくる。詳細はインタビューパート参照のこと)

 今作ではキャラごとの得意武器などはなく、スキルツリーも廃止されて代わりにいつでも入れ替え可能なスキルカードシステムを採用している。

 スキルカードシステムは、キャラの固有カードや初期から入手できるカードで大体の方向性はあるものの、レベルアップでカードを入手するに連れてどんな行動でボーナスを得るかや特殊アクションの種類などを変えていけるようになる。その時に持っている強い武器や得意なアクションを軸にビルドを調整できるので、試行錯誤しやすくて楽しい。

Dead Island 2 プレビュー
スキルカードシステムでは特殊アクションの内容なども変えていける。たとえばエイミーのジャンプキックをドロップキックに入れ替えて、機動性を活かしてダウンを取っていくように変えたりできる。

 またゾンビを効率的に倒すサブシステムがいろいろと用意されており、シチュエーションに合わせて臨機応変に使いこなすことで、ゾンビの群れが集まってきても対応できるようになっている。

 ちなみに、同種類のゾンビを倒すとそのゾンビの特性や弱点などが記載されていく“ゾンペディア”というシステムもある。強敵の“エイペックス変異体”カテゴリーのゾンビや、自分よりレベルが上のネームドゾンビ(一撃食らうと即死のこともある)を相手にする際は、それらの知識をもとに各システムをフル活用することになるだろう。

  • 部位破壊システム 手や足を優先的に攻撃して破壊することで行動を制限できる
  • カウンター攻撃 回避や防御をタイミング良く出すことでゾンビのバランスを崩してQTEの強力な攻撃に持ち込める
  • 踏みつけ攻撃 ダウンさせたゾンビの頭部を踏み砕いて一発で倒す
  • カーブボール 撒き餌で注意をそらしたり手裏剣で即席の遠距離攻撃を出したり、まさに変化球的に使う
  • スペシャルアタック 地面を揺らして周辺の敵をダウンさせたり、突進攻撃で弱体効果を与えたりできる

プレイアブルキャラクター6人の傾向

 プレイアブルキャラクターは6人いて、大まかにまとめると3タイプ×男女という構成だ。ジェイコブやダニは連続攻撃が得意で、カーラとライアンは守りを固めてからの切り返し、エイミーとブルーノは素早く立ち回ることでボーナスを得られる……という傾向になっている。

  • 攻撃重視タイプ
    • ジェイコブ 体力高・耐久性低
      • 固有カード1: “野生の精神” 連続攻撃でダメージがわずかに上昇(スタックあり)
      • 固有カード2: “クリティカル・ゲイン” スタミナ減少時にクリティカルダメージが中程度上昇&クリティカルヒットでスタミナ回復
    • ダニ スタミナ高・体力回復量低
      • 固有カード1: “サンダー・ストライク” ヘビーアタックを決めると爆発が発生する
      • 固有カード2: “血の欲望” 複数のゾンビを連続して倒すと体力が回復
  • 防御重視タイプ
    • カーラ 耐久性高・クリティカルダメージ低
      • 固有カード1: “モッシュピット” 複数のゾンビの近くにいる場合、ダメージがわずかに上昇
      • 固有カード2: “火事場の馬鹿力” 体力が瀕死レベルの場合に防御力が中程度上昇
    • ライアン 防御力高・素早さ低
      • 固有カード1: “報復” 攻撃をブロックまたは回復するとフォースが中程度上昇
      • 固有カード2: “シーソー” ゾンビをノックダウンするたびに体力が回復
  • 立ち回り重視タイプ
    • エイミー 素早さ高・防御力低
      • 固有カード1: “リリーフピッチャー” 投擲攻撃でスタミナが回復
      • 固有カード2: “分割統治” 孤立したゾンビに対してダメージがわずかに上昇
    • ブルーノ クリティカルダメージ高・最大体力低
      • 固有カード1: “ルックバック” ゾンビを背後から攻撃するとダメージが中程度上昇
      • 固有カード2: “即行反撃” ブロックまたは回避で素早さとヘビーアタックのチャージが向上
Dead Island 2 プレビュー
ゾンビに囲まれた時にどういう立ち回りをしたいか? ビルドの発想がRPGよりもアクション寄りになっている印象。

魔改造武器で戦闘を有利に運べ!

