スマホやPCで遊べる本格RPG『グランブルーファンタジー』(以下、『グラブル』)。2022年3月10日に8周年を迎えた同作を記念して、週刊ファミ通2022年4月14日号(2022年3月31日発売)では、『グラブル』8周年記念特集を掲載。

 こちらでは、同特集で行ったグラブルフェス運営チームへのインタビューをお届けする。

グラブルフェス運営チーム(うんえい)

“グラブルフェス”のグッズ開発なども手掛ける、グラブルフェス運営チーム。(文中は運営)

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多彩な企画案の中から厳選し、毎回100種類のグッズを制作

――まずは、グッズの企画立案から開発に至るまでの経緯を教えてください。

運営まずは“グラブルフェス”を始めとした各種イベントの開催タイミングに合わせてどのようなグッズを作るか? ということを、運営チームで話し合います。

 それぞれがグッズの企画案を持ち寄って「これなら作れそう」、「これを作りたいけど対応可能な制作会社はあるかな?」といったことを話し合い、「これなら作れる」というところまで進行したら、つぎはどのキャラクターを、どういった見せかたでグッズに落とし込むか? という選定に入ります。なかには“最初からこのキャラクターありき”で進む企画もあったりします。

――“そのキャラクターならではのグッズ”といえる商品もたくさんありますよね。

運営ありがとうございます。その後、制作を担当してくれる会社と、グッズのモチーフが決まった段階で、運営チームのデザイナーが具体的なデザインを考案します。直近ですと、キャラクターたちの部屋の鍵をイメージした“ルームキーホルダー”というグッズを制作しましたが、鍵のデザインもイチから作って工場に送り、まずはサンプルを作ってもらって確認をして。問題なければ色校正も行ってさらに調整し、という過程を経て、グッズの完成に至る次第です。

――打ち合わせの段階では、一度にどれくらいの企画が上がるのでしょう?

運営おおよそですが、6人いるメンバーが各自10個くらいの案を出します。多ければ30個近く出すスタッフもいます。夏用のグッズが得意だったり、冬用の企画のほうが思いつきやすいなど、メンバーごとに得意な季節には若干差がありますが、それでも毎回100SKU(※在庫管理上の最小の品目数を数える単位)は用意することを目標にしています。

――100という数字には、何か理由があるのですか?

運営リアルイベントを実施していたときの名残なんですけど、実際に現地でグッズを販売する場合、スタッフがムリなくさばける総数がだいたい100種類なんですよ。それもあって、毎回100SKUを目指しているのですが、最初の段階では160個くらいまでアイデアが出てきて。そこから削っていって、最終的に100個にまとめる感じです。

――削る際の判断基準は、売れるか、売れないかといったところなのでしょうか?

運営いえいえ。せっかく考えたアイデアですから、いつも泣く泣く削っています。ファンの皆様にとって優先度の高いグッズはどれか? という基準で選んでいますね。あとは、同じカテゴリーでアイデアが被った場合、たとえばカバンだけで6個も企画が出たりしたら、優先順位の高い2種類に絞ろう……といった形で選定しています。

――話題に上がった“ルームキーホルダー”は、近年でもとくに好調な売れ行きを見せたグッズだそうですが、金型から作るとなると、けっこうな数が売れないと採算は取れないですよね? 最初から勝算はあったのでしょうか?

運営そうですね。企画を提案したスタッフが、最初の打ち合わせの時点で、すでに数キャラ分のデザインを仕上げていて。それを見ながらの会議だったのでイメージもつかみやすく、初見の段階から「これは人気が出るだろう」 という雰囲気がありました。制作段階に入り、開発を進めていく中で「耐久性を考えると、もう少し厚みを持たせたほうがいいかも……」など、いくつかの改善点も見えてきたものの、初期デザイン案はほぼそのままの形で採用されています。 そうして世に出したところ、実際に大勢の方に喜んでいただけてよかったです。

【グラブル】グラブルフェスグッズ開発チームが語る大ヒット商品誕生の裏側&作り手たちのこだわり【8周年記念特集】
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ヒット商品となった“ルームキーホルダー”。

こだわるのは商品の豊富さと日常生活における使いやすさ

――毎回、グッズを制作するうえで気をつけていることを教えてください。

運営ふたつありまして、まずひとつ目は、モチーフになるキャラクターであったり、グッズのカテゴリーが偏り過ぎないようにすることですね。本来なら、どのキャラクターもまんべんなくグッズのモチーフにしたいところです。

