2023年3月24日にプレイステーション5、Xbox Series X|S、PCで発売が予定されている、カプコンの『バイオハザード RE:4』。2005年発売の名作サバイバルホラー『バイオハザード4』のフルリメイク作品であり、6月の発表以降、つねにその動向が注目されている話題作だ。

 本稿では、そんな『バイオハザード RE:4』のプロデューサーを務める平林良章氏にインタビューを敢行。これまでに出た情報や先行体験プレイを踏まえ、さまざまな質問をぶつけてみた。

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『バイオハザード RE:4』開発者インタビュー。リメイクならではの懐かしさと新しさが同居した、サバイバルホラー最新作

平林良章氏(ひらばやし よしあき)

『バイオハザード RE:4』プロデューサー。

原作を踏襲しつつ、現代風に再構築する

――プレイしてまず実感するのは、やはりいろいろな部分で新しさがあるなと。原作プレイ済みの人にもちょっとした驚きなどのサービスが多々あると感じました。

平林 原作未プレイの人はもちろん、原作をやり込んだ方にもぜひ遊んでいただきたいと思っています。

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――新しさと同時に、原作からの懐かしさなども感じられました。その辺はやはり気を付けて制作されているのでしょうか。

平林そうですね。ゲームエリアやキャラクターはすべて原作がモチーフになっています。たとえば、最初にレオンが立ち入る不気味な猟師小屋や、村の広場に到達してからのアップテンポなゲーム展開。原作にあった各エリアのコンセプトに対してリメイク作品として向き合い、パワーアップさせられるようにしたいなと。

 もしそこを感じていただけたのなら、開発チームとしてこれ以上嬉しいことはないですね。

――それは、ゲームのパートというか、エリアごとに区切って調整されているということでしょうか?

平林はい。ゲームエリアごとに原作を鑑みながら、どう再構成をしていくかを検討しつつ制作を進めています。新しさを感じつつも懐かしさを感じるところも意識し、「あれっ、こんなのあったっけ?」といった要素なども含めています。

 原作をそのまま踏襲しているように見えるところもありますが、じつはすべてのエリアに細かく手を入れています。原作と同じプレイ感覚を維持しつつも、現代風に触って楽しめるように……といったコンセプトで取り組んでいますね。

――ゲームの導入部分はレオンの回想シーンから始まりますが、『バイオハザード RE:2』時代のものも含まれているなど、細かい配慮が行き届いているなと思いました。

平林ありがとうございます。原作が発売されてからの17年間で、『バイオハザード』シリーズが積み上げてきたエッセンスなどは、いま遊んでくださるユーザーの感覚に合わせて入れられるところは入れていますし、そういった蓄積が生きている部分は数多くあると思います。

『バイオハザード RE:4』開発者インタビュー。リメイクならではの懐かしさと新しさが同居した、サバイバルホラー最新作
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――プレイしてみて真っ先に目につくのはグラフィックですよね。光の質感ですとか、室内で埃が舞っているような表現とか。

平林いわゆる空気感にはとくに力を入れていますね。アートディレクターが力を入れて表現したがっているポイントでもあります。

――ファンならピンと来るであろう、最初の猟師小屋でガナードが登場するシーンはゾクゾクしました。

平林あそこはもう……何回も作り直しましたよ(苦笑)。いや、単純に“作り直した”という言葉では片付けられないくらいたいへんでしたし、本当にいろいろなチャレンジがありました。

 まず叩き台のAパターンがあって、調整を入れたBパターンを作成。悪くはないんだけどもう少し何とかできないかということでCパターンを作成といった感じで、さまざまな詰めかたで何度も作り直して。該当シーンだけでなく、今回体験していただいた範囲は非常に苦労しました。

リメイクとして変化させるべき部分の選択とは

――原作からさりげなく追加されている要素や演出などがあって、プレイ中は早く先へ進むよりはいろいろと調べたり、見て回りたい気持ちが強かったですね。

平林原作でも、村の中でおかしな現象があり、その都度インタラクションが出て「こいつらは何をしているんだ?」という得体の知れなさが恐怖につながっていました。本作でもそういった生活様式から見える不気味さを、背景やインタラクションなどから表現できるように注力しています。

『バイオハザード RE:4』開発者インタビュー。リメイクならではの懐かしさと新しさが同居した、サバイバルホラー最新作

――ちょうどプレイヤーが目に付く範囲でネズミが床を這いまわったりと、ちょっとした演出も強化されていますね。

平林ユーザーの皆さんがほんの少しでもドキッとしてくれれば、こちらとしてはうれしい限りです(笑)。入れられる演出や要素はできるだけ入れ込んでいるつもりですし、その辺に気付いて楽しんでもらえると、うちの背景班も励みになると思います。

――なるほど。動物つながりの話題なのですが、ゲーム序盤にレオンがトラバサミにかかってしまって、原作ではここで犬を助けられたなと。あそこは今回……?