 近接武器の種類は以下のような感じ。スキルカードシステムと組み合わせて、「ジェイコブなのでフレンジー武器で連続攻撃を活かすカード構成にしよう」とか、「ここは部位破壊が効くゾンビが多いのでブルーノの“即行反撃”で回避からのヘビーアタック重視で行こう」といったようにビルドを組む形になる。

  • ヘッドハンター 頭にクリティカルヒット
  • フレンジー 連続攻撃でクリティカルが発生する
  • 部位破壊 四肢に対してクリティカルヒットし、高い確率で切断する
  • ブルドーザー ワイドな攻撃で群れを相手する
Dead Island 2 プレビュー
ジェイコブなら連続攻撃ボーナスを活かすためにカタナなどのフレンジー武器で斬りまくりたいところ。

 そして素材アイテムを使った武器の改造システムも健在だ。改造システムでは素材アイテムを消費し、属性ダメージなどを足す“モジュール”と、ダメージ値や耐久度などに補正をかける“パーク”を追加して性能を変化させられる。

 プレイ中は部屋のすみずみまで漁りまくって素材をかき集めるのだが(ゾンペディアではどのゾンビからどんな素材がドロップするかも教えてくれる)、これはナイスなゾンビ殺戮武器を作り出すためと言っても過言ではない。

 なお武器には旧作同様に耐久度があり、武器を改造できるワークベンチでは修理も可能。また今回プレイした範囲は序盤なのであまり使うことがなかったが、低レベルでもバラすには惜しい武器がある時は、それなりのお金を払って現在のレベルに引き上げる“レベルマッチ”もできるようになっている。

Dead Island 2 プレビュー
魔改造武器で電気ビリビリにしてやるぜー。

“イギリス人が皮肉に描くアメリカ”はいいですねぇ

 ネタバレを避けつつ、ストーリーの方にも少し触れておきたい。ストーリー要素はデモをプレイしていて思いもよらず驚かされた部分だ。

 舞台が高級住宅街スタートというのでなんとなく想像がつく勘のいい人もいるかもしれないが、プレイアブルキャラクターたちがゾンビパニックを生き延びたタフでしぶとい連中であるのに対して、悠々自適に暮らしていた映画俳優やミュージシャンなど、それ以外のNPC生存者たちはほとんどがLAのセレブとして暮らしてきたナチュラルに嫌味なヤローばかり。

 だがそれがいい。本作の開発であるDambuster Studiosはイギリスのノッティンガムにあるスタジオなのだが、実はイギリスに源流を持つ『グランド・セフト・オート』シリーズのように、イギリス人が“アレなアメリカンたち”を皮肉に描いたとき特有の、嫌味だったり間抜けだったりはしても愛嬌のあるそれなのである。

 というわけで本作、約10年にわたる開発の混乱の中でゲームのスタイルは若干変わりつつも、アクションのシステムも表現もストーリーもカッチリまとめられたものになっていると感じられた(旧作なんか知らないという世代の人はゾンビ倒しまくり一人称視点アクションとしてスッキリ遊べるだろう)。この先がどういう深みになっていくのか気になるところだ。

Dead Island 2 プレビュー
ミッションで遭遇する生存者のひとり、リッキー(&奥さん)。出会うシチュエーションも会話の内容もホントひどくて最高。娘がめちゃくちゃしっかりしてて好感を持てます。

クリエイティブディレクターに聞く、本作のコンセプト

 ところで、先に書いた“GTAのように”というのはこじつけでもなんでもなく、たとえば本作のクリエイティブディレクターであるジェームズ・ウォレル氏は実際に『グランド・セフト・オートIII』やバイスシティ、サンアンドレアスのライターでもあったりする。

 今回ラッキーなことに同氏へのオンラインインタビューをやる機会も得たので、その内容もお届けしよう。

ジェームズ・ウォレル

本作のクリエイティブディレクター。実は過去には『グランド・セフト・オート』シリーズ中期の作品でシナリオやゲームデザインを手掛けている。

ゾンビ地獄と少しのユーモア

――本作はオープンワールドではなく、オープンな構造のマップがいくつかあるよりリニア(直線的)なサバイバルアクションゲームになりました。その分、物語体験としてはより緊迫感のある内容になっていて、カットシーンなども多いですし、メインのルートを外れた時ですら「おっ」と思わせるような仕掛けがあちらこちらにあります。開発を始めるにあたって決めた本作の柱について教えてください。