 ただ、どうしてもメジャーどころのキャラクターが優先されやすいのですが、それではラインアップに偏りができてしまうので、数字的にはそこまで伸びないだろうけど、このキャラクターの商品も開発したい、といった判断で毎回細かく調整しています。

――どのキャラクターにもファンの方がいますからね。その気持ちを蔑ろにはできないと。

運営それともうひとつは、お客様の生活をイメージしながらグッズを開発することですね。いわゆるネタ系のグッズであれば、ご購入いただいて、それだけで満足していただけるのですが、コップやタンブラーといった日常生活においてお使いになられるグッズの場合は、「この商品は本当に使いやすいか?」という点に、かなりこだわっています。

 たとえばサーモボトルですと、初期のころはかなり太めで、片手だと持ちにくくなっていたんです。とくにこちらは“天司”のキャラクターたちがデザインされていて、女性ユーザーさんから人気の高かった商品なので、女性でも片手で持てるサイズを意識して修正を加えました。

――“使い勝手のよさ”までこだわって作られているとは驚きです。

運営ひと口にカバンといっても、フェス会場などで身に着けて、キャラクター愛をアピールするアイテムとして使いたい人と、ふだん使いするカバンとして、ふつうに持ち歩きたいという人では、求められるデザイン性が大きく違うので。どこまで『グラブル』感を出すか? という点も、つねに意識していますね。

 改めて考えてみると、ここまでもこだわりを持って取り組めるのは、運営チームのメンバーが全員、細かいところまで気にするタイプだからという点が大きいですね。お客様のためというのはもちろんですが、それぞれの「自分が使うのならこうしたい!」という思いが、かなり強く反映されていると思います。

かわいい系や女性向け商品も充実。各種グッズの制作裏話を直撃!

――グッズ開発に関しては、チーム発足当時からスタンスは変わらないのでしょうか?

運営1、2年目あたりは手探りで取り組んでいましたね。『グラブル』ファンの皆さんが買いたくなるグッズというのは、どんなものなのかを考えたときに、とっつきやすいのはやはり缶バッジやアクリルスタンドで。そういったテンプレートな商品を用意していましたが、3年目に突入するときに、長く遊んでくださっているお客さんにも「欲しい!」と思っていただけるグッズとは何か? と考えるようになりました。

 そこで考え出したのが、キャラクター自身が作中で手にしているアイテムなどを再現したグッズでした。とはいえ、そういった商品を作るとなると、より細やかなディレクションが必要不可欠なので、ときには工場と直接交渉しながらチーム一丸となって取り組んでいます。

――なるほど。チーム共通のこだわりポイントなどはありますか?

運営ひとつ例を挙げるとしたら、“キャラクター性から逸脱しないデザイン”を心がけています。クールなキャラクターの場合、ふざけたりして、そのイメージを崩すような見せかたはしないなど、各キャラクターの個性を第一に考えて商品開発に当たっています。

――過去にはナルメアの抱き枕なども販売されていましたが、男性キャラクターの抱き枕などを新たに制作する予定はありますか?

運営いまのところ、その予定はないですね。抱き枕そのものを新たに作ってみたいという思いはあるんですけど、そうした展開が許されるキャラクターと許されないキャラクターがいると考えています。

 たとえば「そのキャラクターは、抱きしめられることを許してくれるキャラクターなのか?」というキャラクター観はとても大事にしています。いくら売れたとしても、本来、そのキャラクターがしないようなことをさせてしまうのは本意ではないですし、そういった展開を不快に思われる方が一部でもいらっしゃるようであれば、それはやるべきではないというのが我々の見解です。

――なるほど。ちなみにネタとして提案したところ、本当に商品化することになったグッズもあるのでしょうか?

運営じつはけっこうあるんです(笑)。マグナシリーズのボスたちをかわいらしくデフォルメした“まぐなぬい”というぬいぐるみや、ウルスラというサメのキャラクターがグローブ状になったぬいぐるみはネタ系のグッズになります。

 担当スタッフの「自分が欲しい」という純粋な想いもありつつ、ネタ系としてグッズ化した商品ですね。実際に販売したところ、お客様からの評判もよくて、再販がかかるくらい売れていました。

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全6種類が販売された“まぐなぬい”シリーズ。
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ネタ系グッズとして開発された“ウルスラぬいぐるみ”。

