2022年2月17日に配信がスタートした『HOTELブルーローズの99の部屋』は、リアル脱出ゲームの企画・運営を行うSCRAPが手掛ける新作サスペンスアドベンチャー。プレイヤーは謎解きをしながら、5つのエピソードを同時進行で進めていき、願いを叶えることができる“HOTEL ブルーローズ”の真相を解き明かしていく。

 今回はSCRAP制作陣、およびゲームページの制作に関わったTAMへのメールインタビューを実施。謎やストーリー、システムはどのように作られたのか、気になる制作秘話を明かしてもらった。なお、本記事は本作のネタバレを含んでいるので未プレイの人は注意。すでにプレイ済の方は、ゲームプレイ時のことを思い出しながら読んでほしい。

 また、ファミ通.comでは本作のネタバレあり/ネタバレなしレビューも掲載しているので、こちらもぜひチェックしてほしい。

※ネタバレなしレビューはこちら

※ネタバレありレビューはこちら

SCRAP

リアル脱出ゲームの企画や運営を行っており、自宅に居ながらリアル脱出ゲームの興奮や謎を解いたときの達成感を味わえる、オンラインリアル脱出ゲームなども制作している。『HOTELブルーローズの99の部屋』全体の企画制作を担当。

黛孝祐

『HOTELブルーローズの99の部屋』コンテンツディレクター。(SCRAP)

関根可奈子

『HOTELブルーローズの99の部屋』プロデューサー。(SCRAP)

TAM

パートナー型デジタル・エージェンシー。『HOTELブルーローズの99の部屋』のゲームページの制作に携わっている。

本作はシステム→ストーリー→謎解きの順で作っていった。謎解きはあくまでミステリーのスパイス(SCRAPパート)

――今回はブラウザゲームとしての配信でしたが、家庭用ゲーム機やSteamなどへの配信・移植などの予定はありますか?

関根今のところ予定はありません。ブラウザだけで遊べるので、あえてゲーム機やSteamに踏み込んでいくにはまだ勝ち筋が見えないというのが正直なところです。個人的には憧れもあるので出したい気持ちはあります。

――ノベルゲームの第2弾を期待されているファンも多いと思います。ちょっと気が早いのですが、第2弾を開発する予定はありますか?

今のところプロジェクトは動いていないですが、とんでもなくおもしろいアイデアを思いついたらぜひ作りたいと思います。

関根今回のゲームシステムとはまったく違ったタイプのノベルゲームは動き出しています。第2弾ではないですが、新しいノベルゲーム体験を提供できると思うので楽しみにしていただければと思います。

――『HOTELブルーローズの99の部屋』の企画がスタートした経緯を教えてください。今回のゲームのストーリーは、実在する“H・H・ホームズ”(※)を題材にしていますが、実在する人物を題材にした意図もお聞きしたいです。

最初にこの企画が立ち上がったのは、弊社で2021年3月に行われた企画会議でした。その時の段階では99の部屋を探索して、ホテルで起きた不可解な出来事を読み解いていくという“部屋を検索して探索する”システム重視の企画案になってました。

『HOTELブルーローズの99の部屋』インタビュー。複数の伏線が張り巡らされた謎はどのように作っているの? 開発陣&TAMへリアル脱出ゲーム制作秘話を聞いてみた
こちらは企画書の一部。

 上記の企画案が社内を通って、ストーリーを考えていく上でホテルで起きた殺人の参考を探してみたところ、H.H.ホームズの実話を見つけ、これをオチにしようと決めたタイミングで時代設定を上記にしようとなりました。

※1861~1896年に実在した人物。とある特徴を持つホテルを制作したいわくつきの男性だが、詳しくは本作をプレイして確認してほしい。

――探偵と5人の主人公のストーリーが複雑に絡み合う展開は最初から考えられていたのですか? それとも開発を進める中で決まったのでしょうか?

今回のシステムで重視したのが自由度でした。また、その上で参考にしたのが『Her Story』というゲームで、上記の作品のシステムと同じ解きごたえになるように好きな部屋を好きな順に探索して、物語を断片的に読み解いていくというモノを作ろうと最初の段階からなっておりました。

 このシステムをH.H.ホームズの実話にすり合わせた時、5つの殺人が起きていてそこで徐々にホームズの正体に近づいていくという構造にしていこうと決まりました。ただ探偵は最初はおらず、テストプレイを重ねることで5人の話をまとめる何かがほしいとなりあとから追加したものになります。

『HOTELブルーローズの99の部屋』インタビュー。複数の伏線が張り巡らされた謎はどのように作っているの? 開発陣&TAMへリアル脱出ゲーム制作秘話を聞いてみた

――これまでの“リアル脱出ゲーム”とは形式が異なるノベルタイプのゲームとして、ベースとなるゲームシステムの構築から行うことになったと思います。逆に言えば、謎解きやストーリーに合わせたシステムをイチから構築できるチャンスでもあったかと思いますが、謎解き、ストーリー、システム、最初に着手したのはどの部分だったのでしょうか?

