担当ライターがプッシュしたい良作を紹介

 毎週……いや、毎日怒涛のように発売される大量のインディーゲーム。今回はこの夏に遊ぶべきインディーゲームということで、最近自分が遊んだなかからプッシュしていきたい良作を紹介します。

『A Dark Room』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch
  • メーカー:CIRCLE Ent.
  • 価格:700円[税込]

 まずは、『A Dark Room』から。この作品は、もともと2013年にカナダのDoublespeak Gamesがリリースしたブラウザ向けのフリーゲーム。ご覧の通り、画面に表示されるのはテキストのみという潔さです。戦闘シーンもキャラクターは絵文字で表現されますし、マップも簡素な記号の組み合わせ。80年代のレトロなPCゲームのような見た目なのですが、これが本当におもしろい! リソースを管理しながら何度も探索をくり返すローグライク的な楽しさがありつつ、シンプルなテキストが想像力を刺激して気がつくと何時間もハマってしまう魔力があります。

 ゲームはグラフィックだけじゃない。中身がおもしろければ何でもアリなのです。そんなことを教えてくれる、まさにインディーゲームらしいインディーゲームなので、ぜひ1度遊んでみてください。

【この夏遊びたいインディーゲーム7選】『A Dark Room』や『村雨のソードブレイカー』、『アンリアルライフ』など良作をピックアップ_01
『A Dark Room』ニンテンドーeショップサイト

『村雨のソードブレイカー』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch
  • メーカー:レジスタ
  • 開発:あいあんそぉど
  • 価格:1496円[税込]

 どこか懐かしい感じのギャルゲーみたいな見た目ですが、中身は王道ラノベ風な明るく楽しいRPG。同人ゲーム的なノリでテンポよく進むギャグ満載のドタバタラブコメと、決めるところはキメる物語が程よく混ざり合っている良作です。暴走しまくりで傍若無人なヒロインたちと弱くても芯のある主人公との掛け合いが楽しく、すぐに脱線する展開が90年代のラノベ感でじぶんのようなオッサン向けかも。

 シリアスな場面もありますが、基本はおバカvsおバカのツッコミ飛び交う戦いなので安心して楽しめます。とくに、私が好きなのはヒロインのひとりである獅童ミナト。彼女は、メインヒロインである五月雨サツキの親友を名乗るストーカーで、サツキ以外は人を人と思わず言動も行動もムチャクチャで物語をかき回します。一応、警察の一員なのに……。ミナトの会話はズレまくってて笑いっぱなし。ボケまくりの登場人物がくり広げるどこか抜けた会話が見どころですよ!

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『村雨のソードブレイカー』ニンテンドーeショップサイト

『KUNAI』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch
  • メーカー:イントラゲームズ
  • 開発:TurtleBlaze
  • 価格:1775円[税込]

 顔がタブレットになっているロボットが、高速で飛び回る忍者アクション+メトロイドヴァニア。Bitsummitで展示されていたのを遊んだときから、その触りごこちのよさにほれ込んでいました。発売を楽しみに待ち続け、いざ遊んでみたら期待通り。いや、予想以上の完成度だったんですよ。とにかく爽快で気持ちよく、動かすだけで楽しいのはもちろん、アクションとしても遊びやすい! 

 タイトルにあるように「クナイ」を使ったアクションが特徴なのですが、2本のクナイを使ってワイヤーアクションのように道なき道を渡ったり、壁に引っかけてスルスルと登ったりと、クナイを使って行きたい場所へストレスなく動けるプレイ感は、まさに忍者! 移動に関する操作がスムーズなだけではなく、サブマシンガンをバリバリと敵に打ち込んだり、敵が打ってくる弾を剣でズバズバズバッと切り裂いたりと、攻撃のアクションも多彩でわかってる~。単純に動かすだけで気持ちよくなれる体験をしたいならコレでしょう!