――かわいい系のグッズは見た目もユニークですし、人気が高そうですね。

運営あとは、途中でお蔵入りしてしまう企画もちらほらあったりします。2020年に発売した、サンダルフォンとルシフェルの顔の焼き目をつけられるホットサンドメーカーが好評だったので、それをベースに、ベリアルの“焼きゴテ”の案が出たのですが、こちらは却下しました。前者は“ホットサンドが作れる”という利点がありますが、焼きゴテは“顔の焼き印を押す”以外に使い道がないので、これはさすがに難しいだろう、となってしまった次第です。

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好評を博した“ホットサンドメーカー”。

――もし完成していたら、どのような仕上がりになっていたのか気になりますね。

運営ほかにも、デザイン面でユニークだったグッズとして、マスキングテープもありました。もともとはネコとジョイ、十二神将をモチーフに、別々の商品を作る予定だったんですけど、デザイナーの勘違いで、それらがすべていっしょになったデザイン案が出てきまして。その組み合わせが意外におもしろくて、「これはこれでアリだな」ということになり、正式に商品化したことがあります。

――まさに偶然の産物というわけですね。ちなみに『グラブル』グッズの中には、化粧品や香水などもありますが、これらは女性スタッフの要望によって作られた商品なのでしょうか?

運営じつは男性メンバーが企画したグッズになります。こちらを立案した当時、『グラブル』のユーザー男女比率は7:3くらいと言われていた時期で、女性向けのグッズもあるコンテンツだよとアピールするという狙いがあり、作らせていただきました。

――以前から、女性向けのグッズが充実しているように感じていたのですが、やはり意識して用意されていたわけですね。

運営女性のお客様はよりキャラクターへの愛が深い方が多いので、女性向けのグッズは意図的に作っていってます。

開発陣にとってもうれしい誤算! 痛バッグや各種衣類も大ヒット

――これまでに発売されたグッズの中で、いちばん反応が大きかったものは何ですか?

運営いろいろあるので、どれがいちばんとは言いにくいですが、“グラブルフェス2019”に合わせて作った“十天衆パーカー”は評判がよかったですね。

 ローブ風のデザインで、最初は「会場内の至るところで、それを着たお客さんの姿が見られたら楽しそうだな」くらいの軽い気持ちで立案したのですが、だんだん愛着が湧いて、クオリティーの高いものに仕上げたくなって。いざ販売したところ、大勢の方が購入してくださって、あっという間に完売になりました。再販の要望もたくさんいただいたグッズなので、思い出深い一品ですね。

――十天衆パーカーは確かに大人気でしたね。取材で会場にいたのですが、本当にたくさんの方が着ているところを目の当たりにしました。そのほか印象に残っているグッズなどはあるでしょうか?

運営先ほど話題に上がった“まぐなぬい”のように、デフォルメされたグッズも人気が出たのはうれしいですね。それまでは『グラブル』本来のビジュアルを崩すのはご法度では? という懸念があったのですが、こういうデザインも受け入れてもらえるんだということがわかったので。ここから新たな派生商品を展開できるようになったという意味でも、印象に残っているグッズです。

 あと、“痛バッグ”として使っていただけるようにビニールのカバーがついた3wayトートバッグも作りましたが、これに関しては、「缶バッジなどを集めてもらって、自分で痛バッグに仕上げないといけない」というところから、「売れないんじゃないか」という声もチーム内でありました。ところが、いざ販売したら販売数が伸びて。うれしい誤算でしたね。

――ビニールバッグのように想定外の売れ行きを見せたグッズはほかにもありますか?

運営『グラブル』の印象的なイラストを使用した“アクリルブロック”も反響が大きかったですね。最近販売したグッズですと、ベリアルとサンダルフォンの“表情差分缶バッジ”も、大勢のファンの皆様に喜んでいただけた商品だと思います。

 本来なら、開封するまで何が入っているかわからないという、いわゆるブラインド商品はお客様から敬遠される傾向が強いんです。でも、こちらに関しては“絶対に”推しの缶バッジが当たるところが好評で、女性ファンの皆さんが購入してくださっていたのが印象的でした。最初に企画案を見たときに同じキャラクターの表情差分が何個も並んでいるのを見たときは、「正気か?」と思ったものですが、大好評でしたね。

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絶対に推しキャラクターが当たる異例のブラインド商品“表情差分缶バッジ”。

――声優の川原慶久さんと立花理香さんによる“ぐらぶるTVショッピングっ!”も、グッズの売り上げには影響しているのでしょうか?