着手順でいうと、“システム→ストーリー→謎解き”になります。今回の作品に関しては、謎解きはあくまでもストーリーを体験的に読み進めるエッセンスとしてはいっているので、ミステリーに合わせて付属的につけたイメージです。

 また、弊社の企画会議で“いいアイデア”のひとつが“今までにない体験”だということもあり、普段の形式と全然違う形のモノが生まれたのかもしれません。

――SCRAP初のノベルゲームということで開発ではどのような苦労がありましたか? 上記質問の通りストーリーが複雑なぶん、苦労も多かったと思いますが……。

大変だったのはとにかくストーリーですね。すべてのストーリーに2段のオチ(それぞれのエンディングと、最後のホームズの手紙のテキスト)をつけなくてはいけないので、それがすべてのストーリーで苦戦しました。

 また、各ストーリーごとに別コンテンツディレクターがついていたので、そこをクロスさせていくのも苦戦しました。それぞれが探り探り作っていって、それぞれがある程度できたところで登場人物をひとりに集約したり、ほかのコースから借り受けたりして5つのストーリーがつながるようにしていました。

 全員が作り方がわからなかったので時系列がぐちゃぐちゃになったり、ストーリーごとに矛盾が生じたり、謎解きを入れ込むことでストーリーごとにキャラがぶれたり、部屋が99を超えてしまったりと予期しないエラーがたくさん起こりました。

――ストーリーに関しては複雑な展開が楽しめた一方でノベルゲームの視点で考えると、偶然訪れた部屋や謎解き中に別のシナリオが始まるなど、フラグ管理が課題かなとも思いました。こちらに関してはどのようにお考えですか?

自由に探索をして断片的に情報を集めていくゲームシステムがコンセプトで、フラグ管理をしすぎない点もおもしろさのひとつだと思っていたのであえてしませんでした。ただお客さんのクチコミや感想をみていると、そこが不快におもうユーザーも多いんだなというところは勉強になりました。

 なので次に同じようなシステムで何かを作るのであれば、先に見てもいい情報とそうでない情報をちゃんとわけてつくっていけたらなと思います。突然わけのわからない情報がでてくることに関しては、すべてが悪ではないとおもっているので。そういう意味で本作では、その線引きをもう少しうまくできたところが何箇所かあるなぁと思っているので、そこを丁寧に考えていきたいです。

――本作をプレイする前に、オンラインリアル脱出ゲーム『封鎖された人狼村からの脱出』を体験しました。こちらと比べると『HOTELブルーローズの99の部屋』は謎解き要素が少し控えめだった印象です。おそらくノベルゲームということでバランスを調整されたのだと思いますが、ストーリーを読む時間と謎解きにかかる時間のバランス配分は、やはり意識されているのでしょうか? また意識されている場合、バランスを取るのは難しかったですか?

繰り返しになりますが、本作では謎解きはあくまでもストーリーを体験的に読み進めるエッセンスとしていれていたので、意識的に少なくしてます。

 物語を考察していくゲームなので、謎解きやパズルが強く入ってくると(ストーリーが複雑な分)没入感の妨げになると思ったのでこのような形になりました。謎のバランスに関しては、いつものリアル脱出ゲームのノウハウがあったのでそんなに苦戦はしなかったです。ほかの謎解きゲーム同様に、テストプレイをしてちょうどいいボリュームを探していく感じでした。

『HOTELブルーローズの99の部屋』インタビュー。複数の伏線が張り巡らされた謎はどのように作っているの? 開発陣&TAMへリアル脱出ゲーム制作秘話を聞いてみた

――リアル脱出ゲームも含めSCRAPの謎解きはただ謎を解くだけでなく、同じ発想を再度応用するような手法に感嘆します。こういった謎解きはどのように思いつくものなのでしょうか?

