2021年6月29日に4周年を迎えたスマートフォン向けアプリ『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』(以下、『ミリシタ』)。同作の4周年を記念して実施した、馬場このみ役の高橋ミナミさんのインタビューをお届けする。

※「高橋ミナミ」さんの「高」は正しくは「はしごだか」です。
※本インタビューは6月上旬に実施しました。
※本記事は週刊ファミ通2021年7月15日号に掲載したインタビューに加筆、修正を行ったものです。

高橋ミナミ(たかはしみなみ)

12月20日生まれ、神奈川県出身。声優としてさまざまなアニメやゲームに出演しているほか、卓越したトーク力を活かしてラジオでも活躍。近年のおもな出演作には『キラキラハッピー★ ひらけ!ここたま』(星ノ川はるか役)、『食戟のソーマ』(田所 恵役)など。(文中は、高橋)

『ミリシタ』4周年記念! 高橋ミナミさん(馬場このみ役)インタビュー。「プロデューサーさんたちにもっと近くで見てもらえるようになるといいな」
『ミリシタ』4周年記念! 高橋ミナミさん(馬場このみ役)インタビュー。「プロデューサーさんたちにもっと近くで見てもらえるようになるといいな」

溢れ出るセクシーさがふたりを引き寄せた!?

――まずは、このみさんと出会ったころの思い出を振り返っていただけますか?

高橋もともと、オーディションは(木下)ひなたちゃんで受けていました。それが、当日現場で「(北沢)志保と(百瀬)莉緒とこのみも受けてもらえませんか?」と提案していただいて。

――志保とセクシー組のふたりですね!

高橋私の内面から溢れ出るセクシーに気付かれてしまったのでしょうね(笑)。そんなわけで、運命的な出会いを果たしました。そのときは「いっぱい受けられてラッキー!」くらいにしか思っていなかったんですけど。

――そこで資料を渡されたとき、このみさんへの第一印象はいかがでしたか?

高橋初めは莉緒姉とこのみさんでぜんぜん年齢の違うキャラクターだと思っていたら、同じくらいの年齢だと知ってびっくりしました。「さすが『アイマス』、いろいろな個性の子がいるんだなあ」と思いましたね。

――受けた時点では、あの見た目で自分より年上だったわけですしね!

高橋そういえばそうですね! ただ、このみさんに関しては年齢に縛られないキャラクターだと思ったので、そこまで年齢は意識していませんでした。じつはその前に『シンデレラガールズ』のオーディションを受けていて、そこで「また新しい企画があるので、そちらも絶対に受けてください」と言われたのが『ミリオンライブ!』のオーディションに参加したきっかけでした。このみさんに出会えたのは『シンデレラガールズ』のおかげだったのかもしれません。

――その出会いからもう8年にもなりますが、このみさんとの距離はどう変化しましたか?

高橋プロジェクトが始まったばかりのころは、声を収録する機会もあまりなくて「私の役だけど、別の場所で動いているキャラクター」のような、ちょっと遠い存在でした。だから、ゲーム中のイベントでのポジションや、このみさんに対するプロデューサーさんたちの反応をチェックしたりしながら、少しずつイメージを固めていったんです。

――いつから変わっていったのでしょうか。

高橋CD(※1)のドラマパート収録あたりまでは苦労していたと思います。そこからは少しずつ心を通わせていきました。

※1 CD……2014年4月30日発売の『LIVE THE@TER PERFORMANCE 13

――『ミリシタ』になって設定も一度リセットされましたが、演技に変化はありましたか?

高橋ほとんど変えていません。彼女の場合、765プロダクションに入ってから重ねてきたアイドルとしての経験はリセットされましたが、人となりに関してはまったく変わっていませんから。精神的に大人でお茶目なところがある一方、何事にも全力で挑んだり、全体を俯瞰して見られる姿勢というのは彼女がもともと持っていた資質です。私も、「このみさんの人生を改めて演じられるんだな」と知ってうれしかったですね。

――シナリオでは大人の女性なこのみさんですが、『ミリシタ』では劇場内でのちょっとコミカルな動きも見られますよね。

高橋グリー版のカードイラストのイメージ通りでしたよね(笑)。背が届かなくてぴょんぴょん跳ねる動きとかかわいかったです。『ミリシタ』になって変わった、というよりも、これまではイラスト上だけでしか表現できなかったのが、より具体的に伝えられるようになったということなんでしょうね。ほかのアイドルとの身長差も「こんなにあるんだ!」って改めて驚きました。

