季節は夏! 学生に取って嬉しい夏休みもそろそろ終盤戦ですね。長いお休みは、ふだんあまりプレイしないゲームを遊ぶチャンス! 今回は担当ライターが遊んだタイトルから、この夏に遊んでおきたいインディーゲームを紹介していきます。自分が以前に書いた“2020年のおすすめインディーゲーム6選”や“この夏遊びたいインディーゲーム7選”と合わせて、良作を探す参考にどうぞ!

『Luna's Fishing Garden』

  • プラットフォーム:PC(Steam、Epic Games Store)
  • メーカー:Coldwild Games
  • 開発:Coldwild Games、illufinch
  • 価格:820円[税込]

 まずは、夏休みの宿題や塾に追われてゲームをする時間が取れない……という人のために、短時間でサクッと終わり、癒される作品から紹介していきましょう。ひとつ目は、とても夏らしい釣りゲーム。ラトビアのインディーゲームスタジオColdwild Gamesが手掛けた『Luna's Fishing Garden』は、心温まる癒し系釣りゲームです。主人公は、大嵐に巻き込まれて精霊たちがいる不思議な島に流されてしまった少女・キャシー。キツネのような精霊のルナから嵐でボロボロになってしまった精霊の庭を復興させてほしいと頼まれた彼女は、草木を植えたり魚を釣ったりしながら精霊たちの頼み事を聞き、島のために働くことに……。

 魚や果物を売ってお金の代わりになる“魔法の葉”を集めていき、行動範囲を広げて効率よく魔法の葉を集めながら精霊たちの頼みごとを解決。そうやって少しずつストーリーを進めていくアドベンチャーではありますが、あくせく働く必要はありません。時間制限もないので、のんびりまったり釣りをして魚を売って、バナナの樹をたくさん植えて……ゆる~くガーデニングしていくのが楽しむコツです。効率よくプレイすれば3時間もかからずにクリアーできますし、最大効率で稼げる植物や魚ばかり集めて素早くクリアーしてもいいのですが、なんとなくそんなことをするともったいない気持ちになってしまう癒し系のゲームです。そもそも、ぽかぽかした南国っぽい島であくせく働くなんてバカらしいじゃないですか。のんびりいきましょう。

 このゲーム、それくらい雰囲気が緩くて癒されるんですよ。もちろん、ゲームとしては魔法の葉や木材を集めながら行動範囲を広げ、最終的にクリアーすることが目的となっています。なってはいるのですが、ガツガツ遊ばないほうがいいと思ってしまうくらい雰囲気が素敵。釣り自体も、バーに合わせてボタンを押し続ける“チャレンジモード”と、ボタンを押しっぱなしで魚が暴れたときにボタンを離すだけの簡単お手軽“リラックスモード”があり、ガッツリ遊ぶよりもリラックスすることを推奨しているような気もします。かわいらしいキャシーといっしょにゆっくりまったりゆら~り、空いた時間に起動して現実の釣りを楽しむようにのんびりと遊んでほしい1作です。

【夏に遊びたいインディーゲーム7選】『Luna's Fishing Garden』や『Rising Hell』で、気持ちよく夏休みを締めくくろう!
『Luna's Fishing Garden』Steamページ 『Luna's Fishing Garden』Epic Games Storeページ

『ドールエクスプローラー プロローグ』

  • プラットフォーム:PC(Steam)
  • メーカー:Pico Games
  • 価格:無料

 ふたつ目は、さらに短時間で終わるパズルゲーム。人にもよりますが、ちょっと頭を使って1時間くらいで終わるうえに無料です! しかも、カワイイ! 制作したのは、日本の個人ゲーム開発者Pico Gamesさん。タイトル通りにプロローグ的なボリュームで短めですが、最適解を目指して試行錯誤する楽しさが詰まっています。

 ゲームは自分のお店を再建させたい見習い魔女ティアと、彼女が組み上げた魔法生命体ドールのふたりが主人公。1歩進む“移動”や、相手に一撃を与える“斬撃”などの指示を遠隔から出すティアに従って、ドールをゴールまで導けばクリアーとなります。表情や動きで惹きつけられるキャラクターのグラフィックと、単純なようで意外と考えさせられちゃうシステムが合わさった小粒な良作。無料で遊べますが、気に入ったら有料販売しているデジタルアートブックを買って応援するのもアリです。

 現在、Pico GamesさんはたったひとりでSTG×タワーディフェンスの新作『ウィッチエクスプローラー』を開発中。本作とはシステムが大きく違うゲームになっていますが、こちらもおもしろそうです。ティアとドールのさらなる冒険を見たい方は要チェック!