謎解きに関しては驚かせたいギミックを先にきめて、それをよりおもしろくするために情報を事前に散りばめて作っていきます。思いつく時はブレストして思いつく時もあれば、ひとりで悶々と考えて思いつく時もあります。

 人によって思いつく方法はそれぞれですが、僕の場合はお客さんにどんな気持ちになってほしいかを決めて、それに似た体験や謎解きの仕掛けを照らし合わせて、その構造を分解して今の設定・システムと照らし合わせて当てはめて作っています。そういう意味では普段からゲームやエンタメを体験したときは、なんでおもしろかったのか? をちゃんと考えるようにはしています。

――すでに遊ばれているユーザーの反応はチェックしていますか? チェックされている場合は、手応えをお聞きしたいです。

非常にいいと思っています。社内でもニッチなゲームで売れないんじゃないか? という声もあったので正直不安でしたが、たくさんの方がSNSで驚きを発信してくれているので大変うれしく思ってます。

――最後に、ファンや読者に向けてメッセージをお願いいたします。

SCRAP『HOTELブルーローズの99の部屋』を遊んでいただきありがとうございました。SCRAPはこれからも今までにない新しい体験やゲーム、エンターテイメントをたくさん作っていくつもりですので、楽しみに待っていてください!

『HOTELブルーローズの99の部屋』インタビュー。複数の伏線が張り巡らされた謎はどのように作っているの? 開発陣&TAMへリアル脱出ゲーム制作秘話を聞いてみた

テーマにあわせて生み出されたキャラクターたち。衝撃的なラストシーンは美しい絵画をオマージュ(TAMパート)

※ここからはTAMさんも加えてのインタビューになります。

――キャラクターのデザインについて、コンセプトやモチーフなどはあるのでしょうか?

TAM本作は19世紀アメリカが舞台ということで、UIを含めデザインはアメリカのクラシックなイラストの雰囲気をテーマとしました。どんな“クラシック”がストーリーに合うか、試作をイラストレーターの熊田さんに描いてもらい、SCRAPさんとディスカッションしながら制作していきました。

『HOTELブルーローズの99の部屋』インタビュー。複数の伏線が張り巡らされた謎はどのように作っているの? 開発陣&TAMへリアル脱出ゲーム制作秘話を聞いてみた
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『HOTELブルーローズの99の部屋』インタビュー。複数の伏線が張り巡らされた謎はどのように作っているの? 開発陣&TAMへリアル脱出ゲーム制作秘話を聞いてみた

 話し合いを重ねていく中で、「時代設定に合わせたクラシカルでアメリカンなイラストをモチーフに、夢をもった明るいキャラクターが最後にバットエンドを迎える」というギャップを感じさせる表現はどうか? というアイデアが出てきました。

 このアイデアを形にするべく、イラスト制作と並行して日本と海外のあらゆるゲームやアニメをリサーチしました。特に議論を重ねたのがイラストのタッチです。タッチに関してはさまざまな方向性を検討をしましたが、最終的には(3)を採用することになりました。

 理由はホテルの中のあらゆる部屋に登場するキャラクターが、少ない体の動きを変えるだけで部屋に馴染むようにできる平面的なタッチのほうが、今回のブラウザゲームには合っていること。また主線がなく面塗りで構成されたタッチが貼り絵を連想させ、表現したい世界観とも合っていると考えました。

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――ホテル内を移動するときマップから選ぶ方法のほかに、室名を入力して移動する方法に感心しました。こちらのアイデアはどのようにして生まれたのですか?

ホテルという設定でフラグ管理のできる簡単なシステムを考えた時に出たアイデアが部屋検索でした。名前をフラグにするというアイデアは上記でもでていた『Her Story』を参考に思いつきました。

――本作を開発するうえで、上記以外で意識したところ、こだわりなどを教えてください。

大きな世界観の構築や、時代の質感はゲームページの制作をいただいたTAMさんやイラストレーターの熊田さんに手伝っていただきました。かなりの量のリサーチやアウトプットをしていただき、その中で生まれたのがいまのデザインになります。

TAM物語の時代考証をSCRAPさんで行われていたので、キャラクターの設定資料をいただき、それをベースに制作していきました。

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 キャラクターデザインで試行錯誤を重ねた点は、性格の表現と、時代背景との整合性です。性格の表現は、たとえばエピソード1の主人公・タビーは有名な記者になることを夢見る記者の見習いです。野望を抱き、いつも記事になるネタがないか? ときょろきょろ周りを見回すポージングが良いのではと考えました。

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 しかし作中では、好奇心旺盛で人懐っこい性格でいろんな人と平和にやり過ごそうとするシーンが何度か見られたため、最終的には野心家を連想させる眉の吊り上げを無くし、穏やかな表情にまとめました。

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 時代背景との整合性については、ユーザーさんにキャラクターを覚えてもらいやすくするために、どこまで時代とかけ離れたファンタジーなデザインにするかが悩みどころでした。エピソード5の主人公リリーは、SCRAPさんからは以下のような指定をいただいていました。

