2023年発売予定のNintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC用 RPG『百英雄伝』。

 本作の開発状況について、Rabbit & Bear Studiosの村山吉隆氏、河野純子氏、小牟田修氏、村上純一氏にインタビューする機会を得たので、その模様をお届けする。なお、9月16日18時より配信された東京ゲームショウ2022の公式番組“505 Games 新作タイトルショーケース”では、村山氏、河野氏、小牟田氏、村上氏が生出演。本作についての紹介も行われたので、要チェックだ。

505 Games YouTubeチャンネル
『百英雄伝』は、“いろいろな遊びかたができる”JRPGの魅力を追求したタイトルに。制作スタッフの村山吉隆氏、河野純子氏、村上純一氏、小牟田修氏に開発状況を聞く

村山吉隆氏(写真・左端)

Rabbit & Bear Studios代表。『百英雄伝』ゲームデザイナー兼メインシナリオライター。

河野純子氏(写真・左から3人目)

Rabbit & Bear Studios所属。『百英雄伝』キャラクターデザイナー。

小牟田修氏(写真・左からふたり目)

Rabbit & Bear Studios所属。『百英雄伝』ディレクター。

村上純一氏(写真・右端)

Rabbit & Bear Studios所属。『百英雄伝』プロデューサー兼アートディレクター。

2023年の発売に向けて、開発は順調。“いろんな遊びかたができる”JRPGの魅力をとことん訴求中

――早速ですが、現在の開発状況を教えてください。

小牟田2023年の発売に向けて、順調に進んでいます。現在は、量産体制に入っているところですね。

――ありがとうございます。現時点での本作の手応えはいかがですか?

村山本作の発売に先駆けて、一足先に世界観を楽しんでいただくための『百英雄伝Rising』をリリースしましたが、同作を発売した時点でかなりの反響をいただきました。

 その後、gamescom 2022にてトレーラーをお出ししたのですが、その際にも、好意的な反応をたくさんいただけました。『幻想水滸伝』からのファンのみならず、純粋なゲームファンからもかなり期待していただけていたようで。大いに手応えを感じているところです。

――『百英雄伝』のクオリティーの高さがゲームファンにも伝わっている、ということですね。

村山そうですね。SNS上でも反響をチェックしているのですが、僕たちの作ろうとしているものを感じ取って、期待していただいているのかなと思います。

 僕たちが作ろうとしているJRPGと呼ばれるジャンルは、一時期はかなり賑わっていましたが、一方で元気がなくなっていた時期もありました。そうしたさまざまな時期を経験して、僕らは今回、JRPGを作るにあたって、“いろんな遊びかたができる”というJRPGの魅力をとことん訴求しているのですが、それがフックとなって注目していただけているのかなとは思いますね。

――なるほど。開発チームとしては、JRPGの魅力をさらに訴求したいというのがテーマとしてあると?

村山はい。大きなテーマとなっています。JRPGとしての魅力を存分に楽しめる、リッチなタイトルを作りたいと思っています。

――そんな『百英雄伝』の開発の中で、現在皆さんが注力されているポイントを教えてください。

村山私はグラフィック制作を担当していますが、ドット絵テイストのゲームを作るということで、懐かしさはもちろん、新しさもしっかり感じられるようなグラフィックにしたいと常に考え取り組んでいます。

――その、新しさというのは?

村上たとえば、3Dの空間上で、2Dのドットのキャラクターがどこまでアクティブなカメラワークで違和感なく存在できるか? という点ですね。2Dのドット絵作品ですと、3D作品のカメラワークの様には好き勝手動かせませんが、さまざまなアプローチを用いて、2Dのドット絵ならではの見た事なない空間表現に挑戦しています。

小牟田僕は全体のディレクションのほか、バトルの企画も担当しているのですが、そこでも、いま村上が言ったようなカメラワークは追求しています。キャラクターは2Dの絵なので、さまざまな角度から2Dのキャラクターを見ても自然に見えるように、カメラの可動範囲や向きを変えるタイミングなど緻密に調整しています。その結果、2Dならではのノスタルジーが感じられつつ、新しさも実現できているのかなと思います。

河野私はキャラクターデザイン担当ですが、『百英雄伝』では人間ではないキャラクターがたくさんいるので、彼らの喜怒哀楽の表情差分を描くのに苦労しつつも、彼ららしいの表情を出せるように注力しています。

――ちなみに、とくに苦労したキャラクターなどはいますか?