――そしてこのみさんと言えば“セクシー”! 昨年の弊誌のアンケートでもセクシー部門堂々の1位でした。

高橋私も読みました! プロデューサーの皆さん、本当にありがとうございました。私もあれだけセクシーをアピールしてきて、1位じゃなかったらどうしようと思っていました。そういえば、グリー版での話ですが「前世がキレイすぎてたいへんだったのでこの世では成長を止められている」……みたいなシナリオもありましたよね。それにも関わらず、溢れ出るセクシーに皆さんも気付いてしまったんだなと(笑)。

『ミリシタ』4周年記念! 高橋ミナミさん(馬場このみ役)インタビュー。「プロデューサーさんたちにもっと近くで見てもらえるようになるといいな」
『ミリシタ』4周年記念! 高橋ミナミさん(馬場このみ役)インタビュー。「プロデューサーさんたちにもっと近くで見てもらえるようになるといいな」

――(笑)。そんなこのみさんを、声だけでなくライブでは全身を使って演じていらっしゃいますが、ステージの上で意識していることはありますか?

高橋周年のライブでは、プロデューサーさんたちが応援してきたアイドルとして雰囲気を壊さないように演じきることを意識しています。遠くから見たら本当にそのアイドルが歌って踊っているようにしたい、と個人的には考えていて……。振る舞いはもちろんですが、同じ髪型にしたり見た目にもできるだけ気を遣っています。

――その一方で、配信番組などではキャストの皆さんのふだんの姿が見られますよね。

高橋『ミリオンライブ!』って、キャストがいい意味ですごく個性的なんですよ。アイドルとして立たなければならないステージでは徹底的に演じきって、そうでないところでは気張らずに素顔で臨んで、その個性を楽しんでもらえるようにしています。それが『ミリオンライブ!』の魅力でもあると思います。

――役と素の切り替えはたいへんじゃないですか?

高橋ほかのみんなもそうだと思いますが、もう8年もやらせていただいているので自然と切り替えられるようになりました。

――では、8年間でとくに印象に残っているライブやイベントがあれば教えてください。

高橋初めて出させていただいた2ndライブ(※2 )です。それまで、あんな大きいステージで歌うという経験もほとんどなかったし、しかもキャラクターを背負って出なければならないというプレッシャーがありました。しかも、ふだん仲よくさせていただいているぬーさん(我那覇響役の沼倉愛美さん)やミンゴスさん(如月千早役の今井麻美さん)がライブに挑む際の覚悟も見せてもらってきたので、自分で余計に重圧をかけてしまっていたと思います。曲数も多くて何だかいっぱいいっぱいになっていましたね。

※2 2ndライブ……“THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 2ndLIVE ENJOY H@RMONY!! ”。2015年4月4日、5日に千葉県・幕張メッセイベントホールにて開催された。

――どうやって克服したんですか?

高橋自分のソロ曲である『dear...』の前に、(ジュリア役の)愛美が『プラリネ』を歌っていて、彼女のジュリアとしての姿を見せてもらったことで落ち着けたんです。「プロデューサーさんたちにパフォーマンスを見せるのは、私じゃなくて馬場このみなんだ」と。ステージにはひとりで立つわけじゃないんだなと気付いたら、肩から力が抜けていきました。ぬーさんにも事前に「緊張しすぎて無理かもしれません~!」と相談したら「このみがいるんだから大丈夫だよ」と言ってもらっていたのですが、そういう意味だったんだなとそこで気付きました。そんなことがあったので、2ndライブはとくに印象に残っています。

――先輩以外に、メンバーの皆さんとも相談はしていたんですか?

高橋じつはそのときはメンバーとはほとんど話をしていないんです。それまで、収録も単独で行われていたし、練習もバラバラだったのでその機会もなかったというか。1stライブに出ていたメンバーはそこで仲よくなっていたみたいですが、私は2ndからの参加だったので、転校生のような気分でしたね(笑)。愛美とか、ほかの現場で知り合って仲がよかったメンバーもいるにはいたんですが。

――そういう状況だとなかなか話し掛け辛いですよね……。

高橋仲よくなったと感じるのに、3rdライブの名古屋公演くらいまでかかりました。その後、基本的に全員が出演するようになってからはお互い顔を合わせる機会もすごく増えましたし、苦楽をともにしたぶん絆も深まってきて、いまでは「こうしたらもっとよくなるよね!」とか、いろいろな話をするようになりましたね。ただ、もともと私自身「不安だ」みたいなネガティブな話題は同じステージに立つ仲間とのあいだではしたくない、と思っているので、当時は余計に話せませんでした。

――まさにこのみさんの姿勢ですね!

