2023年初頭にコーエーテクモゲームスより発売される新作アクションRPG『Wo Long: Fallen Dynasty』(『ウォーロン フォールン ダイナスティ』)。対応機種はプレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、Xbox Game Pass 、PC(Steam、Microsoft ストア)。

 本作の開発を手掛けるのは『仁王』シリーズを開発したコーエーテクモゲームスのTeam NINJA。中国の三国時代を舞台にした"ダーク三國死にゲー”となっている。

 本記事ではプロデューサーを務める安田文彦氏と山際眞晃氏へのインタビューをお届け。2022年9月16日に配信された体験版の要素を中心に聞いた。

『ウォーロン』開発陣インタビュー。対人要素“侵攻”ではほかのプレイヤーが攻めてくる。死にゲーの歯応えと戦略性を両立した“士気”にも注目【TGS 2022】

安田文彦(やすだふみひこ)

本作のプロデューサーであり、Team NINJAブランド長。『仁王』ではディレクターを務め、『仁王2』ではプロデューサーとディレクターを兼任した。

山際眞晃(やまぎわまさあき)

Team NINJAに所属する本作のプロデューサー。SIEジャパンスタジオ時代は『Bloodborne(ブラッドボーン)』や『Deracine(デラシネ)』を担当した。

体験版を通してよりよいタイトルに

――本作が発表された際に、ファンの方の反応はいかがでしたでしょうか。

安田反響は大きかったですね。事前にシブサワ・コウからも「Team NINJAが三国志をテーマにしたアクションゲームを作っている」という発言があったので、「やはり」となった方も少なくはなかったようですが(笑)。

 一方で、『仁王』シリーズに続く新たな“死にゲー”の流れを、ストレートに三国志で作るということに驚いた人も多かったようです。とくに、やはり中国からの反響はものすごかったですね。

――新たなファン層が開拓できそうですね。

安田とくに三国志ファンの方々が、新たに遊んでくれるとうれしいです。

――今回、東京ゲームショウで体験版が遊べるほか、オンラインでも2022年9月16日から体験版が配信されました。これらは製品版に近いゲームシステムだと思っていいのでしょうか。

安田まだキャラクタークリエイトなど調整を続けている部分や、体験版では味わえない部分もありますが、基本的なシステムは概ね同じかと思います。

 ゲームバランスや手触りの部分、RPG的な要素などは、まだまだ詰めているところです。開発スタッフたちはゲームに触り続けているので、ゲームバランスなどについての感覚が麻痺してしまう部分がどうしてもあるのですが、そこについては体験版をプレイした皆さんの意見をいただきたいと思っています。

――『仁王』シリーズではベータテストを実施していましたが、それに近いものでもあると。

安田はい。ただ、発売日が“2023年初頭”ということで、じつはもう差し迫ってきているんですよね。ですので、いただいた意見のすべてをすぐに反映するというのは難しいとは思います。ですから、そこは優先度を付けて対応したいなと。

――発売後もやはりアップデートしていくんでしょうか?

安田『仁王』シリーズ同様に、そこはやっていきます。とくに本作は新規タイトルの1作目ですから、開発の過程でやり残した部分などが出てくると思うんです。今回の体験版の配信は、そういったところを見ていくための、ユーザーの皆さんとコミュニケーションしていく第1歩だと思っています。

――今回の体験版はプレイステーション5、Xbox Series X|Sでの配信となりますが、プレイステーション4やXbox Oneなどでも配信してほしいという声が聞こえてきそうです。

安田幅広い方々から意見を募るにはそうするべきなのですが、開発の作業の兼ね合いもあり、このような形にしました。また、ゲームのパフォーマンスがいちばん高い状態のものを遊んでいただきたかった、という考えもあります。

山際プレイステーション5やXbox Series Xでは、最大4K解像度で秒間60フレームの映像で遊んでいただけます。前世代機になるとどうしても両立が難しいのですが、プレイの手応えなどに関しては同様のものを目指しています。

『ウォーロン』ならではのシステム群

――本作の要とも言える防御技の“化勁(かけい)”は、最初こそタイミングを合わせるのがややシビアに感じましたが、コツを掴むと比較的成功させやすい印象でした。

安田化勁はやはり重要ですし、タイミングはそこまでシビアにはしていないつもりなので、ぜひ狙っていただきたいです。なお、体験版では本来のステージよりも敵の種類を増やしています。そのため覚える攻撃モーションも多いので、慣れるまではたいへんかもしれません(笑)。

『ウォーロン』開発陣インタビュー。対人要素“侵攻”ではほかのプレイヤーが攻めてくる。死にゲーの歯応えと戦略性を両立した“士気”にも注目【TGS 2022】
振りかぶった攻撃を……。
『ウォーロン』開発陣インタビュー。対人要素“侵攻”ではほかのプレイヤーが攻めてくる。死にゲーの歯応えと戦略性を両立した“士気”にも注目【TGS 2022】
受け流せる“化勁”。

――バトルでは、主人公と敵の勢いを表す“氣勢”も重要なシステムかと思います。どのようなポイントがあるのでしょうか。

安田基本は攻撃して氣勢を溜め、それを消費して大技をくり出すというサイクルです。ただ氣勢は自分だけではなく相手にもあるので、攻め時と守り時があるところがポイントかと思います。また、氣勢がない状態で攻撃を受けると一定時間動けなくなってしまうので、しっかり管理する必要があります。