運営とても影響は大きいです。あの番組の宣伝効果はすごいですよ。たとえば以前、フェスでコーチジャケットを販売した際、「カッコいいデザインだし、丸一日かければ在庫もはけるだろう」くらいの気持ちでいたのですが、番組でジャケットが紹介されて、話題になったようで、オープンするや一瞬で売り切れてしまったのには驚かされました。

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“ぐらぶるTVショッピングっ!”の影響で一瞬で売り切れたという“コーチジャケット”。

――すごい影響力(笑)。ちなみにファンの方の意見を聞き取ったり、要望に応える形でグッズを制作することはあるのでしょうか?

運営お客様からのご意見であったり、SNSでの『グラブル』グッズに対するコメントなどは、こまめに拝見しているのですが、「こんなグッズを作ってほしい」という声は意外と少なくて。大半が、売り切れてしまった商品に対する再販希望のご意見なんですね。

 ですので、いまのところ、新商品のアイデアは「こんなものを作ったら喜んでいただけるかな」といった形で、自分たちから発信しているものがほとんどという状況です。

――そうして発売されるグッズが、いずれもお客さんの心に刺さるものばかり……というところがすごいです。

運営メンバー自体が『グラブル』を始め、アニメやゲームといったコンテンツの大ファンなので、「自分がお客様の立場だったらどんなグッズがほしいか」ということが直感的に思い浮かぶ気がします。そうした視点を持ってグッズを制作しているので、もともと“お客様のニーズから乖離していない”ということも、あまり新商品の開発を望む声が挙がらない一因なのかもしれないですね。

製紙工場に発注をかけることも! パンフレット制作へのこだわり

――イベントでは毎回、どのグッズも好調な売れ行きを見せていますが、その反面、売り切れも多数起きている状況だと思います。そのあたりの改善策はお考えでしょうか?

運営これに関しては多くのご意見をいただいていますので、最大限改善に努めたいとは思いつつ……。いまの体制がある意味で最上位の状態であるというのはご理解いただきたいというのが本音ではあります。

 というのも、ある程度在庫を抱える覚悟のうえで、工場にある資材がなくなるまで作りきっている物が結構な数あり、そのタイミングで制作できる限界値という場合が多いからです。在庫も赤字覚悟で抱えているものも正直あります。

――なるほど。

運営また、『グランブルーファンタジー スカイコンパス』というアプリを使って、そこからグッズを購入していただくこともできるんですけど、お客様には気になった商品を“お気に入り登録”していただくことも可能になっています。

 実際にご購入いただいた数だけでなく、事前にお気に入り登録された数も在庫数を考えるうえで参考にしているので、ぜひ、大勢の方にご活用いただきたいです(※直接、アプリ上での購入はできません)。

――在庫がなくなるだけでなく、そのグッズを作るための資材すらなくなってしまう……というのはすごい話ですね。直近でそのような状況になったグッズはありますか?

運営各フェス用に制作するパンフレットは、毎回、限界数まで作っています。工場にある紙をすべて使いきったら、べつの工場にも資材提供を相談して。それでもなくなったら、製紙工場にまで発注をかけて作っているので、決して意地悪で出荷数を絞っているわけではないということは、ご理解いただけますと幸いです。

――製紙工場に発注をかけてまで作られているというのは聞いたことがないレベルですね。

運営紙の材質だったり、どのような加工を施すか……といったことは、新しくパンフレットを作るたびに細かく話し合っています。

――そこまで!? ぜひ紙へのこだわりについて詳しくお聞きしたいです。

運営そもそものお話になりますが、『グラブル』のイラストって、どれも非常に密度が高くて。ふつうに印刷すると色がキレイに出なかったり、全体的にくすんでしまったり、彩度がおかしくなってしまうことが多いんです。それをいちばんうまく印刷・表現できる紙はどれだろう? と、いろいろな紙を試して。ベストな紙を選んでいった結果、現状のパンフレットができあがったという次第です。

――なるほど。紙を選ぶ基準としては、“イラストをキレイに見せること”が最優先事項となっているわけですね。

運営それと、いつも同じ紙を使うのではなく、フェスの開始時期に応じて素材を変えているところも、こだわりをもって制作しているポイントです。たとえば夏フェスの場合、やや青味がかった涼しげな色合いの紙を選んでいたり。明るく爽やかな白にして、キービジュアルが映えるようにしたり。季節感も重要視しています。

――そこまで手の込んだ商品だったんですね。購入しやすい価格で販売されていることに改めて驚かされました。

運営プロデューサーの木村(木村唯人氏)の考えが、「欲しいと思ってくださる方には、あまねくグッズをお届けしよう」というものなので。そこで限定版を出したりして、単価を上げるようなことはせず、求めてくださる方全員のお手もとに届くようにグッズを展開していきたいというスタンスで、我々も取り組ませていただいています。

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紙の質までこだわり抜かれた“パンフレット”。

開発時にもっとも苦戦するのは、あのグッズだった!?

