スクウェア・エニックスから2023年2月16日に発売予定のNintendo Switch、プレイステーション4用ソフト『シアトリズム ファイナルバーライン』。

 本作は、『ファイナルファンタジー』シリーズの楽曲を使ったリズムゲーム『シアトリズム ファイナルファンタジー』シリーズの最新作にして集大成となる作品だ。

 通常版の収録曲は385曲、DLCなどの追加曲を含めると合計502曲と、シリーズ最大のボリュームで楽曲が収録されている。2023年2月1日、ソフト発売に先駆けて配信される体験版では、ゲーム収録曲のうち30曲がプレイ可能となっている。

 本稿では、そんな体験版のプレビューをお届け。

 先に結論を書いておくと、30曲をたっぷり遊べるのはもちろん、細かなオプション設定も実際に触って確認でき、本作がどんなゲームかを確かめるには十分の内容。体験版だけでもかなり遊べてしまう内容なので、まずはダウンロードして触ってみるのがオススメだ。

 また、本稿と合わせてプロデューサーの間一朗氏、ディレクターの鈴井匡伸氏に行ったインタビュー記事も後日公開予定なので、そちらもぜひ目を通してほしい。

※本稿はNintendo Switch版をプレイしたプレイレビューとなっており、記事中の画面写真、操作ボタン表記はNintendo Switch版のものです。

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好きなボタンと左右のスティックでタイミングよくトリガーを入力!

 ニンテンドー3DSやアーケードタイトルとして展開してきた『シアトリズム』シリーズの集大成となる『ファイナルバーライン』。

 『シアトリズム ファイナルファンタジー カーテンコール』ではタッチペンとボタンを使って操作を行ったが、本作ではSwitch版でもコントローラのボタンとスティック入力となっている。なお、これはニンテンドー3DSとSwitchのタッチ入力の仕様の違いにより、操作性が異なるという事情もあってのこと。ただ、Switchの携帯モード以外は基本的にテレビでのプレイになるため、タッチ操作派だった人はボタン入力にも慣れよう。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成

 本作で登場するトリガー(いわゆるノーツ)は、ボタンを押すだけのタッチトリガー、矢印の方向にスティックを倒すスライドトリガー、長さに応じてボタンを押し続けて離すホールドトリガー、ホールドトリガーの最後にスティックを倒すホールドスライドトリガーの4種。

 タッチペンでの操作と異なり、タッチとホールドはボタン、スライドはスティックと入力がそれぞれ独立しているため、プレイ序盤はスティックとボタンの操作が交互にくると戸惑うこともあるが、慣れれば問題ないはず。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
矢印がふたつあるスライドトリガーは左右のスティックで同時に操作を行う。

 ボタンとスティックを使う操作自体はコンシューマーのリズムゲームをプレイしたことがあればおなじみのものだが、本作はどのトリガーに対してどのボタンを押す、などの縛りがないのが特徴的。

 タッチトリガーやホールドトリガーに対してはAボタンやBボタン、Rボタン、ZRボタン、あるいは方向キーを使ってもよく、スライドも左右のスティックを好きに使うことができる。

 そのため、プレイヤーごとにベストな指運びも変わってくるだろう。本作には入力を可視化するライブインフォ機能も搭載されているので、ほかのプレイヤーがどのように操作を行っているかが見えやすくなっている。動画配信などでもここは注目されそうだ。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
ライブインフォでは譜面難度やトリガーの判定数なども確認できる。リプレイで自分のプレイを見直すのにも使えるだろう。

 本作は楽曲のタイプによりBMS(バトルミュージックステージ)、FMS(フィールドミュージックステージ)、EMS(イベントミュージックステージ)に分類されており、種類によって譜面の見えかたと登場するトリガーが若干変化する。

 BMSではトリガーが4つのレーンに沿って流れてくるのに対し、FMSではレーンがひとつになるが、ホールドトリガーが上下に曲がり、そのカーブに合わせてスティックを倒す操作が必要になるなど、操作にも微妙に違いが出てくる。

 EMSは今回の体験版には収録されていないが、名シーンのムービーを背景にトリガーが画面奥から手前に流れてくる画面構成となっており、ほかの楽曲とは視覚的にもかなり違った雰囲気となっている。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
BMSでは後述する召喚獣も召喚でき、レーンの背後で激しいバトルが展開する。
『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
曲線のホールドトリガーがFMSの特徴。ボタンを押しながらスティックを倒すだけだが、うっかりスティック操作を忘れるとチェイン(コンボ)が途切れてしまう。
『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
体験版に収録されていないEMSだが、数回プレイすると表示される製品紹介で写真や動画を見ることができる。

シリーズクエストでキャラ&楽曲を解放!

 本作にはシリーズクエスト、ミュージックセレクト、そしてマルチバトルの3モードが存在。シリーズクエストでは『FF』シリーズの各作品が一連のステージとしてまとめられており、ここでクリアーした楽曲はミュージックセレクトで自由に遊べるようになる。

 リズムゲームと同時にRPG的要素も持っているのが『シアトリズム』シリーズの特徴。シリーズクエストでプレイするシリーズを解放すると、その時点でその作品のキャラクターも一部が解放され、パーティに組み込めるようになる。

 体験版に収録されているのは、『ファイナルファンタジーII』、『ファイナルファンタジーV』、『ファイナルファンタジーVII』、『ファイナルファンタジーXIII』、『ファイナルファンタジーXIV』、『ファイナルファンタジーXV』の6作品だ。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
登場キャラクターは総勢104名! 体験版ではその中から30名のキャラクターが使用できる。
『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
解放したシリーズの楽曲を一定数クリアーすると、別のシリーズを解放するのに使うシリーズキーが手に入る。