――全体的には、敵を倒すことなどで上がる“士気”が非常に重要なシステムだと感じました。士気の差が大きいとリスクがかなり上がりますが、士気が低い状態でいきなりボスに挑んで、そのままクリアーなんてことも可能なんでしょうか。

山際そうですね。相当きついとは思いますが、理論上は可能です(笑)

安田士気はRPG的な要素でもあって、基本的な攻撃アクション自体にはあまり影響がありません。仙術などのアクションが開放されるという部分はありつつも、士気が1だとしても複数の敵相手でなければノーダメージでいくことも可能な形に調整しています。

 ステージの構造的にも、一直線にボスまで行くことはできるようにしています。とはいえ、士気が低い状態でボスを倒すのはかなり難しいです。

山際リスクはありますが、自分より士気の高い強敵を倒すことで一気に士気を上げて、ゲームを有利に進めることができます。また士気の高い敵を倒すと貴重なアイテムを入手することがあります。ただ、もっと安全なルートも用意されているので、リスクを避けて進んでいくのもいいでしょう。そこはプレイヤーのスタイルによるところかと思います。

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――ステージに関しては、『仁王』シリーズと比べて広いように感じました。

安田実際に広いと思います。ジャンプによる高低差の移動も多いですし、中国大陸を舞台にしているからこそのスケール感の大きさが出ているのかなと。

山際とくに体験版のステージは峡谷が舞台ですから、風景や雰囲気からも中国らしい壮大なスケールを感じていただけると思います。

『ウォーロン』開発陣インタビュー。対人要素“侵攻”ではほかのプレイヤーが攻めてくる。死にゲーの歯応えと戦略性を両立した“士気”にも注目【TGS 2022】

――ステータスは五行をモチーフにした数値の割り振りがあります。『仁王2』は8種のステータス値でしたが、本作は5種と少なくなっていますね。また、細かなステータスの数値も少なくなっています。

安田RPG的な部分を『仁王』シリーズよりも簡略化して、わかりやすいようにしています。ただ、いずれかのステータスに特化させればプレイヤーそれぞれの個性が出せる設計です。

山際五行のパラメータはキャラクタービルドや“仙術”(主人公が使える特殊能力)に紐づいています。どの仙術を使いたいかで、ステータスの割り振りを考える必要もあります。

安田あとは五行どうしの相性もありますが、ここは細かな要素です。やり込んでいくうちに重要になってくるところかと思います。

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――装備品は以前のインタビューで「『仁王』ほどはドロップしない」とおっしゃっていましたが、多すぎず少なすぎずといった具合にはドロップする印象を受けました。

安田『仁王』は処理に困るほど装備品がドロップして、それが楽しみのひとつでもあったのですが、今回は強敵を倒したり宝箱を開けた際に落ちるくらいです。とはいえ、1ステージをやり込めばけっこうな数が手に入ります。装備品の見るべきポイントなどは減っているので簡略化されていますが、やはり突き詰めた組み合わせ的なものを狙う楽しみはしっかりあると思います。

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プレイヤーやNPCが敵となり攻めてくる“侵攻”

――道中、黄巾党の張曼成(ちょう まんせい)がNPCとして突然現れて驚きました。これは“侵攻”というシステムで、対人要素でもあるとお聞きしています。

山際侵攻は軍旗を守る頭目の徒党として敵が出現する要素です。ひとつは張曼成のようにNPCが登場するもので、これはオフラインでも体験できます。もうひとつはオンラインで、ほかのプレイヤーがリアルタイムで出現します。侵攻してきた敵を倒すか、それとも軍旗を制圧するかで、“侵攻”を止めることが可能です。

――マッチングしないように“侵攻”を防ぐことはできますか?

山際はい。対人要素を好まない方もいると思うので、オプションで用意しようと考えています。

――“侵攻”した側のプレイヤーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

山際“侵攻”した側も、された側も、敵を倒すことでアイテムやポイントがもらえるなどのメリットがあります。ポイントを溜めると、何かしらの恩恵が受けられます。そこは続報をお待ちください。

『ウォーロン』開発陣インタビュー。対人要素“侵攻”ではほかのプレイヤーが攻めてくる。死にゲーの歯応えと戦略性を両立した“士気”にも注目【TGS 2022】

――最後になりますが、この体験版で、ユーザーの方々にぜひ味わってほしいポイントがあれば教えてください。

安田化勁やアクションの手触りですね。ここがやはりゲームの根幹ですので、そこをしっかり楽しんでいただけるものになっているのかを確認したいです。あとは士気に関するシステムまわりですが、そこは言葉では伝えにくいところですから、ぜひ体感して感想をお聞かせください。

山際士気は文字や言葉で伝えるのがなかなか難しいんですよね。いわゆる“死にゲー”としてのやり応えと、三国志らしくステージを踏破していく戦略性をなんとか出せないか、と考えて生まれたアイデアですので、実際にプレイして楽しんでいただけたらうれしいです。あとは、仙術も体験版では取得条件を無視してたくさん使えるようになっていますので、ぜひお試しください。

『ウォーロン』開発陣インタビュー。対人要素“侵攻”ではほかのプレイヤーが攻めてくる。死にゲーの歯応えと戦略性を両立した“士気”にも注目【TGS 2022】