2023年8月にNEOWIZが発売予定のソウルライクアクション『Lies of P』。PS5、PS4、Xbox One、Xbox Series X、Steamでリリースされる本作は、世界的な童話“ピノッキオの冒険”を原作に、ハードコアな戦闘が楽しめるゲームとして注目されています。

 今回は日本最速試遊(※)の機会をいただき、プレイレビューをお届け! 約2時間、腰を据えてしっかりとプレイし、本作の魅力をがっつりと味わいました。夢中で遊ぶことになった内容をお届けします!

※2022年11月に韓国で開催されたG-starにはプレイアブル出展されていました。

『Lies of P』レビュー。耽美な残酷ソウルライクをアイデアと計画で切り抜ける快感。武器を組み替えて最適化し、日本最速でボス撃破

『Lies of P』ストアページ(Steam)

ソウルライクを本気でリスペクトして誕生した“手に馴染む基本システム”

『Lies of P』レビュー。耽美な残酷ソウルライクをアイデアと計画で切り抜ける快感。武器を組み替えて最適化し、日本最速でボス撃破

 さて、本格的なプレイレビューの前に、本作の基本情報をおさらい。

 『Lies of P』は、韓国NEOWIZ社がおくる、同社過去最大規模のコンシューマーゲーム。ソウルライクのアクションゲームであり、フロム・ソフトウェアの『ブラッドボーン』や『ダークソウル』にインスパイアされたと公表されています。

 韓国のゲーム業界はPCを使ったオンラインゲームが主流。コンシューマーゲームの文化そのものはあまり育っていません。ゆえに、本作ほど大規模なコンシューマ向けのアクションゲームの制作はNEOWIZだけでなく、韓国史上初とも、開発チームから語られています。

 開発チームは「より多くの人に親しめるゲームにしたい」という考えのもと、近年、メジャーなゲームジャンルとなったソウルライクアクションを選択。これを骨格に、世界的童話“ピノッキオの冒険”やホラー、ベルエポック時代といった要素を肉付けしていき、『Lies of P』は誕生しました。

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 そのため、ベースとなるゲームシステムは、ソウルライクのゲームを知っている人ならばもはや解説不要でしょう。UIや操作感、プレイサイクルも同様で、基礎的なゲーム内容は真の意味でソウルライク。

 「いまさら説明されてもね」となってしまうので詳細はあえて省きますが、筆者自身がコントローラーを握って画面の前に座ったその瞬間から、説明されなくても遊びかたはほぼわかる状態でした。同ジャンルを遊んだことのあるプレイヤーならば違和感やストレスなく遊べるのは間違いないですし、過去に培ったテクニックも、存分に活かせるはず。

 基礎がしっかりしているからこそ、本作で初めてソウルライクに触れるというプレイヤーでも、同ジャンルの魅力をしっかりと味わえるはずです。

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ソウルライクの先に用意されていた『Lies of P』の奥深さ

 ゆえに、避けては通れないのが「ソウルシリーズのパクリ」という第一印象かもしれません。

 実際、前に記事を掲載した際、読者の方から同様のコメントをいただいたこともありました。正直な感想を言えば、筆者自信もパクリとまでは思いませんが「言いたい気持ちはわかる」という所感でした。

 そう、今回遊んでみるまでは!

 2時間ほどプレイした結果、そんな気持ちは一切が吹き飛ぶことになりました。

 ソウルライクというゲームジャンルを研究し、しっかりとリスペクトし、馴染みの要素はそのままに独自のゲームへと昇華させたのが、本作『Lies of P』であるということを痛感させられたのです。

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 ……と、いうことで、前置きが長くなりましたが、今回の試遊でプレイできたのは、チャプター2と3の2つ。以前お届けした、韓国のゲーム展示会“G-STAR 2022”に出展された内容と同じものです。

 プレイを始めて、やはり、最初に惹きつけられるのは、その世界観。

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 ゲームの舞台は、パリがもっとも繁栄したとされる19世紀後半から20世紀初頭“ベルエポック時代”。そこにホラーのエッセンスを融合させ、華やかな建造物が建ち並ぶ都市であるにも関わらず、排気ガスや汚水による陰鬱とした空気感や、壊れた人形や死体が転がる様子によって、芸術のような美しさと怖さが表現されています。

 この世界観に見惚れながら探索を進めるのがまず楽しい。

 ひとつひとつのオブジェクトはもちろん、キャラクターデザイン、絵画や部屋の装飾、工場で使われる機械などのクオリティも洗練されているほか、光の反射やスモークの質感、音響のリアル感など、世界を支える映像美や技術のひとつひとつが美しい。目に入るたびに、耳から流れ込むたびに、心臓がどくんと脈打つようです。

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 この美しい街並みはゲームプレイの奥深さにもつながっていました。

 建造物によって入り組んだマップは死角を生み、突然の奇襲も日常茶飯事。新しく足を踏み入れる場所の探索は、つねに緊張感と隣り合わせです。

 階層のある建物や、オブジェクトによる高低差も多く、警戒していないと敵とバッタリなんてこともしばしば。瞬時に状況を判断しないと死んでしまうこともあり、油断なりません。

 また、はしごや階段を使った移動は、ときには複数の攻略ルートを生み出し、空間を把握して動き回る能力も要求されていきます。

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 敵の動きを警戒し、マップ構造を把握すれば、狭い場所でも余裕を持って対応可能。壁際に追い込んだ敵に向けて剣を振りかぶり……

ガキン!