河野木の種族の少年は苦労しましたね(笑)。この子はどのような表情をするんだろうと、かなり悩みながら描いた記憶があります。

――どのようなキャラクターに仕上がっているのか、楽しみです。村山さんはいかがですか?

村山本作では、いろんな遊びを入れたいということ、そして登場するキャラクターたちみんなが愛される存在になってほしいと考えながら制作しています。その中で、シナリオ中に彼らひとりひとりが活躍できる場所をできる限り作りたいと思っていて。それがかなり大きな作業にはなっていますが、妥協せず取り組んでいます。

――活躍する場所、ですか。

村山そうです。単にキャラクターが存在するのではなく、シナリオでしっかりとキャラクターの活躍が描かれたり、ゲームのシステム上にしっかり組み込まれて活躍したり。ちゃんと彼らを活かしてあげたいんですよね。

――そんな村山さんイチオシのキャラクターはいますか?

村山います。ペリエールという貴族の女の子がいるのですが、キャラクターデザインの段階から、彼女のドレスの色まで指定しました。

河野彼女のお父さんも登場するのですが、そのデザインもこだわられていましたよね。当初は、お父さんはひょうきんなデザインとなっていたのですが、「もっとかっこよくして」と言われましたので、デザインし直しました(笑)。

小牟田彼女の攻撃方法も指定されましたよね。河野は武器込みでデザインしてくれて、それをもとにキャラクターの制作をする段階まで進んだのですが、そのときに村山が「(攻撃方法を)ビンタにしたい」と言って(笑)。ただ、その指定があったおかげで、より魅力的なキャラクターになったので、結果オーライではありますね。

――彼女の活躍にも期待が高まります。本作では、声優さんによる声も収録されますね。

小牟田はい。主人公であるノア、セイ、メリサはそれぞれ、梶原岳人さん、赤羽根健治さん、上坂すみれさんが担当しています。

――キャスティングはどのように行ったのですか?

小牟田メンバーで100人を超えるキャラクターに合う声優さんの候補を出し合い、声のイメージを固めて、それをもとにコーディネーターさんに交渉していただきました。

村山収録にも立ち会いましたが、皆さんの演技力の高さに驚かされましたし、熱のこもったお芝居をしてくださったことがとてもうれしかったです。

――声優さんのお芝居で魅力の増したキャラクターたちの存在も楽しみです。現在開発中ではありますが、「ぜひここを楽しんでほしい!」というポイントがありましたら教えてください。

村山ストーリーや戦闘はもちろん、さまざまな遊びを入れているので、ぜひ皆さんに合った遊びかたでプレイしてほしいですね。

 ストーリーに関して言えば、戦争が舞台としてあって、その中でいろんなキャラクターが登場しますが、各キャラクターはそれぞれの考えのもと行動しています。その行動について、正しいかどうかは提示していません。ですので、さまざまな考え方を許容する物語になっています。

――それを聞いて、物語の内容が大変気になります。それでは最後に、本作を楽しみにしているゲームファンにメッセージをお願いします。

村上応援してくださっている皆さんのお声は常にチェックしていますし、制作の力にもなっています。ありがとうございます。そのお声に応えるために現在開発を進めていますので、もうしばらくお待ちください。

小牟田このインタビューが公開されるころには、新たなトレーラーで進捗をお見せできていると思います。長く開発状況をお伝えできていませんでしたが、順調に開発は進んでいますので、楽しみしていただきたいです。映像ではまだお見せしていませんが、戦争や街作りのシステムなど、遊びの要素はまだまだ盛りだくさんなので、期待していてください。

河野まだキャラクターをデザインしている途中ではありますが、だいぶ終わりが見えてきていますので、もう少しだけお待ちいただけたら幸いです。

村山『百英雄伝』というプロジェクトの始まりは、『幻想水滸伝』など、僕らの作るゲームのファンの方々の熱い思いでした。それがいまでは、JRPGとしても大いに期待していただいております。それに応えられるようなものを作ろうと開発していますので、引き続きご期待ください!