ジェームズ私たちはオリジナルの『デッドアイランド』を振り返る所からはじめて、そこから“ゾンビとの戦い”という核と、もうひとつ“地獄と化した楽園”というコンセプトを柱として残すことに決めました。

 その上で3本目となる柱として、話のトーンを少し変えることを決めたんです。“ヒロイックなパルプホラー”(※)とでも言いますか、ほんの少しユーモアを持ち込む感じです。ゾンビの血肉が飛び散る破壊システムの恐ろしいホラー表現が満載ですから、そこで両者がうまく組み合わさることでお互いを引き立ててくれるように願っています。(※編注: “安っぽかったり大げさだったりするけどカッコいいB級ホラー”的な意味)

戦闘システムの進化

――一人称視点アクションとしての戦闘システムは進化している部分ですね。転倒させてからの踏み潰し攻撃などをより戦略的に狙えるようになっているし、敵がチャージ攻撃の範囲内にいるか照準で教えてくれたりもします。さらにカーブボールシステムもありますし、スキルカードシステムでジャンプキックの挙動を変えられたり、いろんなことを狙える。今回の戦闘システムの設計方針などを教えてください。

ジェームズまずはゾンビの破壊システムから行きましょう。このアイデアは、プレイヤーがどんな武器でどう攻撃したかによって(単に一律にダメージが入るのではなく)ゾンビの身体が“アナログ”に反応して壊れるような自動生成型のシステムを目指しました。それによってもっと戦術的に戦えるようにするのが目的です。

 そして私たちはまず近接武器による戦闘を核としたかったので、武器やすべてのスキルについてさまざまなスタイルに対応できるよう設計しました。

 それらの要素がまとまるのが武器ホイールです。さまざまなスキルや武器のタイプ、そしてスキルを変化させるカードやカーブボールについても把握して、さまざまな戦い方のアプローチを覚えてきたら、武器ホイールがそれを実現するためのツールボックスになってくれます。どんなシチュエーションであなたがうまくやれるのか、どんな手段を持ち出すべきか、どうやって切り抜ければいいか、身につけた知識をそこで活かすんです。

 その上で私たちは、それを引き立てる対照的なものとして遠距離武器を扱っています。遠距離武器については大きく2つの役割を担うものとして捉えています。ひとつは、パワフルだけど弾が限られている戦術的な武器。ヘビーリボルバーが一例ですね。一発一発を丁寧に扱わないと弾切れになってしまって、急いで切り替えないと危険に陥る。

 もうひとつは囲まれた状況から強引に抜け出すようなものです。サブマシンガンなどがそれにあたります。とりあえずこの弾倉を撃ち尽くして切り抜けて、すぐ次の動きに移る……といったような感じですね。

 そういったものをすべて合わせて、すごくうまく行くかひどいことになるかの二択だけではない、しっかりとしたアナログな幅がある、近距離から中距離にかけての優れた戦闘体験を構成しています。仮に失敗したとしても「あ、駄目か」で即死亡というんじゃない、楽しく試せるものを目指しています。

 これはマスターするのが簡単なゲームではありませんが、疲れさせたりイライラさせたりするのではなく、常に何かを学べる、ミスって死んでも楽しめてすぐに戻ろうと思えるものにしています。

――カーブボールというのは良いネーミングですね。確かに100マイルの剛速球というより変化球的な使い方ができます。誰がどう名付けたんですか?

ジェームズ誰が思いついたかはちょっと思い出せないんですが、ナラティブチーム(※ストーリーや物語体験などの担当)がブレインストームをしたんだと思います。どこから来たかと言えばとてもアメリカンなフレーズだからですね。私たちのゲームのロサンゼルスをアメリカ風にしようとすごく労力を注ぎ込みましたから、これもそのひとつです。

 でもそれだけじゃなく、おっしゃったように戦闘において文字通り変化球のような機能を持っていますから、そのネーミングが自然にハマったということがあります。普通に相手するにはゾンビが多すぎるといったような場合にカーブボールを投げてシチュエーションをガラッと変えて対応する、そういったものになっています。

――スキルカードシステムも新しい要素です。これによって強化システムは、単に何かの要素にブーストを得るというより、どうプレイしたいかで選ぶようなものになっています。また個々のカードはキャラクターのパーソナリティの一部を示すものになっていますね。どんな人で、特定のシチュエーションでどんなことをするような人物なのかがわかります。このシステムの設計についても教えてください。