 シリーズクエストではプレイする楽曲は決まっているものの、難易度などの設定はとくに縛りがないため、難度を下げればリズムゲームに慣れていない人でもクリアーは容易なはず。

 各楽曲には一定以上の成績でクリアーする、登場する特定の敵を倒す、などのクエストが用意されており、ここがハイスコアとはまた違ったやり込み要素になってくる。

 とくに敵を倒すクエストでは単純なプレイスキルに加え、仲間のレベル上げや敵の弱点を突くパーティ編成など、RPG的な戦略も重要。入手したキャラクターはシリーズを超えて編成できるので、理想のパーティを作り上げクエストを制覇していくという楽しみかたも可能だ。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
クエストをクリアーするとコレクションアイテムなどの報酬が手に入る。

 各キャラクターは攻撃や防御、回復などのアビリティを持っており、レベルアップによって習得するアビリティを最大3つまでセットできる。防御や回復に特化したパーティにすればゲームオーバーになりにくくなり、初心者にとってはサポート的な要素としても機能する。

 キャラクターが育っていない状態ではクリアーが難しいわけではなく、リズムゲームはリズムゲームとして楽しみつつ、RPG要素も楽しもうと思えば楽しめる、という選択性があるのも魅力的だ。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
プレイ中にキャラクターが動き回る演出も『シアトリズム』シリーズの醍醐味だが、トリガーに集中したい場合は背景にフィルターをかけることもできる。

 プレイをしていると召喚石が手に入ることもあり、これをパーティ編成画面でセットしておくとBMSで召喚獣が発動し、敵に大きなダメージを与える。また、召喚石はランダムな追加効果が付属しており、経験値アップや与ダメージアップなどの恩恵が得られる。

 その追加効果の数や種類、効果の大きさに影響するレアリティなどはランダムになっており、理想の召喚石を探すのもひとつのやり込みとなっている。

 体験版では設定できないが、召喚石はプロフィカ(プロフィールカード)にセットでき、マルチバトルで対戦したときなどに相手にその召喚石を渡すことができる(渡しても召喚石はなくならない)。

 いい召喚石が手に入ったらさまざまな人との交換会を行うなど、プレイヤーどうしのやり取りを促進する要素としても機能しそうだ。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成

曲数×難易度×プレイスタイルが生む大ボリューム

 体験版でプレイできる楽曲は合計30曲となっており、これだけでもかなりのボリュームだ。さらに各楽曲には3種(曲によっては4種)の難易度があり、またスタンダード、シンプル、ペアの3種あるスタイルによっても譜面が変化する。

 ひとつの難易度で各楽曲をひと通りプレイするだけでも1時間近くかかるが、難易度やプレイスタイルを変えてもう1周、あるいはハイスコアやよりよい召喚石を求めて周回、となるとかなりの時間が溶けていくのは想像に難くないだろう。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
“シンプルスタイル”はひとつのボタンだけでプレイできる。ただし難易度を上げればシンプルながらに遊び応えのある譜面となる。
『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
“ペアスタイル”ではレーンを分担してプレイを行う。オプション設定でペアスタイルをひとりでプレイするモードにも変更できる。

 各楽曲には譜面難易度が段階的に示されており、その最大値は16。体験版に収録されている楽曲は最高で14の難易度となるが、生半可なプレイヤーは曲の半分に至る前にゲームオーバーになってしまうレベルだ(筆者は30秒かからずに終了)。

 『シアトリズム』シリーズに慣れているプレイヤーでも、その譜面の難度はかなりの手応えがあるはず。それでもまだまだ余裕があるという場合、トリガーの流れるスピードを上げたり、レーンの一部をカバーで覆い隠すなどのオプション設定を調整したりするのもといいだろう。

 トリガーのスピードは遅くすることもできるので、高難度に挑みたい人はまず低スピードでコツコツ練習、という方法を取れるのもうれしいところ。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
トリガースピードは0.5~2.0の間で0.1ずつ変更できる。
『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
レーンカバーも段階的に設定可能。最大の4枚被せにすればほぼ記憶頼りでのプレイとなる。

 そのほか、オプションではプレイ中に鳴るトリガーの音量や音の種類(リニューアル版とオリジナル版を選択可能)、トリガーのカラーなども含め豊富な項目が用意されている。

 なお、いわゆるコレクション要素となるミュージアムにはミュージックプレイヤーも用意。ミュージックプレイヤーでは3つまでプレイリストを作ることもできるので、バトル曲を詰め込んだテンションアップ用リストやリラックスできる楽曲を集めたリストなど、好みの『FF』サウンド集を作れるのも魅力的だ。

『シアトリズム ファイナルバーライン』体験版先行レビュー。そのボリュームやプレイヤーの要望が多かった設定の採用など、シリーズを重ねてきたからこそ到達できた集大成
シャッフルやリピート再生などの機能も搭載。

贅沢すぎる体験版。まずはプレイすべし

 手触りや遊び応え、遊びやすく設定できるかどうかなど、触ってみないとわからない部分の大半を確認できる本体験版。単純な楽曲数に加えて難易度やプレイスタイルなどの幅があることで、遊びのボリュームはかなりのものだ。

 体験版で育成したキャラクターや獲得した召喚石、そして達成したハイスコアなども製品版に引き継げるので、発売に向けて腕を磨きつつ準備を整えるには打ってつけ。

 『シアトリズム』シリーズファンはもちろん、リズムアクションゲーム初心者も楽曲を楽しみながら操作に慣れるところからスタートできる本作。追加DLCではアレンジアルバムなど音楽CDや、『ファイナルファンタジー』以外の作品の楽曲も収録されるなど、スクウェア・エニックスのゲーム音楽好きな方はたまらない内容。『シアトリズム』シリーズの決定版として、ぜひ手もとに置いておきたい作品だ。