 「ええっ!?」と焦りの声を上げてしまいました。障害物や壁に当たり判定があり、攻撃が弾かれてしまうのです。室内や路地など、狭い場所で戦うときは細心の注意が必要。少しでも壁に当たってしまうと攻撃が中断し、身動きが一瞬とれなくなるため、場合によっては命取り。

 そういった場所を探索する際には、刀身の短い武器を選択するといった計画性や、相手をおびき寄せて戦うといったアイデアが試されます。

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 そう、アイデアと計画性。

 この言葉が、筆者がプレイを通して感じた、本作のキーワードでした。

最強ではなく最適化を考える中毒性

 ソウルライクの魅力と言えば、自身のバトルスタイルを追求し、的確な操作と反射的な対応で敵を攻略すること。失敗したときには、その経験を活かして適応し、再チャレンジするのがおもしろいジャンルだと筆者は考えています。本作も同様の感覚を味わえるのは間違いありません。

 一方で、『Lies of P』は、よりアイデアと計画性に攻略の糸口を向けたゲームだと、プレイを進めるほどに感じました。

 たとえば、多彩な戦闘スタイル(アクション)。

 主人公“P”の戦闘スタイルを支えるのは、おもに武器合成とリージョンアーム(義手)というふたつの要素。これらの組み合わせにより、さまざまな立ち回りを実現しています。

 本作のウリでもある武器合成は、ひとつの武器を“刃”と“柄”に分けて、別の武器と組み替えができるシステムです。

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 ざっくり解説すると、刃は武器の性能とリーチ、柄は攻撃モーションに影響していました。本来は横振りの剣に槍の柄をくっつけると、突きで攻撃する剣が誕生するといった形。その組み合わせは100を超えると、過去のインタビューで語られています。

 先ほど説明したように、攻撃は障害物に弾かれてしまいますから、リーチが長い武器は広い範囲&安全に攻撃できる反面、狭い場所では振り回しにくいという弱点があります。そういったときには、武器合成で刃を短くしたり、モーションがコンパクトな柄に組み替えることで、より快適に動けるようになるわけです。

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 さらに、詳細は確認できなかったのですが、攻撃には斬る、突く、殴打するといった“攻撃属性”のような見えない能力があり、敵によって強弱が設定されているようです。剣で斬ってもなかなかダメージが与えられなくても、斧で殴打すれば効率よくダメージが与えられるといった具合に、戦う敵によって相性のいい武器を探すのも重要。

 つまり、武器合成とは、1本の最強武器を生み出すシステムではなく、状況に最適化させた武器を生み出すシステムだったのです。

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武器強化では刃の能力が強化されるので、強化した武器がむだになるといったことも少ない。

 こうしてカスタマイズした武器を戦闘スタイルの主軸に置き、つぎはリージョンアームを決定していきます。

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 リージョンアームは、使用時にマガジン(画面右下のゲージ)を消費して使う、使用回数が限定されたサブ的な武装です。ワイヤーを発射するPuppet String、火炎放射器のFlamberge、榴弾を撃ちこむFalcon Eyes、電撃弾を発射するFulminisと、全4種類を試遊では確認できました。

 性能や効果はまったく別物で、自分の使う武器の弱点を補ったり、マップの構造や戦う敵のタイプなどなど、状況によって最適となるものが変わってきます。消費アイテムであるLegion Magazineを使えばゲージを回復できるため、しっかりと作戦を練れば、強力な敵を遠距離から完封することも可能でした。

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 このふたつのシステムを組み合わせることで戦闘におけるおおよその立ち回りが決まり、バトルスタイルが確立していきます。しかしながら、その組み合わせの数というのは膨大。

 どんな場所を探索するのか? 敵との相性はどうなのか? それぞれにシナジーはあるのか? 自分にとっての使い勝手はどうか?