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翻訳もバッチリ。英語版でもとがなんて書いてあるのか気になっちゃうくらい、クスっとくるようなテキストもしっかり翻訳されています。
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『アンリアルライフ』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch
  • メーカー:room6
  • 開発:hako 生活
  • 価格:2400円[税込]

 ランキングに入っていたので知っている人もいそうですが、このゲームもオススメ。内容は、モノの記憶を読み取る力を持った少女・ハルが、AIの信号機・195とともに失われた記憶を求めて旅をするアドベンチャーです。

 個人ゲーム開発者のhako 生活氏がほぼひとりで作り上げた本作は、青を基調としたグラフィックと幻想的で優しい世界観が魅力。どこまでも浸っていたくなるような穏やかな世界でありながらも、時折不穏なイメージを抱かせるストーリーが秀逸で、最後まで遊んだ人は間違いなくグッとくる素敵なお話になっています。謎解きはカンタン過ぎるほどではなく、かといって理不尽に難し過ぎることもなく、考えれば解けるくらいの難易度。寝苦しい夏の夜。楽しい話の続きを聞くように、何日もかけて少しずつ遊んでほしい作品です。

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『千里の棋譜 ~現代将棋ミステリー~』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PS4,PC(Steam、DMM Games)、iOS、Android
  • メーカー:ケムコ
  • 開発:Mista Stories
  • 価格:ダウンロード版は3000円[税込]、パッケージ版は3666円[税込]、iOS版は2580円[税込]、Android版は2550円[税込]

 夏休みの長い時間を使って遊ぶのに最適なのがノベルゲーム。『レイジングループ』で世界的に話題を呼んだケムコの最新作『千里の棋譜』は、まさに良質な物語をじっくり読み進めたい人にうってつけ! 

 もともとは無料で配信されていたブラウザゲームだったのですが、物語の読み応えはその時点で折り紙付きです。新たに追加された第2部も意外な展開に驚かされる内容で、ふつうのミステリーとは少し毛色が違う“将棋界を題材にした異色のミステリー”なのですが、これが凄まじい完成度の物語なんですよ。とくに熱いのが、棋士どうしの対局シーンですね。解説や合いの手を入れながら1手ずつ勝負の流れを見せてくれるので、将棋を知らなくても問題なし。むしろ、プレイしたあとで実際に将棋を指してみたくなるくらい熱い対局が見られます。最後の勝負なんて、涙なしには見られませんよ! 将棋好きはもちろん、これまでまったく将棋に興味がなかった人にこそ、手に取ってもらいたい傑作です。

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『ジラフとアンニカ』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、PS4、Xbox One、PC(Steam)
  • メーカー:PLAYISM
  • 開発:atelier mimina (アトリエ ミミナ)
  • 価格: Nintendo Switch/ プレイステーション4 パッケージ版3980円[税抜]、ダウンロード版2480円[税込]、Steam版は1980円[税込]

 過去にPC版をレビューで紹介しましたが、コンシューマー版が8月27日に出るのでもう1度押さえておきたいのがコチラ。戦闘が存在せず、どこまでも優しい世界をホンワカと探検する本作は、まるで南国のリゾート地に来たような感覚。幻想的で素敵な島を自分のペースで冒険できて、カワイらしさにあふれたゲームなので小さい子にも遊んで欲しいですね。

 ボリューム的にはだいたい5~6時間で終わる小粒なゲームですが、夏の夜に絵本を読むような感覚で朝まで楽しめます。気のいい住民たちが暮らすスピカ島の風景を楽しみつつ、ちょっぴり切ない物語の結末を見届けましょう。

【この夏遊びたいインディーゲーム7選】『A Dark Room』や『村雨のソードブレイカー』、『アンリアルライフ』など良作をピックアップ_06
『ジラフとアンニカ』ニンテンドーeショップサイト
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『TETRA for Nintendo Switch』

  • プラットフォーム:Nintendo Switch
  • メーカー:レジスタ
  • 開発:bloom mushroom
  • 価格:990円[税込]

 最後は謎解きアドベンチャーから良作をひとつ。このゲームは、4つの扉の先にある世界で謎を解いていく脱出ゲームです。謎を解きながら、独特の世界観と物語に惹き込まれる作りになっていて、単純に脱出するだけのゲームではありません。

 この手のジャンルとしてはめずらしい試みとして“ヒントを積極的に読んでいい”構造になっているんですよ。手記のように書かれたヒントは進行によってこまめに更新されるので、自力で謎を解ける場合でも読みたくなります。ヒントを読むことに対して抵抗や後ろめたさを感じる必要がない点が重要。自分は謎解きゲームでヒントにペナルティをつけられると萎えてしまうタイプなのですが、ペナルティもありません。バンバン読んじゃいましょう。むしろ、解けないなら積極的にヒントを読むべき。途中で投げ出してはもったいないので、最後まで遊んでください!

【この夏遊びたいインディーゲーム7選】『A Dark Room』や『村雨のソードブレイカー』、『アンリアルライフ』など良作をピックアップ_07
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