ジェームズ検討していくうちにこの形に成長していったという感じですね。ゾンビの群れをなぎ倒して危険の中を突き進んでいくようなヒロイックな能力を持ったキャラクターたちを設計するにあたって、戦闘の中のアクション要素にフォーカスしたかったんです。

 そしてスキルカードというアイデアが出てきた時に、それらのアクションのある様子を示したものにできるということで、これはすごくしっくりきました。それまで、伝統的なスキルツリーなどのやり方ではちょっと縛られてしまうというか、ちょっと物足りない感じがしていたんです。

 そしてカードシステムなら入れ替えも簡単だし、ストーリーボードのようにそのキャラクターが何を出来るのかすぐ理解できるというビジュアル面も良かったですね。

環境システムについて

――マップ内に落ちている回復アイテムや素材などの発生はどう働いているのでしょうか? 時々のステータスや何を持っているかに影響されるんでしょうか?

ジェームズ何を持っているかや発見したかによっては影響されません。ただ、同じ場所でまたアイテムが出てきたり出てこなかったりするのは、そこにちょっとしたシステムが入っています。プレイヤーに嫌がらせしたいわけでも、常にもの余りにしたいわけでもないですから、ちょうどいい程度にアイテムを取れるように少しバランスを取るようになっています。

――マップには時折、ヒューズを使って開けられる場所がありましたが、自分は結構周囲を探したのにヒューズを見つけられませんでした。あれは商人から買わないといけないのでしょうか、それとも探し方が足りなかったのでしょうか?

ジェームズはい、ヒューズは商人から買わないといけません。

――環境表現にはかなり驚かされました。暗いところと明るいところを行き来する時は目の暗順応/明順応が感じられますし、建物の影側にいる時などは日向の光が反射してきて周りがちょっと青みがかって見えたりします。アート面の取り組みについて教えてください。

ジェームズまず私たちにはすばらしいアート班とテクニカルアート班がいます。それらの効果を得るまでにはさまざまな工夫を凝らしましたね。というかドアも大変でしたし。開発中に一番大変だったかもしれない。(※編注: ゲーム開発でドアを作るのが簡単ではないという定番ネタ)

 話を戻すと、本当にこのロサンゼルスをハリウッドっぽい描写のものにしたかったんです。文化的にだけでなく、実際の見た目的にも。いろんな映画でのさまざまな場所のLAを研究しました。カラーパレットがどうなっているかとか、グレイン(フィルムの粒子ノイズ)とか、レンズフレアとか、そういったものです。

 なのでよく見ると、エリアによって少し違うアプローチをしているのがわかるでしょう。映画撮影所とベルエアーの住宅街ではそれぞれが違うハリウッド的表現からインスピレーションを取り入れています。

――デモでは昼夜が変わるのが確認できましたが、あれはプレイ時間に連れて変化するのでしょうか、それともミッションの進行に合わせて切り替わっているのでしょうか?

ジェームズミッションの進行に合わせて切り替わります。

プレイスタイルと紐付いたキャラクターの個性

――個人的に好きなキャラクターはいますか? 彼らをソロとCo-opでどうやってプレイしますか?

ジェームズ選ぶのは難しいですね。最初のうちは機敏な方のキャラクターでやっていたんですが、プレイ回数が増えるに連れてもっとタンク寄り、ライアンやカーラになっていったんです。そうやっていく中で切り替えるとやっぱり違う体験をフレッシュに感じられたので、“これ”と選べないんですよね。

 これは彼らが個性あるキャラクターとして描かれていることとも関係しています。たとえばブルーノなら非常に控えめにしている性格で、何か言って目立つ前に何が起こっているのかじっくり観察しているような人物です。ダニーとかジェイコブはもっと威勢がよくて前向きです。

 カーラはいつもエネルギッシュで楽観的。エイミーは決断力があり、プロフェッショナルなアスリートのような存在です。そして、ライアンは典型的な渋いヒーローといった感じですね。常に自分の置かれた状況に不平を言いながら、それを押し通す……そういった個性がそれぞれの典型的なプレイスタイルとも紐付いているんです。

 なので、このゲームを一度プレイしてから別のキャラクターで再プレイしても、ストーリーの流れ自体は変わらないのに新鮮に感じられる。これは6人の異なるキャラクターを書いたナラティブチームがよくやってくれたと思います。非常にうれしく思っている部分ですね。