  • 人種:イングランド系移民
  • 髪の色:赤
  • 瞳の色:青
  • 髪型:編み込んで下ろしている、ステージ衣装の派手な髪飾り
  • 服装:身長170cm程度、細身で容姿端麗。派手なドレス(赤、シンプルでゴージャスな雰囲気)を身につけている(マジックの演出でタイトめなドレスに着替える)
  • 人物像:本名は“リリー・スペンサー”。少年漫画の主人公のように純粋で強い信念を持ち、マジシャンとして名をあげることにすべてをかけている。度が過ぎて他人には理解できない場面も。同じくマジシャンだった祖父は知名度があり実家も裕福だが、現在は両親祖父ともに亡くなっている。

 見た目の指定のみの条件で、時代に合わせて服のデザインを考えた結果1の案ができたのですが、これでは現代人のゲームプレイヤーに、キャラクターがマジシャンであることを印象付けるにはやや弱い。そこでショーをイメージさせるストライプ柄をドレスに入れたり、マジックに使うステッキやトランプを小道具として持たせました。

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TAM19世紀のアメリカにこのようなドレスはないという意味で、(2)や(3)はファンタジーな案ですが、テーマとした“クラシックな世界観”を邪魔せず、かつマジシャンを連想させるワクワク感のあるデザインとして、(2)の案でリリーのデザインを作っていきました。

――ラストシーンはかなり衝撃的でしたが、あのシーンのこだわりなどはありますでしょうか?

TAMここでも19世紀のアメリカの“クラシックな世界観”を大切にするために、“怖いけれどどこかおしゃれ”な演出を模索しました。また、突然ショックなシーンとして現れることから、顔を描かない、または血の色を赤にしないなど、表現方法をいくつか試していきました。

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 事件現場のような案も候補にあったのですが、「グロい怖さは狙っていない」ということでボツに。漫画のコマ割のような表現で間接的に殺人現場を表せないかという検証もしたりしました。

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 最終的には、ラストシーンということもあり“いかにドラマティックな構図にできるか”を目指してまとめていきました。『HOTELブルーローズの99の部屋』にちなんで血の表現と、部屋全体を青にし、死因の箇所は謎解きにもかかる関係で、青い色で少しきらきら光っているようにして、ショックなシーンの中に、どこか美しさが感じられるように仕上げています。

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 エピソード3の水死体シーンでは、シェイクスピアの戯曲“ハムレット”を題材にしたミレーの絵画“オフィーリア”をオマージュしています。

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――UIもこだわりを感じましたが、注目ポイントなどありますか?

TAMキャラクターデザインと同様に19世紀のアメリカの“クラシックな世界観”をテーマとしています。キャラクターデザインと少し違うのは、UIでは“ホテルについての古い記録”をモチーフとした点です。そのため、各部屋のイラストの縁には掠れたエフェクトを入れ、古いポラロイドのように演出しました。

『HOTELブルーローズの99の部屋』インタビュー。複数の伏線が張り巡らされた謎はどのように作っているの? 開発陣&TAMへリアル脱出ゲーム制作秘話を聞いてみた

 この裏設定は、物語の黒幕ホームズが起こした事件の一連の記録写真。つまり、ホームズの記憶をのぞいているという想定です。シナリオのオチのモデルになったシリアルキラー・H.H.ホームズは、シカゴに建てた殺人ホテルに隠し通路を設け、各部屋の様子をそこからみていたという逸話があります。ブルーローズのサイトにホテルの全ての部屋の出来事の記録が残っているのは、隠し通路からホームズが見ていたからという想定シナリオを聞きこのアイデアを考えました。

 その他、UI上での“怖さの演出”という点でも試行錯誤を繰り返して形にしていきました。このブルーローズは一般的なホラーの怖さもグロテスクな怖さもしっくりきません。怪奇な事件が連続で起こる、なんとも言えない気味の悪さこそが最大の特徴と捉えました。それを表現するために、すべての背景に違和感の残る空間を演出するため、煙のようなテクスチャを入れています。

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 ラストシーン後の問いかけの場面では、“悪い夢を見ている”感覚を目指してホテルが歪んだ背景にまとめました。

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 今回のインタビューを踏まえて、改めてネタバレ考察などされたい方は、ぜひ公式サイトに掲載中のガイドラインに沿って考察をまとめてみてほしい。TAMのさらに詳しい制作秘話が気になる方は下記からチェック!

『HOTELブルーローズの99の部屋』TAMさんのさらに詳しい制作秘話はこちら