高橋えぇっ!? そ、そうですね……もしかしたら、スタッフの皆さんも、私たちの成長に合わせてキャラクターの内面も少しずつ変えていってくださっているのかもしれませんね。だから、私もこのみさんについて変わっていった印象がないのかも。

『ミリシタ』4周年記念! 高橋ミナミさん(馬場このみ役)インタビュー。「プロデューサーさんたちにもっと近くで見てもらえるようになるといいな」
『ミリシタ』4周年記念! 高橋ミナミさん(馬場このみ役)インタビュー。「プロデューサーさんたちにもっと近くで見てもらえるようになるといいな」

――先日行われた、7thライブの感想も伺えますか。

高橋『ミリオンライブ!』だけでなく、『アイマス』シリーズ全体でも初の野外単独公演ということで、みんなすごく気合が入っていました。6thから数えると1年半以上も皆さんと会えていなかったということもあって、気合を入れてストイックに臨んでいる人が多かった印象です。私は「『アイマス』は観てくれている皆さんと作るものだし、とにかく楽しい空間」という認識があって、「ひさしぶりのお祭りに来たよ~」という心持ちでいました。“Reburn”ではあるんですけど、また新しく最高のライブを作る、みたいな。実際、照明では作れない雰囲気を味わえたり、それに合わせた曲順、演出を考えてくださったおかげで、これまでにない楽しさがありました。それから、私は2日目に出演したのですが、まるで2ndライブのような構成で、懐かしさも感じましたね。1曲目が『Flyers!!!』だったのですが、懐かしさとプロデューサーさんたちの温かい拍手とで、『ミリオンライブ!』のライブに帰って来られたと思うと、早くも泣きそうになってしまいました(笑)。

――その中で、以前から「いちばん歌いたかった曲」と語られていた、『瞳の中のシリウス』も歌われましたが、どんな思いでしたか?

高橋最初にセットリストを確認したとき、うれしくなって思わずぴょん(春日未来役の山崎はるかさん)に連絡しちゃいました。そうしたら「私もいっしょだよ!」って言われて……。私、舞い上がって自分の名前しか見ていなかったんです(笑)。

――(笑)。

高橋これまではこのみさんのキャラクター性もあってピックアップされなかったのだと思いますが、やっぱり『ミリオンライブ!』にはどんな可能性だってあるんだなと証明されて、すごくうれしくなって気合が入りました。初めてこの曲を好きになったのは3rdライブの名古屋公演でしたが、それ以来「いつか歌いたい」と言い続けてきたのが実現してうれしかったですね。

――では、つぎに歌いたい曲があればここでアピールしてみてはいかがでしょうか?

高橋Marionetteは眠らない』は歌ってみたいです。いままでこういう楽曲はあまり縁がなかったので。といっても、このみさんはもともとDance属性ですし、ダンスもやっていきたいなとは思っているんです。あとは『Decided』をもう一度まつりちゃんと披露したいなと思っています。

――衣装はいかがでしたか?

高橋私、もともとガールスカウトをやっていたんですよ。だから、初めて衣装を見たときに「ガールスカウトっぽいですね」と衣装担当のTSUBASAさんに言ったら「ハイキングっぽいとかみんな言っていたけど、初めて気付いてくれた!」とすごく喜んでくれました。私も「ガールスカウトやっていてよかったな」と初めて思いました(笑)。

――これまでとは方向性から違いましたよね。

高橋これまでのフォーマル感も備えていたドレッシーな衣装と違って、トレッキングシューズのような靴など動きやすさ重視のものになっていましたね。ポンチョもすごいピンクで、「着こなせるかな?」とちょっと不安ではありましたが、着てみたらすごくしっくりきました。TSUBASAさんがアイドルと私たちのいいところ取りをしながら、ひとつひとつ考えて作ってくださっているものなので、さすがだなと思いました。衣装も音楽も演出も、私たちは本当に制作陣に恵まれているんです。

――これまでの衣装で印象に残っているものは?

高橋周年記念の衣装はどれも印象に残っているのですが、とくにインパクトがあったのは『Glow Map』の衣装でもある“インフィニット・スカイ”です。めちゃくちゃかわいいんですけど、じつは“ミリシタ感謝祭2020-2021”に出演した人の分しか作られていなくて、着られてうれしかったです。じつはここでも裏話があって、当初『Glow Map』は後のほうで歌うことになっていたのですが、「こんなかわいくてすごい仕掛けのある衣装を先に見せないのはもったいない!」って、ころあず(最上静香役の田所あずささん)といっしょにJUNGOさんに直談判に行って、本番直前で1曲目に変えてもらったんです(笑)。

――今後のライブでも見てみたいです!

高橋でも光る衣装ってじつはたいへんで、EScapeやピコピコプラネッツとか、キャストも裏方もものすごく苦労していたのを見てきたので、簡単に「やりたい」とは言えないんです(笑)。でも『ミリオンライブ!』は毎回新しいことを実現させ続けてきたプロジェクトなので、これからも衣装も含めて別の形で皆さんを驚かせてくれるんじゃないかとは思っています。

――今後のライブやイベントでやってみたいことはありますか?