【夏に遊びたいインディーゲーム7選】『Luna's Fishing Garden』や『Rising Hell』で、気持ちよく夏休みを締めくくろう!
『ドールエクスプローラー プロローグ』Steamページ

『さよなら、ゴールデンエイジ』

  • プラットフォーム:PC(Steam)
  • メーカー:NotDeadLuna Studio
  • 価格:205円[税込]

 続いては、1時間から2時間で終わるまぶしい青春の追体験。NotDeadLuna Studioが開発した『さよなら、ゴールデンエイジ』です。パズル要素のあるアドベンチャーですが、日本語に翻訳されているので問題なく遊べます。現在、何かモノづくりをしている学生がプレイしても楽しめそうですが、どちらかと言えばかつて情熱を燃やしていた大人に刺さりそうな物語。

 ゲームは3Dで作られたとあるゲーム開発サークルの部室を見回して、そこに散らばる想い出から彼らの過去や夢の一部を見ていくパートと、彼らが制作していた作りかけのパズルゲーム『KANATAの奇妙な冒険』をプレイしながら、そこに込められたメッセージや制作者たちのやり取りを見ていくパートに分かれています。彼らがゲームを完成できなかった理由や、ゲームを作るうえでの悩みなどを読み解き、散りばめられた断片から何が起きたのかを想像していく。ゲームならではの構造で描かれるストーリーは、短編ながら心にグッとくる作り。

 真エンディングを見るための条件が非常にわかりにくいのがネックで、一応ゲーム内でヒントは出ているのですが、あまり良い誘導の仕方ではないのが惜しいところ。1回クリアーしたら攻略情報(Steamのレビューなどにも攻略のヒントが書かれています)を検索しちゃってもいいと思います。それも含めてゲームのプレイとして成立していると思うので……。真のエンディングまで到達して、すべての情報(の断片)を手に入れてから考察していくことで深みが出るゲームなので、ぜひ最後まで遊んでみてください!

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『さよなら、ゴールデンエイジ』Steamページ

『G-MODEアーカイブス28 セパスチャンネル』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PC(Steam)
  • メーカー:ジー・モード
  • 価格:500円[税込]

 いまから約10年ほど前。当時の携帯電話(フィーチャーフォン)は、もうひとつの携帯ハードと言ってもよいくらい多くの買い切り作品が配信されていました。小規模な開発会社も多く参入し、大手の会社がそうしたデベロッパーの小粒な作品をプチアプリの形式で配信しており、携帯電話だからこそできる名作が多数生まれたのです。しかしながら、そんなかつての名作はスマートフォンの浸透とともに消え、いまだとほぼ遊べません。

 フィーチャーフォンで出ていた小規模なゲームの数々は、いまのインディーゲームに近い精神性や開発規模の物もありましたが、残念ながらゲームの歴史としては空白になりつつあります。たった数年で、巨大な市場のゲームが丸ごと消え去ろうとしているのです。そんな消えゆく歴史を復刻している貴重なプロジェクトが“G-MODEアーカイブス”! かつてのフィーチャーフォンアプリゲームを当時のまま忠実に再現し、届けてくれる復刻プロジェクトとして貴重な作品がつぎつぎと蘇っています。

 厳密にはインディーゲームと言えないかもしれませんが、どうしてもG-MODEアーカイブスの作品をもっと遊んでほしいので、今回はとくに自分が遊んでほしい作品のひとつ、『G-MODEアーカイブス28 セパスチャンネル』を紹介させてください。先日のINDIE Live Expoで紹介されていた『OU』という作品を開発中の幸田御魚氏が、当時の携帯電話で配信していたポエムチックなRPGです。知る人ぞ知る作品だったのですが、G-MODEアーカイブスで配信されたことでプレイ可能になりました。記憶を失った・ボーイ、影をなくしてしまった女の子・ガール、飼い主を探して旅立つ犬・ワン。謎のDJセパスチャンのラジオ放送をキーに、街をめぐる陰謀に巻き込まれたふたりと1匹の冒険を描いた心温まるRPGです。

 ステータスをいつでも自由に振り分けられる要素や、“チャンネル変更”で操作する仲間たちを切り替えてギミックを解いていくシステムなどゲーム面も特徴的ですが、なによりも注目したいのが物語。詩的で心揺さぶるテキストと、不思議な世界観が唯一無二の魅力を放っています。とても変わっているけどさわやかで、でも何か物悲しさもある。詩的で素敵で忘れられない。なるべく多くの人に遊んでほしいRPGです。

【夏に遊びたいインディーゲーム7選】『Luna's Fishing Garden』や『Rising Hell』で、気持ちよく夏休みを締めくくろう!
『G-MODEアーカイブス28 セパスチャンネル』ニンテンドーeショップページ 『G-MODEアーカイブス28 セパスチャンネル』Steamページ

『Rising Hell』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PS4、Xbox One、PC(Steam)
  • メーカー:コーラスワールドワイド
  • 開発:Tahoe Games
  • 価格:990円[税込]、Steam版は1010円[税込]

 RPGやアドベンチャーばかりだと偏ってしまうので、ここで爽快にぶっ飛ばせるアクションをチョイス。Tahoe Gamesが開発し、コーラス・ワールドワイドが販売している『Rising Hell』は、超ゴキゲンなヘビメタに乗って敵をぶっ飛ばせるローグライトアクションです。