平林そうですねー。それは……どうなるんでしょうね(笑)。その先の真実はぜひ製品版で確かめていただきたいなと。

――なかなか意味深な発言ですが(笑)、製品版を楽しみにしています。ほかにも吊り橋にはべったりと血がこびりついていたりなど、恐怖を煽る演出も多々見受けられました。そういった要素も、やはり力を入れているところなのでしょうか。

平林“その場所でどんなことが起きたのか?”と想像することも、ゲームの楽しみかたのひとつですよね。吊り橋の血糊にしても、もしかしたら吊り橋の奥にだれかが引き摺られていったときに付いたものかも……と想像を膨らませることができる。

 それぞれのシチュエーションが伝えるメッセージのようなものを、つねに意識して空間作りをするのは、ホラー作品において非常に重要だと思いますし、本作でも大切にしています。

『バイオハザード RE:4』開発者インタビュー。リメイクならではの懐かしさと新しさが同居した、サバイバルホラー最新作

――単純に怖そうな絵を置いて終わりではなく、空間自体を作るのが大事なのでしょうね。

平林おっしゃる通りです。ストーリー性を含んだ空間作りをすることは、プレイヤーが“気付く”という楽しみにつながりますから。

――プレイヤーに対し、ダイレクトに恐怖感が伝わるシチュエーションもありますよね。例えば、村の広場で警官が火あぶりにされていたりとか。

平林嫌悪感がすごいシーンですね。しかも、人を燃やしている村人がいる一方で淡々と農作業をしている村人もいたりする。日常と非日常が入り混じる不気味な場所であると、原作でも秀逸なデキでしたし、ユーザーからも高い評価を得られていました。

 ただ、今回のリメイクであえてそこを変えてしまうという選択もあるにはありました。まったく別のものに変更することで、ユーザーがびっくりするであろう考えもあったのですが「そうそう、こんな感じだった」、「このシーン覚えてる」といったように、かつての記憶を呼び覚ますような象徴的なものは残すべきだろうと考えました。

『バイオハザード RE:4』開発者インタビュー。リメイクならではの懐かしさと新しさが同居した、サバイバルホラー最新作
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――なまじ生活感があるぶん恐ろしい、原作をプレイしたユーザー全員が覚えているであろうポイントですからね。ちなみにガナードが喋っている言語は、今回もスペイン語なんですか?

平林スペイン語ですね。ファンのあいだで好まれていた要素ですし、今回も続投という形を取っています。

――また空耳ネタが流行りそうですね(※)。

※『バイオハザード4』が発売された当時、ガナードが喋っているスペイン語が「オ●パイのペラペラソース」、「あり得んなー」、「おいコラ捨てろ」などの日本語に聞こえると話題になった。

平林空耳というのは、日本地域独特の楽しみかたなんです。地域ならではのネタを含め、ユーザー全員に原作を楽しんだいろいろな思い出があることは理解しているので、そういった特徴的なセリフなどは本作でもしっかり収録していますし、リメイクにあたっての新たなセリフも追加されています。

――おお、新セリフは楽しみですね。話は変わりますが、『バイオハザード4』といえば、やはり近接戦闘などの爽快なアクションも特徴のひとつですよね。『バイオハザード RE:4』ならではのものはあるのでしょうか。

平林敵を攻撃してひるませたときに豪快に蹴り飛ばせたりなど、原作では非常に気持ちよく爽快なアクションがありましたね。本作では特徴的な近接戦闘に加え、ナイフを使った多彩なアクションも追加しています。ぜひ皆さんの戦術の検討に入れてもらえればと。

――怖がらせるだけでなく、敵を倒しての爽快さもあるとゲーム進行上での緩急が出てきますね。

平林今回、“死を逸(かわ)し、倒す快感”というものをキーワードにしているのですが、まさにそこが原作の特徴であり、魅力だったと思います。本作は、それとしっかり向き合える作品になるよう、調整を進めている段階ですね。

『バイオハザード RE:4』開発者インタビュー。リメイクならではの懐かしさと新しさが同居した、サバイバルホラー最新作
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――敵を倒すといえば、銃などの武器に関しても気になります。

平林原作でもそこはプレイヤーの選択が多い要素でしたが、本作でも最初のハンドガンをアップグレードし続けるのか、買い替えるのか、それともショットガンメインでいくのか……など、さまざまな選択で悩んでいただけると思います。

――アップグレードするときも、「後で高性能のものが手に入るかも?」と思ってしまうと悩みますよね。

平林はい。そこはユーザーごとに選択が異なるでしょうし、それぞれで違う楽しみかたができると思います。

――あと、今回は弾を拾うだけでなく、ガンパウダーを使ってクラフトすることもできるので、その辺でも悩みそうです。

平林自分がよく使用する武器の弾はどうしても減りやすいので、拾える弾と作れる弾の選択やバランスで悩むのではないかなと。

――武器の選択があるのはいいのですが、やはりチェーンソーを持ったガナードとかは実際に対峙すると恐ろしくて慌てますね(笑)。

平林あれは相変わらず恐ろしいですね(笑)。ただ、ナイフがあるとチェーンソーの一撃死攻撃を“パリィ”によって回避できるので、かなり安心感があると思います。

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――ナイフは、どんな攻撃でも防げるんですか?

平林どんなものもというわけではないですが、ある程度のものはパリィできます。敵が大型の武器を振りかぶってから行う強力な攻撃なども、ナイフの耐久値が残っていれば、ボタン表示が出てパリィが行えます。

――ナイフに耐久値があるということは、使い続けていると壊れてしまう?

平林耐久値がなくなると刃が欠けて壊れます。壊れたナイフは武器商人のところで修理できるのですが、それとは別に、1回使い切りのナイフというのも手に入ります。そこをどうやりくりしていくのかも悩まれるポイントになるでしょうね。

RE4_13

 原作をきちんと踏襲したリメイク作品でありながら、随所に新しい要素が散りばめられている『バイオハザード RE:4』。発売日に向け、今後続々と出てくるであろう情報を楽しみに待とう。