高橋みんながよく「飛びたい」って言っていますよね。私も新国立競技場で飛んでみたいって思っているんです。ヘリコプターからスカイダイビングで登場するとか? もしそれをやるならぴょんかな……。でも、ぴょんは高いところが苦手だから代理で私が(笑)。あとは、もっと観客席の近くに行けるようにしたいですね。規模もどんどん大きくなってきたけど、そのせいで「遠くなった」と思われたら寂しいですし。会場が大きくなることは、やれることも多くなるし、いいことなんですけどね。プロデューサーさんたちにもっと近くで見てもらえるようになるといいな。あ、それからもうひとつあるんです。

――何でしょう?

高橋7thライブでもソロ曲を複数人で歌うという試みがありましたが、『アイドルマスター』はいろいろな曲をどのアイドルも歌えるという伝統があって、それはすごく好きなところなんです。このみさんも765プロの一員なので、それを受け継いでいろいろな曲を歌えるといいなと思っています。いや、むしろ歌わせてほしいです!

――その想いが伝わってほしい! あとは定番の質問もいくつかさせていただきたいのですが、このみさん以外で好きなアイドルを教えてください。

高橋未来の歌はすごく刺さるんです。彼女の歌は基本的に前向きなので、日常生活にくたびれてしまったときなどに聞くと元気をもらえるんですよね。あとは志保ちゃんも好きです。見ていて放っておけないんです。それから、いっしょにやっていて楽しい莉緒ちゃん。中の人はみんな好きなんですが、アイドルでと言われると難しいですね! 

――続いて、『ミリオンライブ!』で好きなユニットと楽曲も教えていただけますか?

高橋ピコピコプラネッツは見ていてすごく平和な気持ちになれるので、私の中ではかなり好きなユニットです。楽曲は、『ラスト・アクトレス』が好きですね。いままで出したことがない表現ができるところがよかったと思っています。このみさんのお芝居の中でさらにお芝居をするという劇中劇の感覚や、しかもその感覚を持ったまま歌うのがすごく楽しくて。『ハミングバード』もミュージカルっぽくて好きな曲調です。あとは先輩と組んで歌う楽曲も好きなものが多くて、とくに『深層マーメイド』はお気に入りです。以前のハッチポッチ(※3)では全体曲以外で先輩と歌う機会がなかったので、今度やるときは絶対に私にも先輩と歌わせてほしいって思っています! 

※3 ハッチポッチ……2017年10月7日、8日に日本武道館で開催された“THE IDOLM@STER 765 MILLIONSTARS HOTCHPOTCH FESTIV@L!!”のこと。先輩組の765PRO ALLSTARSとMILLIONSTARSが初めて合同でライブを行った。

――組んでみたい先輩はいますか?

高橋あさぽんさん(双海亜美・真美役の下田麻美さん)です! ゲーム内のユニットで組むことが多いのに、ライブではまだ一度も共演したことがないので。あとはミンゴスさんとも歌ってみたいです。このみさんが765プロオールスターズよりも年長キャラクターだからなのか、いつも外されちゃうみたいなんですよね。これからはもっといろいろな人と歌いたいです。

――歌ってみたい曲調はありますか?

高橋“もっとラクに息が吸える曲”です(笑)。それは冗談として、千早さんの楽曲だったり、先の『ハミングバード』もそうですが、幅広く表現ができる曲が好きなのでそういった曲調にチャレンジしてみたいと思っています。歌詞のほうも恋愛系のものが多めですが、『水中キャンディ』みたいに恋愛とも自分の成長を描いたともとれる歌をまた歌ってみたいですね。紗代子ちゃんの『vivid color』も好きなんですよ。あれも(『水中キャンディ』と同じで)KOHさんの楽曲でしたよね? KOHさんの歌に惹かれているみたいです(笑)。

――最後に、プロデューサーさんたちへメッセージをお願いします。

高橋いつも馬場このみを含め『ミリオンライブ!』のアイドルを応援してくださって本当にありがとうございます。『アイドルマスター』はプロデューサーさんたちがいないと成り立たないコンテンツで、私たちも、ライブやイベントではプロデューサーさんたちにアイドルにしてもらっています。これからも皆さんと会える機会はあると思いますので、その日が来たら笑顔で会えるといいな。それまで健康でいてくださいね!

『ミリシタ』4周年記念! 高橋ミナミさん(馬場このみ役)インタビュー。「プロデューサーさんたちにもっと近くで見てもらえるようになるといいな」

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