 夏の暑さをぶっ飛ばしそうなほどノリノリで気持ちよいヘビメタサウンドを聴きながら、グロテスクでいかにも「地獄!」といった趣すらあるステージを上へ上と突き進んでいく。誰でも遊んですぐにわかる単純明快な気持ちよさがあります。なにより、操作していて楽しい! 敵を踏みつけるか、敵の近くでジャンプすると発動する“ヘルブレイク”で敵を粉砕し、その反動で上に登ってつぎの敵をヘルブレイク! 粉砕と上昇をくり返して、どんどん突き進む感覚がたまりません。

 出口までたどり着いたら、3つのタレントのうちひとつを購入して自分のキャラクターを強化していく要素も。どのタレントを購入していくのかといった戦略もありますが、基本はノリノリで突き進んで行けます。脳汁を床中に垂れ流しそうになるほど気持ちよく突き進める通常のステージと、初見では勝てるのかと思うほど激しいボス戦のメリハリも効いていてグッド。ストレスごとぶっ飛ばしたい人は『Rising Hell』で地獄へ落ちようZE!

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『AREA 4643』

  • プラットフォーム:、PC(Steam)
  • メーカー:Diehardtales Games
  • 開発:DeathMofuMofu
  • 価格:1200円[税込]

 オオ…ブッダよ……何故、ニンジャスレイヤーのゲエムがないのですか? マッポ―めいたゲーム・ギョウカイに現れたヒカリ。『ニンジャスレイヤー』のスピン・オフ。値段も……実際安い……。と中途半端な忍殺語を使いたくなってしまう全方位シューティングです。タイトルから『ニンジャスレイヤー』のゲームだとすぐにわかる人は、真の忍殺ファン。Steamに突如として現れた、公式のニンジャスレイヤー関連ゲームなんですよ。Valveに日本語と思われず、配信当初はSteamでいつまでも日本語非対応と表示されていたこともあり、ファン向けのネタかと思いきやゲームとしての完成度が高い!

 開発したのは『ネコネイビー』などの良作シューティングを作っているゲーム開発サークル・デスモフモフ。名作であることを疑う余地なし! 全方位シューティングとしてもバランスがよく、ソウカイ。ニンジャスレイヤーを知らなくても、なんかニンジャが出てきてコロス。寿司を食う。くらいの認識で十分楽しめます。もちろん、知っていれば使える自機から登場する敵までサービス満点。配信当初はヤクザ天狗、イビルヤモト、ドールハウスの3名が自機だったのですが、アップデート後からフジキド=サンが条件を満たすと参戦しました。もう、名実ともに立派なニンジャスレイヤーフロムゲームエディシヨン。実際、最高に楽しいゲーム。遥かによいです。遊ばない理由がない、いいね?

【夏に遊びたいインディーゲーム7選】『Luna's Fishing Garden』や『Rising Hell』で、気持ちよく夏休みを締めくくろう!
『AREA 4643』Steamページ

『フェルシール:アービターズマーク』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PS4、PC(Steam、Epic Games store、DMM GAMES)
  • メーカー:DMM GAMES、Steam版は1C Entertainment
  • 開発:6 Eyes Studio
  • 価格:パッケージ版は3828円[税込]、ダウンロード版は3410円[税込]、Steam版は3090円[税込]、Epic Games Store版は3080円[税込]

 ラストは、すでにやるべきことを終えて夏休み終盤を気持ちよくゲーム漬けで過ごしたい人のために、ガッツリ長く遊べるタクティクス系SRPGを紹介。立体的な構造のマップで、素早さを基準にして行動順が決まるユニットを動かしていくタイプのSRPGなので苦手な人もいるかもしれませんが、本作はとにかく親切。いつでも難易度を変えられるうえに、敵のレベルや乱数などを細かく調整できます。高難易度で1手のミスが命取りになる緊張感溢れるバトルにしてもよし。難易度を下げて育成する楽しさだけをたっぷり味わってもよし。

 パーティメンバーとして雇える傭兵は自分で自由にカスタマイズできますし、スキルツリーを埋めていってアビリティを覚え、別のクラスにクラスチェンジしたあとアビリティでカスタマイズして……と、自分の戦略に沿ったキャラの育成とカスタマイズをしていくのにハマります。堅実なおもしろさが積み重ねられたゲームで、ハマる人は気が付くとずっと遊んでしまうかも……? 見た目がいかにもなひと昔前の海外RPGで難しそうな印象もありそうですが、敵のAIが賢くても理不尽さはありません。こういう系統のゲームをお手軽にやってみたい人にもオススメです。

【夏に遊びたいインディーゲーム7選】『Luna's Fishing Garden』や『Rising Hell』で、気持ちよく夏休みを締めくくろう!
『フェルシール:アービターズマーク』ニンテンドーeショップページ 『フェルシール:アービターズマーク』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『フェルシール:アービターズマーク』PS Storeページ フェルシール:アービターズマーク』Steamページ フェルシール:アービターズマーク』Epic Games storeページ 『フェルシール:アービターズマーク』DMM GAMESページ

 まだまだ紹介したいゲームはいくらでもありますが、今回はここまで。PCを中心に紹介してきましたが、コンシューマーのストアものぞいただけで無限に時間が潰せるほどのタイトルがつぎつぎとと出ています。過去記事などを参考に自分に合ったタイトルを見つけて、楽しい夏休みの想い出を作ってください!