――これまでに制作されたグッズの中で、とくに苦労したものや、開発に手間取ったという商品はありますか?

運営“アーカルムイデアチャーム”でしょうか。こちらはゲーム内に登場する“イデア”というアイテムをあしらったグッズなのですが、もともとのイデアをデザインしたのもじつは同じデザイナーで。チャームの制作も担当することになって、「あくまでもゲーム内のアイテムとしてデザインしたものなので、当時はまさかそれが立体物になるとは思っていなくて。これ、どうやって作ったらいいんだろう? と、大いに悩みつつ開発に当たりました」と言っていました。

――細部まで忠実に再現されていますもんね。

運営ゲーム内では小さく表示されますが、それでも何のイデアかわかるように、モチーフをふんだんに取り入れてデザインしたそうです。本人は「要素を盛り込みすぎた」と困惑しながらも、がんばって開発に取り組んでいました(笑)。

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開発陣のこだわり&苦労が反映された“アーカルムイデアチャーム”

運営ほかにも、食べ物・飲み物系は、苦労というほどではないですが、試食・試飲を毎回相当こだわって行っています。

――種類ごとに複数のサンプルが出てきて、比較をしながら味をチェックするという感じなのでしょうか?

運営そうなります。“グラブルフェス2021”で販売した“イベントティーセット”は、3フレーバー出しましたが、1種類につき6個ずつくらいのサンプルが出てきて。それを順番に飲みながら、「これはちょっとサンダルフォン感がないね」みたいな話をしつつ、味を調整していった感じです。

――色合いや香り、味で、キャラクターを表現するというのは、グッズ制作とはまたひと味違う難しさがありそうですね。

運営そうですね。あと、“難しさ”という点では、『グラブル』のメインキャラクターであるビィのグッズ制作には、いつも気を使っています。というのも、ビィは非常に絶妙なバランスをしているといいますか。立体物になると急にバランスが崩壊して、とんでもない顔になってしまうケースが多々あるんです。口の位置がちょっとずれるだけでも、ものすごく変になってしまうので、ビィを3D化するときは、ほかのグッズ以上に作り直しが発生している印象があります。

――そんな苦労が……。

運営最初に届いたサンプルを見て、「う~ん」となることが非常に多いですね。そこをいかにして修正し、かわいらしさを表現するか? というところは、ある意味、監修するうえでやり甲斐を感じているポイントです。

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ビィくんのグッズが、じつはもっとも苦戦していたという……。

――今後制作したい、あるいは制作予定のグッズはありますか?

運営お皿やコップといったふだん使いの商品は、これからも継続して出していきたいですね。また、それらとは別軸で“オタ活がよりいっそう楽しくなるグッズ”の開発に取り組んでいたり、各種ぬいぐるみを持ち歩けるようなアイテムを考案中のメンバーもいます。

 また、“まぐなぬい”を担当したスタッフは「今後もぬいぐるみなど、かわいい系のグッズをリリースしていきたい」と話していました。現状のデフォルメバージョンとは異なる、新たなデザインも考案しているそうなので、ご期待ください。

――いままでにない斬新なグッズが登場するかもしれないですね。

運営まだまだ油断のできない状況ですが、再びリアルイベントが開催可能になりましたら、そうしたイベントならではのお楽しみとして、フード・ドリンク系の商品もどんどん開発、展開していきたく考えております。

――貴重な裏話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。最後に、ファンの皆さんに向けて伝えたいことなどがありましたら、お話いただければ。

運営先ほども少し触れましたが、SNSはこまめにチェックしていますので、具体的に「こういうグッズが欲しい」といったご要望を投稿していただけると、参考にさせていただく可能性が高いです。

 また、今後の開発にも役立てたいので、「このグッズのここがよかった」みたいな形で、商品に対する感想などもどんどん書き込んでいただけるとありがたいです。これからもグッズを通して、『グラブル』の世界を楽しんでいただけますと幸いです。