 ひとつひとつを装備して実際に使ってみると、新しい可能性が見つかります。それがハマったときには「これは強いぞ!?」と思わず声を上げてしまうほど気持ちがよく、ゲームを進めるほどにバリエーションが増えていくので、いろいろと試したくなって時間が溶けていくのです。

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計画と失敗から学び、成功体験にハマる快感

 こうして、戦闘スタイルを確立させながらゲームを攻略。苦戦を強いられるときには、武器やリージョンアームの組み合わせを変えたりしながら、解決策を模索していきます。

 もちろん、その中の選択肢として、ソウルライクのゲームらしい高度な操作技術でクリアーするというのもアリ。

 しかし、本作では戦闘スタイルやアイテム、環境などを駆使することで、それ以外の道を切り開けるようになっていると感じました。「ここで手榴弾投げたら楽じゃん」と、たったひとつのアイディアを閃くことで、強力な敵を倒せてしまうことも。苦戦していたのが嘘のよう。

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 とくボス戦では、そんな体験が如実に現れました。ボスは、いわゆる“初見殺し”のような攻撃や行動が多く、初回でクリアーするのは至難の業。

 ゆえに、攻撃をガードしてみたり、パターンを覚えたりしながら、攻略するための計画を自然と考えることとなります。

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 その計画が無謀だったり操作ミスをしたりするとわかりやすく失敗するので、「あのとき、もっとこうすれば!」という、プレイヤーとしての経験値も蓄積。それを積み重ねて、すべてがピッタリとハマったとき、ボスの撃破という形で“正解”に辿りつくのです。その瞬間は、めちゃくちゃ気持ちがいい。

 しかも、正解はひとつではなく、今回のテストプレイに参加した他メディアの方々の様子をうかがうと「こんな方法でクリアーしていましたよ」、「この場所はこんなやりかたが」と、同じ場所に挑んでも攻略方法や立ち回りがたくさんあるのでおもしろい。

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 そういったアイデアを聞くと、1度クリアーしたステージでも、「つぎはこんな戦いかたで攻略してみたい」という気持ちにさせられます。マルチエンディングであることや周回プレイを前提とした設計をしていることもインタビューで語られていますが、実際に、何度も遊んで見たくなる魅力がしっかりと形になっていたのです。

まだ見ぬ魅力を早く体験したい!

 今回の試遊だけでは遊びきれませんでしたが、本作にはまだまだ底知れぬやり込み要素が眠っています。

 たとえば、P-ORGANやエゴを使ったステータスの強化要素。

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 P-ORGANはアビリティ(能力)を獲得・装備できるシステムで、いわゆるスキルツリーです。フェーブルアーツと呼ばれる強力な技を使うのに使用するゲージを増やしたり、転倒時に早く起き上がれるようになったりするメインの効果を解放し、そこに設定されている空きスロットに、サブ能力を選択して追加できるようです。

 試遊機は英語版だったので、その詳細な効果がわからなかったり、もっとゲームを進めないと解放されない部分でしたが、パッと見た限りでもボリュームがすごい。

 ステータスの強化に関しては敵を倒した時などに獲得できるポイント(エゴ)を消費し、Vitality・Vigor・Tenacity・Capacity・Motivity・Technique・Advanceという7つのステータスのレベルをあげていきます。こういった部分が、ばっちりソウルライクなのが「わかってるなぁ……」と感心してしまうポイント。

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 そんな、ソウルライクというジャンルの魅力。システム的なキャラクターの成長。アイデアと計画性という遊ぶ中で培われるプレイヤースキルの成長。『Lies of P』はすべてが絶妙に絡み合うバランスで構成されており、プレイをすればするほど、おもしろさが湧き出る1本です。開発チームのみなさんは、めちゃくちゃゲームを研究しているんだと感服しました。

 今回の試遊は2時間。けっこうな時間をいただきましたが、それでもまったくもって時間が足りませんでした。ボス戦にまで辿りつき、行き詰った際には、いま確認できる要素を取材しなければならないというライターの気持ちと、より深い部分まで先に進めてみたいゲーマーとしての心を天秤にかけて、後者を優先……!

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 だって、取材に同席したスタッフさんから「取材で倒した人、いないんですよ」なんて言われたら、倒したくなるじゃない。

 ということで、現地では、ゲームライターとしてのプライドをかけ、マジモードでボスも撃破させていただきました。僕は満足です。取材に同行した編集者に「夢中でやってたね(笑)」と言われてしまうほどの熱中ぶり。これも本作がおもしろいと断言できる理由のひとつです。

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 これでもまだ、シナリオの部分はほぼまったく触れていない状態だったりと、気になることは山積み。あぁ、早く本編がプレイしたい!!

特製壁紙をプレゼント。8K解像度なのできれいすぎて笑う

 このレビュー記事を掲載するにあたり、メーカーさんから「読者にプレゼントできる壁紙データを提供しますよ」と提案されました。

 用意されたデータを見たら解像度は7680×4320pix。いわゆる8K解像度です。主人公“P”の毛穴まで見えそう(人形なのでたぶん毛穴はないでしょうけど)。

 この超解像度を有効利用できる人がどれだけいるかわかりませんが、度を越した「グラフィックがきれいなゲームなんです」という姿勢はあっぱれとしか言いようがありません。

 Steamのストアページでウィッシュリストに登録して、PCの壁紙をこれに変えて、今年の夏を待ちましょう。

『Lies of P』8K壁紙配信ページ(Dropboxにつながります)
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